1.国民生活の悪化と戦後最悪の失業・雇用状態
(1) かつてなく厳しい失業・雇用状況と、賃金・労働条件・職場状況の悪化
@.労働者・国民の生活は、いまきわめて厳しい状態に追い込まれている。全労連が集約中の「働くみんなの要求アンケート」(1月11日現在、17万人余)では昨年より収入が「減った」「変わらない」との回答が75.2%にのぼり、「生活の苦しさ」を訴える労働者が70%を超えている。また62.8%の仲間が「雇用不安がある」と感じ、違法な「サービス残業がある」との回答は44.1%にも及んでいる。
失業者(率)も統計史上最悪で5%に迫り、99年2月〜10月まで10ヶ月連続300万人を突破してきた。11月は295万人となったが依然として深刻な雇用不安が広がっている。工業出荷額22年連続日本一の愛知も同じで失業率はこの1年で1%上昇、4〜6月統計では4.4%、17万2,000人にも上っている。一方で9月の有効求人倍率はパートを含めても0.55倍しかなく、これまでに各地域労連が実施した職安前での失業者アンケートでも、「1年以上職がない」という訴えが増えている。
A.雇用不安は中高年層だけではなく大学生や高校生をもまきこんでいる。県内の来春高卒者の求人はピーク時(92年)のわずか1割強の1万6,000人、昨年比でも1万2,000人・41%の減で、内定率も求職者1万2,000名のうち56.9%にとどまっている(前年比で10%減)。生活や失業・倒産を苦にした自殺も急増し、日本人男性の平均寿命を引き下げる事態さえ起きている。
B.職場では、とくに昨年の終わり頃から賃金・労働条件の地滑り的な切り下げや不安定労働への置き換えが目立ち、長時間過密労働やサービス残業が蔓延している。労働者を分断し対立させる差別的な人事制度・職能給の導入とあわせて、大企業を中心に人権侵害や陰湿ないじめも広がっている。
C.これは民間だけの問題ではない。中央省庁再編と並行して国家公務員の25%削減が公約され、国立大学の独立法人化も打ち出されている。大型開発優先の公共事業のつけが回って深刻な財政危機に陥った愛知では、4千人の人減らしを含む「第3次行革大綱」が打ち出され、全国に先駆けて賃金・一時金カットが強行されたが、これは今、東京都はじめ全国に波及している。中核市に移行する豊橋での厳しい賃下げ攻撃や犬山、西尾、瀬戸、春日井などでの給食調理員の民間委託攻撃をはじめとするいわゆる自治体リストラも、県内で、また全国で吹き荒れている。
(2) 今日の生活悪化の特徴 −悪政と財界・大企業の横暴のもとで
@.戦中・戦後の一時期を除いてこれだけ長期にわたる生活悪化は前例がないが、苦しんでいる労働者・国民に政治の風は冷たい。財政危機のなかで県民のくらし・福祉・教育への補助金を大幅にカットし、万博・空港はしゃにむに推し進める愛知県もそうだが、国政でも「公共事業に50兆・社会保障に20兆」の逆立ち政治がつづき、雇用・失業問題でも、働く者の賃金・権利や税の問題でも、また介護・年金・医療・社会保障の分野でも、むしろいっそうの国民犠牲がねらわれている。このなかで、労働者・国民はバブル崩壊のあと取り崩してきた蓄えもほとんど底をつき、さらに大幅な生活水準の切り下げを迫られている。自ら「借金王」と称する小渕内閣は財界本位・国民犠牲・国債乱発の景気対策をつづけ、「景気はゆるやかに回復」などとしているが、この消費の冷え込みでは本格回復は望めない。
A.リストラ・規制緩和は全世界で展開され、失業、不安定就業の増大、福祉の切り下げなどは共通の社会問題となっているが、外国では市場万能論に対する社会的な力が作用し、日本のような滅茶苦茶は許されない。ヨーロッパでは時短がかちとられ、アメリカでも労働組合運動の再興をバックに賃金水準の引き上げが前進している。アジアを含めて国際的には行き過ぎた市場主義を是正し、国民生活の安定を図ろうとする動きが大きな流れになっているなかで、日本の現状は異常である。
B.第三に、この国民生活悪化が支配層の道徳的堕落と倫理の荒廃をともなって進行し、支配層が国民の生命や不幸に対して驚くほど鈍感かつ冷淡になっていることである。「国際競争力をつけるために大胆な人員整理は当然」「利潤第一主義のどこが悪い」「他国を攻撃できる軍隊をもつのは当然」といった開き直りの言動が目立ち、公約違反や二枚舌、贈収賄、脱税、選挙違反、セクハラなどの犯罪が明らかになっても責任もとろうとしない例が続いている。
C.自自公内閣がまとめた2000年政府予算案は一般会計の総額が84兆9871億円(前年当初予算比3.8%増)にのぼる過去最大規模のものとなったが、その内容は過去最高の新規国債発行で財源をつくり、大銀行と大手ゼネコンのための公的資金投入枠の拡大と公共事業への大盤振る舞いが特徴である。その一方で社会保障関係費は、高齢者人口の増加に伴う「当然増」が7〜8千億円で推移しているのもかかわらず6542億円しか計上せず、4月実施の介護保険制度や医療制度の改悪などで削り込む国民生活破壊の予算となっている。
2.今日のリストラ攻撃の新たな特徴
今日のリストラ攻撃には次のような新たな特徴がある。
@.第一に、その先頭に立っているのが倒産の心配などない世界的な巨大企業であり、しかもリストラの内容は主として従業員や関連企業の犠牲で高収益をさらに伸ばすものとなっていることである。膨大な内部留保をもちながら先に2万人の削減計画を打ち上げたNTTなど、その典型である。
リストラは国際的にも展開されているが、日本のような一方的で乱暴な攻撃は先進国には例がない。ルノーに買収された日産は愛知機械・港工場を含め5つの工場を閉鎖し、1,145社の部品・資材調達先を半減させ、3万5千人を削減する過去最大のリストラ計画を発表したが、このような横暴な行為は、ルノー本社のあるフランスではEU指令などの規制によって実行できない性質のものである。
A.第二に、日産の例も、また東海・あさひ両行の合併による4千人の削減計画もそうだが、今日のリストラは大規模な買収・合併(M&A)や持株会社化・分社化・子会社化など、巨大資本の再編・集中をテコにすすめられていることである。その際、独占禁止法による規制などはまったく空洞化し、国際的な常識である雇用保障の社会的規制もなく無法に強行されているのが特徴である。
また、情報・通信技術の導入、開発・生産プロセス、業務システムの根本的な変化の下で労働過程が事細かに目標管理され、これと成果主義賃金や8時間労働制をくつがえす変形・裁量労働制の導入などが重なり、長時間・過密労働がいっそう強められていることである。そしてそれは「過労自殺」の多発をともなって進行している。
B.第三に、労資協調の組合にリストラ計画を認めさせ、労働者が団結して抵抗する力を排除した上で、片道出向、転籍、退職勧奨、人権攻撃などを通じなし崩し的に個別解雇が行われていることである。多くの大企業では労働組合による集団的雇用契約が空洞化させられ、労働者は事実上一人ひとりが裸で大企業との個別的労使関係に組み込まれ、そのなかで個別的に解雇も受け入れざるを得なくさせられている。
C.第四に、日本の大企業のこのリストラ攻撃が、国の手厚い援助と庇護の下に行われていることである。ゼネコンや大銀行を救済するために60兆円にも上る血税を投入し、また産業再生法をはじめとする一連の法制度によって、大規模なリストラを強行する企業に対してさまざまな援助措置が講じられている。国家公務員の削減や自治体リストラなど、官もまた職員・住民泣かせのリストラを強行し、民間大企業と人減らしを競うのも問題と言わねばならない。
3.日本社会の「反動的改造」とその矛盾
(1)「戦争しない国」から「戦争する国」への転換とアジアに広がる不安
いまアジアでは、日本が「戦争する国」への道を公然と歩き始めたと危惧されている。自自公勢力による新ガイドライン関連法案(戦争法案)、日の丸・君が代の国旗・国歌化法案、国会での憲法調査会の公式設置の強行などに加えて、盗聴法・組織犯罪対策3法(第二の破防法)・住民基本台帳法(国民総背番号制導入)等による国民監視、言論・社会活動統制体制の整備など、この半年ほどの間に強行された一連の法整備は、国内にとどまらず、アジア諸国に多大の不安と脅威を与えている。
(2) 経済・教育・社会保障や行政機構など、「日本改造」の全面的な進行
上記の政策は、日本の経済や教育・福祉、行政をアメリカと日本の支配層の意向に添って抜本的に作り直す政策と一体になって展開されている。
実際、産業活力再生法をはじめとする一連のリストラ関連法の制定、保護から選別・淘汰への政策転換をすすめる中小企業基本法の「改正」、雇用保険法改悪を含む労働法制の全面改悪、WTO農業協定交渉に向けた農業破壊政策、消費税(福祉目的税)の大幅引き上げ、学校への競争原理の導入・拡大と大学の独立行政法人化、介護・医療・年金・社会保障の改悪、行革関連法や地方分権一括法による中央省庁・地方自治体・都道府県組織の再編成と「開発会社」化など、日本の支配層は、いまや憲法の諸原理をふみにじって反動的かつ全面的な「日本改造」をすすめている。
(3) 自自公による反動的「日本改造」とその矛盾・弱点
@.衆院7割・参院6割の絶対多数を握る自自公勢力は、民主的な手続きや信義を無視し、どんな悪法も短時間で成立させる「暴走」をしており、国会は国民の意思から大きく離れて自自公の専制支配の下に置かれるようになってきている。行革がすすむなかで総理大臣の権限がかつてなく強化され、行政現場や公的審議会などの民主的専門的検討も経ぬまま、総理裁断による一方的な決定・変更が上意下達で実施に移されるようになってきたのも特徴である。
