1999年度総括と2000年度運動方針

1999年9月5日
愛労連第21回定期大会



【目次】

T.到達点と教訓、今後への課題

1.はじめに

2.「総対話・共同」を軸にしたこの1年の主なたたかい(98秋闘〜99春闘を中心に)

3.全労連・愛労連結成10年−その到達点と課題−

U.輝く21世紀のためにー愛労連運動の展望−

V.当面する重点課題と運動上の力点

W.主要課題とそのとりくみ

1.賃金・最賃闘争について

2.解雇規制、失業・雇用確保など

3.労働者の権利擁護、働くルールの確立

4.介護・年金・福祉など壮大な国民運動を

5.新ガイドライン(戦争法)反対、平和と民主主義を守るたたかい

6.「補助金カット」ノー、住民が主人公、革新・民主の自治体づくり

X.愛労連の拡大強化をめざして


T.到達点と教訓、今後への課題 Back

 

1.はじめに

 

 この一年は長引く不況と財界・大企業の賃下げ・人減らし攻撃、小渕内閣の悪政のもとで試練の連続でしたが、同時に、こうした状況への不満と怒りがかつてなく高まり、転換を求めるたたかいのなかから貴重な教訓や展望をつかんだ一年でもありました。

 参院選のあと「経済再生」を掲げて出発した小渕内閣は、国民の大多数が望む消費税減税を拒否する一方、財界・大銀行支援に湯水のように金を使い、労働者・国民泣かせの悪政を重ねて不況と失業をいっそう深刻にしました。そして財界は、不況を理由に「総額人件費抑制」を掲げ、賃下げ・人減らしなど「逆春闘」の攻勢に出ました。国や地方の財政悪化の中で公務員攻撃も厳しく、愛知県職員の給与・一時金が平均37万円切り下げられるなど、官も民も賃金・労働条件の悪化が目立った一年でした。このなかで春闘での賃上げはまたも史上最低となり、失業者も4.8%、342万人(4月統計)と最悪を記録しました。平和憲法に反してわが国を「戦争する国」に変える新ガイドライン関連法案も、中央省庁再編・地方分権一括法案も強行され、延長国会会期末へ向けて引きつづき盗聴法、「日の丸・君が代」の法制化がねらわれるなど、「自自公」路線による悪政も際だっています。

 このなかで労働者・国民の怒りが大きく広がり、「国民が主人公の日本」を求める声が急速に高まっていますが、参院選から4月一斉地方選に至る一連の選挙結果はこれを端的に示しています。さらに、消費税や年金・介護をめぐるこのところの世論動向、労働法制改悪反対での全労連と「連合」の事実上の共同、戦争法案反対での陸・海・空の労働組合の所属の違いを超えた共同や女性・宗教者などの共同、盗聴法反対での共同・・・・など、自民党の悪政に共同して立ち向かう流れも太い流れとなり、「日の丸・君が代」の性急な法制化にも反対が広がっています。

 この傾向は愛知でも顕著です。とくに海上の森での万博反対を掲げる市民グループと革新県政の会とが歴史的な共同を成立させ、影山候補が80万に迫る得票を得た知事選挙をはさんで、藤前干潟、万博、県の補助金カットなどの問題で広がった共同と世論は従来にない盛り上がりがあり、戦争法案反対での労働組合や女性の共同も中央に劣らぬ広がりを見せています。年金や新ガイドライン法案、介護保険などでの愛知県議会での意見書採択も、私学助成や障害者福祉のカット幅を当初より圧縮した補正予算も、世論と運動の成果です。

 これらは、大企業職場における労働者の変化、私たちの「対話・共同」と総行動の前進、労働相談110番の急増と相次ぐ新労組結成などとともに、希望のもてる21世紀への新たな鼓動を感じさせます。私たちが愛労連結成時からたたかってきた地労委裁判で、5月12日、労働者委員「連合」独占の弊害を明確に指摘し、知事に対して任命の改善を求める判決が下ったのも画期的で、10年にわたる差別行政が司法によっても断罪され、公正任命への道が大きく開かれる事態となっています。

 いま、多くの労働者・国民が「くらし、雇用、未来」の3つの不安のなかからその打開の道をさぐり、「この国の政治や社会をどう変えるか」を真剣に考え始めています。愛労連結成から満10年、21世紀を目前に、いよいよ真価が問われるときです。すべての単産・地域が初心に立ち返って奮闘し、組織と運動を飛躍的に発展させつつ、明日への展望を開くことが求められます。

 

 

2.「総対話・共同」を軸にしたこの1年の主なたたかい

−98秋闘〜99春闘を中心に

 

(1) 「くらしと雇用の危機打開」を中心に、「対話・共同」を重視してたたかった98秋季年末闘争

 

 昨年7月の参院選は、戦後最悪・最長の消費不況と深刻な雇用・失業情勢のもとで国民が自民党の悪政にきびしい審判を下し、「政治は変えられる」の確信を広げました。しかし、その後発足した小渕内閣は、「経済再生」を旗印に、一部野党の協力も得てもっぱら銀行・大企業支援に力を注ぎ、秋の臨時国会では労働基準法の改悪、銀行への60兆円支援などを強行し、日本共産党などが提出した消費税減税法案は葬って、国民の願いを大きく裏切りました。「景気対策」を掲げながら党利党略の商品券(地域振興券)でお茶を濁し、庶民には逆に増税となる金持ち減税を実施、「公共投資50兆・社会保障20兆」の「逆立ち政治」も変えませんでした。また「企業競争力強化」を口実に財界・大企業のリストラ支援・「規制緩和」もすすめ、労働者・国民のくらしと雇用をいっそう深刻にしました。

 このもとで愛労連は「くらしと雇用の危機打開」を掲げ、全労連の「雇用・失業緊急対策」案や要求アンケート、労働法制と年金・医療の改悪反対署名などを武器に、すべての労働者・国民との「対話と共同」を重視して98秋年闘争をたたかいました。具体的には、@介護要求を軸とした自治体キャラバンと「10.25 地方自治交流集会」、A「2.26総行動」に続く県下全駅宣伝とともに自治体や商工会議所、銀行、職安、労基署などに地域から要請行動を展開した「不況打開、くらし・雇用・福祉を守る11.6総行動」(=秋闘では初の全県総行動)、B公務員の賃金確定と民間の一時金闘争、C1カ月で法定必要数の3倍、10万余名の署名を集めた「藤前干潟全面保全、住民投票運動」、そして、D春闘要求アンケートや労働法制、年金署名などを携えての対話・労組訪問・・・・などのとりくみです。

 ここでは、いくつか課題も残しました。重点とした「対話・共同」の目標や時期設定の統一的な打ち出しができず、地域や単産がとりくんだ労組訪問の集約・交流が不十分だったこと、初めての秋の総行動=「11.6総行動」への意思統一と準備の期間が短く、組合員の行動参加や民主団体との共同に不十分さがあったことなどです。全県キャラバンでも、地域労連のかかわり方、自治体への予算要求運動との関連など、従来からの懸案はなお残っています。しかし全体としてこれら秋の諸行動は、くらし、雇用、福祉、環境を守る目に見える運動として愛労連の存在をアピールし、職場内の対話でも、外に打って出る宣伝・署名や訪問などでも「共同」への確かな手応えが実感できるなど、それぞれ貴重な経験となりました。

 8月人勧を受けて、条例上、軒並み「55歳昇給停止」を押し付けられた公務員の賃金確定。不況と中小の経営困難の中で苦しいたたかいとなった民間の一時金闘争。そして、2兆6千億円もの借金を抱えての県の「財政非常事態宣言」のもとで、「人勧凍結」攻撃を押し戻すべく越年闘争となった県関係労組など全体にきびしさが際だち、賃金・一時金などで不満を残したのは事実ですが、それだけに「職場内のたたかいだけでは暮らしは守れない」との思いが広がり、広範な労働者・国民の共同と政治革新、財界・大企業の民主的規制の重要性などが改めて鮮明になった秋季年末闘争といえます。

 ほかにこの秋は、@愛知労問研の研究集会「愛知の経済と仕事をどうする−職場・地域からの報告と提言」(10/24)に中小企業家同友会や岡崎信金からもパネラーが出、政府の景気対策批判で一致したこと。A民間部会を中心に企画した「経営危機から職場と労働者を守る学習講座」(11月)が好評で、中小の仲間を激励したこと。Bナトコの役職定年制反対や豊田ガスの解雇撤回をたたかう仲間を励ます「11.18 豊田・加茂集会」が成功したこと。C12月の春闘討論集会にトヨタ革新懇の仲間とともに中小企業家同友会所属の会社社長(「がんばれ社長シンポ」実行委員長)が参加し、エール交換ができたこと・・・・なども特徴で、西春町長選での革新候補の善戦、阿久比町での共産党員町長の誕生などとともに、現状打破への新たな可能性を実感させました。

 またこの時期は、定年制導入や休日削減提案を職場の圧倒的多数から集めた委任状をバックに撤回させたJMIU・2職場の例など、すぐれた経験も生まれました。日立争議団・支援共闘が20回を超える要請行動の末、「連合」独占下の地労委でもほぼ完全な勝利命令(=賃金・昇格差別是正命令)をかちとったこと、愛労連への労働相談が激増する労働者の状態悪化のなかで、公務職場でも民間中小の職場でも新たな組合結成が相次いだことなども仲間を励ましました。

 

(2) 「くらし・福祉・教育削るな、万博・空港こそ見直せ」と大健闘した知事選挙と「2.25総行動」を中心とする99春闘前段のたたかい

 

 秋年末闘争につづく99国民春闘では、全労連は、「戦後最悪の不況・生活破壊・雇用危機」に「戦後最大の国民的闘争」を対峙してたたかおうと呼びかけ、「不況打開、くらしと雇用を守る国民春闘」をめざして引きつづき対話と共同を広げつつ、「2.7中央集会」と「2.25総行動」を軸とする前段のたたかいに全力をあげました。

 愛労連は、全労連のこの提起を正面から受け止めると同時に、21世紀初頭の愛知を左右する年明けの知事選挙を重視し、臨時大会を例年より1カ月早い年末に開いて知事選と春闘とを結合してたたかう方針を確立、春闘準備と並行して、万博反対の市民グループと革新県政の会とが共同で推す影山候補の必勝を期して奮闘しました。

 結果は、「オール与党」の神田候補を相手に、政党としては日本共産党のみの推薦となった影山候補が80万票に迫る支持(得票率36%)を獲得して大きく「善戦・健闘」しました。戦後最悪の不況と県財政の破綻、これまでの自民党政治と「開発会社化」した鈴木県政の行きづまりの中で、「こんな時期に、(第3次行革大綱と大幅な補助金カットで県民や職員にきびしい犠牲を強いながら)なぜいま万博・空港か」という率直な疑問と、「万博・空港より暮らし・福祉・教育、景気対策を」と訴えた影山陣営の政策と論戦が、広範な県民の心をつかんだ結果です。

 愛労連は、この知事選を全力をあげてたたかい、影山候補の「善戦・健闘」に大きく貢献しました。そしてそれを通じて、「政治を変えたい」とする県民意思の大きさを改めて実感し、新しい「共同」の力とその可能性への確信を深めました。知事選挙のさなかでスタートした「補助金カット反対」「万博・空港こそ見直せ」の要求運動を含めて、今後のたたかいへの重要な足がかりとして評価できます。

 ところで、知事選挙の投票日は、全労連・春闘共闘が99国民春闘最大の中央行動と位置づけた「2.7国民総決起集会」(代々木公園)の開催日であり、全国のたたかう仲間たちが99春闘の始まりを社会的にアピールした一大行動日でした。

 財界の露骨な「総額人件費抑制」攻撃や小渕内閣の悪政と対決し、「不況打開、くらしと雇用を守る国民春闘」をめざして開かれたこの集会には全国から8万人が結集。省庁・国会へ多様な要請を繰りひろげた翌日の1万人余の総行動と併せて、中央各紙が翌日の1面トップで報道するなどマスコミにも大きく取り上げられました。連合・JCの主要単産がまともに春闘をたたかわないなかで、最近は全労連・愛労連がマスコミに登場する機会も増えていますが、99春闘前段の総決起の行動として労働者・国民の共感を呼んだこの中央行動は、大企業や政府・財界の横暴の中で増えている中小労使の共同行動などとともに、高く評価できます。

 この日、集会には64名の代表派遣を行い、かつ知事選挙の大きな前進で全国に貢献した愛知の仲間は、このあと、影山候補の大健闘に確信を広げつつ、直後の「2.25」=「不況打開、くらしと雇用・福祉を守る全国総行動」では全国各県の仲間に互して奮闘しました。

 具体的には、早朝のターミナルや大企業門前でのビラ宣伝から、消費税減税や新ガイドライン反対などを掲げての昼の宣伝や申し入れ行動、労組訪問、補助金カット反対等での自治体要請、さらには夜の集会・デモ行進・・・・等、すべての地域労連が工夫をこらして取り組みました。深刻な雇用・失業情勢を直視し、秋闘の経験に学んで、職安前での失業者アンケートを多くの地域に広げたのも特徴でした。また県段階でも、350名の昼休みデモに続いて、栄バスターミナルでの座り込み・宣伝や小渕首相への「怒りのFAX」にとりくみ、並行して愛知県、商工会議所、県経協、労働基準局はじめ14カ所への申し入れ交渉を行うなど、奮闘しました。

 知事選に引きつづくとりくみで、昨年の「2.26」に比べると年休をとっての参加者が減った、民主団体との共同ができなかった地域も残した、など反省点も残り、「11.6」の秋の総行動との区別や関連も課題ですが、単産・地域が力を合わせてとりくんだこの総行動は、「逆風の中で春闘本格化」と写真付で報道した朝日新聞にも見られるように、多くの組合員が外へ出てアピールする目に見える総行動として、春闘後半への貴重なステップとなったのは疑いなく、文字どおり「全組合員参加の総行動」としてさらに発展させる必要があります。

 

(3) 「逆春闘」と呼ばれる財界の攻勢のもと、厳しさが目立った賃金・労働条件

−「3.18」「4.16」などを節とした春闘山場のたたかい−

 

 ところで99春闘は、賃金・労働条件という面ではきわめて厳しい結果となった春闘でした。

 3月17日、一斉に出された「連合」・JCへの賃上げ回答で見ると、ベアは0〜500円程度と史上最低で、労働者一人当り7千万円近くの内部留保をため込む「世界のトヨタ」でも、9000円(定昇込み)の要求に対し7600円と昨年より1300円マイナス、実質ベアは700円という超低額回答でした。

 財界・大企業が1月の『労問研報告』で6年連続のベアゼロからさらに踏み込み、「総人件費の引き下げ」や「一人分の賃金を二人で分けあうワークシェアリングの考え方」の導入を示唆し、「国際競争に勝ち残るため」として大規模な人減らし計画を相次いで打ち出すなど、不況を理由に露骨なリストラ攻撃に出たのに対して、これを労働側が打ち破れなかったためです。連合幹部の姿勢が経営側の悪のりを助長した側面も見逃せません。

 このなかで愛労連・春闘共闘は「平均35,000円、誰でもどこでも2万円(全労連1.5万円)、時間給100円」の要求を掲げ、「3.18」「4.16」の全国統一行動を軸に、5月連休をはさんで6月まで粘りづよくたたかいました。

