名古屋商工会議所 会頭 谷口清太郎 様

不況打開、労働者・県民のくらしと雇用を守る要請書

2000年2月25日

 

「不況打開、リストラ・首切り反対、補助金カットやめよ
万博・空港見直せ」怒りの2.25愛知総行動

     

愛知県労働組合総連合
議長    阿部 精六

愛知県社会保障推進協議会
議長    徳田  秋
新日本婦人の会愛知県本部
会長    水野 磯子
国民大運動愛知県実行委員会
事務局長  伊豆原 直
愛知県商工団体連合会
会長    太田 義郎
愛知国民春闘共闘委員会
議長    阿部 精六
農民運動愛知県連合会
会長    早崎 英夫
愛知争議団連絡会議
議長    勅使河原勇

 貴職の日頃のご活躍に敬意を表します。

 さて、ご存じのように長引く不況のなかで、労働者・県民の生活は今たいへんきびしい状況にあります。昨年は完全失業者が4%台で推移する一方、県下の有効求人倍率は0.5倍そこそこで、「1年以上職がない」との訴えや、学校を出ても仕事に就けない若者の増加など、雇用状況の悪化が際だちました。中小企業の倒産も相次いでいます。このなかで国の政治は、70兆円もの銀行支援や「産業再生法」等によるリストラ支援など大銀行・大企業に手厚く、中小企業・業者や労働者・国民にはきわめて冷たい状態がつづいています。万博や新空港建設は「聖域」にしながら2年連続での補助金カットなど、財政危機を理由とする県の施策もまた、私たちを苦しめています。

 さらに問題なのは、巨額の利益を上げている大企業までが競ってリストラ・人減らしや賃金・労働条件の切り下げ、下請け関連企業を泣かせるいっそうのコストダウンに走り、2000年春闘に対しても「総額人件費の抑制」=「賃下げ・人減らし」を口にして逆攻勢に出る企業が多いことです。最近、政府は「景気の回復基調」を言っていますが、労働者や中小業者、国民の状態がこのように厳しい中では、景気の本格回復は期待できません。

 今こそ経営者の手腕が問われるときです。奥田日経連会長の「首を切るなら腹を切れ」との発言は有名になりましたが、長く日本経済を下支えしてきた中小企業や勤勉な労働者・国民が見通しをもてず、将来不安を募らせる現状、「ものづくり日本」の伝統に赤信号がともる状況などは、一刻も早く打開しなければなりません。

 こんななかで私たち8団体は、「不況打開、リストラ・首切り反対」をはじめ切実な要求を掲げ、共同してその前進をはかる「総行動」をとりくみます。貴職に対しては以下のとおり「要請書」を提出しますので誠意をもって検討され、前進的な回答をいただくよう、要請します。

 

 

1.2000年春闘において、労働者・県民のくらしと雇用を守るため、次の点について前向きな検討をおこない、会員企業に要請されたい。

 

@.これ以上の人員削減はやめ、賃下げなしで労働時間を短縮し、雇用を増やすこと。

 

A.労働者・県民の消費購買力を大きくして景気回復への見通しを確かなものにするためにも、期間工なども含め、県内に働くすべての労働者について賃金を最低15,000円以上引き上げること。

 

2.長期不況の中でも確実に利益を上げている大企業を中心に、企業の社会的責任を果たすためにも次の点について前向きな検討をおこない、会員企業に要請されたい。

 

@.膨大な内部留保をもつ企業を中心に、下請け企業への単価の引き上げ、労働者の賃上げ、雇用の拡大、消費者サービスの充実などをおこない、地域経済の振興、利益の社会的還元をはかること。

 

A.下請け関連企業への仕事の削減、単価切り下げ、納期の短縮などに苦しんでいる中小企業に配慮し、共存共栄の立場に立った公正な取り引きにつとめること。

 

B.巨額の公的資金を受けて体質強化をはかっている金融機関はとくに社会的な責任が重いことを自覚し、倒産・廃業や労働者泣かせのリストラ強要につながる「選別融資」「貸し渋り」「貸し剥がし」をおこなわないこと。

 

3.深刻な雇用・失業状況の打開、勤労県民のくらしと雇用の安定に向けて、次の点について前向きな検討をおこない、関係企業や国に要請されたい。

 

@.日産(愛知機械)、NTT、三菱自動車、東海銀行、トヨタ車体、松下電子などが打ち出している大規模なリストラ計画は再考、撤回すること。

 

A.違法なサービス残業について、その根絶への努力を内外に宣言し、具体的な対策を講じること。

 

B.営業譲渡や分社化、持株会社化など企業組織の変更に伴う解雇や労働条件の切り下げから労働者を保護するために、労働界がこぞって要求している「解雇規制・労働者保護法」の制定に賛同し、国に意見を上げること。また、「男女共通の労働時間規制」についても同様に国への意見具申をおこなうこと。

 

C.昨年11月、「不況打開、くらし・雇用・福祉を守る11.17愛知総行動」(9団体)が提出した要請書について引きつづき検討をすすめ、最大限9団体の要請に応えること。

 

4.万博、新空港、伊勢湾岸道路などの大型プロジェクトについて、自治体財政への圧迫、環境破壊などの点から抜本的に見直し、関係機関への働きかけを行われたい。

 

以上


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