A.「経済戦略会議」や「産業競争力会議」などを見ると公的な政府審議会がほとんど財界人のみで構成され、そこが答申する政策を首相責任で「丸飲み」するケースが目立つ。そこでは国家機構や自治体を財界の下僕のように動かす政策が追求されており、財界の行政支配が恒常的体制となるおそれがある。また、日本へのアメリカの支配も格段に強められ、財政・予算編成のあり方から個々の法律に至るまで、アメリカの日本政治への関与はますますきめ細かく広範囲になってきている。
B 小渕首相は、「世界的な大競争時代を生き抜くために、自自公という多数の枠組みで諸改革をスピーディにやり遂げる必要がある」と述べているが、その改革とは、財界とアメリカとの意向に添ったきわめて反動的な「国家改造」であり、労働者・国民犠牲のうえにすすめられる軍事・経済大国への道である。
C.しかし、自自公による「日本改造」政策は致命的な弱点がある。それは、自自公の連立もその政策内容も国民の支持・合意がないことである。国会の議席こそ絶対多数を誇っているが、世論調査でも6割以上の国民がこの連立に反対し、マスコミはこぞって「国民に信を問うべき」と書いている。小渕内閣が総選挙を先延ばしにしていること自体、国民の批判を恐れていることを如実に示している。
実際、自自公連立内閣の発足以来、長野の参院補選での敗北、西村防衛政務次官の「核武装暴言」による辞任、リクルート贈収賄事件に連座した藤波元官房長官の最高裁有罪判決、これにともなう議員辞職勧告の野党共同決議案の審議引き延ばし、介護保険や企業献金問題をめぐる政策的混乱など、小渕内閣の失点がつづいている。公明党を与党に取り込んだ結果、従来のような野党への揺さぶり・切り崩し策がとりにくくなり、年金改悪でも衆議院比例定数削減でも「共産党がリードする民主・共産・社民3野党の結束が崩れない」(自民幹部の発言)事態が生まれ、その臨時国会強行を阻むという重要な成果もつくりだされた。自自公政治への不信や不満とともに、国民の、まともな政治を求める声は急速にふくらむ可能性を持っている。
4.たたかいの前進と共同の発展
(1) たたかいの条件と可能性は広がっている
こうしたもとで、労働者の意識に重要な変化がおきはじめている。いま労働者は、企業のリストラ計画や倒産、失業と自殺などが毎日のように報じられるなかで、春闘への期待や要求をめぐって屈折した状況に置かれ、「雇用が守られるだけまし」と考えている労働者も少なくない。同時にこうした労働者も多くが大企業の横暴や自自公の悪政に怒りを募らせ、「チャンスがあればガツンと一発かましてやりたい」との思いも持っている。この気分や感情をとらえ、すべての労働者に呼びかけて学習と討議を重ね、情勢に見合った要求や行動提起を行うなら、これまでにない仲間が大きくたたかいに決起する可能性がある。
財政危機の根本原因には目をつぶり、万博・空港は「聖域」としながら職員の賃金・一時金や住民のくらし・福祉・教育への補助金をカットする愛知県政への批判の広がりにも、私たちは同じ可能性を見ることができる。
(2) 「こんな横暴、許してなるか」−全国に広がる仲間のたたかい
@.現に、全労連の各組合のたたかいは、各産業・地域で不屈にたたかわれている。東芝・冨士工場の不当な転籍・出向を地域ぐるみのたたかいではね返した静岡県評につづいて、長野のJMIU高見沢電機は、背景資本の富士通と一体となった会社の工場閉鎖・全員解雇攻撃をみんなの力ではね返した。またJMIU日本IBMも、子会社化による非生産部門の切り離し・賃金の45%切り下げ攻撃に対し、利益を蓄積する会社を社会的に告発してたたかっている。金融ビッグバンのもとで大阪府下13信用組合を3信組に再編する攻撃に対しても、全信労不動などの仲間が全員解雇撤回を粘り強くたたかっている。自交総連イースタン交通は2千人の全員解雇・再雇用の攻撃との総力を挙げた闘争を展開している。
A.日産の大リストラ計画に対して全労連は対策本部を設置し、JMIU村山工場の仲間を激励しつつ全国的なたたかいを呼びかけたが、関連企業や地域の業者・自治体までをまきこんで闘いは広がろうとしており、マスコミや財界などからも、こうした乱暴なリストラへの疑問が出始めている。労働者を隔離部屋に閉じこめて退職を迫るセガ・エンタープライズの人権侵害を労働者・国民の共同で廃止させたように、大企業の凶暴なリストラ・首切り競争を労働者・国民の共同で打破できることも幾つも実証されている。丸子警報機のパート労働者の画期的な勝利や、東電、中電につづく関西電力人権争議の勝利和解もうれしいニュースとなった。
(3) 県内のたたかい −たたかう仲間を包んで
@.愛知の最近の例でも、建交労・第二菱名分会が、生コン会社の身勝手な企業閉鎖・全員解雇に抗し、親会社である三菱マテリアルを相手にたたかいに立ち上がっている。建設木材刃物では業界3位の木村刃物(株)での瑞穂工場閉鎖・全員解雇・退職金値切り(規定の1/3の額を60回分割払い!)に対しても、これをのんだ連合労組を離れてJMIU加入を決めた5名の労働者を軸に、無法な再建「合理化」計画を押しつけた富士銀行にその撤回を迫るたたかいを展開している。また、深刻な家庭事情(介護)を抱えて名古屋事業所で働く組合員に千葉・幕張への配転を強要した日本IBMに対しても、これを不当とする仲間のたたかいが続いており、裁判所が和解に乗り出すなど、緒戦での成果もかちとっている。
この1年、愛労連の常設「労働相談」に持ち込まれるリストラ相談も増えているが、その相談を契機に労働組合を結成(加入)して解雇通知をはね返した実績も生まれており、「企業閉鎖・全員解雇→労働条件の大幅ダウン・再雇用」をはね返した愛知筏のたたかいなどと合わせて、仲間たちは貴重な経験を積んできている。
A.「不況打開、くらし・雇用・福祉を守る11.17愛知総行動」では、年休を取って行動に参加した仲間たちが、県経協や商工会議所、銀行協会などを相手に、日産・愛知機械、東海銀行、松坂屋、NTTなどのリストラ計画反対の申し入れを行い、木村刃物や日本IBM、第二菱名の争議についても、関係者への申し入れや抗議、裁判傍聴、座り込みなど多彩な行動で仲間のたたかいを激励した。また、愛労連民間部会は県庁前の早朝宣伝で「職員の賃金カットやめよ、民間は大迷惑」のビラ配布を行って公務員労働者のたたかいをを激励した。
B.民間部会の県庁前早朝宣伝は12月1日にも第2弾がとりくまれたが、この日は障害者の作業所に働く職員も同趣旨の独自ビラを配布、補助金カットと県職員の賃金カット反対を併せて訴えたのが目を引いた。また同日、愛労連は愛知機械、三菱自動車、東海銀行、NTT、松坂屋の門前で「とめよう!リストラの嵐」の一斉宣伝を行ったが、いつもよりビラの受け取りもよく、翌日にはビラを見た労働者からの相談電話もかかるなど、労働者の不安と闘う労働組合への期待が伺われるとりくみとなった。
(4)「対話と共同」の前進、大企業職場の変化
@.全労連が掲げる「対話と共同」も前進している。99春闘では派遣法改悪反対で全労連と連合の事実上の「一日共闘」が実現した。また、戦争法に反対する「5.21国民集会」、「盗聴法反対6.24集会」、「日の丸・君が代の法制化反対7.23集会」などでも、全労連・連合をふくむ広範な労働組合の共同が前進した。秋年末闘争では、年金改悪反対での国会前座り込みで「一日共闘」が実現し、自自公に野党が結束して抵抗するなかで厚生委員会の採決が「さし戻し」となった。リストラの嵐から労働者を守るために「解雇規制・労働者保護法」制定をめざす運動も、全労連・連合ともに始めようとしている。
A.率直に言って県内では愛労連と連合愛知との共同は遠い。しかし単産・地域労連を中心とした労組訪問で個々の労組役員との対話は深まり、課題によっては署名やチラシ配布の協力も得られている。また戦争法反対では愛知でも陸・海・空・港湾19労組の共同が実現し、アピールを出す前進が得られた。 雇用・失業をはじめ労働者の状態悪化が深刻な今、労働組合の垣根を超えたとりくみはマスコミや県民からも期待され注目されている。愛労連結成10年、「対話・共同」労組訪問のいっそうの推進を図り、切実な要求・課題で下からの共同をもっと広げる必要がある。
B.政治戦線における自民党の低落、日本共産党の前進と結びついた職場の変化もひきつづき進行している。特定政党支持の破綻や終身雇用制・年功序列賃金の廃止があいまって、労働者を企業に縛り付けてきた「企業第一主義」も薄まりつつあり、大企業職場の専制支配を揺さぶる変化も生まれている。リストラ反対の12.1工場・企業前宣伝など、愛労連の行動が愛知機械の職場内で話題になり、職場の活動家が元気になっているとの情報も届いた。愛労連は秋に「大企業ネットワーク」(準備会)をたちあげ、職場革新懇などに結集する大企業労働者との情報交換も始めているが、それも力に、すべての労働者を視野においたとりくみをさらに工夫する必要がある。
C.政府・労働省はこれまで地方労連に結集する組合員をナショナルセンターの組織人員としてカウントせず、全労連の組織人員を意図的に「100万人以下」と発表してきたが、昨年になってその集計方法を一部改善し、全労連の組織人数を106万1千人と公表した。結成10年、全労連無視の方針もようやく転換の時を迎えたといえる。2000年春闘では、こうした情勢の変化もふまえ、すべての労働者・労働組合との共同をいいそう広げなければならない。
5.2000年国民春闘の対決点とたたかいの基本方向
(1)リストラ・賃下げ許すな! 大企業に社会的責任を果たさせ、大幅賃上げで不況打開を!