 愛労連の場合、民間では中小企業が圧倒的に多い組織事情もあって、不況下での経営困難もあちこちで表面化するなか、全体に賃金・一時金・人員の削減や労働条件の切り下げなど経営側の逆提案が目立ち、苦しいたたかいが続いたのが事実です。しかしそんな中でも仲間たちは、「不況時の苦しさを労働者への犠牲転嫁でしのごうとする経営姿勢では会社の発展もおぼつかない」と誠意ある回答を迫り、山場ではストライキも配置して回答引き出し・上積みに努めました。また一部では経営者を説得し、大企業本位の「規制緩和」に反対する労使共同行動、消費税減税を求める合同宣伝、県の補助金カットや国の福祉切捨てに反対する共同行動なども追求しました。

 この結果、愛労連・春闘共闘の247組合で、6月18日現在、回答引出し=184組合(74.5%)、妥結=123組合(49.8%)。運輸一般や全港湾などでの超低額が響いて回答の単純平均は4247円(2.16%)。過去最低の昨春闘をさらに1460円下回って闘争継続中という状況で、厳しさがつづく雇用・失業や一時金とあわせて、この結果には全くもって不満という他はありません。

 私たちの場合、回答の一つ一つに粘りづよい仲間のたたかいがあり、対話と共同を広げるなかで、中小経営と職場・雇用を危うくしている悪政や財界・大企業への批判と怒りも広げ、前述のような労使の共同行動もつくってきた前進があります。また課題別総括で述べる全国一般アクリル分会、運輸一般豊田ガス分会、同井住運送支部などに代表されるように、解雇・人員削減や労働協約破棄などと対決し、職場を基礎に、産別・地域の支援も得て要求を前進させた貴重な教訓もつくりだしています。

 したがって、今年の賃金闘争を清算主義的に見るのは正しくありません。が、財界の攻勢に対して反撃すべき労働側の組織率が低く、しかも大部隊の「連合」JCが相変わらず闘えない・闘わない事情もあって、全体として99賃闘は労働側の敗北に終わったのも事実です。

 このもとで、いま労働界では賃金闘争のあり方に深刻な反省が出、率直な論議と見直しが始まっています。「ナショナルセンター・ローカルセンターとしての賃上げ要求を、大幅賃上げを一貫してかかげるとともに、底上げ要求方式を重視することなど広範な未組織労働者を含めて、より多くの労働者・国民と共同できる春闘を」など、全労連・春闘共闘が示している新たな提起を受けて、その長短を含めて、愛労連としても真剣な検討が必要になっています。

 

(4) 悪法・悪政阻止を掲げ、4月一斉地方選とも結合してたたかった99春闘後段のたたかい

 

 99春闘が戦後最悪の不況下でのたたかいとなったのは既に触れたとおりですが、これが消費税増税や医療保険改悪などを引金とする政策不況と言える性格をもっているだけに、私たちは秋闘から99春闘にかけて「消費税減税、国民本位の不況打開」を要求し、銀行支援や金持ち減税反対、労働法制や年金の連続改悪反対、新ガイドライン・盗聴法反対、行革・中央省庁再編法案反対など、悪法・悪政の阻止を重要な要求課題としてたたかってきました。

 また県内独自課題では、ゼネコン・大企業本位の開発行政が招いた財政破綻のツケを県民に転嫁する「補助金カット」や、その露払いとしての職員の賃金・一時金カットに反対し、「万博・空港より暮らし・福祉・教育、県民本位の景気対策を」の世論を広げてたたかいました。知事選挙のさなかからとりくんだ県民宣伝と知事あての要求署名、自治労連・愛高教・愛労連の連名による署名用紙付ビラ100万枚の3月配付、自治体要請、そして4月の一斉地方選をはさんで、6月県議会での補正予算策定へ向けて、障害者団体や福保労、社保協などとともにとりくんだ波状的な集会・デモ、座り込み、議会要請・・・・などです。私教連、父母懇、生徒会などが一体でとりくんだ私学助成のたたかいも大きな盛り上がりを見せました。

 4月の一斉地方選での自民党の退潮・敗北と日本共産党の躍進は、こうした運動と「住民が主人公」の政治を求める世論の反映とも言え、6月県議会で「補助金カット」をかなりのところまで押し戻すことができたのも、運動の成果と言えます。

 ところが国会では、党利党略のいわゆる「自自公路線」によって、ゼネコン・大企業・大銀行には大盤振舞いで庶民泣かせの政府予算案を史上最速のスピードで通したあと、一斉地方選をはさんで、戦争法案(=新ガイドライン関連法案)をはじめとする悪法を充分な論議もなく次々に通し、ついには大幅な会期延長を強行して、政府の当初予定にもなかった「日の丸・君が代」法制化、「憲法調査会」設置まで強行しました。経済の立て直し・「企業競争力の強化」を名目に、財界・大企業のリストラを全面支援し、一方で小手先の「雇用対策」をいうやり方も許せません。

 このなかで、「自自公」の野合とその悪政に反対する国民的な共同がかつてなく広がっています。とりわけ、新ガイドライン関連法案反対での陸・海・空・港湾の中央20労組をはじめとする労働組合の共同は、安保・自衛隊などに対する基本態度の違いを超え、一致する要求・課題で共同する運動の新たな到達点をつくり、愛知でも19労組の共同として結実しました。法案は強行されましたが、海員組合(連合)や国労(全労協)も加わるこの共同が、「戦争法には協力しない」の決意を表明しているのは重要で、宗教者や女性の共同行動とともに、有事立法阻止、戦争動員反対など、今後の戦争法具体化反対闘争の有力な足がかりとなります。

 ほかに、労働基準法改悪反対以来、すべての労働団体が反対に回り、国会前での事実上の共同行動も継続させた労働法制(派遣法・職安法)改悪反対のたたかい、不破(共産)・土井(社民)・菅(民主)・竹村(さきがけ)・佐藤(二院ク)・中村(国民会議)の各党首・代表が壇上に勢ぞろいした「6.24盗聴法反対集会」、依然として根強い消費税減税要求、年金や介護をめぐって日増しに広がる国民要求など、要求・課題ごとに微妙な差は見せつつも、悪政に反対する労働者・国民の共同は、いま、かつてない広がりを示しています。きびしい攻防がつづいて楽観は許されないのも事実ですが、「自自公」の野合と悪政の強行に大義はなく、「自民党政治ノー」「国民が主人公のまともな政治を」の大合唱の条件が広がっているのも正しくみて、対話・共同をいっそう広げる必要があります。

 

(5) 急増している労働相談、「10万人の愛労連」早期達成の重要性

 

 秋季年末闘争から知事選・春闘へ至るこの一年は、愛労連や単産・地域労連への労働相談が急増し、「労働組合を作りたい」という相談も何件か寄せられた一年でした。労働組合の組織率はこのところ低下する一方で、組合の大切さと力が世間一般にはなかなか見えない状況が続いていますが、大企業を中心とするひどいリストラ・人減らしと賃金・労働条件改悪攻撃、不況下での中小経営の悪化のなかで、「黙っていては暮らしも雇用も守れない」という意識も少しづつ広がり始め、働くものの権利を守って奮闘する愛労連の姿がマスコミに登場する機会も増えています。

 とくにこの3年は「対話・共同」を特別に重視し、労組訪問や未組織労働者への宣伝など地道に重ねてきましたが、この3月には単産・地域の全面協力のもとで西三河全域の一斉宣伝と、7カ所の特設相談所を設けての集中的な相談活動にもとりくむなど、貴重な経験をつみました。これは、婦人協がとりくんだ「働く女性の110番」とともにマスコミにも注目され、雇用・権利破壊や賃下げなどに苦しむ労働者の実態とあわせて紹介されました。加えて、地域に労働組合が見える「総行動」も、昨年の「2.26」と「11.6」、今年の「2.25」と積み上げ、「単産と地域が力を合わせるとこれだけのとりくみができる」との確信を広げています。こうしたとりくみのもとで、愛労連の組織人数も3年前から増勢に転じ、この1年は新たな組合結成が20にのぼるなど、うれしい成果があります。

 ただ、現在の状況悪化からすれば、私たちの組織がいまだ結成時の組合員数に回復せず、10万人愛労連に手が届いていないのは間尺に合いません。総対話・共同を担う組合員を増やし、職場・地域で目に見える運動をさらに広げて、もっと愛労連を知らせ、仲間を増やすことが重要です。

 また、そのためにもすべての単産が地域労連への結集をさらにすすめること。どの単産・地域も組織拡大方針の徹底と日常的追求に努めるとともに、中立・未組織への働きかけを強化すること。愛労連としても組織拡大についてはこれまで以上に意識的・継続的にとりくみ、「労働相談110番」の体制を強化するなどして、「10万人愛労連」の早期達成に努めることが重要です。

 

 

3.全労連・愛労連結成10年 −−その到達点と課題

 

 わが国の労働運動を労使協調(労使一体)と反共主義の中に囲い込もうとする労働戦線「統一」=右翼的再編成に反対し、@資本からの独立、A政党からの独立、B一致する要求での行動の統一、の3原則による「まともな労働組合運動」の発展をめざして1989年11月17日に発足した愛労連は、その4日後、全国の仲間とともに全労連結成の歴史的事業に参画しました。その愛労連・全労連が、間もなく満10年の誕生日を迎えます。

 この間、全労連は労働者の権利擁護と切実な要求実現をはじめ、消費税や社会保障など国民的課題でも、また戦争法案阻止、核兵器廃絶など平和・民主主義のたたかいにおいても、つねにその旗を高く掲げて全国の労働者・国民を激励し、階級的ナショナルセンターとして10年の歴史を刻みました。発足当時、ソ連や東欧の国々があいついで崩壊するなかで、政府や財界は「こんな時代に階級的センターは時代遅れ」とし、あからさまに全労連排除のシフトをしきましたが、結成時の130万人を153万人に伸ばした組織の前進とあわせて、労働運動の本流としての全労連の存在はますますその輝きを増しています。以下は、その全労連を愛知で支えてきた愛労連の到達点と課題です。

 

(1) 働くもののくらしと権利を守り、「人間らしく生き働ける職場と社会」 をめざして

 

 @.愛労連は結成時から、「労働組合は何よりも労働者の利益を守るために生まれた」という原点を大切にして全労連に結集し、たたかう春闘やメーデーの積極的な伝統を引き継ぎつつ、「人間らしく生き働ける職場と社会」をめざして奮闘してきました。またこの目標達成のために職場と地域に根をはった組合づくりを大切にし、要求にもとづくすべての労組・民主団体との共同も追求しました。運動面ではこの数年、「対話・共同」と「総行動」方式を重視し、組合員の積極的な活動参加を呼びかけつつ、<要求の多数派><行動の多数派>として目に見える活動を展開してきました。

 連合愛知が労働組合らしいたたかいをほとんど放棄している状況のもとで、働くもののくらしと権利を守って奮闘するこうした愛労連のたたかいは、最近ではマスコミも積極的に紹介するようになりつつあります。そのことが労働者の信頼を高め、労働相談の激増とともに、99春闘では新しい労働組合の連続結成としても結実しています。

 A.愛労連は、愛知労問研と共同して「愛知ビクトリーマップ」(大企業の巨額の内部留保の検証)を作成し、「大企業は社会的責任を果たせ」の世論を高めてトヨタ総行動を展開するなど全国に注目される独占・大企業包囲のたたかいもすすめてきました。こうしたとりくみは、春闘をたたかう組織内外の労働者を大きく激励し、トヨタをはじめとする大企業労働者の劇的な変化もつくりだしています。

 また愛労連は、争議支援のたたかいではとりわけ大きな役割を果たしました。22年の長きにわたった中電の思想差別・人権侵害裁判を全面的に支援して歴史的な勝利に貢献したのはその典型ですが、ほかにもいくつもの解雇事件や差別事件の勝利解決に力を注ぎ、全動労や国労組合員1047名の解雇撤回闘争についても一貫してこれを支えるなど、「全労連・愛労連があって本当によかった」と言われる働きを示してきました。

 B.こうしたとりくみのなかでたたかう労働者の依り所としての私たちの役割はますます鮮明になり、信頼が高まっています。結成当初は「ごく少数で、せいぜい数年のいのち」と見るむきもあった全労連・愛労連ですが、政府・財界の敵視・排除政策を打ち破り、要求を握って離さぬ原則的な活動で組織と運動を前進させ、働くもののくらしと権利を守ってたたかう頼りにされるセンターとしてその存在を確立・定着させてきたといえます。一時は東京を除いてすべての道府県で排除され「連合独占」が強行された地労委・労働者委員について、今日、反・非連合系委員が6都府県8名に増えているのも私たちのこうした活動の成果です。

 C.全労連が呼びかけた「総対話・共同、10万人オルグ運動」と数次にわたる「愛知総行動」の実践のなかで、すべての労働者を視野においたとりくみが単産・地域に広がり、愛労連の影響力も大きくなっています。しかし、58,000人という組織数は県内315万労働者のごく一部(連合愛知の1/9)で、賃金・労働条件をはじめ、大企業・中立・未組織を含めたすべての労働者に影響を及ぼすには決定的に「数」が不足しています。今後、これを補うためにも全組合員の活動参加と「対話・共同」のいっそうの徹底が重要で、そうした活動を強めつつ、組織の飛躍的な拡大へ、特別に留意してとりくむ必要があります。

 また、全県に見える活動を広げて愛労連への参加組合を増やしてゆくためにも、地域労連の引き続く強化が重要で、「単産と地域とが対等の立場で労連を構成し、運動をすすめる」組織原則の重要性を改めて見つめなおし、単産の地域結集もさらに強力にすすめる必要があります。

 

(2) 切実な県民(国民)要求実現、「住民が主人公」の政治をめざして

 

 愛労連はまた、労働者固有の課題にとどまらず、切実な県民(国民)要求実現のために共同を広げてたたかい、国民が主人公の政治、革新・民主の県政・市政実現に向けても一貫して奮闘してきました。

 消費税減税や国民本位の不況打開、年金・医療・介護など社会保障の拡充、教育、コメ、環境、平和・民主主義など、全労連・愛労連がこの課題で果たしてきた役割の大きさは歴然としており、それは、戦争法案反対、県の補助金カット反対をはじめ、この一年の活動でも証明できます。

 とりわけ最近では、自自公3党の野合による悪政が際だつなかで、広範な労働者・国民のなかに「悪政ノー」の怒りが渦巻いています。これまで政府・財界寄りの制度・政策要求を掲げてきた連合も組合員の声に押され、労働法制、年金など課題によっては大衆的な反対行動に出る変化が生まれており、戦争法、盗聴法、日の丸・君が代法制化や不況打開、雇用・失業対策などでは労働組合の枠組みを乗り越えた草の根からの共同が広がっています。労働組合としてこうした運動の軸になっているのは、つねに愛労連であり全労連なのは事実が示すところです。自自公3党による悪政が、かれらの支持基盤を掘り崩し、「自民党政治ノー」「国民が主人公のまともな政治を」の声がかつてなく広がってきていることに確信をもち、広範な労働者・国民と連携して引きつづき奮闘することが求められます。

