中部電力  社長 太田宏次 様

住民の「芦浜原発ノー」の世論を真摯に受け止め「安全神話」と

決別し、無謀な原発推進政策の抜本的転換を求める要請書

2000年2月25日

  

愛知県労働組合総連合
議長    阿部 精六

原発問題愛知県連絡センター

代表委員 大野 宙光


 2月22日、北川三重県知事が芦浜原発の白紙撤回を表明しました。今回の知事見解は、37年にわたる住民の反対運動を尊重したものです。同時に、相次ぐ原発関連の事故とそれを全く反省せず「安全神話」にしがみついて無謀な原発推進を行ってきた政府・電力会社に対する国民の不安と不信のひろがりがあることを真摯に受けとめなければなりません。

 貴社は、知事見解を尊重し芦浜原発の立地計画を撤回する決断を下しました。しかし、太田社長は「知事も原発の必要性を認めており、新たな計画を作って立地を推進したい」「引き続き、原発に重きを置いた計画を作っていきたい」(中日新聞2月23日付)と述べるなど、国民の原発に対する不安・不信にまったく背を向ける態度を明確にしました。さらに、「(三重県から)静岡県まで含めると、候補対象となる土地は10カ所くらいある」「(三重県紀勢町に関しては)非常にいい土地で、こだわりがある。横(周辺)の土地を買いますことができれば、選択肢の一つとなる」(同上)との発言を行いました。これは、貴社による強引な立地推進が「地元住民が長年苦しみ、日常生活にも大きな影響を受けている」(北川知事見解)との指摘に対する反省を全く欠いていること、貴社が今後も住民の意思を踏みにじって強引な原発立地をすすめる立場であることを明瞭に示しています。

 現在の原発は、重大な事故を引き起こすとともに、使用済み核燃料の処分技術が確立されていないなどの、多くの技術的な問題をかかえています。そのため、かつて原発を推進してきた国々が、原発依存から脱却し、省エネ技術や再生可能エネルギーの開発に力を注いでいます。日本はこうした世界の流れに逆行し、過去10年間で16基の原発を増設し、2010年までにさらに20基の原発を増設するという無謀な計画を強引にすすめています。また、プルトニウム利用を基本とした核燃料サイクル路線を国内外の批判を無視して推進しています。三重県民の過半数が名を連ねた原発反対署名をはじめとした、原発推進への批判のひろがりを真摯に受けとめ、こうした無謀な原発推進政策を大幅に見直すことこそ求められています。

 私たちは、貴社が芦浜原発計画撤回をせざるを得ない事態となった今回の教訓に立って、以下の内容で無謀な原発推進政策を抜本的に転換することを要請します。

 

 

1.すべての原発の新規立地を中止すること。

 

2.東海大地震の震源域内に建設中の浜岡5号機の増設を中止すること。

 

3.老朽化がすすみ東海大地震の安全審査を受けていない浜岡1・2号機は永久停止すること。

 

4.耐震審査に重大な疑惑が指摘されている浜岡3・4号機は阪神大震災の最新の知見にもとづく耐震審査の再点検・見直しを行うこと。

 

5.莫大な広告費をつかっての「安全神話」にもとづく「安全宣伝」を中止すること。

 

6.浜岡原発での事故発生時には立地自治体と同様に愛知県や関係自治体にも通報・連絡を行うこと。

 

以上

 


←INDEXに戻る
←TOPに戻る