大企業はこの不況下でも大儲けをつづけ、主要企業430社はこの1年に賃金抑制や10万人もの人減らし「合理化」などで内部留保を3兆7千億円も増加させ、総額98兆円も蓄積している。にもかかわらず日経連の「労問研報告」は日本の労働者の賃金が「世界の最高水準」と主張し、「雇用確保のためには総額人件費を引き下げざるを得ない」と、これまで以上に「賃下げ・リストラ春闘」とする姿勢を強く打ち出している。したがって、2000年春闘における最大の対決点は、財界・日経連がねらう「首切り・賃下げ春闘」を許すのか、それとも労働者の団結と反撃で雇用・生活改善の展望を切り開くのかにある。
愛労連は、すべての労働組合が生活・労働の実態にもとづく積極的な要求を確立することをよびかけ、単産・地域労連の「力の集中」を重視し、「リストラ・賃下げ許すな」「大企業は社会的責任を果たせ」「大幅賃上げで不況打開を」の世論をいっそう広げ、職場と地域を基礎に、全労働者の統一闘争を発展させて要求前進をめざす。
(2) 自自公の悪政許すな!・・国民課題で幅広く共同、文字どおりの国民春闘を
同時に2000年春闘の課題は、大企業の横暴と自自公の悪政に苦しめられているすべての労働者・国(県)民との共同を広げ、春闘を文字どおり国民春闘として社会的に発展させることである。日経連の「労問研報告」は「政治・行政・社会的コスト構造の是正」をめざすとし、いっそうの「規制緩和」推進、福祉目的税の実現、年金・医療・介護の負担増などを労働者・国民に押しつけようとし、自自公連立政権にいっそうの悪政・悪法強行を迫っている。こんな勝手を許すことは出来ない。「@不況打開・雇用・失業問題、A介護・年金・社会保障、B戦争法の具体化阻止、C県の補助金カット反対、万博・空港こそ見直せ」の4課題は私たちが大会で決めた4課題だが、秋闘につづいてこれは春闘でも重要課題となる。愛労連は労働組合の組織力と闘争力を国(県)民要求実現のためにも発揮し、中小・自営業者、農民、女性、青年など広範な県民各層との連帯・共同を前進させる。
とりわけ愛知では、春闘期の重要な独自課題として「万博の是非を問う県民投票運動」の成功がある。かつてなく深刻な財政危機のもとで、切実な補助金を削って県民に犠牲を強いる一方、万博・空港はしゃにむにすすめる神田県政への批判は大きい。愛知の21世紀を滅茶苦茶にしないためにも、幅広い共同で県民投票を成功させることが重要である。
(3) 解散・総選挙、政治革新と結合して
マスコミ調査でも「政治に不満」が75%、「政治に変化」を82%が求めるなど、「国会を解散し、総選挙で国民の信を問え」の声が日増しに高まっている。日経連もこの春闘を「日本経済社会の行方を左右する交渉」と位置づけているが、私たちにとってはこの国の政治・経済のゆがみを正す重要なチャンスである。したがって2000年春闘の第3の対決点は、自自公政権の継続を許すのか、それとも国会解散・総選挙をかちとって政治の民主的転換と結合した春闘を前進させるのかにある。
全労連はこのなかで、春闘前段での大阪府知事選、京都市長選などの勝利に全力を挙げるとともに、春闘と結合してたたかわれる総選挙で、国政革新、国民本位の政治の実現をめざしてたたかおうと訴えている。愛労連もこの春闘を、解散・総選挙、政治革新とかたく結合させてたたかう。
U 春闘の重点要求と運動の具体的展開
1.リストラ・首切り反対、雇用確保
(1) 日産・愛知機械をはじめ、大企業のリストラ反対のたたかいを全体の重点に
@.全労連は、5つの工場閉鎖・2万1千人の従業員削減、関連下請けを含めると膨大な労働者・家族を直撃する日産のリストラ計画を、我が国最大・最悪の「合理化」計画ととらえ、これを許せば大企業のリストラに歯止めがかからないとして、この反対闘争を「雇用と中小企業、地域経済を守り、大企業の横暴を許さない」たたかいの当面する最重要課題と位置づけている。そしてJMIU組合員のいる村山工場に現地闘争本部を置くとともに、神奈川、東京、京都、愛知など関係組織と連携し、総力を挙げたたたかいを求めている。
A.愛労連はこの全労連方針を受けて、愛知機械の工場閉鎖、労働者と関連企業の切り捨て、ディーラーや地域の中小零細業者への打撃等について具体的な把握に努め、「身勝手なリストラやめよ」「雇用と中小経営を守れ」の宣伝と世論形成に努力する。また、愛知県に設置された「愛知機械港工場問題対策会議」(責任者=職安課長)への要請も行う。
そのために当面、港地区労やJMIUとも相談しつつ、愛商連、共産党、労問研との共同での訪問・調査活動を追求し、年明けからのビラ宣伝や申し入れ、2〜3月段階でのシンポジウムなども検討する。
B.愛知機械と併せて、NTT、三菱自動車、東海銀行、松坂屋、トヨタ車体などのリストラ・人員削減についても批判の宣伝を重視する。
また、金融・証券などのいわゆる「金融ビッグバン」については、儲け本位・弱肉強食の再編を見直し、労働者の雇用確保と地域経済振興に沿った検討を重ねるよう、中地区センターなどと相談してとりくむ。
(2)職場・地域からの「合理化」反対闘争と県民世論の喚起
@.激しいリストラ「合理化」に反対する職場からのたたかいを重視し、職場全員による学習・討論や職場新聞などで団結を固め、一方的な攻撃を許さない闘争態勢をつくる。また、どの組合も日常の権利闘争・協約闘争を重視し、一方的な解雇や営業譲渡、事業所閉鎖を規制する「事前協議協定」締結に努める。
このたたかいは、裁量労働や派遣労働の職場への持ち込みを許さない学習・交渉とも結合してすすめる。
A.第二菱名、木村刃物、日本IBM、NCR、ソフィア、JR、住友軽金属、明治乳業など、各職場・労働者にかけられている攻撃はみずからの課題と位置づけ、単産、地域労連、愛労連の力を集中した支援を行うように努める。必要によっては当該の労組や地域を軸に支援共闘組織をつくってたたかう。
B.最悪の雇用・失業状況を作り出した元凶は大企業のリストラ・首切り競争にある。その業績如何に関わらず人員削減を行う企業が増え、リストラ計画を発表すると株が上がる風潮がつくられている。目先の利益だけを競うリストラは人材の流出、技術力や従業員の士気の低下をもたらし、長期的に見ると企業の発展につながらないことを明らかにし、「リストラ当然」の流れを切り替える宣伝と世論づくりを重視する。1月末〜2月にかけて、集中的な宣伝や「怒りの行動」の波状的な展開を計画する。
また、全労連が3月3〜4日に予定するリストラ「合理化」反対全国交流討論集会に代表を送る。
(3)「解雇規制・労働者保護法」の制定を求めるたたかい
@.全労連は、金融・税制上の優遇措置によって企業のリストラを促進する産業再生法に反対し、最高裁判例として確定した「整理解雇の4要件」など解雇規制の立法化を要求している。同時に、分社化や営業譲渡など企業組織の変更に際し、労働者の雇用と権利擁護を義務づける「労働者保護法」の制定をめざし、春闘期に500万筆の署名集約を提起している。なお、連合もほぼ同様な立法を要求している。
産業再生法は2003年3月までの時限立法であり、「企業の組織変更における労働者の権利義務関係について法的措置を含めて検討を行う」との付帯決議がある。現行法規やILO条約、EU指令などを基本にしたこの法制化が成れば、リストラ・解雇規制、労働者保護の強力な武器となる。
A.愛労連もこの法制化を重視し、年明けから学習・宣伝をすすめ、3月末までに30万筆(組合員一人5筆)を達成するよう全力をあげる。また、春闘時の「対話・共同」・労組訪問の柱の一つとするとともに、自治体の意見書採択運動、国会議員要請など、全労連の提起を受けて積極的にとりくむ。そのため、「2.25総行動」ではすべての地域労連が全自治体訪問(キャラバン)にとりくみ、国に意見を上げるよう要請する。
(4) 雇用創出、「失業者のネットワーク」づくり
@.かつてなく深刻な雇用・失業状況のなかで、失業者の就労保障や就労までの生活保障にとりくむことは、憲法にも明記された国の責務である。同時に、苦しんでいるこれら失業者に手をさしのべることはナショナルセンター・ローカルセンターの真価が問われる課題の一つでもある。
愛労連は、県や労基局等への昨年来の要請をふまえ、@雇用給付期間の延長と給付金の増額、自己都合離職者の給付制限期間の短縮、A失業者への職業訓練の実施と生活保障、B失業中の税金・社会保険料・子どもの授業料等の減免措置、住宅ローンの繰り延べなどの実現に向けてたたかう。
A.99年に予算化された「緊急地域雇用特別交付金」について、その積極面と問題点を明らかにし、2000年度事業での改善・拡充を求めて対県交渉を行う。また、「2.25列島怒りの総行動」の一環として、全地域労連がキャラバンを組んで自治体要請にとりくむ。
B.雇用創出、失業者の救済と就労を求めるたたかいと結合して、東京や北海道の経験・教訓に学んで失業者の連帯・組織化をすすめるとりくみ(「失業者のネットワーク」「働きたいみんなのネットワーク」づくり)に踏み出す。そのため、地域労連の力を借り、1月〜2月段階で改めて職安前での宣伝行動にとりくみ、「失業者ネット」への参加を呼びかける。
全労連は2000年春闘で全国的な「失業者ネット」の立ち上げをめざし、「中央行動」では失業者代表が参加する政府・自治体交渉も計画している。愛知からもこれに代表を派遣できるよう、早急に検討を始める。
(5) 労働時間の短縮、サービス残業根絶をめざす運動
@.政府は企業がかかえる「3つの過剰」の一つに「過剰雇用」をあげ、法律や税制上の優遇措置を講じてリストラを推奨している。しかし日本の雇用は「過剰」どころか、異常に長い労働時間やただ働き・サービス残業を改めるだけでも直ちに「不足」する。これは財界系のシンクタンク・社会生産性本部の試算(サービス残業廃止だけでも90万人、残業ゼロなら170万人、政府公約の1,800時間達成なら200万人の雇用が拡大できる)でも明らかであり、時短は雇用拡大の面からも重要である。
A.時短が雇用拡大の決め手であることは世界の常識であり、週35時間労働を決めたフランスの事例が立証している。全労連・愛労連はすべての職場で改めて労働時間短縮にとりくむよう訴える。その際、中地域が10年に及ぶ粘りづよいとりくみで定着をめざしてきた「ノー残業デー」にも学び、すべての単産・単組が具体的計画を立てるよう呼びかける。
B.2000年春闘では愛労連として、とりわけただ働き・サービス残業をなくす運動に集中的にとりくむ。そのため単産の協力をとくに要請し、2月〜3月の適切な時期に「節」をもうけ、職場からの討議と意思統一、点検活動を強めて改善を迫る。