 またこの数年、くらし・福祉・教育を破壊し、財界・大企業本位の開発行政をすすめる県政の転換をはじめ、住民本位の地方政治を求めるたたかいが県下の少なくない自治体でとりくまれています。自民党を中心とする「オール与党」政治を支える連合愛知の政治姿勢と比べて、これらのたたかいで愛労連や地域労連が果たした役割も大きなものがあり、住民の信頼や期待も高まっています。先の一斉地方選挙では「政治を変えたい」と職をなげうって立候補する仲間の姿が多くの組合員を励ましましたが、「住民が主人公」の政治の実現へさらに奮闘が求められます。

 

(3) 愛知の労働戦線統一の母体、「10万人の愛労連」をめざして

 

 愛労連は働くもののくらしと権利を守ってたたかう「まともな労働組合運動」のセンターを目標に出発した当初から、愛知の労働戦線の統一の母体となることをめざしました。そして、職場と地域に根をはる「10万人の愛労連」の建設に努め、センターとしての機能強化、市民権確立をめざして頑張ってきました。最近では「労働相談110番」も常設し、広範な労働者・県民との「対話・共同」を広げ、すべての労働者・労働組合との共同もめざしてきました。また「みんなで決めてみんなでたたかう」組合民主主義の徹底に努め、活動のスタイルとして職場・地域からの自主的・自発的な運動を重視し、力を合わせて奮闘してきました。これらの奮闘は着実に実を結び、いま愛労連は、25単産・25地域労連を擁するたたかうローカルセンターとして、労働者・県民の信頼と期待を集めるまでに成長しています。

 しかし、課題も山積みしています。

 第1に、「職場での多数派形成、未加盟対策、パート・臨時をふくむ未組織労働者の組織化」の3課題を軸に力を入れてきた組織拡大の面で、ここ3年は増勢に転じたとはいえ、激しい組織攻撃や退職者の増加の中で発足時より減った人数を回復出来ずにいることです。青年対策、組織的・系統的な学習・教育も不十分です。運動と組織の次代の担い手をつくりつつ、対話・共同と労組訪問を継続的にすすめ、「10万愛労連」へ改めて全力を注ぐ必要があります。

 第2に、ローカルセンター機能の面でも求められる課題に比べて、いくつかの問題を抱えています。とくに幹事会・事務局の強化にむけての改善・工夫。急増している労働相談に的確に応え、組織化にも結びつけるための「労働相談110番」の体制強化。単産と地域を両輪とする愛労連にふさわしく「タテ・ヨコ」の有機的結合にむけた意識的な努力=地域労連強化への具体的な手だて‥等が必要です。

 第3に、ローカルセンターとしての「市民権確立」です。そのためにも当面、地労委・労働者委員の確保が最大の焦点です。地労委民主化会議が10年のたたかいでかち取った名古屋地裁の「5.12判決」は、連合独占の問題点を明確に指摘し、今後の委員任命に向けて「労働運動の潮流・系統」を考慮した「多様」な委員構成と、「任命基準の作成・公表」を求め、「より多くの労組・労働者に支持される合理的な選任」がなされるよう、異例の注文をつけて全国・各県の仲間に高く評価されました。引きつづいて6月末に出された千葉地労委裁判での控訴審=東京高裁判決は、「特定系列の独占、非任命が続けば、違法の疑いあり」とする判断を示し、反・非連合排除に固執する行政当局を追いつめています。愛労連結成10年、いよいよ連合独占の差別任命に終止符を打たせる時です。「判決」を武器に、運動と世論を思い切って広げ、公正な委員任命をかち取って、ローカルセンターとしての市民権確立への決定打としなければなりません。

 労働戦線統一について全労連は、既存のセンター、労働組合の「組織的統一」をただちに求めるものでなく、複数のセンターが存在するもとでも長期で継続的な共同戦線を築く重要性を強調し、その積み上げのうえに「労戦統一」を構想しようと呼びかけ、当面、全労連の主体的力量の強化が決定的に重要と訴えています。愛労連としても、要求にもとづく対話・共同を引き続き追求すると同時に、愛労連の主体的力量強化と市民権確立をとりわけ重視し、21世紀の労働戦線統一を展望できる条件をつくることが大切です。

 

 

U.輝く21世紀のためにー愛労連運動の展望 Back 

 

 1989年11月17日の愛労連結成大会で採択した「綱領」では、@労働者の経済的・政治的諸要求の実現、基本的諸権利の確立、社会的地位の向上、A国民的・県民的な要求・課題について県民各層との共同のたたかい、B未組織労働者の組織化、C労働戦線の統一、D労働基本権の確立、E大企業の民主的規制、産業・経済の民主的発展と明るく住みよいまちづくり、F教育・文化・スポーツの民主的発展、G革新自治体の建設、H非核、非同盟・中立、平和、民主の日本を実現する統一戦線の樹立、I国際連帯・交流の推進、をかかげました。

 今日の日本は経済も政治も展望のない袋小路に入っています。アメリカ多国籍企業のグローバル戦略が破綻しつつあるにもかかわらず、財界は海外生産を高め産業空洞化をさらにすすめる一方、国内では設備・債務・雇用の3つの過剰、とりわけ過剰雇用を意図的に大宣伝して大リストラをすすめ、賃金体系の改悪や賃金水準の引き下げを強行しています。しかし、過剰なのは雇用ではなくて労働時間と大企業の利益です。愛労連がビクトリーマップで示してきた賃下げなしのワークシェアリングの方向こそ3つの過剰をなくす決定打です。また、大幅賃上げの実現こそ今日の国民本位の不況打開の決め手となっています。

 また、財界本位の規制緩和や地方分権をおしすすめ、中小企業や商工業者、農民、労働者にも弱肉強食を押しつけるとともに、競争に敗れた人をさらに競争にかりたてるセーフティネットも構想されています。まさに、一部の大企業だけが生き残り、企業家も含めた労働者・国民を犠牲にした国づくりをすすめようとしています。

 こうした攻撃に対し、連合を含めた労働組合、中小企業家などとも共同した国民本位の、大企業の民主的規制を含む経済システムの確立と人間らしく働くルールの確立が求められています。

 国会では悪法が次々と強行されています。とりわけ新ガイドライン(=戦争法)の強行は財界とアメリカの世界戦略を推進し、日本を「戦争をする国」に変えようとするものです。憲法は永久に戦争と武力行使を放棄すると高らかに宣言しています。今こそ平和憲法を国政・地方政治に生かす時です。

 21世紀が目前の今、21世紀を人間らしく生き人間らしく働くことのできる世紀とするために、私たちが果たすべき役割はきわめて重要です。私たちがめざす21世紀は、全労連大会で示された目標にその基本方向が示されています。愛労連は、くらし・雇用・不況打開の面でも、介護・年金など社会保障の面でも、戦争法阻止などでも、これまでなく発展している共同を、さらに幅広い共同に発展させて、以下の基本目標の実現をめざします。

 @.日本の社会は、先進諸国に例をみない過労死を生み出すような長時間・過密労働、サービス残業や女性差別などが横行し、労働者・労働組合の諸権利も著しく制限されています。21世紀の初頭には「ルールなき資本主義」の日本から脱却し、国際労働基準が守られる社会的ルール、人間らしく生き働くルールを確立します。

 A.労働者・労働組合の権利に関わる日本の行政は、欧米諸国では考えられない偏向行政がおこなわれてきました。21世紀初頭には公正で民主的な行政ルールを確立し、労働委員会をはじめとする各種審議会の民主的な構成、任命を実現します。

 B.21世紀初頭の日本社会において、国民生活の最低基準としてのナショナルミニマムを確立します。それは、全国一律最低賃金制度の確立、雇用と失業者の生活保障、労働基本権の全面的な回復、医療・福祉・年金・介護制度の拡充などです。

 C.21世紀初頭の日本社会においては、小選挙区制や政党助成金などの非民主的な制度を廃止し、国民の意思が公正・民主的に反映する選挙制度の確立をはかります。そして、労働者と国民が主人公となる政治の実現をめざします。

 D.平和憲法を生かした国づくりをすすめ、世界平和と国際経済に貢献します。

 E.中部財界と大企業が勝手放題にすすめるリストラ・合理化をやめさせ、製造業・モノづくりにすぐれている愛知の特徴を生かして、大企業と中小零細企業、商工業者、農林漁業とのバランスがとれた地域経済の発展をはかります。

 F.万博、中部国際空港などにみられる財界のすすめるムダな地域開発や行革大綱をやめさせ、愛知県財政を立て直して県民生活を向上させる愛知県政を実現します。

 

 

V.当面する重点課題と運動上の力点 Back

 

<当面する重点課題>

 

(1) 雇用・失業対策の強化

(2) 介護・年金を中心に、社会保障闘争の強化

(3) 憲法違反の戦争法の発動阻止

(4) 県の第3次行革大綱・補助金カット反対、万博・空港こそ見直せ。

  地労委・労働者委員の公正な選任など県政民主化のたたかい。

 

<運動上の力点>

 

(1) 対話・共同路線の徹底、それへの参加組合員の飛躍的な増大。一致する要求での大同団結の実現。

(2) 職場・地域からの、政治を変える幅広い共同闘争と国民的な戦線の構築。

(3) 主体的力量のアップ、組織の拡大。その基礎としての職場・地域での日常活動の活発化と全員参加の組合活動の追求(当面、6000人のオルグ、600人の組織オルグの育成)。目に見える活動の創造。

 

 

W.主要課題とそのとりくみ Back

 

1.賃金・最賃闘争について Back

 

<たたかいの総括>

 

(1) 99年春闘は、愛労連の結成以来はもちろん、44回の春闘史上で最も低い4247円(2.16%・単純平均6/18)、昨年実績を1460円(0.44ポイント)下回る水準にとどまり、6月半ばになっても妥結組合は、登録組合(愛知春闘共闘)の半数にも満たず闘争を継続しています。また、今年の春闘は、多くの産別・企業で「賃上げゼロ」「定昇ストップ」「一時金カット」「労働協約の切り崩し」などの厳しい回答・提案が相次いでおり、全国一般、医労連、運輸一般、JMIU、生協労連、全港湾(港地区労)などでのストライキをはじめとする粘り強いたたかいでそれらの提案を押し戻してきた点は評価する必要があります。

 しかし、大企業による下請単価の切り下げや親企業を上回る賃上げへの圧力など、中小経営の多い単産では、99春闘中にも倒産が発生するなどの厳しい結果も余儀なくされました。こうしたなかでも、@生協労連が理事会に働きかけ、共同で消費税減税の運動を広げた、AJMIUが中堅・中小経営の安定と製造業の発展をめざし、経営者とも対話を始めた、B運輸一般が軽油引き取り税の引き下げや競争野放しの「規制緩和」反対で業界代表との提携を深めた、C福保労が福祉や保育にかかわる多くの団体・個人と共同して県の補助金カットや国の福祉切り捨てに反対、5.16・6.21と県民集会を成功させた。など今後の運動へ大きな教訓を残しました。運輸一般の集団交渉、医労連の「統一妥結」の追求などの経験を全体に広げることや、不況打開、大企業の民主的規制などと結合した賃金闘争がいっそう重要になっています。

 99年春闘の「要求アンケート」の集約は、前年集約数を3000余上回わりましたが、組織数の半数強の35,042人(パートは別に1731人)にとどまっています。生活が「苦しい」=63.7%、賃上げ要求(平均)額=35,779円、政策制度要求のトップ=消費税引き下げなど、「傾向」を示してはいますが、労働者の生活と労働実態、春闘への期待と要求などを結集する運動の位置づけを考えれば、より大きな集約をはかることが求められます。

 しかし、そのなかでも要求での多数派をめざして全動労や郵産労、通信労組など組織数を大きく上回る集約を達成したことや、一宮労連が地域の未組織労働者へ数年にわたって働きかけ、アンケート結果を返すとりくみなど通じて地域での影響力を拡大、組織数の2倍となる1000人のアンケートを数えるまでに なったとりくみ。全国一般日本アクリル分会での「何でこんなに高いの?低いの?」と、一人ひとりへ要求をフィードバック、それぞれの要求で語り合うとりくみなど貴重な経験もつくられています。

 

(2) 連合愛知の6月14日集計でも、加重平均が6225円、単純平均が5302円と、昨年をそれぞれ1288円と1309円下回り、これまでの最低となっています。

 これらは、前年を下回る要求基準の設定、幹部のベアゼロ容認発言、賃上げ要求方式の見直しなどが経営者の悪乗りを助長したことは否めません。結果として、連合春闘は、複数年協定で確定している鉄鋼大手のベア1500円が交渉の事実上の上限となり、史上最低の昨年をさらに下回りました。

 要求額9000円(定昇込み)に対し、7600円(定昇込み2.2%、実質ベア700円)。一時金要求6.0ヶ月に対し、5.9ヶ月(満額割れは12年ぶり)というトヨタの春闘結果について、会社役員は「(もっと出しても)会社が潰れることはない。組合員に、総労務費圧縮はさけられないとの情勢認識が植え付けられた」と述べています。ビクトリーマップ運動など、大企業のボロ儲けをはきださせるとりくみの強化が重要です。

 

(3) 全国一律最低賃金制度の確立をめざすとりくみは、全国的には、署名運動、政府交渉、最賃体験運動、最賃デーなどの行動として展開されましたが、愛労連では団体署名(288団体を集約)のとりくみにとどまりました。

 全労連は、99春闘で初めて、「誰でも・どこでも時間給100円以上の賃上げ最低保障」を設定し、大阪・高槻地域での企業訪問など典型もつくられました。全国一律最賃制への国民的合意をはかるとりくみを強化すると同時に、職場の賃金破壊に歯止めをかける企業内最賃協定、産別最賃の新設、地域最賃の改善などの運動の強化が重要です。

(4) 公務員賃金に「能力・業績給賃金」「調整手当の見直し」などが打ち出されるなかで、労働者の要求を対置して人事院勧告に向けたとりくみ、確定闘争をたたかいました。結果は、「55歳昇給停止」が強行され、愛知県では、財政難を口実に、この4月から県職員の賃金カット(3.5%)と一時金8%カットが押しつけられるなど、これまでにない厳しさに直面しています。関連して福祉保育労でも、県の補助金カットの玉突きで、賃金と職員定員の削減がでています。 8月11日にだされた、99年の人事院勧告は、一般職国家公務員の給与を平均0.28%(1054円)引き上げ、一時金を 0.3ヶ月削減する、などを中心に「年収ベースで初のマイナス」となる史上最低水準の勧告をおこないました。公務共闘・公務労組連絡会を軸に官民一体のとりくみ強化が求められます。

 

<賃金闘争…考え方の基本>

 

(1) 国際的に進行する産業再編のなかで、いっさいの犠牲を労働者に転嫁して生き残ろうとする財界・大企業は、春闘の変質・「解体」攻撃を新たな段階におしすすめています。それは、春闘を賃金や労働条件改善の労使交渉の場から、賃下げ・リストラへの協力の場に変質させることです。こうしたもとで、大企業労働組合のように「合理化」への協力と引き換えに高度成長の配分を受けとってきた従来型の春闘や、正規労働者の「ベースアップ」だけを追求する賃金闘争の見直しが迫られています。

 

(2) また、臨時・パート、派遣など不安定雇用労働者の増大や、労働組合の組織率の後退が続いているもとで、春闘は未組織労働者を含む多くの労働者への社会的影響力を低下させています。社会と情勢が変化し、新たな段階に入ってくるとき、労働組合の要求と政策が従来のままであれば、広範な労働者にとって春闘は「無縁なもの」になりかねません。多くの労働者の気分や感情にも合致し、たたかいへの参加を促進する要求と政策を確立し、新たな運動を構築することが求められています。

