労働者・国民の願いが実る政治への転換めざして

(総選挙闘争方針)

2000年5月20日

愛労連2000年度第1回評議員会



【目次】

1.今回の総選挙の特徴と争点

2.総選挙のとりくみ―愛労連の基本的スタンス

3.人間らしく生き働くための、国政・県政の転換めざして

4.総選挙における愛労連の5大要求

5.職場・地域、産別での具体的なとりくみ


1.今回の総選挙の特徴と争点

 

(1)森新内閣の本質は自自公政治の延長

 小渕首相の不慮の事態を受け、4月5日、森新内閣が発足しました。新政権は総選挙までの事実上の「暫定政権」であり、6月13日告示・25日投票が確定的と報道されるなど政局は一挙に解散・総選挙にむけ緊迫した局面を迎えています。

 さらに森政権は、自公保3党、なかんずく自公両党が党略的に結びつき、異常な情報操作と密室における談合によって誕生したものです。首相自らの「小渕政権を継承する」との発言に示されるように、この政権の本質は悪政推進の小渕自自公政権といささかも変わりません。そのうえ、森政権は多数の横暴という側面にとどまらず、新たに自公主導というきわめて危険な性格をもっています。

 1年8カ月に及ぶ小渕自自公連立内閣による悪政は、労働者と国民に大きな犠牲を強い、耐えがたい痛苦を与えてきました。大企業による狂暴な人減らし・リストラと下請けの切り捨て、規制緩和、農産物の自由化、価格補償制度の破壊など、今日の悪政への激しい怒りは、労働者にとどまらず中小業者、農民など国民のあらゆる階層におよんでいます。このことは、彼らの政治的支持基盤をいっそう急速に崩壊させることは明らかです。

 愛労連は、すみやかな国会解散・総選挙を行い、国民の審判を受けるよう強く要求します。

 

(2)「政治を変える」国民的共同の中心的役割を担おう

 今回の総選挙は今日の労働者・国民いじめの自民党政治の悪政を引き続き許すのか、それとも労働者・国民の声がいきる新しい政治を実現させることができるのか、ここに最大の争点があります。戦後50余年のたたかいによって築きあげてきた労働者・国民の諸権利が根底から破壊されつつあり、まさに今日の情勢は「政治の民主的転換なくして要求実現も困難」といえます。

 また、国民犠牲の悪政を続けてきた、自自公政治を引き継いだ森自公保政権へ厳しい審判を下し、労働者・国民の願いが実る民主的政府実現への展望を切り開くことができるかどうかが問われています。

 情勢は、激動から激変へと変化しています。この激変する情勢に果敢に挑み奮闘することが、いま強く求められています。21世紀という新しい時代にむけて、労働者の願いが実る政治の実現めざし、職場と地域から旺盛な議論の風を巻き起こし、さらに「政治を変えよう」の国民的共同の中心的役割を担って大胆に打ってでようではありませんか。

 

2.総選挙のとりくみ―愛労連の基本的スタンス

 

(1)選挙闘争にあたっては、憲法の原則にしたがって一人ひとりの組合員・労働者の思想・信条の自由、政党支持・政治活動の自由の保障を堅持してたたかいます。

 

(2)同時に、全労連・愛労連やそれぞれの単産や地域組織が重視する切実な要求に対し各党がどのような態度をとってきたのか、要求実現を阻んでいるのはどの党かなどを広く労働者の中に情報を提供し、国政の転換と要求実現の展望についての職場、地域からの討論を組織します。

 

3.人間らしく生き働くための、国政・県政の転換めざして

 

(1)大企業の横暴を許さず、民主的規制とルールの確立への転換

 グローバル・スタンダードという名の産業再編と中小企業の切り捨て、そして大規模な人減らし・リストラ「合理化」など、労働者・国民を犠牲に、ボロ儲けをする大企業の横暴を許さず、日本の「ルールなき資本主義」に対する民主的規制と働く者の雇用と権利を守るルールの確立は今日緊急焦眉の課題となっています。

 今回の総選挙にあたり、大企業の身勝手を許さず、労働基準法の抜本改正、解雇規制、労働者保護法の制定などを含め、大企業の横暴への民主的規制と社会的ルールの確立への国政の転換を強く求めます。

 

(2)「ゼネコン」政治から、「住民が主人公」の政治への転換

 永年にわたる自民党の大手ゼネコン本位の放漫財政によって、この国の財政破綻は645兆円(国民一人当たり510万円)にも及ぶ債務残高に示されるように、きわめて深刻ないきづまりに直面しています。また、「公共事業50兆円、社会保障20兆円」に象徴されるように、国の予算は大型公共事業や銀行への70兆円もの公的資金の投入など国民への大収奪、そして大企業の利益を徹底して擁護するものとなっています。その開発型行政は、21世紀へ残すべき貴重な自然と地球環境を破壊し、子や孫に残すのは、多額の借金といのちを脅かす危険という道へひた走っています。

 憲法が規定する国民主権や憲法25条(国民の生存権)、27条(働く権利)の擁護や、運動で積み上げた社会保障制度など軒並み切り崩し、剥ぎ取った財政を大企業に注ぎ込むという、今日の異常な国の財政を「国民・労働者本位」の財政に転換させることは決定的に重要です。

 