また、「大企業ネット」での交流・意見交換をふまえ、いくつかの大企業門前での宣伝とハガキ付きアンケート配布による調査・告発行動もあわせておこない、労基局や企業への申し入れもおこなって、違法な未払い残業(ただ働き残業)を払わせるよう、とりくむ。
C.男女共通・年間150時間限度の時間外規制や、裁量労働への歯止めを求める労使協定の追求など、改悪労基法を職場に持ち込ませないたたかいについて、JMIUを参考にしてどの単産も努力する。
また3年後の見直しに向けて、労働法制「女子保護」連絡会と連携した署名などにとりくむ。さらに「男女平等参画促進計画」の策定とその実行も要求してとりくむ。
2.大幅賃上げ・賃金底上げ、最賃闘争の強化
(1) 春闘の「変質・解体」を許さない賃金闘争の強化
@.財界・日経連はもはや春闘で賃上げを実施する考えはない。「管理春闘」さえ投げ捨て、労働組合との協議で賃金を決定するシステムを根底から破壊しようとしている。そのうえで、全労連春闘だけが存在する状態を避けるため、「春闘は毎年一回、労使が本気で国際環境、経済、経営などを協議する場として重要」などとして春闘の「変質」策動を強めている。労組の側にもこれに同調する姿勢も見られ、2年に1回の協約交渉への切り替えを打ち出した単産もある。こうしたなかで連合は、「35歳以上の標準労働者で1%以上」(生産技能職3100円以上、事務・技術職3300円以上)の賃上げ要求を提起している。
A.春闘が賃金改悪とリストラ「合理化」追認の場に「変質」させられようとしているもとで、全労連・愛労連が国民春闘の旗を高くかかげ、広範な労働者・国民との共同行動をひろげて賃金闘争をたたかうことは、ますます重要になっている。悪政による国民生活破壊と不況の長期化のもとで、労働者の生活改善、国民の消費購買力回復こそ不況打開・日本経済再建の決め手だからでもある。
全労連は、「大幅賃上げで不況打開」の国民的大義を明らかにした賃金闘争を基本にすえてたたかうとしている。また労働者の賃上げ要求とともに、消費税減税、年金・医療・社会保障の拡充をはじめとする国民の要求課題を結合させ、政治・社会の流れを変える国民春闘の前進を提起している。愛労連としても春闘共闘委員会の参加組合を増やしつつ、全労連の提起を受け止めてたたかう。
(2) アンケートと要求づくりの重視
@.賃金闘争を社会的・国民的なたたかいとして前進させるため、職場や地域の未組織労働者をふくむできるだけ多くの労働者の要求を汲み上げ、働く者の気分や感情にもマッチした要求と運動をつくることがとりわけ重要である。単産・地域は組織人員を上回るアンケートの集約を必ずやりとげる決意で、身近な労働者や家族なども含めて最大限アンケートをひろげる。
また全組織が「パート要求アンケート」を重視し、「ハガキアンケート」などを活用してこれまで以上の集約をめざす。
A.職場を基礎に、要求アンケートの結果をふまえた要求討議を重視し、たたかいへの確信を高める要求をみんなで練り上げる。また結果はみんなに返し、「何が要求実現を阻んでいるか」「どうすればこの要求が実現できるか」など、情勢学習と要求実現への手だてを話し合い、全組合員の行動参加を実現するよう工夫してとりくむ。
(3) 全労連・愛労連の賃金「要求目標」の設定
@.全労連が集計した「要求アンケート」(1月11日現在)は財界・日経連の激しい賃金破壊攻撃と宣伝の下でも、昨年とほぼ同水準の3万6116円に達し、大幅賃上げが圧倒的多数の労働者の切実な要求であることを示している。全労連・愛労連はこの下で、各単産・単組が「要求アンケート」などにもとづいて掲げる大幅賃上げ要求を積極的に支持し、その実現をめざしてともにたたかう。大企業の民主的規制、労働者・国民の生活改善・消費購買力の回復こそが不況打開、日本経済再建の決め手であり、「生計費原則にもとづく大幅賃上げ」「雇用確保で不況打開」「大企業の膨大な内部留保の社会的還元」「逆立ち予算の国民本位への転換」という国民的大義を明らかにした賃金闘争の展開をめざす。
A.財界は、深刻な雇用不安を利用して労働者を脅迫しながら、本格的な「賃下げ・リストラ春闘」をしかけてきている。全労連・愛労連は賃下げ・リストラ・雇用破壊を許さない春闘の前進をめざし、すべての労働者の「底上げ要求」として「誰でも・どこでも月額1万5千円以上」を掲げてたたかう。あわせて、臨時、パート、派遣、未組織労働者をふくむすべての労働者を視野に入れ、「誰でも・どこでも時間額100円以上」の要求を掲げてたたかう。
B.全労連はこの春闘でリストラ規制・労働者保護、雇用創出、消費税の引き上げ阻止・大幅減税など、政府に対する制度政策要求も重視している。そして違法なサービス残業の根絶、児童手当の改善、介護・年金・医療制度の改善も含め、生活改善に関わる「10大要求」を賃金闘争と結合してとりくむことを提起している。愛労連もこれを支持し、愛知県への独自要求も加えて愛労連の制度・政策要求とする(別紙参照)。
(4) 最低賃金闘争の強化
日本の労働者の賃金は、購買力比較だとEU先進国の6〜7割程度と低く、しかも大企業の男性正規労働者とパート・中小零細・女性などとの賃金格差がきわめて大きい。この現状をつくっている要因の一つがあまりに低い最低賃金といわれる。
「賃金と生活の大幅底上げ」実現をめざして、2000年春闘では最賃闘争をとくに重視し、愛労連として最賃対策委員を軸に特別な行動を組む。
@.全国一律最低賃金制の前進をめざし、単産・地域ごとに担当者を決めて学習・宣伝を行うとともに、全労連が提起する「組合員一人5筆」の個人署名、支部・分会までの団体署名を成功させる。また、「労組訪問」でも最賃での共同行動を訴える。
要求としては、全労連が提起する「月額15万円、日額7400円、時間額1000円」を掲げる。そして、地域春闘でも柱の一つにこの運動を位置づけ、「○○地域から15万円以下の労働者をなくせ」「時間給1000円以上の実現」などの宣伝や署名、自治体要請を積極的に展開する。
A.「最賃」ならびに「標準生計費」の劣悪な水準を自ら体験し、その不当性をアピールするために、12月20日発足の実行委員会を軸に、2月中に「最賃生活体験」「標準生計費体験」を企画・実施する。なお前者は民間、後者は公務でとりくむこととし、単産・地域、官民、婦人協、青年協の協力を得る。
B.3月には、体験記録と家計簿調査の結果を公表して広く労働者・県民にアピールし、「最賃シンポジウム」「各界懇談会」などに生かす。
C.最賃審議会の示す改定「目安額」が不当に低いため、審議会と労基局に対しこれを許さない運動を強化する。具体的には、最賃審議会の意見への「異議申立」、審議会での「意見陳述」、審議会の「議事録公開」など検討してとりくむ。
D.最賃審議会の公正・民主的な委員選任をめざして引き続き立候補・推薦にとりくむとともに、これまでのように連合独占の不当任命が続けば不服審査請求も検討する。
(5) 賃金改悪反対、差別賃金是正のたたかい
@.財界・日経連は、高コスト論や支払い能力論、生計費クリア論など、さまざまなイデオロギーを動員しながら、能力・業績主義賃金の導入と賃金決定の個別分断を強めている。能力・業績主義賃金のねらいが賃金水準の引き下げと企業への労働者の従属強化にあることを明らかにし、これを許さないたたかいを強化する。すでに職能給などが導入されている場合は、@女性・青年・パートなど低賃金層の底上げ、中高年の賃金カットの回復、A企業内最低賃金の確立、B主観的評価基準の縮小・排除、評価基準の公開、C評価への不満を団体交渉事項にすること、などを要求してたたかう。
A.公務員賃金は生計費原則を土台に民間賃金との均衡、国民の納得性などを重視し、政府と公務員組合の対等な交渉をつうじて決定されるべきである。そのためにも、労働基本権回復のたたかいと結合した公務員賃金闘争の強化、民間労働者や地域住民と共同した賃金闘争を前進させる。また、公務員労働者に対する能力・業績主義賃金の導入は、恣意的差別につながる考課査定にもとづくものであり、国民の生活と福祉の拡充を課題とする公務労働の性格と相反するものとであり、その導入に反対する。
B.財界・日経連は、能力主義管理と雇用の多様化を口実に、女性労働者を仕事や昇進昇格で低い処遇をもたらす差別的賃金システムを押しつけ、高コスト是正、コスト削減の手段として利用しようとしている。能力主義管理における女性差別の拡大を許さず、同一労働同一賃金の社会的な確立を追求し、賃金差別をなくすたたかいを強化する。雇用形態別、性別などの不当な差別賃金の撤廃、青年労働者の不当な低賃金を大幅に改善し、同一労働同一賃金の要求をかかげることがますます重要になっている。
(6) 地域春闘の発展、官民一体のたたかいの強化
@.単産と地域とのタテ・ヨコの力を結合し、地域春闘の強化を追求する。そのため、単産もその春闘方針で「地域春闘の重視と組合員の地域参加」を改めて位置づけてとりくむ。
2000年地域春闘の具体的展開としては、栄・港・トヨタ総行動などの「総行動」を積み上げてきた地域。第二菱名や木村刃物などの争議支援に奮闘してきた各地域労連。官民一体での回答引き出し交渉の経験を積み上げてきた全国一般と国公などとの共同・・等々に学び、リストラ反対や国民課題でも、また賃金闘争でも、できるだけ地域の仲間がともにたたかう春闘を工夫する。なお、愛知におけるトヨタの影響を重視し、トヨタシンポやトヨタ総行動は該当地域と相談しつつ、全県的なとりくみとするよう努力する。
A.また、全労連が提起する「2.25怒りの総行動」(予定)を重視し、愛労連としては、@早朝の全駅頭と工場・企業前宣伝、A事前配布を含め、当日午前中までの「50万枚」地域ビラ配布、Bすべての地域労連による全自治体要請(キャラバン)、「あおぞら裁判」の解決をめざす中電営業所要請、C午後の集中的な宣伝・署名行動(リストラ反対、解雇規制・労働者保護法を制定せよ。賃上げと減税で不況打開を。全国一律最賃制を実現しよう。年金・医療の改悪反対、介護制度の充実を。県の補助金カット反対、万博・空港こそ見直せなど)、D夜の集会・デモなどを、圧倒的多数の組合員参加で成功させる。
B.史上初の年収ダウンとなった99年人事院勧告や「調整手当の改悪」「成績主義賃金の導入」など、公務員賃金の改悪攻撃が強まっている。とくに財政危機を理由とする愛知県の賃金・一時金削減(99.4〜 平均38万円の損失)以来、あちこちの自治体で同種の提案が目立つようになっているが、愛高教や県職はこの確定闘争でも「人勧凍結」に加えて「賃金・一時金カット5年」を提示され、越年でたたかっている。学校・病院の給食調理員の民間委託やパート化など自治体リストラとのたたかいも各地で続いている。