 

(3) このことは、労働者・国民の生活擁護にとっての、春闘の重要性をいささかも否定するものではありません。むしろ、すべての組合が個別企業や産業のさまざまな条件をのりこえて、賃金を社会的・横断的に決定する春闘の強化は、今日情勢のもとでますます重要になっています。労働者の生活防衛と改善こそが不況打開、日本経済の民主的転換にとって不可欠の条件であり、「大幅賃上げで不況打開」「大企業の内部留保の社会的還元」という国民的大義を明らかにした春闘を前進させなければなりません。

 

(4) 以上の点をふまえ、大幅賃上げ要求とともに、「賃金の底上げ・最低保障」を重視する賃金闘争をより強化することを提起し、すべての労働者・労働組合の討論を呼びかけます。それは何よりも、春闘への広範な労働者の結集とその賃金水準の底上げを重視するものです。同時に、能力・成績主義賃金が拡大し、「平均賃上げ」が必ずしも個々の労働者の賃上げに結びつかなくなっているもとで、最低賃上げ額の保障こそがすべての労働者の賃上げを実現するたたかいだからです。

 なお、具体的要求は、春闘方針で決定します。

 

<2000年度の基本方向>

 

(1) 要求アンケートは、労働者の生活と労働の実態、春闘への期待と要求などを結集する運動面の位置づけを重視します。アンケート集約をただちに要求額設定に画一的に連動させるのでなく、アンケート結果をもう一度大衆討議にかけ、全体が団結し、「たたかってとれる確信」のある要求に高める職場討議を強めます。2000年春闘へ向けて、単産それぞれが組織数を上回る集約をめざすとともに、引き続き未組織・未加盟をふくむ大規模な集約を追求します。

 

(2) すべての労働者を視野に入れた「だれでも・どこでも○○円以上」の賃上げ要求の実現をめざして、職場・地域からの大量宣伝を強め、地域の中小企業経営者、自営業者、商店会、業者団体、労働組合、自治体などへの申し入れ活動を積極的に展開します。

 この運動を地域春闘の中心課題に位置づけ、経営者との交渉にも地域労連加盟組合相互の乗り入れ(参加)など官民共同の運動としても追求するとともに、広範な労働組合との共同を追求します。

 

(3) 賃金抑制攻撃に加えて、重税と社会保険料、教育費などが家計を圧迫しています。消費税減税をはじめとする各種の減税や社会保険料負担割合の改善、児童手当の改善など、間接賃金を含む総合的な生活改善を視野に入れた要求・政策づくりを探求、直接賃金の引き上げと一体のものとして追求します。

 

(4) 憲法25条にもとづく国民生活の最低保障(ナショナルミニマム)としての全国一律最低賃金制度の国民的合意に向け、署名運動、最賃体験運動などのとりくみを強化します。また、民間大企業でも多くの職場労働者がパートや派遣労働者で構成されており、それらの仲間をふくむ地域労働者の切実な要求でもある「地域最賃」改善のたたかいを重視します。さらに、企業別労働組合の団交権・労働協約締結権を生かした企業内最賃協定や、法定産別最賃の確立など、最賃闘争を総合的に強化します。

 

(5) 国・自治体の財政がいきづまるもとで、人事院・人事委員会勧告制度の凍結・値切り、賃金改悪の動きが表面化しています。国家公務員の賃金では、97年勧告において指定職給与が1年間凍結されていますし、また昨年は愛知をはじめ13都府県で人事委員会勧告が凍結されたり、値切られるなど財政危機を口実とした賃金抑制が広がっています。これは、日経連の「総額人件費抑制」路線にもとづく賃下げ攻撃などによって史上最低となった99春闘結果2.21%(労働省発表)と、史上最低の最賃引き上げ率 0.9%をも大きく下回るものであり、公務員労働者の生活実態と切実な要求に照らして到底納得できるものではありません。労働基本権剥奪の代償措置としての勧告制度への重大な侵害であり、労働基本権回復をめざすたたかいと結んで、公務員労働者の賃金闘争を強化します。

 

(6) 「99年あいちビクトリーマップ」は、名古屋証券上場企業156社の内部留保の合計額が13兆5996億円(前年より5107億円増加)、従業員一人あたりの内部留保3396万円で、このわずか1.86%をとり崩すだけで35,000円の賃上げが可能なことを明らかにしています。また、15.75%を投入すれば、93年から98年にかけてリストラされた32,514人の労働者が会社をやめさせられなくてすんだことになり、不況・雇用過剰などリストラの口実が偽りであることを示しています。

 職場では、住宅手当など福利厚生手当のカット、年俸賃金を一律カット、労働者自らにノルマを申告させ、それで査定などいっそうの労働強化、賃金体系の切り崩しが押しつけられています。公的資金導入に際しての健全化計画で達成したのは賃金抑制だけの銀行など大企業の横暴は断じて許せません。トヨタ総行動など大企業の横暴を規制し、ボロ儲けの社会的還元を迫るたたかいの強化をはじめ、産別・地域でのビクトリーマップの創造的な活用をすすめます。

 労働者を分断し、際限ない過密労働と人件費抑制を押しつける能力・成果主義の人事管理と賃金制度の導入に反対し、各産業の実態を掌握しながら共同闘争を強化します。導入が強行された職場でも、現行の賃金水準を下回る賃下げを許さず、格付け基準の公開や労働者の異議申立て権の確立などを対置してたたかいます。

 

 

2.解雇規制、失業・雇用確保など Back

 

<たたかいの総括>

 

(1) 完全失業率はこの3月で4.8%、339万人と、またも最悪記録を更新しました。とくに、家計を支える世帯主の失業が92万人、非自発的失業者が106万人と、100万人(4月には115万人に激増)を超え、大卒就職浪人が30万人となるなど「構造的失業社会」の様相を呈しています。年齢別では15〜24歳の若年層が10.9%で最も高いですが、若年層についで悪化が厳しいのは45〜54歳の働き盛り(1.4%伸びて3.5%に)で、マスコミも「中核社員がリストラのねらいの的」と指摘しています。愛知でもこの傾向は変わらず、失業は昨年数字で3.6%、14万人に達しています。いま必要なのは、大企業の大量解雇を規制することです。

 ところが、政府の雇用対策は、解雇規制にはいっさい触れず、「雇用対策は国家がおこなうから安心して首を切れ」と奨励するものです。今後も、NEC1万5千人、日立6千5百人、ソニー1万7千人など人員削減が計画されています。愛知でも名鉄の2年間で500人や、トヨタの4〜5年間で生産台数を20%前後削減計画(下請関連企業も含め大幅な雇用減は必至)、三菱自動車・名古屋大江工場の一部敷地売却(三菱重工、名古屋市へも打診)・生産体制の再構築など大企業での人員削減が予定されています。これらが強行されれば失業率は、10%程度に上昇するといわれます。

 愛労連は、11.6総行動、2.25総行動での要求提出・交渉につづいて、6月21日には、神田県知事に対して、「雇用・失業対策に関する緊急要求を」提出。「離職者生活資金」の積極的な運用や、公的な事業の開発などを強く申し入れてきました。いま、なにより重要なのは、諸悪の元を断つことです。大企業の横暴・とりわけ大量の首切り「合理化」を規制する社会的世論の結集をはかることが重要です。

 

(2) 愛労連加盟の多くの職場でも企業再編や、競争激化を口実とした労働条件の抜本改悪が押しつけられています。これに対して、全国一般アクリル分会(=外資系企業での人減らし「合理化」とのたたかい)、運輸一般豊田ガス分会(=高圧ガス法の規制緩和をうけた協同組合解散・全員解雇とのたたかい←4人の内2人が職場復帰)、運輸一般井住運送支部(親会社・住友倉庫による不採算部門切捨てを背景とした賃下げ・労働協約全面破棄とのたたかい←労働協約破棄は全面撤回)など、職場を基礎に産別統一闘争と地域の共同行動にしっかりと結集しながら要求を前進させた教訓も生まれています。

 一方で、運輸一般第二菱名生コン分会(=セメント業界再編を背景とする企業閉鎖・全員解雇に対し、支援共闘を結成して闘争中)、全国一般クスダ労組(=倒産・解雇)、全国一般共栄証券分会(場立ちの廃止)をはじめ、多くの組合が困難に直面し、厳しいたたかいを余儀なくされているのも事実です。

 

<2000年度の基本方向>

 

(1) 労働時間短縮による雇用の拡大

 雇用問題を解決するための第1の課題は労働時間の短縮です。日本の1933時間という労働時間は、フランスの1679時間、ドイツの1517時間よりはるかに長く、1日8時間で換算すればドイツより3カ月近くも多く働かされています。日本の労働時間をドイツなみに減らせば、約600万人の雇用が生まれます。

 全労連は、サービス残業の規制で400万人の雇用創出を明らかにしましたが、「社会経済生産性本部」も残業をやめれば260万人の雇用が拡大できるとの試算を出しています。3月の完全失業者339万人を吸収する職場は、日本企業に社会的ルールを守らせるだけでも可能です。

 サービス残業の横行など長時間・過密労働は、労働者のいのち・健康をむしばんでいます。職場環境の悪化はストレスをため、自殺カローシまでも急増させています。人間の尊厳を守る立場からも、長時間・過密労働の改善をめざすたたかいを強めます。

 

(2) 大企業の解雇・リストラの規制

  雇用不安を増大させる、安易な「リストラ」など大企業の横暴・とりわけ大量の首切り「合理化」を規制するとりくみを強めます。

 最高裁判例は、@差し迫った必要性、A回避努力、B人選の合理性、C労働者への十分な説明の4要件を満たさない解雇を規制しています。この4要件の立法化が緊急課題となっています。

 「解雇規制法」の制定を求める署名運動、政党や国会議員への要請、経営者団体への申し入れなどを展開します。地域でも、労基署や自治体、地元企業に対して、@解雇4要件を徹底すること、A新規採用や人員増に際しての被解雇者の優先雇用をおこなうことなどを要求してたたかいます。

 大企業労働者との連携を強め、トヨタ総行動はじめ大企業の横暴を規制し、社会的責任を果たさせるたたかいを重視します。また、産別・地域から大企業を包囲するたたかいへ、ビクトリーマップの創造的な活用をすすめます。

 

(3) 雇用創出・失業者の就労保障

 @.政府の緊急雇用対策は、不十分ながら70万人の雇用創出目標のうち30万人を国や自治体が直接採用して生み出すとしています。これは、公共事業による失業者の吸収という失対事業復活の側面をもっています。対策の具体化にむけて、地方自治体に緊急公的就労事業を具体化させるとりくみをすすめます。

 A.地方自治体への緊急公的就労事業の内容としては、1)介護、福祉、教育、防災など、住民生活に必要な分野での雇用を拡充すること、2)生活密着型公共事業への転換をはかり、中小企業への発注と中小企業分野の雇用を拡大すること、3)公園や道路の清掃・整備、冬季の除雪、廃棄家具・家電製品のリサイクルなどがあります。それぞれの地域の実情に応じた要求を具体化し、その実施を求めます。

 B.失業者の生活保障も緊急課題です。1)雇用保険給付期間の延長、給付金の増額、2)雇用保険加入者以外の失業者への職業訓練の保障と、その期間の生活保障、3)失業中の税・社会保険料の減免措置、住宅ローンなどの繰り延べ、授業料の免除、4)生活困難な失業者に対する生活保護適用基準の緩和など、具体的な緊急措置を政府・自治体に要求し、広範な労働組合と共同しながら実現をめざします。

 

(4) 職場からの反「合理化」闘争

 不況と経済危機のもとで激化する企業間競争に生き残るためとの口実で、それぞれの職場でリストラ「合理化」計画を具体化しています。「合理化」攻撃を跳ね返すためには、何よりもまず、職場を基礎に断固たたかうことが必要です。不当な解雇や配転・出向などを規制する「事前協議・同意協定」の締結、企業合併・経営譲渡に際する労働者雇用の自動継続の義務づけなど、職場・地域からの反「合理化」闘争にとりくみます。

 

(5) 中小企業の倒産防止

 大企業の「連結決算」がすすむなかで、中小・下請け企業の切りすて、倒産が雇用・失業問題をいっそう深刻にしていますが、政府は「新倒産法」などを準備して中小企業の淘汰を促進しようとしています。大企業、背景金融資本などによる中小企業・下請業者いじめの規制、中小企業向け融資の拡大、公的事業の中小企業への優先発注、雇用調整助成金の拡充など、共同の運動を追求します。

 一方的な解雇・企業閉鎖を規制する事前協定、経営資料の公開、対等平等の労資関係の尊重など誠実な対応を迫り、同時に、中小企業経営者に経営と職場、雇用を守る社会的責任の重大性を認識させ、労働組合と共同して自治体、大企業に向けた運動を推進する立場に立たせることを重視します。

 そのために、政府・財界ぐるみでの産業政策による企業つぶしの攻撃などに対して「倒産させない学習会」などを開催、経営者にも呼びかけます。

 

 

3.労働者の権利擁護、働くルールの確立 Back

 

<たたかいの総括>

 

(1) 労働法制改悪、規制緩和、省庁再編反対などのたたかい

 @.労働法制の改悪は、財界の21世紀戦略にもとづいて、97年「女子保護」規定の廃止、98年労基法の改悪(連合も最終的には「修正成立」で収束)されました。99年通常国会では、労働者派遣法・職安法の改悪が焦点となり、全労連・労働法制中央連絡会は国会請願署名、波状的な国会座り込み行動などを展開しました。愛知からも中央行動に数次にわたって参加するとともに、継続的な宣伝行動(社保協と合同での栄での署名宣伝行動など)や、3月3日には労働法制連絡会が自由法曹団・全労働の協力を得て、「はたらく女性の 110番」をとりくみました。110番には、実施前のマスコミへの働きかけで新聞に掲載されたこともあり17件の相談が寄せられ、一方的な賃金・労働条件の変更、解雇など労基法すら守られていない実態が告発されました。しかし、衆院で民主・公明・社民党の「修正案」に連立与党が合意し、5月21日に採決が強行、6月30日参議院本会議で強行可決・成立しました。

 人間らしく働くルールの確立、男女平等・女性が働きつづけられる職場を実現するたたかいを労働組合全体の課題として引き続き追求します。

 A.改悪阻止のとりくみは、署名、国会行動などへの参加をはじめ、改悪労基法を口実に労働条件の変更や就業規則の不利益変更が職場に持ち込ませないたたかいとして、全労連は、時間外労働を男女共通して1日2時間・週6時間・年間150時間以内とする協定化闘争を呼びかけるとともに、女子保護を確保するダブルスタンダードの36協定を受理させるたたかいをすすめ、医労連では看護婦の夜勤制限の協定化闘争を前進させてきました。

 愛知でも、全国一般アクリル分会の「150時間男女共通」や、中センター・中部証券金融労組の「女性150時間」の継続などとりくまれています。

 引きつづき政府・財界は、「労働組合法の改悪」などの労働法制全面改悪を継続する姿勢を崩していません。労働組合の存在と真価が問われる課題であり、すべての組合でのとりくみ強化が重要です。