(3)憲法を擁護し、戦争法の発動許さず、平和・民主主義を守る政治への転換

 戦争法の強行、盗聴法、日の丸・君が代の国旗国歌化、憲法調査会設置などアメリカの世界戦略に従属する「戦争体制」づくりの悪法が、労働者・国民の反対にもかかわらず、国会内の自自、自自公の多数の横暴で強引に成立してきました。いままた、森新首相は、有事立法法制化まで踏み込んできています。

 こうしたアメリカと日本の軍事戦略と体制づくりに、とりわけアジアからの危惧がひろがっています。その一方、日本国憲法はいまや国際平和を具現化するものとして国際的にも評価されています。憲法擁護、戦争法発動阻止、平和と民主主義を守る政治への転換をめざします。

 

(4)県政の転換にとっても、重要な総選挙闘争

 「オール与党」による自民党政治の継続が、2005年愛知万博・中部新空港などに象徴されるゼネコン奉仕の開発行政を推しすすめ、福祉の充実をはじめとする県民の要求に逆行しつづけてきました。

 さらにいま、県は、財政危機の原因にほおかむりし、責任の所在を明らかにしないまま、市町村への補助金、とりわけ医療・福祉など県民のくらしに直結する予算の2年連続のカットなど、県民犠牲で財政危機を乗り越えようとしています。

 県政の「住民本位への転換」にとっても、国政の流れを変えさせることが重要です。

 愛労連は、「共同」のとりくみをさらに大きく発展させ、今回の総選挙で人間らしく生き働くことのできる政治への転換を現実のものとするため奮闘します。

<愛労連・政党選択の3つの基準> 

 選挙の結果は、労働者をめぐる状況にとって決定的!

 @ 私たちの要求を支持し、その実現のために力をつくすのか、どうか。

 A 政治革新の立場をとり、今後もとりつづけるか、どうか。

 B 革新統一に努力をしてきており、引き続き努力するのか、どうか。

 

4.総選挙における愛労連の5大要求

 

(1)大企業のリストラ「合理化」・首切りの規制、「解雇規制・労働者保護法」の制定、タダ働き残業の根絶、労働法制の改悪反対、労働基準法の抜本改正、労働時間の短縮、深夜・休日・所定外労働の男女共通規制、失業者の雇用保障など、人間らしく生き働くルールの確立。

 

(2)大幅な賃上げ実現、だれでもどこでも「月額1万5千円」の引き上げ、臨時・パート・派遣など日給・時間給で働く労働者の「時間給100円」引き上げ、全国一律最賃制の確立、勤労国民に対する恒久減税の実施、消費税の廃止・せめて3%への減税など、国民生活擁護による国民本位の不況打開。

 

(3)年金・医療・福祉の改悪に反対し、介護基盤の整備をはかることなど社会保障の拡充。国民犠牲の行革・規制緩和反対、国民本位の行財政の確立。日本農業と地場産業・中小・零細企業の振興・発展。教育基本法にもとづくゆきとどいた民主教育の確立。万博・空港見直し、補助金カット反対。ダイオキシン・排ガスなど環境破壊を許さず、自然と地球環境の改善。

 

(4)戦争法の発動、有事立法の法制化反対。核兵器の廃絶、沖縄・普天間などすべての米軍基地の撤去。あらゆる改憲策動反対、憲法の平和・民主的原則、基本的人権の擁護。総選挙とあわせておこなわれる最高裁判事の信任投票の重視。

 

(5)小選挙区制廃止、政党助成金の撤廃、企業・団体献金の禁止、金権・腐敗政治の根絶、清潔で民主主義が生かされた国民本位の政治・民主的な政治の樹立。

 

5.職場・地域、産別での具体的なとりくみ

 

(1)職場から旺盛に語りあおう、くらしと日本の政治

 @ これまでの自自公政治の実態、新政権の本質を明らかにするとともに、単産、地域にかかわる切実な要求に、それぞれの政党がこの間どのような役割を果たしてきたのか、全労連機関紙の特集を活用するとともに、愛労連も機関紙特集号を発行します。

 A すべての職場で、全労連や愛労連、単産などの選挙特集号外機関紙などを活用し、活発な政治論議を職場に巻き起こします。

 B これらの活動を積極的に取り組むため、すべての単産・地域労連は学習決起集会などを開催します。

 

(2)要求実現のために積極的な選挙闘争を

 @ 愛労連は「総選挙闘争方針」と「全組合員へのアピール」を発表し、労働者の総決起を呼びかけます。

 A 単産、地域は、大幅賃上げの実現、不況打開、解雇規制・労働者保護法の制定など、労働者の要求課題と結合した職場での対話運動とともに、地域の労働組合へも対話共同をすすめます。

 B 解雇規制・労働者保護法、年金、介護などについて各政党へ「公開質問」を申し入れ、その結果について愛労連機関紙特集号で、組合員に周知します。

 C すべての労働者が、棄権することなく選挙権を積極的に行使するように呼びかけます。同時に、企業や労働組合、団体による特定政党支持のおしつけや強制カンパなど「ぐるみ選挙」を告発します。「誰でもできる選挙活動」(全労連、自由法曹団、国民救援会など)の普及をすすめます。また、民主主義、言論の自由、基本的人権を保障する憲法に違反する反共宣伝や反共攻撃(全労連・愛労連や単産などへの)に対しては断固とした姿勢で対処します。

 

以上

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