官公労へのこの賃下げ・リストラ攻撃は、民間労働者の労働条件にも大きく影響する。越年でたたかう組合や自治体リストラ反対で頑張っている仲間を支援し、官民が一体のたたかいを展開することが重要である。民間部会が県庁前で「県は職員の賃金カットやめよ」「公務員労組がんばれ」のビラ宣伝をして関係労組を激励したことは先に触れたが、こうした行動は「補助金カット反対」に立ち上がっている障害者組織にも広がっており、今後も工夫する必要がある。
C.関連して、障害者の連続1週間の県庁前座り込みに象徴される「県民への切実な補助金や職員の賃金を削って、なぜいま万博・空港か!」の怒りの世論を引き続きひろげ、無駄な開発とイベント・公共事業への批判を強めるたたかいも引き続き重視する。
また、「調整手当の改悪」「成績主義賃金の導入」の動きがいっそう強まっていることから、これをはね返すたたかいを春闘で重視してとりくむ。
3.介護・年金など社会保障制度の拡充
(1) 介護保険の抜本的改善、介護基盤拡充のとりくみ
@.介護保険制度が実施されても、このままでは特別養護老人ホームは9万人があふれて入所できない。ホームヘルパーは必要数の4割しか確保されない。介護を受けるには介護認定基準をパスしなければならないが、現に介護サービスを受けている人でも、在宅サービスで3万6000人、施設サービスで2万人、あわせて5万6000人が排除され、介護保険の対象外にされてしまう。これまで実施していた介護サービスをやめて民間まかせにする自治体や、介護保険の導入によって国の負担を3400億円も削減する自自公政府の対応など、問題は何一つ解決していない。
県下88自治体へのキャラバン(10月)に先立ち、自治労連が高齢者福祉計画の進捗状況を調査した。結果は予想されたとおり、ホームヘルパーやショートステイ、デイサービスなどの基盤整備が大変遅れている。このままでは愛知でも、介護認定で「要支援・要介護」となっても肝心のサービスが圧倒的に足りないのは目に見えている。キャラバンの中で自治体は、すでに介護を受けている人で「自立」と認定された場合は何らかの対応をするといっているが、多くの市町村は県に対して支援を求めている。対県交渉のなかでは県も現状のサービスに近いサービスを考えていることが判明したが、財政措置については国待ちで積極的対応がされず、無責任な状況が広がっている。
A.この間の運動で特別養護老人ホーム入所者の介護利用料減額や第1号保険料の減免措置、低所得者の訪問看護利用料減免措置などが実現、自治体でも認定から除外された高齢者への独自施策などが前進している。また、10月から始まった要介護認定の受付でも混乱が生じ、自民党が介護保険対策本部を設置して「逃げるな・ひるむな介護保険キャンペーン」を実施せざるをえないほど矛盾が広がっている。自自公政権は、衆議院議員の任期満了となる来年10月まで保険料の徴収を延期するなど、選挙目当ての場当たり的な対応を検討しているが、保険料徴収期間中に保険として最小限必要な介護の基盤整備を具体的に整備させることなどを求め、さらに運動を強化する。
また、すべての労組や他団体との共同を引き続き追求し、地域で住民とともに介護保険を改善させる運動を強化する。名古屋市をはじめ、12月議会で国に向けた意見書採択を行った自治体も出てきているが、今後も手をゆるめず、改善・充実をめざして各自治体へ継続的に要求運動をすすめる。
(2) 年金改悪の強行を阻止するたたかい
@.継続審議となっていた年金改悪案について、政府は臨時国会での成立を強引に主張し、衆院厚生委員会の採決を強行した。事態は一挙に緊迫した局面を迎えたが国会の民主的な運営・手続きを無視した暴挙に国民から強い批判が集中し、自自公を追い込んだ。その結果、衆議院議長裁定で委員会採択は取り消され、結局、年金改悪法案は再び通常国会への「継続審議」とさせることができた。
これは重要な成果だが、事態は依然として緊迫している。手をゆるめず、通常国会での改悪強行阻止へ全力をつくさなければならない。国会への要請・傍聴・座り込み、緊急国民集会など全労連の要請に応える。また、抗議・要請激励のFAXを集中する。署名も最大限取り組む。重要段階を迎えた場合は、単産の指示によるストライキを含む多様な行動にとりくみ、緊急な宣伝行動も行う。
A.自自公は基礎年金財源の1/2国庫負担増を口実に、消費税を「福祉目的税」化して税率の大幅引き上げを策動している。年金改悪法案を廃案に追い込むとともに、消費税の福祉目的税化に反対し、宣伝・署名行動を強める。
B.「企業年金制度」が膨大な積立金不足などで崩壊の危機にさらされている。もともと企業年金は保険料負担や積立金リスクの解消など、企業負担を軽減するために導入されたもので、財政困難の犠牲を労働者に押しつけることは許されない。政府は、2000年通常国会に「日本型401K(確定拠出型)年金創設法案」を提出するとしている。全労連の政策と要求、運動方向の具体化を受けて運動をすすめる。
(3) 医療・福祉の改悪などに反対するたたかい
@.連続改悪をねらった政府の医療改悪は、国民的運動の高揚が日本医師会・製薬業界など自民党と結びついた勢力の内部矛盾を拡大させ、、99年通常国会、臨時国会にも上程できないできた。しかし、自民党を中心にした水面下での改悪作業がすすめられ、老人医療制度の患者負担を2000年8月から現行の定額制から定率1割負担にきりかえることなどの医療保険「改革」の基本方針が固まり、通常国会に法案が提出されようとしている。介護・年金闘争と結合した反対運動にとりくむ。
A.社会福祉「基礎構造改革法案」は、社会福祉の措置制度から契約制度への転換、公の責任を管理及び財政責任に縮小、社会福祉の「商品化」、社会福祉法人の「企業化」及び営利企業の参入などをはかろうとするものである。通常国会にむけたとりくみを強化する。
B.保育については、政府は契約制度にすれば「多様な選択が可能になる」としているが、昨年4月措置制度から契約制度に転換した制度の下で4万人もの待機児が出、制度の転換ではなく基盤整備こそ重要という事実が明らかになった。強引な制度転換の本質は選択権の獲得ではなく、社会福祉の公的責任の縮小にあることは明白である。介護、年金、医療、福祉、保育などの総合的な社会保障闘争を職場・地域からすすめることが重要である。
4.行革・自治体リストラ・規制緩和反対
(1) 行革(定員・賃金削減)と自治体リストラに反対して
@.自自公勢力が数の暴力で強行した行革関連法案は、行政の性格やしくみを財界・大企業本位につくりかえ、憲法に明記された国民の基本的人権について国家が負うべき責任を放棄するものである。同時に、多くの労働者と国民の反対を無視して強行した背景には、自民党政治の歴史的退潮にたいする支配層の危機意識がある。全労連は、行革の内容を国民の立場で検証することを基本に据えながら、@戦争協力ではなく平和憲法を守ること、Aくらしと雇用、社会保障を充実させる行政をすすめること、B政・官・財の癒着構造をただしガラス張り行政の実現、などを要求して行政民主化闘争をすすめるとしている。愛労連もこれを支持し、その提起を受けてたたかう。
A.政府は、国家公務員を10年間で25%、13万7000人削減する方針を決定、中央省庁再編や独立行政法人化を柱とした行革関連法案の具体化をすすめている。この25%削減は何らの根拠も示されず、自自公政権成立の政治的取り引きとして利用されたものである。この攻撃は、産業再生法などとともに「国家的リストラ」攻撃であり、その強行は国民へのサービス後退と労働者全体の労働条件悪化をもたらすものである。「国家公務員の25%削減に反対する団体・個人署名」を推進するとともに、広範な国民世論の結集をはかりながら官民一体のたたかいを重視した運動を展開する。
B.地方財政は、政府のゼネコン型公共事業の押しつけや不況による税収の落ち込みで深刻な危機に陥り、住民サービスの低下を招いている。とくに愛知、東京、大阪などの「財政再建計画」は老人・乳幼児・障害者などの医療費助成制度の切り下げ、市町村への補助金削減、高校入学金や授業料の引き上げ、公共施設使用料の引き上げ、私学助成の削減など、住民生活に重大な悪影響を及ぼすものとなっている。福祉、教育、医療、中小企業支援など、住民生活を守ることを重点とする自治体の行政・財政運営を求め、「補助金カット反対、万博・空港こそ見直せ」など、住民要求にねざした運動を強化する。
C.自治体労働者に対しては、「10年間で知事部局1500人、教職員2500人削減。県職員平均38万円の賃金カット」「1年限りの知事約束を反故にしてのカット5年の提示」(愛知県)をはじめ、東京都の賃金・一時金削減攻撃、「知事部局22000人、教職員4800人削減、45歳〜の早期退職勧奨制度の導入、昇給24ヵ月延伸」(大阪府)などの攻撃が全国各地でつよまっている。
財政危機の中でも万博・空港を「聖域」としてすすめる愛知の例が象徴するように、賃金切り下げ・人員削減などの自治体リストラは住民サービスの維持・向上のためでなく、旧態依然としたゼネコン型大型公共事業を継続することにねらいがある。この本質を住民に知らせ、自治体リストラ反対へ地域・住民ぐるみの運動広げるよう留意してとりくむ。
(2) 財界・大企業本位の規制緩和反対
政府は、輸送の効率化を口実にスピード運行や過積載、中小経営の再編、交通労働者への長時間・過密労働を容認する規制緩和政策を促進しており、タクシー破壊の「道路運送法」の改悪が通常国会で最大のヤマ場をむかえる。港湾でも輸入食品や危険物の水際チェック機能が規制緩和され、国民のいのちや健康が危険にさらされている。一方、規制緩和の強行による国民生活の悪化、社会不安の増大、運動の前進などを反映して、自民党議員130人による議員連盟・「規制緩和を見直す会」が結成されるなど、新たな動きもおきている。
全労連は「行革・規制緩和労組連絡会」との連携を強め、各産業・分野のたたかいを交流しつつ、広範な労働組合の共同闘争を展開する。愛労連も、要求が切実な単産を中心に、財界・大企業本位の規制緩和に反対し、宣伝・署名、要請行動などにとりくむ。
5.国鉄闘争の勝利、労働委員会の民主化
(1)重要局面を迎えた国鉄闘争