 B.また政府・財界は、産業再生、国際競争力の強化などを口実に、労働者の働くルールと国民生活を破壊するあらゆる分野の規制緩和を促進しています。新ガイドライン関連法案ともいえる、省庁再編関連法・地方分権一括法は、延長国会での7月8日、自民・自由・公明・社民・民主(省庁再編は反対)の賛成で参議院本会議で強行成立させられました。

 全労連・春闘共闘が主催する「ガイドライン法案阻止、国民犠牲の行財政改革反対全国キャラバン」は、5月12日に愛知入り、一宮での早朝宣伝、夕方の豊橋での宣伝行動、県・名古屋市への要請行動、昼休み集会・栄宣伝行動などを展開しました。また、国公や公務共闘、商サ連、運輸一般などで愛知での「行革・規制緩和問題懇談会」の設置をめざしたとりくみは、国公の主催するシンポジウムなどへの参加をとりくむなどにとどまりました。

 政府・財界の「21世紀戦略」にみあう壮大な国民的戦線の構築、共同の発展について、関係単産とともに引き続き検討をすすめます。

 

(2) 働くもののいのちと健康を守る活動

 98年12月15日、多くの労働者・労働組合の期待を受けて、「働くもののいのちと健康を守る全国センタ−」が結成されました。また、大阪、愛知、静岡、岡山、大分などに続いて、山口、山梨、千葉、京都などで地方センターが結成され、自治労連や全教、生協労連など単産でも労働・健康実態調査がすすめられ、過労死をはじめとする労災認定闘争などがとりくまれています。

 愛労連は、愛知健康センターの中心的な団体として、労働安全衛生学校(98年11月・全国センターの交流集会に合流)の実施、過労死裁判闘争などの支援にとりくむとともに、職場での労安活動の強化へむけて「調査アンケート」のとりくみなどすすめてきました。

 

(3) 地労委民主化闘争

 @.鈴木前知事が労働者委員7名を「連合」に独占させてから10年になりますが、私たちはこの1年、「公正判決」を求める団体署名(1014団体集約)をはじめ、第30期訴訟(=昨年7月結審)の勝利をめざして様々な要請行動にとりくみ、裁判所へのビラ入れも毎月のように行いました。

 また、後続の33期・34期訴訟を重視し、浅谷前労働部長に対する尋問法廷(10月21日、11月27日、2月19日)や見崎事務局長への尋問法廷(4月28日)には万全の準備で臨むとともに満員の傍聴を組織し、県庁・裁判所前での宣伝も粘り強く重ねました。浅谷前部長をしばしば答弁不能に追い込んだきびしい尋問も、また知事と労働部の意図的な反・非連合排除を立証し、連合独占任命の弊害をつよく印象づけた見崎証言も、弁護団と民主化会議の徹底した準備ととりくみの結果です。

 A.全国のどの裁判より長期にわたり、充実した証拠調べを積み上げた愛知の地労委訴訟は、こうした中で5月12日に初判決が下りました。この判決は「主文」では損害賠償請求を棄却したため形式的には原告敗訴ですが、すでに述べたように判決文の結びでは「今後の公正任命」を知事に厳しく注文しており、原告・弁護団・民主化会議・愛労連の4団体の共同声明も「実質勝訴」と判定した画期的な判決でした。関係者の10年の頑張りの成果であり、今年12月に迫った第35期の委員任命への強力な武器となります。

 なお10年の間に、東京に続いて大阪、沖縄、高知、和歌山、そしてこの4月には埼玉でも独占が改められています。また名古屋地裁での判決のあとも、千葉地労委訴訟の控訴審で東京高裁が「特定系列だけが永年委員を独占し、他の系列が選ばれない状態がつづけば裁量権の逸脱=違法の疑いあり」とする判決を下して注目されました。壁が厚かったこの課題も、たたかいのなかでついに転換への流れをつかみつつあると言えます。

 B.判決後、私たちは、33・34期を含めてすべての裁判を終結させると同時に、『判決紹介パンフ』やニュース等で広く判決内容を宣伝しつつ、次期の委員任命に向けて副知事への口頭申し入れ、労働部長要請、県議会陳情、全県議への訴え(郵送)と各党要請・・・・など積み上げ、去る7月19日には民主化会議と愛労連の両者で正式に神田知事への申し入れも行いました。

 「知事の自由裁量を認めてこれまでの任命を適法とした判決と、判決文ラストでの裁判所の要請とにギャップがあって、率直に言って困惑している」というのが応対に出た労働部長のコメントで、これではいささかも楽観は許されません。しかしこの問題で私たちが「王手」をかけたのは間違いなく、10年ごしの懸案解決へ、まさに正念場を迎えたということができます。

 C.地労委民主化のたたかいは、愛労連排除の差別労働行政を改めさせ、私たちの市民権を確立するたたかいであり、県政民主化の課題そのものです。が、同時にそれは、深刻な不況・失業状況のもとで不当に解雇されたり差別されたり団体交渉を拒否されたりして苦しむ労働者が、安心して駆け込める労働者救済機関をよみがえらせるたたかいでもあります。裁判で連合独占を告発し、地労委の救済機能低下に警鐘を鳴らしてきた私たちのたたかいが、地労委の変質への一定の歯止めになってきたのは、昨年末の日立争議団(賃金昇格差別)への救済命令にも見て取ることができます。

 しかし独占が5期10年続いたことで、その変質は確実にすすんでいます。ワンマン社長の組合員いびり=差別や団交拒否などを問題にした伊勢湾陸運事件では、労働者委員が申し立て組合の立場に立たず、地労委以外の場では要請も受け付けない、話も聞かないという前代未聞のことが起こっています。争議組合を包むたたかいを強化し、労働者の権利と団結権を守ろうと願うすべての労組・労働者との共同を広げて、地労委の民主化、救済機能回復を急いで図ることが求められます。

 

(4) 国鉄闘争の勝利をめざすたたかい

 @.1047名の解雇撤回を中心とする国鉄闘争は、分割・民営化から12年が過ぎ13年目を迎え、全面解決への大きな山場にさしかかっています。

 昨年、参院選後の特別国会では「国鉄長期債務処理」法案をめぐって、清算事業団の解散と1047名解雇問題を政府責任で「セット解決を」の声が国会内外にひろがりましたが、政府・自民党は「解雇問題」を先送りにし、清算事業団を解散させました。こうしたもとで、「国会内の全野党による政府・自民党」への申し入れが実現し、政府は「人道的にも早期解決にむけ努力する」と約束をしました。その後、解決への交渉をめぐって「国鉄の改革法を認める」との国労臨時大会決定がされ、労働組合内外に少なからぬ論議を巻き起こしました。しかし、政府が解決に向けて動き出したとはいえ、不当労働行為への謝罪、JR職場への復帰など勝利的解決は容易ではありません。完全な勝利を勝ち取るためには、争議団や全動労・国労とともに政府やJRの責任を問う、これまで以上の共同したたたかいと世論で政府を包囲することが重要です。

 A.愛労連はこの間、「鉄道フォーラムあいち」に結集するとともに、愛労連国鉄対策委員会を中心に、節々での決起集会・交流集会や署名・宣伝行動、小渕内閣への要請はがきなどをとりくんできました。また、カンパ活動、物資の斡旋をはじめ「勝たせる会」との共同で6月には10名で全動労争議団と家族「激励・交流北海道ツアー」などをとりくんできました。

 B.全動労争議団、国労闘争団支援をはじめとする国鉄闘争の勝利・解決は「安全で安心、事故のない」国民の足(鉄道)を守り発展させる国民との共同したたたかいなしには有り得ません。愛労連は、国鉄対策委員会を中心として単産・地域労連の参加による「一の日行動」を5回(10月、11月、4月、6月、7月)とりくみ、とくに6月1日は地域労連の協力で県下8か所での駅頭宣伝を成功させてきました。また、知事選挙の最中でしたが、全労連・全動労共催の「国鉄闘争勝利の全国キャラバン」を受け入れ、成功させました。

 C.政府は、鉄道事業や路線の廃止について、現在は運輸大臣の「許可」となっている「鉄道事業の退出規制」を「1年前の事前届出制」に見直す「鉄道事業法の改悪」を突然国会へ提案して来ました。愛労連は国鉄対策委員会として、これを許さないために地元出身の国会議員要請行動、さらには県内の自治体首長への意見書を求める要請などをすすめてきました。しかし残念ながら国会では、討論時間もそこそこに自民、自由、公明の多数の論理で強行・可決されました。

 

(5) 争議支援のとりくみ

 この1年たたかいのなかで、運輸一般3件(豊栄支部、溝口運輸分会、日通岐阜運輸支部)、きずな1件(東洋学園)、銀産労1件(中京セキュリティー)、豊橋農協労組、医労連1件(愛治病院労組)、過労死裁判2件(柏木・基金支部、森下・美濃かしわ)の計9件が解決しました。農協側の組合結成当初からの支配介入・団交拒否を跳ね返した豊橋農協労組、日立・賃金差別争議の地労委勝利、頑迷な基金支部に控訴を断念させた柏木労災闘争など当事者はもちろん、力をあわせ、ねばり強くたたかった仲間みんなの勝利といえるものです。しかし、運輸一般日通岐阜運輸支部の「団交斡旋・不当労働行為」のたたかいは、地裁で勝利判決を勝ちとりましたが、依然として会社は守らず、新たな差別待遇も生まれ、地労委に提訴、引き続き闘争中です。

 愛労連は、上記のたたかいも含め、解雇や不当配転、賃金差別、年齢差別、過労死事件など組織内外を合わせ35件の争議を支援し、該当する単産や争議団、支援共闘組織とともに早期解決をめざしてたたかってきました。

 愛労連の「労働相談110番」へは、長びく不況のもとでの解雇、賃金・残業手当の不払いなど次々に相談が持ち込まれています。争議総行動、裁判・地労委傍聴、署名運動など引き続き支援を強め、現争議の早期勝利解決をめざします。不当な権利侵害に泣く労働者ゼロになどのスローガンをかかげた地域宣伝などのとりくみも重要となっています。

 

<2000年度の基本方向>

 

(1) 労働時間の短縮、労働条件の改善

 賃下げ・労働条件の切り下げなしの「1日8時間・週40時間」以内の労働時間、時間外・深夜労働の割り増し賃金の改善を要求し、職場・産別のたたかい を強化します。時間外労働の「男女共通150時間規制」の実現、義務教育終了までの子どもを養育している深夜労働の免除、サービス残業の解消や女性労働者の生理休暇の完全取得などの運動を強めます。さらに、変形労働や裁量労働の導入と拡大、看護婦の長時間・2交替夜勤の導入などに反対するたたかいを強化します。

 

(2) 職場での労働基本権確立

 「過剰雇用の受け皿として、派遣および職安の2『改正』法案の早期成立が必須である」と、政府自らがいうように労働者派遣法・職業安定法がリストラ「合理化」をさらに促進するとともに、無権利で不安定な労働者を大量につくりだすものであることは明らかです。「必要な時に、必要な人材を、必要な量だけ安く調達できる体制づくり」という、労働力のジャストインタイムであり、雇用破壊、権利破壊そのものです。派遣法改悪に、全ての労働団体が反対したのは当然です。しかし、JRやトヨタでの労使共同宣言など労働者の権利を労働組合自ら切り崩す、残念な事態もあります。

 改悪労基法を職場に入れさせないたたかいと結合し、職場・地域を基礎に「人間らしく働くルール」の確立をめざすとりくみが重要です。そのため、事業の縮小・閉鎖、不当な解雇や配転・出向などを規制する「事前協議・同意協定」の締結闘争を強め、スト権や団交権など職場における労働基本権の再確認と、公務労働者の労働基本権回復を重視します。

 

(3) 雇用における男女平等の実現

 @.育児・介護休業の制度化など、女性の社会進出は着実に進んでいますが、職場では深夜・時間外・休日労働規制がはずされ、女性労働者が深夜・長時間労働にくみ込まれています。雇用の流動化が女性労働者を襲い、正社員から派遣、パートなどの不安定雇用に切り替えられています。

 改正された雇用機会均等法の職場での実行を求め、昇進・昇格、配置、教育訓練などの差別是正計画を経営者に策定させ、セクハラ防止策の具体化、苦情処理委員会の設置と複数の女性参加などを要求してたたかいます。

 A.「男女共同参画社会基本法」が、不十分ながら成立しました。法を生かして社会のあらゆる分野での男女の人権尊重、政策決定の場における男女平等の参画、性別役割分業の是正など、男女平等・女性の地位向上をめざして、国・及び自治体、職場における「男女平等参画促進計画」の策定と、その実行に向けてとりくみます。労働組合としても「男女平等参画の計画」を確立してその推進に努力します。

 

(4) 働くもののいのちと健康を守る活動

 すべての単産・地域に対策委員会や担当者を配置し、日常的な労働安全衛生活動、職場点検や健康実態調査、職場見学など実施できるようとりくみをすすめます。また、「愛知健康センター」とともに、過労死や労災・職業病の認定闘争でたたかう仲間を支援し、労災認定の改善に向けた運動を強めます。11月30日には、港地域健康センターが結成を予定されています。地域での健康センターづくりをすすめます。

 11月27日(土)〜28日(日)には、愛労連・労働安全衛生学校(交流集会も合わせて)を開催します。

 

(5) 地労委民主化闘争

 @.連合独占の是正を勧告した画期的な「5.12名古屋地裁判決」をふまえ、今年12月の第35期労働者委員の任命については、今度こそ連合独占を改めて反・非連合の候補者も相当数は加えるよう、知事・労働部への要請行動を強化します。

 A.当面、『判決パンフ』やニュースなどによる学習・宣伝をつよめ、知事あての団体署名と個人署名を組織の内外に広げます(民主団体等にも要請)。

  目標は団体2000・個人10万筆以上とし、9月末には目標を突破するよう全単産・地域でとりくみます(署名用紙は8月3日配付、1次集約=9月末、最終集約=10月末)。

 B.愛労連は労働者委員候補として阿部議長を推薦、愛労連以外の非連合候補とともに2名の任命を要求して「職場(単組・支部・分会単位まで)からの推薦決議」運動など、展開します。

 県の推薦公告(9月中旬)を前にした8日(水)18:30〜、 屋内で100名以上の決起集会を開催し、以後11月まで、状況を見て集会・デモ・座り込みなど連続的な大衆行動を企画・成功させます。なお、この具体化については民主化会議幹事会で協議・決定します。

 C.地労委を利用する労組・労働者(争議団)と弁護団の交流を継続的に行い、気軽に利用でき信頼できる地労委、迅速な審問でスピーディに救済を行う地労委を要求して事務局等との懇談・交渉も行います。

 

(6) 国鉄闘争の勝利をめざすたたかい

 @.全労連方針に基づいて「解決に向けて努力する」とした「5.25政府見解」の実行の内容として改めてJRの不当労働行為責任を迫り、政府の責任による早期解決・全面勝利への対政府闘争を強化します。また、9月2日の結審・年内判決も予想される全動労の裁判闘争を強めます。

 A.国鉄闘争の全面解決をめざし「一の日行動」を大きくひろげ、単産・地域の力を結集して、JRへの安全・便利などの要求調査・実現や国民世論の結集、リストラ「合理化」、規制緩和反対の運動と結合したとりくみをつよめます。

 B.「全動労勝たせる会」の拡大、全動労争議団、国労闘争団へのカンパ、物資販売などひきつづき単産・地域でとりくみます。今年度の全動労争議団・家族への激励・交流は、北海道から愛知へ招待しておこないます。そのための準備活動を早めにすすめます。