@.国鉄闘争はいよいよ重大局面を迎えている。99年5月、政府は官房長官が「解決にむけて努力する」との表明を発表したが、解決への新たな局面をつくり出すには至らなかった。しかし、98年12月に行った全動労・国労の1ILO申し立てに対し、11月18日にILO理事会の勧告が出された。勧告は、「政府に対し、当事者にとって満足でき、関係する労働者が適正に補償される解決に早急に到達するため、JRと申立組合間の交渉を積極的に推進することを強く要請する」として、解決に向けた政府の責任を求めている。勧告の実行を求め、対政府要請をつよめる。
A.全動労裁判は2000年3月29日に判決が出される。裁判長は「原点に立ち返って検討したい」と表明、国労事件での国鉄改革法を形式的にとらえての不当判決理由を採用しえないことも示唆した。またILO結社の自由委員会の勧告は、「国労および全動労組合員の解雇に関する裁判所の決定がILO第98号条約に沿ったものになることを信じている」とのべ、98年5月28日の国労事件判決がILO98号条約に違反することを間接的に述べている。
このなかで全労連は、当面の最重要課題として全動労裁判の公正判決を求める「100万署名」を推進している。愛労連もこの100万署名を重視し、国鉄対策委員会を先頭に、1月中には全組合員からの署名達成を目標に奮闘する。
また、国労や愛知鉄道フォーラムとの共同行動を追求し、利用者アンケートにもとづく要求前進、「JRの安全を守り差別をなくす」たたかいなど節々の行動にとりくみ、JRと政府の責任を追求しつつ国鉄闘争の全面解決をめざす。
(2)「5.12判決」にも背を向けた地労委・労働委員会の偏向任命糾弾
@.愛労連と地労委民主化会議は、労働委員会の公正な任命を求めた10年裁判で、「@労働運動の系統・潮流を考慮した多様な委員構成を、A任命の統一性、公正性、透明性を担保するためにも任命基準の作成・公表を」の要望・勧告付きの画期的な「5.12判決」を得た。そしてこの間、「今度こそ連合独占の是正を」の要請をつよめ、阿部議長、田中全港湾書記長の2氏を統一候補とし、宣伝・署名、集会・デモ、波状的要請行動に集中的にとりくんできた。全国からも大きな期待と支援が寄せられ、労働者委員経験者37氏、県内の法律・政治学者ならびに弁護士204氏も、独自に知事への要請を展開した。署名は1,824団体、32,616名にのぼった。県も一時は連合独占是正に傾いたとの情報も流れた。
A.しかし11月末、知事と労働部がマスコミに示した第35期委員名簿は、結局はまたも連合独占であった。愛労連は直ちに声明を出して抗議するとともに、任命日には県庁前で100名を超える座り込みを行い、6項目からなる『公開質問状』を出して厳しく知事・労働部を糾弾した。このあと、県は12月16日に「回答」を寄せたが、まったく誠意のない説得力のない回答であり、大義は完全にこちらにある。判決をも無視した知事に民主主義を語る資格はない。新たな訴訟を含めてたたかいの再構築を検討し、公正な委員任命と差別労働行政是正へ、従来を上回る運動を展開する必要がある。
B.中央労働委員会の労働者委員の任命をめぐるたたかいも、2000年10月の任命時期を前に重要な局面を迎える。全労連は、純中立労組懇、MIC(マスコミ文化情報労組会議)による統一候補である磯崎氏(民放労連顧問)の任命にむけて全国に奮闘を呼びかけ、「1万団体署名」を達成して政府・労働省を追い込もうと訴えている。大田知事敗北後の沖縄で県労連の委員が排除され愛知にも響いたと言われるが、中央の動向は全国に決定的な影響を及ぼす。1万団体署名達成へ愛労連も責任を果たし、一日も早く公正任命をかちとってまともな労働委員会を取り戻さなければならない。
V 国民要求の実現、政治の民主的転換
1.消費税の減税、不況打開の共同行動
(1)消費税減税、福祉目的税反対
@.自自公内閣は、年金や介護など社会保障の財源確保を口実に、消費税を「福祉目的税化」して大幅に引き上げる策動を強めている。消費税は、「高齢化社会のため」として導入されたものだが、89年〜98年に徴収された74兆2048億円のうち、高齢者対策(ゴールドプラン)に使われた消費税は5兆2709億円(7.4%)にすきない。また、消費税を販売価格に転嫁できない中小業者・企業の倒産に拍車をかけ、不況をいっそう深刻にしており、消費税の廃止・減税は圧倒的な国民の声である。
A.愛労連は、2000年春闘の重要課題の一つとして、消費税の廃止、当面3%への減税を求める運動を新たな決意で強化する。「消費税を止めさせる連絡会」「消費税をなくす会」などとの共同をつよめながら、新たな「国民過半数署名」の推進、「消費税国民投票運動」「自治体決議運動」など推進する。その手始めとして12月には、県段階で県内の3000以上の労組・団体・医師・業者・老人クラブなどへの申し入れ(郵送)を行ったが、引き続きこうしたとりくみを強め、世論づくりに努める。また国会で「消費税減税法案」の提出・審議と成立をもとめるとともに、「福祉目的税化」・税率アップの策動に反対する。
(2)大型店進出・元旦営業反対、中小零細業者との連携、地域経済振興
大型店の進出や元日営業は、地元の商店・小売業者への影響が大きい。関連する単産や愛商連などと連携し、引き続き反対行動にとりくむ。
売上の急減、銀行の貸し渋りによる資金ぐり悪化、大企業の連結決算などによって中小業者・企業の倒産が相次ぎ、商店街の衰退・まち壊しが進行している。多重債務・商工ローンなどの金融被害が増え、自殺・夜逃げなどの深刻な事態もあとを絶たない。労働組合も中小業者・住民と共同して仕事確保、雇用創出、情報交換などのネットワークづくりをすすめ、地域振興をはかる運動を検討する。
2.教育、食糧・農業、環境など国民的要求実現のとりくみ
(1)反動的「教育改革」反対、「30人学級」実現などのとりくみ
@.国際的な産業再編と競争、日経連の「新日本的経営」にもとづく産業・労働政策が進行するなかで、これと一体となった反動的な「教育改革」の動きが一段とつよめられている。さらに、99年通常国会における国旗・国歌法の強行以降、学校現場はもとより政府・自治体、民間のさまざまな場面で日の丸・君が代の強制がおこなわれている。政府・文部省のいう「教育改革」とは教育に対する国家統制を強化し、教育内容や教育・子どもをさらに歪めるものであり、反動的な「教育改革」推進の担い手づくりをねらうものである。愛高教を中心に危険なねらいを労働者・県民に知らせ、教育要求実現の運動と結合した運動を展開する。
A.政府・文部省の反動的な「教育改革」を推進する立場から、右翼的な教職員団体などを中心に「教育再生・地方議員100人と市民の会」などが結成され、地方自治体への請願行動などをおこなう危険な動きも活発化している。一方、「学級崩壊」「暴力」「登校拒否」「マスコミ文化の退廃」など、子どもと教育をめぐる問題もいっそう深刻さを増している。こうしたなかで、子供たちが人間として大切にされる学校、教育と社会の実現にむけて、広範な教職員、父母、国民との共同した運動に引き続きとりくむ。「ゆきとどいた教育」や「30人学級」の早期実現、私学助成削減反対をめざす運動を大きく展開する。
(2)安全な食糧は日本の大地から
国内農畜産物の価格が暴落しているもとで、政府は外米輸入を続けたままに、豊作で計画を上回った米は「飼料用」として投げ売りする政策などを打ち出している。一方で、消費者は「ニセ新米・ニセ国産米」を押しつけられ、残留農薬・遺伝子組み替え問題の不安にさらされている。一方、注目された先のWTO閣僚会議は決裂という結果となった。これは食糧主権を掲げる多くの国とNGOとがアメリカ主導の貿易ルールづくりに強く反対したからであり、状況は大きく動き始めたといえる。
愛労連・全労連は「食健連」と連携しつつ、@食糧自給率の向上にむけた政策への転換、A各国の食糧主権を尊重したWTO協定への改正、B農家の労働が報われ再生産を保障する価格政策の実現、C食糧の安全を守るための安全行政・検査基準の強化、D学校給食に国産新米を使用する施策などを求める共同の運動をすすめる。
(3)原子力政策に関わって
茨城県東海村の核燃料加工工場で発生した臨界事故を契機に、国の原子力行政に対する国民の深刻な疑問や不安が広がっている。日本では、世界各国が撤退した危険なプルトニウムを利用する方式の原子力発電に固執しており、「安全神話」はまったく根拠のないつくり話にすぎない。しかも、日本の原子力施設は年々増加しており、全国各地に拡散していることから事態はより深刻である。愛労連は政府の無責任な原子力政策に反対し、「原発連絡センター」とともに学習や宣伝、政府・自治体・電力会社への要請行動などとりくむ。
3.くらし・福祉・教育の補助金カット反対、万博・空港こそ見直せ
(1)財政非常事態宣言のもとで厳しさ増す職員・県民犠牲
@.昨年、初の赤字決算を記録した愛知県は、鈴木県政が発した財政非常事態宣言と「第3次行革大綱」をタテに、全国47都道府県で初めて職員の賃金を平均38万円カットする一方、県民のくらし・福祉・教育にかかわる補助金の大幅削減を打ち出し、障害者や福祉関係者、私学関係者をはじめとする県民の激しい怒りをかった。しかし、鈴木県政のあとを受けた神田知事は、6月の補正予算でこそ補助金の削減幅を圧縮したものの、きびしさを増す財政事情の下でたった1,007円(0.23%)の給与引き上げ勧告すら「凍結」し、「1年限り」としていた賃金カットの5年延長を提示するなどいっそうの職員犠牲を強い、あわせて2000年度の予算編成では補助金をさらに3割カットする方向を打ち出している。
その詳細はまだ明らかではないが、マスコミも書いているように、2000年度の補助金は、このままなら98年度の54%程度にまで落ち込むこととなり、障害者や福祉関係者、私学関係者にとっては死活問題となる。また、2000年度の予算編成をすすめている県下の市町村にとってもその影響は必至で、過疎バス路線の維持や下水道整備などの事業にも重大な支障が出ることが予想される。
A.こうした状況下で、99年秋は私学関係者が439万署名を展開し(「私学助成は現行水準を守れ」の請願。12月県議会で採択されたが、最終的な助成がどうなるかは未定)、障害者団体が愛労連の支援も受けつつ師走の連続7日間座り込みを行うなど危機感が高まっているが、賃金カットに越年でたたかう仲間を支援する運動とともに、2月県議会へ向けて、「補助金カット反対、くらし・福祉・教育守れ」の世論をさらに高めるとりくみが求められる。愛労連は、社保協などとともに、2月の県議会(2月21日開会予定)へ向けて団体・個人署名に改めてとりくむ。
(2)万博の是非を問う「県民投票条例制定を求める直接請求運動」を成功させ、県政の流れを変えよう!