 C.ひきつづき「鉄道フォーラムあいち」に結集して、愛労連の役割を果たしていきます。

 

(7) 争議支援のとりくみ

 リストラ「合理化」、解雇や出向・配転、賃金差別・不払い、労働組合つぶしなど法律無視の事態が増加しています。労働基準法・派遣法・職安法の改悪によって、それらが公然とまかり通ることさせ危惧させます。

 @.争議団、関係産別、地域が力をあわせる集中行動は、「栄総行動」や「港総行動」などでも実証されているように、争議解決への大きな力となるものです。全労連の提起する、争議支援行動…全国一斉(春)、中央行動(秋)への結集とともに、愛知でも総行動方式を軸に、共同の運動をすすめます。

 A.経営者の不当な行為に対して、労働者が泣き寝入りで終わることのないよう単産・地域での権利学習を強めるとともに、組織化の課題との結合も留意し定期的な地域宣伝など未組織労働者の権利擁護にも力をつくします。

また、裁判・労働委員会闘争の勝利をめざす集会や経験交流会を重視してとりくみます。

 B.日立関連の解雇・差別争議は、「中央支援連絡会(準)」が結成され、資本を社会的に包囲する構えで早期解決をめざしています。愛労連からも「連絡会」に参加します。また、8月27日に中労委で結審、和解交渉に応じろと運動を広げている明治乳業争議の解決をめざします。

 

 

4.介護・年金・福祉など壮大な国民運動を Back

 

(1)介護・年金・福祉など社会保障をめぐるたたかい

 

<たたかいの総括>

 

(1) 来年4月から実施の介護保険は、新ゴールドプランの水準に達成できない自治体が75%、達成しても必要量の40%という大幅に遅れた介護基盤のもとでスタートします。現行福祉制度で措置されている人にとっては、保険への移行で1割の人が「自立」と認定され「給付」対象にならないこと、いま負担のない8割の人が1割負担となること、高すぎる保険料やサービス料、現行水準を後退させるサービス供給水準、ハードルの高すぎる介護認定、営利企業の参入と公的責任の後退など、介護保険の内容が明らかになるにつれ、危惧と不安が国民や自治体の中に大きく広がっています。愛知県においても特養待機者は4907人(98年11.1現在・名古屋市では3112人)、デイサービスやショートステー、ホームヘルパーなど在宅3本柱(65歳以上人口100人あたりの年間利用日数)は厚生省の調べでも49位(名古屋市は全国最下位)と全国最低水準です。

 愛労連は愛知社保協とともに、介護保険学習会やシンポジューム、毎月第2土曜日の署名・宣伝行動などとりくんできました。昨年10月には、愛労連・自治労連・愛知社保協の3団体で県下88市町村へ、今年5月には県の補助金カット反対の要請とともに30市へのキャラバンをおこない、介護保障の充実に向け自治体へ要請しました。また、愛知社保協がとりくんだ名古屋市議会への「誰もが安心できる介護保障制度」の実現を求めるとりくみは、9月の学習会から始まって、12月のシンポとパレードなどの運動を経て請願署名は12万筆分に至り、この市民の声に押されて名古屋市議会は一部が財政事情を勘案して採択となりました。また、この上に立ってあらたにとりくんだ3項目の請願署名も6月末時点で6万4千筆にのぼっています。地域の運動も瀬戸市、東海市、春日井市などで取り組まれています。名古屋市内は自治労連名古屋ブロックや地域労連の仲間が、各行政区レベルで「あんきの会」をつくり、介護保障充実の運動を住民とともに地道にとりくんでいます。

 今後介護認定作業が10月から実施されますが、住民の声を反映し安心して利用できる介護保障の充実のため、地域を主戦場に運動を大きく広げることが大切です。

 

(2) 年金改悪法案が国会に提出されました。内容は、支給額の5%切り下げ、賃金スライドの廃止、65歳支給繰り延べなど容赦ない削減案で国民に負担を強いるものです。しかし、全国で200万筆(全労連130万筆・愛労連6万筆)の署名や1074地方議会の意見書採択など私たちの攻勢的な運動で、保険料引き上げ延期や基礎年金の国庫助成金を1/2に引き上げなどさせてきました。

 愛労連は、労働法制と年金改悪反対を2つの重要な柱にすえ、署名1人10筆目標でとりくみをすすめました。また、全労連の機関紙号外2万枚や年金パンフの活用等で学習もすすめました。秋の11.6総行動、2.25総行動では、各地域労連が署名・宣伝行動を、春闘時には全労連チラシ20万を全戸配布、5月、6月には労働法制やガイドラインなど悪法阻止とあわせ、地域で署名・宣伝行動をとりくみました。

 自治体への意見書採択運動は、機会ある毎に地域労連や年金者組合がとりくみ、自治体キャラバン、2.25総行動などを通して継続的にとりくみました。昨年12月には、県議会が意見書を採択し、現在県下では9市町村(岡崎・半田・豊橋・美和・大治・扶桑・祖父江・飛島・尾張旭は見なし採択)に至っています。本格的論議は臨時国会になりますが廃案においこむよう攻勢的なたたかい重要です。

 

(3) 医療の改悪のもと愛知では改悪後1年で105万件の患者が減り、受診抑制が広がっています。労働者・国民の命が脅かされています。さらに、政府は2000年4月の介護保険実施時期に合わせて、老人医療費の定額制を定率制に、薬価制度の見直し、健保本人3割負担、医療を再編・縮小する医療法の改悪など準備しています。愛労連は、愛知社保協の署名(年金・介護・医療)をとりくみました。

 

(4) 政府は、これまで地方自治体の責任でおこなってきた高齢者福祉や障害者福祉、保育などの社会福祉サービスを民営化・営利化し、負担を国民に押しつけ、公的な責任放棄する「社会福祉事業法」案の国会上程を狙っています。

 この間、福祉保育労や自治労連を中心に福祉関係5団体の「公的福祉を守る」署名をとりくみました。県レベルでは初めての労使、公民、種別での共同のとりくみが大きく広がりました。5月には、「福祉予算削るな!福祉を金儲けにするな!愛知県民集会」が開催され、1000名の参加で成功させました。更に6月から7月にかけて朝日新聞に3回の全面意見書広告を掲載し、反響を呼びました。「措置制度と公的福祉制度の堅持・発展」を大きな国民世論にし、社会福祉事業法改悪阻止の運動を広げるたたかいが重要です。

 

<2000年度の基本方向>

 

(1) 介護保険を「保険あって介護なし」にしないように、介護基盤の充実や抜本的改善をもとめて国や自治体にむけ、介護保障充実の運動を強化します。単産・地域は学習会をはじめ、宣伝や署名に取り組みます。(介護署名をあらたに下ろします)また、すべての労組への訪問と共同の呼びかけをおこないます。また、愛知社保協が取り組む10月の自治体キャラバンに積極的に参加します。また、地域労連は、他団体と共同して自治体交渉やシンポジウムなど、住民 ぐるみ・自治体ぐるみの運動に発展させ、地域社保協づくりの運動に結びつけます。

 9月11日の社保協主催の介護保険学習交流集会、9月23日の住民が主人公の地方自治交流集会、10月2日の愛知高齢者大会に積極的に参加します。

 

(2) 年金改悪反対を引続き重点課題として位置づけ、@大量宣伝と署名行動、Aすべての労組への訪問と共同の呼びかけ、B自治体意見書採択運動、C学習会など取り組み、秋の臨時国会などで重要な段階を迎えた時は大規模な集会、ストライキを配置します。

 

(3) 医療改悪反対、社会福祉事業法改悪反対の運動を更に強めます。また、国立病院など独立行政法人化をすすめる公的医療機関の統廃合・移譲・民営化とのたたかいも重要段階を迎えています。社保協や医療・福祉団体高齢者団体との共同を広げ、中央における諸行動や地域での運動を強化します。

 

(4) 以上の運動を推進するために、社会保障担当者会議や社会保障学校(10月末の予定)を開催します。

 

(2)消費税減税に向けて

 

<たたかいの総括>

 

 長引く不況のもとで、「消費税をすぐ3%にもどせ」の要求は大きなうねりとなり、昨年の参議院選挙以後、消費税3%への減税を求める国民過半数署名は、約500万筆(愛知は27万筆・愛労連は2万7千筆)に達し、参議院選挙前の3倍に達しています。

 愛労連は消費税を止めさせる会に結集して、毎月24日を基本に定例の宣伝・署名(金山)行動や愛知消団連との共同による毎月第2月曜日(昼休み・栄三越前)の宣伝・署名行を取り組んできました。また、県議会が開催の都度、1度も欠かさず「消費税の減税を実現する国への意見書」請願(団体署名を添えて)行動を取り組んできました。消費税実施10周年の3月31日には、愛知消団連とともに、ロングラン宣伝行動をおこない、「10年間で消費税額120万円以 上」という訴えに多くの市民から共感が寄せられ、小渕首相にも怒りのFAXを送りました。自治体の意見書採択は全国で207、愛知でも祖父江町と弥富町が採択、新川町・一宮市・平和町で継続審議になっています。

 また通常国会では、参議院で日本共産党、二院クラブ、自由連合の議員が消費税法案を再三提出した(98年9月、98年11月、99年1月)にも関わらず、いまだ国会で審議されておらず、法案審議を求める国会要請行動も数次にわたって取り組みました。この中で生協は労理で統一地方選挙をにらんで4月9日に1人100円、2万人による新聞意見広告を取り組みました。

 また、公明党が国民への公約を踏みにじり、「消費税を年金・医療・介護に限定する(福祉目的税)」としたうえで「将来、複数税率の導入を検討する」との表現で、消費税率の引き上げ検討を決めたこと。また、連合・電機労連が「消費税の引き上げ(2桁台)により、直間比率を50対50程度に見直す」との政策をかかげました。こうした反国民性を県民に広く知らせ、単産・地域での消費税なくせの運動の強化が重要です。

 

<2000年度の基本方向>

 

 世論調査でも減税を望む最大の税目は消費税です。「消費税を3%に戻せ」の国民の要求はますます切実になっています。小渕内閣と自自公は、日本共産党などから提出されている消費税法案の審議を不当にも拒否し、その一方で福祉目的税等を口実に大幅引き上げを狙っています。愛労連は中央や愛知連絡会に結集し運動をすすめます。毎月24日(金山)と愛知消団連との共同による毎月第2月曜日(栄・三越前)の宣伝・署名行動を成功させます。愛労連はこの2つの行動に事務局だけでなく各単産・一部地域からも参加をします。県議会 への請願署名を引き続き実施し、県議会の状況をニュースで知らせ、組合員と県民の共同を広げます。

 

(3)食糧と農業、環境を守る運動

 

<たたかいの総括>

 

(1) WTOは、8億人の食糧不足を解決するのでなく、アメリカ中心で市場経済についてこれない各国の農家を押しつぶす、儲け第一の農産物市場支配をめざしています。政府は、99年4月からコメの関税化を強行し、国会では食糧自給率の向上を(自給率は42%、先進資本主義国では最下位)農政の中心課題とせず、農産物貿易の自由化を前提に農産物価格を市場にまかせ、政策対象を1部の大規模農家に限ることなどを柱とした新農業基本法を成立させました。

 食糧の安全と農業を守ることをテーマにした第9回あいち食糧メーデーが今年も開催され、食糧メーデーの主題歌づくりなど多彩なとりくみがされました。また、遺伝子組み替え食品の学習会の開催、コメの輸入関税化反対、学校給食の委託化反対・地元のコメや野菜の使用等を関係機関に要請、輸入食品の見学学習会運動にとりくみました。全国的には注目されるとりくみがされていますが、職場労働者の要求としては、これからの課題となっています。

 

(2) 環境問題では、5月に川崎公害裁判の和解、2月には判決を待たずに企業の加害者責任を全面的に認めた尼崎公害裁判が和解するなど運動の前進がありました。愛労連は「名古屋あおぞら裁判」を支援する会の構成員として100万署名や、宣伝、集会行動を取り組みました。またNO2全国一斉調査への協力もしました。名古屋市の「藤前干潟埋め立て」に反対する住民投票条例制定の運動が市民的規模で広がり、1ヶ月で署名を10万7千筆集めました。条例制定は市議会で否決されましたが、この運動のなかで市に埋め立てを断念させました。

 自然環境保護とともに、リサイクルなどを含めた抜本的なゴミ問題の施策を迫った運動ともなりました。また、万博予定地である瀬戸の海上の森でのオオタカの営巣発見で、県は予定地の一部変更をせざるえなくなりました。このように環境保護の県民の意識は高く、愛労連としても重視していくことが望まれ ます。

 

<2000年度の基本方向>

 

(1) 農業と食糧の安全を守ることは、労働者にとっても重要な課題として取り組みます。第10回愛知食糧メーデーの開催、輸入食品見学・学習会を積み重ね、食糧の海外依存をやめ、食糧自給率を具体的に引き上げる国民署名の提案、学校給食の民間委託反対、国産新米や地元の野菜を食材に使用させる。また、遺伝子組み替え食品の表示義務化、WTOの次期改定交渉に向けて各国の食糧主権を守る立場からの運動を強めます。

 あいち食糧・農業・健康を考える会に積極的に参加し、この問題に関係するすべての団体との総対話・共同行動を追求します。

 

(2) 名古屋あおぞら裁判をはじめとする公害をなくし、きれいな空気を取り戻す裁判闘争を支援し、勝利めざして共同の取り組みをおこないます。

 

(3) 国民の健康、環境を守るため、大気汚染、環境ホルモン、ダイオキシン、ゴミ、産業廃棄物問題などの運動を、地域構成員の一員として強めます 。

 また、NO2、酸性雨、など全国一斉測定運動に協力します。

 

(4)県民の教育的要求実現の運動

 

<たたかいの総括>

 

(1) 「学級崩壊」、暴力、不登校児童生徒の増加・高校中退者の増加など、子どもと教育の問題はますます深刻化し、さらに、長引く不況は児童・生徒の教育を受ける権利すら不安にしています。ところが政府・文部省はこうした国民の願いにまともに応えず、「教育改革プログラム」を発表し、徹底的な能力主義、競争主義にもとづく公教育のつくりかえ・解体を打ち出し、中高一貫教育を導入する一方で、小・中学校の通学区を弾力化し、義務教育段階から「特色ある学校づくり」の名の下に差別化を推進しようとしています。

 愛高教や私教連に結集する仲間は、全教・全国私教連とともに「教育改革プログラム」を許さない様々なとりくみをおこなってきました。また、父母・県民との共同を深め、ゆきとどいた教育を実現する全国3000万署名に取り組み、全国で2000万を越える署名を衆参両院に提出しました。また、県内でも愛高教が名高教や公立父母連絡会とともに取り組んだ32万余の署名を県に提出しました。こうした運動の中で、佐賀県の北波多村や長野県小海町などいくつかの自治体が独自に35人以下学級の実施に踏み切っています。毎年積み上げられてきたこの運動は重要で、愛労連としても自治体キャラバンなどと結合させる積極的な連携が求められます。また、愛高教や名高教、各種教育団体が取り組んだ「12・13教育シンポジウム」では、学校づくりと父母・住民の参加をテーマとし、今後の教育のありかたについて討論が深められました。働く者の立場から、教育への父母・住民の参加を求める取り組みが重要です。

 

(2) 学童保育は昨年から法定事業となりましたが、愛知県はコミュニテー事業の35%をカットし、名古屋市は学童保育を全児童対策・トワイライトスクールに解消するかのような動きをみせています。愛労連は建設一般学童保育支部の「学童保育の制度確立を求める団体署名」を支援するなど取り組みを強化してきま した。

 

<2000年度の基本方向>

 

(1) 引き続き「教育改革プログラム」の押しつけや能力・競争主義の強化に反対し、ゆきとどいた教育の実現に向けた運動をつくり出すために、国民的・社会的運動を強めます。全教がすすめる全国3000万署名運動や「30人学級」を求める自治体請願運動などを積極的に支援するとともに、はたらく者の立場から教育への父母・住民の参加を求める運動を強めます。「日の丸、君が代」の法制化強行に反対します。戦争法や盗聴法の強行とともに反動的国家体制づくりの危険な狙いを明らかにし、国民的な討論を大いに巻き起こして、学校等への押し付けを許さないたたかいを強化します。

 

(2) 働く親を持つ小学生には独自のケアーが必要とした国の到達を、愛知県・各自治体段階で具体化するような運動を強化します。特に名古屋市では、「トワイライトスクール」による学童保育つぶしを許さず、学童保育の施策充実・制度確立を関係労組を中心に取り組みます。

 

(3) 子どもの健全な発達にとっても、「文化」は重要な影響を及ぼします。過去の戦争を美化したり、暴力や性の乱れを容認するような映像・演劇・報道などに対しては、それを許さない立場を貫きます。

 

 

5.新ガイドライン(戦争法)反対、平和と民主主義を守るたたかい Back

 

<たたかいの総括>

 

(1) 自・自・公が国民の大反対を押し切って「戦争法」を強行成立させた

 @.「自民、自由、公明が野合して、国会はさながら「悪法成立マシン」となり、従来の国会運営をも無視した不法・不当な運営が強行されました。さらに57日間もの会期延長を強行しました。通常国会の大幅会期延長・57日間は戦後三番目の長さで全くの異常事態です。もともと会期を尊重するならば、審議未了・廃案となっていた悪法は以下のとおりです。

 ※地方統制を強化し、首長の権限をもぎとる地方分権一括法案

 ※行政サービスを切り捨てる中央省庁再編法案

 ※雇用不安を激しくし、低賃金労働者をさらに多くする労働者派遣法、職安法

 ※国民的な討論をおさえつけ強制をしいる「日の丸・君が代」法制化法

 ※基本的人権をじゅうりんし、警察権力を後押しする盗聴法

 ※危機管理に悪用する住民基本台帳「改正」法案

 A.新ガイドライン(戦争法)は強行されましたが、自・自・公への批判と「戦争法阻止」の一点での共同が全国でも愛知でも広がりました。愛知では昨年7月に「県民連絡会」が結成され愛労連もその一員として新ガイドライン関連法(戦争法)阻止の取組みをすすめてきました。連絡会としては学習会(8.27)や集会(12.8、3.6、4.16、5.17、5.26)、一斉行動(10.21、4.28)など県民世論をつくりあげる努力をしてきました。

 とりわけ労働組合は上部団体の違いをこえた共同を前進させました。中央での20労組のアピールに呼応した愛知の陸・海・空・港湾関係19労組のアピールをはじめ公立病院・医療関係(自治労連愛知・病院部会、医労連、県職、名市大など)の共同アピール、自治体労組(7都府県職労組と8政令市職労組)関係者の共同アピールなどです。各界各層でも愛知では、愛労連婦人協もくわわる「女性の会」が知事選挙での歴史的な共同を発展させ全国にさきがけて発足、県知事と名古屋市長への申し入れやアピール賛同の呼びかけなど、全国・全県のたたかいを励ます役割を果たしました。

 B.自・自・公が5月25日に法案成立を強行しましたが、その直前、21日に5万人規模の「5.21国民集会」が提起されました。愛労連は単産・地域労連の協力のもと、わずか一週間のとりくみで200人をこす組合員を組織(愛知全体で、600人)して参加するなど積極的な役割を果たしました。5月24日には全国で三番目、これまでの愛知県議会では信じられない「新ガイドライン関連法案についての意見書」が全会一致で採択されました。これは直前の統一地方選挙で躍進した日本共産党県議団の努力が実った画期的な成果でした。

 C.全県的なとりくみのなかで地域連絡会づくりもすすめられ、地域労連が積極的に運動に参加しました。「地域連絡会」は名古屋市内で13地域(港、中川、北、東、守山、西、中村、天白、南、熱田、緑、千種、名東)となり、県下では7地域(海部津島、岩倉、尾中、岡崎額田、豊田加茂、豊川宝飯、豊橋)の合計20地域連絡会が結成され広範な共同がすすめられました。こうした県段階、地域のとりくみによって愛知の署名は10万筆(愛労連は41,839筆)をこえて集約されました。

 

(2) 盗聴法阻止をはじめ民主主義の擁護のため全力をあげた

 @.国会では「盗聴法」「地方分権一括法」「中央省庁再編関連法」「住民基本台帳法の改悪」など、まともな審議ぬきで連続的に強行する異常事態が生まれました。こうしたもと「盗聴法阻止」で政党・会派をこえた共同をはじめマスコミなど、国民的な共同が広がり「6.24」共同集会が提起され、愛労連は「各界懇談会」の事務局団体として積極的に行動に参加(愛知の参加者で 250人の参議員議員全員に要請)してきました。しかし、法案のもつ重大性にもかかわらず単産・地域とも集会への参加、署名の集約など一部にとどまり、とりくみに弱さが残りました。

 A.「日の丸、君が代」法制化は大きな問題を抱えています。戦前、大日本帝国憲法のもとで、「君が代」は「天皇の治める時代がいつまでもつづくように」という歌として国民に押し付けられました。「天皇礼讃、天皇主権の国のあり方がアジアへの侵略戦争に道を開いた」という反省の上に立ち、戦後はその憲法を廃止して、主権在民の新しい憲法を生み出しました。政府はこじつけの解釈をもちだしてきていますが、侵略戦争と結び付いた天皇主権をたたえる歌は「どんなに解釈を変えようとも国民主権の精神とは」両立できるはずはありません。また日の丸が天皇の軍隊を象徴する「皇軍の旗印」としてアジアの諸国民にあたえた記憶を消し去ることはできません。この問題では、愛高教のとりくみが教訓的ですが愛労連の組織全体のたたかいにはなりきれず、反省すべき問題です。また、憲法の明文改憲を方向とする「憲法調査会の設置法」を自・自・公・民の4党が強行可決をはかったことは許し難い暴挙です。

 

(3) 21世紀に核を持ち越させないとりくみ

 @ 核兵器を21世紀まで持ち越さないために99年国民平和行進と99年原水爆禁止世界大会のとりくみは、これまで以上に重要さを増していました。愛労連は99年平和行進を昨年以上に力をいれ、積極的に参加をしてきました。また99年原水禁世界大会(長崎)は、目標をすべての単産、地域からの参加を呼び掛けて来ました。核戦争阻止、核兵器廃絶でとりわけ重要なことは、100ケ国以上の約1万人が参加した「ハーグ平和市民会議」で、行動目標の第1項に「各国会議は日本国憲法第9条のような政府による戦争を禁止する決議を採択すべきである」との文言を盛り込み、ユーゴにおけるNATOの国際条約を無視した不当な先制攻撃やアメリカの核戦略を批判し、世界の平和をすすめる方向を明らかにしました。こうした動きに確信をもって、今後の私たちの取組みに生かしていかなければなりません。

 

<2000年度の基本方向>

 

(1) 戦争法の発動を許さず職場・地域で憲法擁護の運動をすすめます

 @.戦争法は強行されましたが「5.21国民大集会」で宣言された3項目(1、私たちは国民を再び戦争にまきこむ新ガイドライン関連法の廃案を求めます。2、私たちは新ガイドライン関連法にもとずく戦争協力を拒否します。3、私たちは憲法を守って信頼と正義にもとずいた平和なアジアと日本をつくること を求めます)を握ってはなさず、あらゆる場でその実現を迫り、戦争への動きの監視と告発運動を強めます。そして戦争法の廃止を求め「戦争をする国」か ら「国際平和に貢献する国」への転換をめざし、県民(国民的)共同の前進のために奮闘します。

 A.「県民連絡会」や「地域の連絡会」に結集して、徹底した宣伝、学習、討論をすすめ戦争に協力しない運動を重視します。具体的には単産・単組の職場(支部、分会、職場、係など)やすべての地域から「協力しない決議運動」「憲法を擁護する職場決議」など創意ある運動をすすめ、決議にもとずき経営者や自治体への要請や交渉を行います。

 B.戦争法につづいて盗聴法、住民台帳基本法、君が代・日の丸の制定など、日本国憲法を踏みにじる反動法が強行されましたが、改めて憲法の理念を徹底する運動が重要となっています。愛労連は、憲法を守るたたかいを今年度の重要課題と位置づけ「憲法擁護の一点」での県民戦線づくりに積極的な役割を果たします。

 

(2) 核兵器の廃絶、平和と民主主義を発展させる

 @.世界から核兵器廃絶をするために「期限を切って核兵器を無くす国際条約の締結」を国連の場で実現しなければなりません。「アピール署名」をさらに推進して国民の過半数の達成で「非核の日本政府」めざします。そのためにも愛知県内で「非核宣言自治体」を過半数にするとりくみを単産と地域で強めなくてはなりません。

 今後の有事立法や戦争法を睨んで県内すべての港を対象とした「非核の港・愛知」を実現する運動、名古屋空港を軍事利用させないとりくみ、さらには原水爆禁止世界大会と、国民平和行進などの成功をめざして積極的にとりくみます。また、全国や沖縄の基地撤去闘争とも結合した県内の基地撤去の運動とあわせ、日米安保条約破棄にむけた県民共同の前進をはかります。

 A.衆議院の比例代表の議員定数を50人削減するという党利党略に反対し、小選挙区制の廃止を勝ち取ることや、政党助成金制度の廃止など民主主義擁護のたたかいをすすめます。

 B.「国会解散・国民の信を問え」の要求と声を大きくするなかで攻勢的に解散を勝ちとり、総選挙では悪政推進勢力に厳しい審判をくだし、国民の総意が反映する国会をつくるために全力で奮闘します。

 

 

6.「補助金カット」ノー、住民が主人公、革新・民主の自治体づくり Back

 

<たたかいの総括>

 

 この1年は、藤前干潟の保全を求める住民投票運動の成功と名古屋市当局の埋立断念、2月知事選挙に引きつづく「海上の森」「オオタカの森」を守る運動、県の補助金カット反対の運動など、「住民が政治を動かし、変える」運動が発展し、新たな展望を切り開いてきた1年でした。

 @.2月7日投票の県知事選挙では、「オール与党県政」の補助金カット、万博・空港強行の政策に対して多くの県民が「ノー」の意思表示をしました。日本共産党を含む革新県政の会と市民グループとの共同は、広範な県民との共同に発展し、影山候補の80万に迫る得票は県民と全国の仲間を励ましました。愛労連は、三宅副議長が「革新県政の会」「あったか県政の会」の事務局長を務めて全体の選挙戦をリードしたのをはじめ、友好組合や有志の会も含め広範な 労組・労働者で「労組連絡会」を構成し、カンパ、対話・支持拡大、宣伝などに従来の経験を超えて奮闘しました。落差はありますが、「地域連絡会」に結集した仲間の頑張りも目立ちました。

 A.このあと愛労連は「2.25総行動」から99春闘全体を通して、「くらし・福祉・教育を削る補助金カット反対、万博・空港こそ見直せ」の要求を重視し、知事あての署名と宣伝、自治体要請などにとりくみました。自治労連・愛高教・愛労連の連名による署名用紙付ビラ(100万枚)や地域での宣伝行動もその一環ですが、新聞折込の翌日から連日FAXで署名が寄せられるなど県民の反響は大きく、神田知事のもとで本格予算が組まれる6月県議会を控えて、私学助成や介護問題などとともに、県財政の破綻と「補助金カット」問題は統一地方選の重要な争点となりました。

 B.4月の一斉地方選挙は、全国的にも「公共投資50兆、社会保障20兆」という国の「逆立ち政治」に追随して住民犠牲をすすめる悪政批判の高まりのなかでたたかわれましたが、知事選挙の共同は、この一斉地方選挙に大きな影響を与えました。瀬戸市の県議選では知事選挙の共同が引き継がれ、市長選でも立候補見送りを決めた共産党に市民グループが迫って急遽立たせる事態が生まれました。

 自民党は県議選でも政令市議選でも大きく後退し、支持基盤の崩壊がいっそう鮮明になりました。一方で日本共産党は県議選で5割増、政令市議選では3割増と躍進し、全国的に民主・公明と肩を並べる議会勢力となりました。この傾向は愛知も同じで、共産党は県議で倍増の4議席、名古屋市議10議席で初の議案提案権を獲得しました。自民党の敗北、共産党の躍進は市町村の選挙にも共通しており、住民本位の自治体確立、地方財政危機の民主的打開、「自治体リストラ」反対の大きな前進への土台をつくるものとなりました。

 C.一斉地方選挙のあとも、県の補助金カットに反対し、くらし・福祉・教育を守る運動と世論はいっそう広がりました。まず、社保協等が中心となった5月の自治体(30市)キャラバン要請等につづいて、「福祉削るな!5.16県民 集会」とデモ行進(1000名)。5月26日の一斉署名提出・対県要請行動(署名34,212筆、参加80名)。同日午後、600名の集会と県庁包囲デモ…などが多 くの団体・労組によってとりくまれました。また6月21日には、障害者3団体と愛労連、社保協などが共同して県庁前での終日行動=「補助金カットの中止を求める6.21一日行動」にとりくみ、労働者・障害者を中心に1100名が参加、座り込みやデモ、県庁包囲行動、波状的な知事要請など繰り広げました。

 これらは、私教連や私学父母懇、高校生などが展開した「私学助成守れ」の大運動(3月の5千人パレード、5月連休明け、400万に迫る署名を積んでの知事交渉、30数校の生徒会長を中心に高校生150名が結集した6月の記者会見…)など、マスコミに大きく報道された行動とともに、神田知事と県議会「オール与党」を大きく追いつめました。当初、県単独補助金の全額カットや国上乗せ補助の一律3割カットをめざした県が、6月8日時点で「福祉4手当」(在宅重度障害者、在宅寝たきり老人等への手当)など福祉の一部補助金カットの先送りと削減幅の圧縮を打ち出し、私学助成についても削減幅を相当程度圧縮したのは、これらの運動の成果として評価できます。

 D.運動と共同は広がり成果も上げましたが、基本的な問題は先送りされただけで変わってはいません。県の財政状況や「第3次行革大綱」などから見れば、来年度はもとより10年にわたって住民生活切り捨て攻撃が続くことが予想されます。市町村によっては、県の補助金カットのあおりでこの9月議会にもマイナス補正を組まなければならない自治体も予想されます。このなかでこの春のように、県に対して「補助金削るな」の意見を上げる自治体も増える可能性があります。共同の広がりの条件をよくみて、要求と運動を継続・強化することが求められます。