@.愛知の財政危機は、バブル期から急増したゼネコン・大企業本位、開発優先の大型公共事業が主要な原因である。県民・職員に多大な犠牲を強い、万博や新空港は「聖域」として飽くまで推進するやり方では、深刻な財政危機の打開はとうてい望めない。そのことに多くの県民が気づき始めていることは2月の知事選挙での影山候補の大健闘でも明らかである。また、5年間の賃金カットを提示された県関係労組が、こぞって「それではいつ、どのように財政危機を打開できるか、見通しを具体的に示せ」と迫っても、県当局がいっこうに答えられない事態からも明白と言わねばならない。
A.このなかで革新県政の会は、影山健ら7氏が発した県民アピール(11.15)に応え、同日の団体・地域代表者会議で、万博の是非を問う「県民投票を求める直接請求運動」への意思統一を行った。そして、投票をすすめる「呼びかけ人」を1000人以上募る、署名集めの中心となる「受任者」を県下各市区町村に1万人以上組織する、広範な「サポーター」を呼びかける、などの運動を具体化し、総選挙の日程を見極めつつ、6月のBIE総会(ここで2005年万博の開催地が正式に決まる)前に県民の総意を確認するために、春闘期に、直接請求に必要な署名=有権者の1/50、11万人以上を集める運動にとりくむことを確認した。
B.直接請求は地方自治法に定められた住民の重要な権利である。万博については前に市民グループがすすめて議会で否決された経緯があるが、あの時と違って私たちには藤前干潟の全面保全をかちとった経験もあり、自然環境保全の世論の高まりに加えて、今回は危機的な県財政のもとで「県民のくらし・福祉・教育を削って、いまなぜ万博か?」とする広範な県民の声がある。署名期間は知事の告示から2ヶ月。市区町村ごとにつくれらた公式の署名簿に、同一地域の有権者が自筆で署名・捺印する(拇印も可)などさまざまな制約もあるが、愛労連としても「受任者」や「サポーター」を積極的に引き受ける組合員や家族をできるだけ多く用意し、労働者部隊だけでも11万の署名を集める気概で、署名が始まったら一気にとりくみを広げ、愛知県政の流れを変える歴史的事業に貢献することが求められる。
C.なお、署名開始時期はまだ定まっていないが、知事選挙を一緒にたたかった市民グループとの協議で2月13日に「共同集会」の開催と後日の「呼びかけ人会議」(記者会見)、署名活動申請の日程等が決まっており、知事による署名許可(告示)はその1ヶ月後には下りると見られるところから、現時点では3月中旬〜5月中旬の2ヶ月間と想定される。この期間に中心的な役割を果たすため、愛労連としても2月13日までに県下各地にくまなく「受任者」「サポーター」の網を張り、3月〜5月は集中的な署名をすすめることが必要になっている。
4.戦争法の発動阻止、憲法改悪反対
(1)戦争法の発動阻止
@.新ガイドライン・戦争法を強行成立させた政府は、法律の具体化に向けた作業を急ぎ、自治体・民間協力についての「解説書」(内閣安全保障・危機管理室、防衛庁、外務省作成)や、必要な政令の策定をすすめるとともに、「正当な理由なき協力拒否は認めない」と、自治体への圧力をつよめている。こうしたなかで、日米合同演習や戦闘服・迷彩服姿の自衛隊の訓練・移動などが頻繁化し、国民の不安がひろがっている。
A.愛労連は、「新ガイドライン反対県連絡会」と共同して戦争法の廃止を求めるとともに、『99防衛白書』が明記している有事立法の法制化に反対し、戦争法の発動阻止を広範な国民世論に高める学習・宣伝を強める。そのため、職場・地域の学習を継続し、「戦争法に協力しない」決議運動を推進する。中央につづいて愛知でも陸・海・空・港湾19労組の共同が成り、さらに「11.21小牧集会」でも連帯が広がっているが、今後も共同を広げてとりくむ。
また、中央20労組が主催し、全建総連、MIC、全労連など多くの労働組合の協賛で開催される「3・4戦争法に反対するシンポジウム」に積極的に参加する。
(2)日の丸・君が代の強制反対、憲法改悪阻止
国旗・国歌法の制定にともなって、政府や自治体、教育などのさまざまな場で日の丸・君が代の押しつけが強まっている。愛労連は愛高教・名高教など教育関係労組と連携し、「日の丸・君が代の強制」に反対し、要請に応える形で地域から学校長、教育委員会、自治体などへの申し入れにとりくむ。
自民党や民主党の党首選挙でも、ほとんどの候補者が「憲法改正」を主張したように、「改憲」にむけた世論誘導が強まっている。愛労連は、「憲法が生きる21世紀」をめざし、生活と労働のあらゆる場面で憲法擁護の立場を貫くとともに、憲法会議などとも相談し、5月の憲法週間へ「憲法改悪阻止」の一点ににもとづく広大な共同を追求する。
(3)沖縄の基地強化に反対するたたかい
日本政府は普天間基地にかわる新基地の受け入れを、沖縄県民、とりわけ名護市に迫っている。稲嶺知事は新基地の条件を「使用期限15年」としているが、当の米軍は「40年の運用年数と200年の耐用年数をもつように設計されている」としており、小渕内閣も「期限15年」は最初から投げている。しかも新基地は普天間の代替機能にとどまらず、その機能は格段に強化され、最新鋭の航空基地建設で県民はさらなる危険にさらされる。
愛労連は米軍基地強化と戦争法の具体化に反対し、沖縄県労連や全労連の要請を受けて、必要な連帯行動にとりくむ。
5.国会解散・総選挙、政治の民主的転換
@.自自公政権は、連立についても政策内容についても国民の合意を得ず、嘘とごまかしの上に成り立っている公約違反の内閣である。マスコミ各社の世論世論調査でも6割以上の国民が連立に反対し、多くの国民が「解散して信を問う」ことを要求している。政権発足直後の長野県参議院補欠選挙での敗北、西村防衛政務次官の「核武装暴言」による辞任、リクルート贈収賄事件に連座した藤波元官房長官の最高裁有罪判決、介護保険問題をめぐる政策的大混乱につづいて、臨時国会では重要法案と位置づけた年金改悪や衆議院比例定数削減法案の成立を断念させられるなど、国民の世論と運動で窮地に追い込まれている。
A.こうした状況のもとで、小渕首相は2000年の通常国会冒頭での解散・総選挙を策しているとも伝えられ、比例定数の削減強行もなお画策している。定数削減は、議会制民主主義を踏みにじり国会で数の暴力を横行させる暴挙であるが、自自公が7割を占める国会の力関係のもとで、場合によっては超スピード成立も予測される。愛労連は、国会の歳費削減をいうなら真っ先に憲法違反の政党助成金を廃止することを要求する。比例定数削減に反対し、「小選挙区制反対、愛知フォーラム」に結集しながら運動を展開する。
B.愛労連は、悪政を強行する自自公内閣の退陣・国会解散・総選挙を強く要求する。総選挙では「緊急4課題」にもとづき、「@大企業のリストラ・首きりを規制し労働者と国民の雇用・生活を守ること、A年金・医療・福祉の改悪を中止し、介護基盤の整備をはかること、B憲法違反の戦争法を発動せず、憲法に明記された平和・民主的原則、基本的人権を守ること、C愛知の独自課題=補助金カット反対、万博・空港こそ見直せ、の要求を支持すること」を要求し、この要求に応える政治勢力の前進へ、学習と討議、宣伝行動にとりくむ。
また、2月の京都市長選挙、ノックのセクハラ辞任を受けて行われる大阪府知事選挙(ともに2月6日投票)をはじめ、春闘と結合してたたかわれる重要な自治体選挙の勝利をめざし、全労連の要請に応えて支援活動にとりくむ。
W 対話と共同の推進、組織拡大・強化
1.対話と共同、労組・中小企業の訪問活動
(1)対話と共同、労組訪問の追求
多くの労働者が未曾有の生活・雇用の危機に直面している今、対話と共同の条件・可能性はさらに広がっており、愛労連運動の飛躍も求められている。20世紀最後の春闘で壮大な対話と共同にとりくみ、21世紀の労働戦線統一の展望をひらくことが重要である。
愛労連は、改めて連合加盟・中立をふくむすべての労働組合への訪問活動をめざし、@「緊急4課題」にもとづくそれぞれの課題ごとの対話と共同、A最低賃金やサービス残業廃止などの切実な要求課題の共同、B「春闘要求アンケート」の共同集約と春闘の情報交換などを呼びかけ、一致する可能な課題で対話と共同を追求する。
(2)中小企業訪問、中小業者との連携
自自公内閣の悪政はみずからの支持基盤をも掘り崩し、あらゆる国民各層との矛盾を拡大している。愛労連は全労連の提起を受け、春闘前段を中心に(日産・愛知機械関連などの)中小企業に対する「一斉訪問活動」を企画する。
そこでは、@日産をはじめとする大企業の身勝手な下請けいじめやリストラを規制し、仕事と雇用を確保する対話をすすめるとともに、A新たな消費税署名への賛同・協力、B「中小企業基本法」や「民事再生法」の改悪への意見、反対への賛同などの対話をすすめ、政治と社会の流れを変えることをめざす。