 そうした観点から見ると、過去2回積み上げた「住民本位の地方自治をすすめる交流集会」(7団体共催)や自治体キャラバン、さらには地域を軸とする「総行動」はますます重要です。「交流集会」でいうと、昨年は参加者が少なく問題を残しましたが、切実な住民要求を軸に、事前の調査活動も強めて、住民こそ主人公の政治を地域から追求するとりくみが求められます。

 

<2000年度の基本方向>

 

 @.自治労連などと相談しつつ、地方自治法などの改悪、地方分権の名による地方自治の統制・破壊を許さないたたかいをすすめます。また、幹事会などで行政改革の名による自治体リストラの実態と本質、行財政の本来のあり方を学び、住民・職員犠牲を許さない宣伝と運動を検討します。

 A.「補助金カット反対、万博・空港こそ見直せ」の要求をはじめ、高まっている介護要求、雇用・失業対策と地域経済の振興にかかわる要求など切実な要求を掲げて地域での対話・共同を広げ、自治体に対する要求運動をすすめます。

 愛労連としてはとくに県への要求運動を重視し、県段階と地域とが呼応する秋の「総行動」を検討し具体化します。

 B.9月23日の「第3回住民が主人公の地方自治をすすめる交流集会」(7団体共催。中心テーマ:「介護保障体制の充実を住民の要求と運動で」「各地で前進する住民こそ主人公の自治体づくりの共同」)に単産・地域から参加者を確保して、成功させます。

 この集会は、秋の予算要求・諸要求実現運動に資するよう、協力・共同をつよめます。また、介護要求などを中心テーマとする秋の自治体キャラバンは、各団体と共同し、10月18〜22日に行います。

 C.住民が主人公の地方自治をめざす団体・個人との共同を深め、地域における革新・民主の自治体づくりにとりくみます。

 D.自自公3党による悪政の推進に反対し、消費税減税・国民本位の不況打開、年金・医療の改悪阻止、介護・社会保障制度の充実、戦争法の具体化阻止・平和憲法を守ろうなど、切実な国民要求にもとづく対話・共同を広げ、「解散・総選挙で国民に信を問え」の要求を掲げて宣伝行動などとりくみます。

 

 

X.愛労連の拡大強化をめざして Back

 

<たたかいの総括> …99年度の組織拡大のとりくみについて

 

(1) 愛労連は労働戦線統一をめざしたローカルセンターとしてこの10年間、労働者・県民の要求実現をめざすたたかいで中心的役割を担ってきました。愛労連の組織は、結成当時の激しい争奪戦などを通じて1996年まで後退を余儀なくされましたが、96年以降は前進に転じてきています。

 99年度はとくに新しい労働組合づくりへの転機の年となりました。過去最高の新規組合を結成した98年度実績の13組合を大きく上回る20組合が新たに結成されました(運輸一般6、自治労連3、全国一般3、福祉保育労2、JMIU2、医労連1、建設一般1、全印総連1、通信労組)。20組合で295名と組合人数としては十分とは言えないものの、新規労働組合の結成が1年間で20組合というのはきわめて貴重な成果と言えます。10万人愛労連を建設していく上で も、また労働者の要求実現をはかっていく上でも、未組織労働者が自らを組織する新規労働組合の結成は引き続き重要な課題となっています。

 

(2) 愛労連として、西三河ブロックと協力して労働相談110番を3月20日〜21日におこないましたが、相談員は8単産から2日間でのべ68名が参加し、2日間の相談は26件、ハガキが戻ってきたのが12件でした。このとりくみは、単産と地域労連がいっしょに準備し、相談員も全県的に参加し、しかも7ヶ所でいっせい相談をおこなうという愛労連結成以来はじめてのとりくみであり、貴重な教訓を残しました。

 愛労連の『労働相談110番』は、96年度87件、97年度207件、98年度239件、99年度は373件と、この数年で激増しています。これは、愛知県がおこなっている労働相談でも同じで、93年度は労働者1148件、使用者1773件(計2921件)と使用者の割合は60.7%でしたが、97年度は労働者2395件、使用者1417件(計 3812件)と労働者の相談は倍以上に増え、労働者比率が62.8%と労使比率は完全に逆転しました。ここに見られるように、労働者と職場をめぐる状況はこの間きわめて厳しくなっており、労働者の要求実現をめざして愛労連が果たす役割はますます大きくなっています。

 労働相談活動では、相談を解決すると同時に相談者を組織していくことの2つが大切です。愛労連の『労働相談110番』では前者の相談解決型に偏っていた今までの傾向を改め、相談者を組織していくことに4月から切り替え、1人で加入する場合はきずなへ加入するようにし、現在までに10名がきずなに加入しています。また、愛労連の「労働相談 110番」がきっかけで4つの組合が結成されています。

 

(3) 愛労連は従来から、職場内での多数派形成と組織拡大、未加盟組合の加盟促進、未組織労働者・未組織職場の組織化の3つの分野でのとりくみをすすめてきましたが、それぞれの分野でのとりくみを引き続き前進させていくことが重要です。

 未加盟組合の加盟促進では、尾中地区労連が数年にわたる働きかけ、共同のとりくみの積み重ねにより、あおい交通労働組合の加盟をかちとっていますが、こうした教訓をすべての単産・地域労連が生かしていくことが求められています。愛労連幹事会では、四役と専従幹事が担当をもって恒常的に未加盟労組への訪問活動をとりくむ手立てをとりましたが、すべての単産・地域労連がこう したとりくみをすすめる必要があります。また、単産の単組・支部・分会で地 域労連へは未加盟労組の地域労連への加盟促進は、この1年で前進を切り開けませんでした。現在、単産加盟人員と地域労連加盟人員の差は15,000人弱もあります。地域労連によっては、地域内のすべての単産構成組織が加盟したら一挙に3倍の地域労連になるところもあります。このような状態を克服し、すべての単産構成組織の地域労連加盟をかちとるならば、それは地域労連の大きな強化となるだけではなく、単産にとっても質的な強化・前進につながります。こうした現状を直視し、単産構成組織すべての地域労連への加盟を組織拡大・強化の重点課題としてとりくみます。

 分裂・少数職場、組織内でのでの組織拡大は、JMIUの東信化成分会が就業規則の変更に伴い、少数組合(1人分会)ではあっても、8割から9割の労働 者から信任をとって、労働者代表・多数派となり、組合員拡大でも4人に前進しているなどの経験があります。また年金者組合は、3000人をめざす計画を立て、昨年の2600人から2800人を超す組織へと前進しています。すべての単産・地域労連で組織内での多数派を目指すとりくみが重要となっています。

 99年度から愛労連幹事会のもとに組織拡大推進委員会を設置し、組織拡大の前進をはかってきました。月1回の組織拡大推進委員会で主要単産のとりくみ を交流し、作戦計画を練ってきました。引き続き組織拡大推進委員会を設置し、目的意識的な組織拡大のとりくみの前進をはかることが求められています。

 

<2000年度の基本方向> …10万人愛労連をめざすとりくみ

 

 10万人愛労連めざして、当面2000年6月までに60,000人愛労連、2002年6月までに65,000人愛労連を達成します。

 当面する具体的なとりくみを以下のとおりとします。

(1) 未組織労働者の組織化

 @.単産の組織拡大の条件を広げるために、大量宣伝を2月頃におこないます。宣伝方法は、主要駅頭での宣伝と集合住宅を中心とした全戸配布、工業団地な ど対象をしぼった宣伝などとします。地域労連のビラ配布への活動補助を検討 します。全労連が計画している秋の宣伝行動も、この大量宣伝との整合性をは かりながら積極的に実施します。

 A.音による宣伝(宣伝カーやハンドマイク)を展開します。愛労連作成の宣伝スポット、宣伝テープを活用し工業団地・住宅地などでの宣伝を実施します。

 B.パート・臨時・派遣など不安定雇用労働者の組織化をすすめるため、パー ト部会の結成をめざします。当面、パート労働者交流集会実行委員会を恒常的 に機能させるよう努力します。また、パートなどが加盟できるよう必要な規約 改正を各組織ですすめます。

 C.年金者組合への組織化を単産・地域労連が意識的に追求します。3月の退職の時期にむけて『年金者組合への加入のお誘い』の配布を早くからとりくみます。

 D.組合員による紹介運動(組合員の家族や友人・知人の紹介)を全組合員参加の運動としてとりくみます。

 

(2) 未加盟労組対策

 訪問活動を要求や悩み・抱えている問題点をつかむことからすすめます。

 愛労連幹事会は、県レベルの組織を四役・専従役員が担当をもって訪問します。単産は、一致する要求課題での協力共同を追求します。そのさい、要求アンケートを思い切って持ち込みます。また、地域労連へ未加盟の単組・支部・分会の地域労連への加盟を促進します。地域労連は、地域の未加盟組合の名簿の作成をすすめ、単産とも協力した訪問活動を実施します。

 愛労連加盟組合の地域労連への加盟促進は、幹事会・組織拡大推進委員会を中心に意識的に追求していきます。

 

(3) 少数組織から多数派組織への前進をめざして

  要求アンケートを全従業員規模でとりくみます。複数組合が存在するところでは、職場の共通する要求・課題での共同を追求し、あわせて要求アンケートのとりくみをつよめます。各職場でのオルグの養成と確立をすすめます。少数職場・複数組合での経験の交流と教訓の普及をはかります。

 

(4) 組織化運動の前進のために

 @.西三河ブロックでの経験を生かし、労働相談活動の発展をはかります。労働相談をブロック単位で実施を追求します。相談活動者の交流を、全労連『相談員の手引き』も活用しながらすすめます。

 A.600人の組織オルグと6000人の総対話・共同のオルグの確立をめざします。そのために、組織オルグ講座の実施と組織オルグの養成・交流、6000人オルグの登録活動として、「オルグとしてあなたは何に参加できますか」などのアンケートを実施します。引き続き、単産と地域労連が協力した組織拡大の追求をはかります。

 B.組織拡大の体制の確立と強化をすすめます。

1)愛労連の労働相談体制の強化をはかります。

2)組織拡大推進委員会は月1回開催し、体制の強化と内容の充実をはかります。

3)単産・地域労連に組織担当者を配置します。

4)組織担当者会議での方針の徹底・とりくみの交流・運動の推進をはかります。

5)財政の確立をはかります。当面、組織強化会計へ他会計からの繰り出しを増額します。

 

(5) 地域労連の運動と組織の発展をめざして

 全労連の事務局長は「地域労連は全労連の宝」。そして、その役割は5つ、

1)すべての労働者の「かけこみ寺」としての役割、

2)地域の活性化にはたす役割、

3)革新・民主の自治体建設とその発展をめざす役割、

4)産業・企業・職場の枠をこえた労働組合の共同闘争における役割、

5)全国民的な運動を地域から草の根的に発展させる役割、としています。

 この役割を発揮してこそ21世紀の展望を開くものです。愛労連としても地域労連の発展強化に全力を上げます。この10年間に、25の地域労連を結成し、98春闘では、2.26総行動を成功させる早朝324ヶ所駅頭宣伝、夜は22ヶ所で決起集会を開催。半数以上の地域労連では、独自の要求を掲げ自治体と交渉を持つに至っています。99年より愛労連は各ブロックに対して、専従と事務所補助制度を確立しました。

 しかし、99年の愛労連・地域労連研究集会で明らかにされたように、組織・財政の抜本的強化が求められています。地域労連の5つの役割を果たし、2000年全労連の地域労連方針にある「21世紀の労働運動の主流となるであろう地域からのたたかいの前進は、地域組織の強化なしに語れない」としていることを積極的に受け止め、この分野でのとりくみを強めます。

 @.単産・単組の協力を得て、組織内地域労連未加入問題の解消、地域労連役員の確立など地域労連の組織財政の強化に努めます。

 A.地域内の各労働組合、団体への総対話を定期的にすすめ、共同の運動を拡大します。春・秋の総行動は早くから準備し、地域からの運動として定着させます。

 B.労働者・住民の要求の前進をめざし、介護・環境・平和など地域からのとりくみを強め、住民が主人公の自治体建設をめざします。

 C.会社の勝手なリストラ「合理化」、首切り、差別を地域内からなくすため「かけこみ寺」機能の強化、争議組合の支援を強めます。

 D.地域内の各労働組合の共通する課題でのとりくみを強めるため、交流と共同行動をいっそう強めます。

 

(6) 組織の強化をめざして

 @.労働組合講座(11月27日〜28日)を成功させます。

 A.青年協・婦人協を強化します。

 青年協については、サマーセミナー(9月10日〜12日)の成功と、青年協総会(10月23日)の成功をはかります。青年協幹事については、引き続き各組織から複数での派遣をを要請します。青年部のない単産とすべての地域労連で青年向けの企画を1つは具体化できるようにし、青年部の結成を追求します。青年問題をとりくむ際には、堅苦しくなく、遊び偏重でもなく、仲間との連帯が感じられ、お互いが成長できるようにとりくむことが重要です。また継続を大切にし、(各青年部が)月1回程度の会議をもって継続してとりくめるよう親組織としての援助をすすめます。

 婦人協については、女性労働者の「人間らしく生き働く権利」を守り、男女平等をめざすとりくみ、パート、派遣、臨時労働者の賃金・労働条件の改善をめざすとりくみ、仕事と家庭の両立のための社会的条件整備のとりくみなど、女性労働者の要求実現と権利確立・向上をめざします。女性の意見が組合の方針・運営に反映されるよう、愛労連幹事会をはじめ、単産・地域労連の女性役員の比率を意識的に向上させます。

 B.単産・地域労連の青年部・婦人部の確立をめざします。

 

(7) 共済活動の前進をめざして

 働くものの助け合いである共済活動の強化をはかります。

 @.愛労連と愛知共済会の共同で実施している実態調査にもとづき、愛知共済会に未加入、愛知労済に加入のところへの愛知共済会加入の働きかけをすすめます。

 A.愛知共済会が開発中の「セット共済」について、地域労連での扱いを検討します。

 B.地域労連などの訪問活動で、愛知共済会が活用できるよう検討します。

 C.産別共済についても重視してとりくみます。

(8) ローカルセンターの機能強化、専門部・部会等の強化について

 @.単産・地域労連の要求や活動の集約と、それをニュースなどで各組織に伝えるなど「運動の集約と教訓の普及」の機能の強化をはかります。

 A.情報発信のため、「ホームページ」の開設を財政措置も含め検討します。

 B.中小民間企業におけるリストラ「合理化」に対するたたかいを交流し、中小企業労働者への影響力をつよめるため、民間部会の活動を強化します。愛労連の枠を超えた民間中小労働組合の共同を追求します。

 C.交運共闘や商サ連などの大産別共闘をさらに発展させます。愛知にない金融共闘などについては、当該単産との協議をすすめます。

 D.春闘共闘は、共闘組織にふさわしい方針・運営を確立し、春闘共闘の拡大をはかります。

 E.大企業労働者との共同をめざして、大企業労働者とのネットワークを構築します。

 F.専門部活動を強化します。専門部のあり方を検討します。

 G.綱領、規約、諸規則・基準を見直すため、「綱領・規約等検討委員会」を設置します。

 H.組織・財政強化検討委員会を設置し、長期的な組織・財政のあり方について検討をすすめます。

 

(9) 愛労連結成10周年記念事業について

 10周年記念事業として11月13日に文化行事(中区役所ホール)とレセプション(名鉄グランドホテル)をおこないます。また、10周年のパンフの作成、ベトナ ム旅行・沖縄旅行などを企画します。

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