2.春闘における組織拡大、魅力ある組合づくりのとりくみ
(1)10万人愛労連をめざして
@.愛労連結成10年の春闘にふさわしい組織拡大を前進させるために、あらゆる闘争課題の推進と結合し、すべての単産・地域組織がこの春闘期に目的意識的な組織拡大を推進する。
愛労連として3月〜5月は「組織拡大月間」に設定し、組織拡大推進委員会や幹事会で具体的なとりくみを検討し、集中的な組織拡大運動を推進する。
なお、これと結合して「春闘共闘」の拡大、未加盟組合の愛労連加入促進、そのための労組訪問など意識的にとりくむ。
A.単産・地域は、「職場の多数派形成」「友好労組の結集」「未組織労働者の組織化」を総合的に重視し、「春闘期の組織拡大計画」を具体化して推進する。
また、@中小企業労働者の組織化、Aパート、臨時、派遣労働者の組織化、B新入社員・青年層への働きかけ、C中間管理職層の結集と組織化、D失業者の連帯と組織化(失業者ネット)の援助、E単産OB組合員の年金者組合への加入促進など、それぞれの階層・分野別の政策・方針の確立をはかる。
B.2月後半(2.25)に愛労連として「50万枚の組織宣伝」を実施し、3月3日(金)婦人協の「働く女性のホットライン」につづいて4日(土)には「県下5ブロック、一斉労働相談」を実施する。
C.「愛労連パート部会」の発足をめざしつつ、当面「パート集会実行委員会」を継続し、春闘期にはパート向けの春闘宣伝、組織拡大の訴えに集中的にとりくむ。また、そのためにも魅力ある「パート春闘」を工夫する。当面は、2月28日に「パート・臨時の要求交流集会」を成功させる。
D.年金者組合への組織化をどの単産・地域も意識的に追求する。3月の退職期に向け、『年金者組合への加入のお誘い』の配布を早くからとりくむ。
E.青年協、婦人協も、それぞれふさわしい魅力ある春闘を工夫し、あわせて意識的な対話と共同、組織拡大にとりくむ。
(2)学習・討論の重視、職場活動の強化
@.春闘は労働者の組合活動への関心と期待がもっとも高まるときである。労働組合が、職場に発生するあらゆる問題に発言力をもち、仲間の団結した絆で結ばれた職場社会を築くために、その役割を発揮することを多くの仲間が期待している。その期待に応え、2000年春闘で職場の全構成員の「目に見える」要求実現をかちとるためには、労働組合の原点である職場活動を活性化し、全組合員参加の春闘としてたたかわなければならない。そのためにも、学習や宣伝・調査活動、要求討議、執行委員会の定期開催、政策提言、青年・女性部活動など、労働組合の日常活動を着実にすすめる。
A.とりわけ、学習・討論の強化は春闘勝利のもっとも重要な土台である。愛労連や単産・地域労連の春闘方針を軸に、「情勢」「要求課題」「運動論」の学習活動を旺盛に展開する。
そのための学習資料として、各単産などが発行する「春闘討議資料」などとともに、全労連が発行する「2000年春闘白書」(労働総研編・学習の友社発行)や「全労連春闘パンフ」などを積極的に活用し、学習運動の盛り上げをはかる。
X 春闘の闘争体制の確立と主な日程
1.闘争体制の確立
広範な労働組合、大産別共闘などと連携し、春闘共闘委員会を拡大強化して2000年春闘を前進させる。
また、21世紀にむけ地域からの運動がいっそう重要になる情勢を見据え、地域春闘の前進を目的意識的に追求する。全労連の提起する「女性春闘」「青年春闘」「シニア春闘」「パート春闘」など階層・分野別の結集と共同のとりくみも重視し、共同の隊列をいっそう広げながら、元気で魅力ある2000年国民春闘の展開に努める。
2000年春闘要求の実現、政治と社会の民主的転換、労働組合組織の強化などをめざして、単産・地域が総ぐるみとなった春闘をたたかう。そのために、春闘期の幹事会や各種会議を重視し、そこでの交流・討議の活発化に努める。
2.春闘前段の統一行動の展開
@.愛労連・春闘共闘は、12月の討論集会に続いて、1月8日の新春大学習会を多数の参加で成功させたが、2000年春闘の出足早い闘争展開をめざし、「ビクトリーマップ」や各種のビラ・宣伝物などを活用し、引き続き学習と意思統一、職場・地域からの宣伝行動を重視してとりくむ。
A.全労連は、リストラ・首切り競争や賃下げの促進を強調する日経連に対し、1月12日の臨時総会にあわせて「包囲・抗議行動」を展開した。また同日に国民春闘共闘委員会の「幹事会総会」を開催し、2000年春闘への決起・意思統一をはかった。
そして、リストラ・賃下げが「当然視」されるような社会的風潮を変えることに力点を置き、全国各地での大量宣伝行動を呼びかけつつ、1月25日には1万人規模の「日産本社包囲行動」も呼びかけている。愛労連は全労連の提起に応え、この行動に100名(うちJMIU40名)の代表参加を組織する。
また、愛知におけるトヨタの影響を重視し、「2.6トヨタシンポ」「トヨタ総行動」(日程は調整中)を西三河ブロックと共同して成功させる。
B.全労連は2月8〜9日に「雇用・失業対策地域組織代表者会議」を開催し、自治体に対する公的就労事業の創出・雇用確保のたたかいや、「失業者ネットワークづくり」の運動などについて全国的な交流をはかる。また、2月16日に争議支援全国総行動を展開する。愛労連も、これに積極的に参加する。
C.全労連は、2000年春闘では地方・地域からの統一行動を重視し、2月25日(予定)に「日本列島・怒りの総行動」を計画している。
愛労連・春闘共闘もこれに呼応し、単産・地域が一体となり、広範な民主勢力とも共同する大規模な「総行動」を実施する。ここでは職場の決起集会とともに、宣伝、集会・デモ、労組・自治体訪問など、愛労連のすべての組合員が参加することを何よりも重視し、創意的な行動を工夫する。
D.全労連はまた、3月7日(予定)に全国動員による「春闘中央行動」を計画し、霞ヶ関・国会周辺を騒然とさせる終日行動を展開する。また「中央行動」と連動して、国民大運動実行委員会などと共同し、国民要求実現の数万人規模の「国民集会」開催も検討している。愛労連も、これらに積極的にとりくむこととし、「3.7中央行動」には100名程度の上京団派遣を検討する。
3.ストライキを含む全国統一行動
@.全労連は、2000年春闘では結集するすべての組合が要求を提出し、ストライキ権を確立することを重視し、単産・地方組織の援助と指導を強めるとしており、対使用者要求は2月末までに提出を完了するよう呼びかけている。そして、賃金など春闘要求の「集中回答日」は3月15日(水)に設定し、この日までに全組合が賃上げの有額回答を引き出すよう、回答確約行動の徹底を訴えている。愛労連もこの日程にあわせて2月中の要求提出、「3.15」を中心とする回答引き出しに全力を挙げる。
A.全労連は、集中回答日の翌日(3月16日)にストライキを軸とする「第1次全国統一行動」を配置し、不当な低額回答や回答引き延ばしに対しては断固とした抗議行動を実施しようと訴えている。またここでは、賃上げ回答とともに「最低賃金の確立」「サービス残業の根絶」「労働者保護法の制定」なども掲げて、すべての組合が短時間でもストライキ・時間食い込みの職場集会などで決起しようと呼びかけている。
愛労連も、全労連のこの提起を積極的に受け止めてたたかう。また、愛労連・春闘共闘として、2000年春闘最大の決起集会を3月16日夜、久屋市民広場で開催する。なお、東三河、岡崎額田、西三南、豊田加茂、一宮、尾北、尾東、尾中、知多では地域での決起集会も検討する(地域集会を組まない地域はすべて久屋に結集する)。
B.どの組合も「新年度賃金の3月末決着」を基本に賃金闘争をたたかい、全組合が春闘の早期決着をめざして奮闘する。
同時に、全労連が、要求実現・未決着組合の解決、国民諸要求実現をめざして4月中旬に配置を検討している「第2次全国統一行動」についても、積極的に受け止めてたたかう。
C.春闘をたたかいつつ、20世紀最後のメーデーを成功させる(白川公園での愛知県中央メーデーも、地域のメーデーも大きく成功させる)。
また、国会情勢などをにらみながら5月段階でも計画される全国統一行動を愛労連としても成功させる。また、中央の陸・海・空・港湾20労組が検討している戦争法案の発動を許さない「国民大集会」(5月・代々木公園?)などにも積極的に参加する。
4.2000年春闘の主な会議・行動日程
1月 |
15日(土) |
大企業ネットワーク/自治労連、京都市長選挙応援。 |
17日(月) |
県公務共闘、賃金・補助金カット反対決起集会(名城東) |
18日(火) |
愛労連、第9回雇用・リストラ対策委員会 |
19日(水) |
国鉄闘争「ILO勧告」学習会(中小企業センター) |
20日(木)〜21日(金) |
全労連第25回評議員会 |
23日(日) |
愛労連第22回臨時大会(中村区役所講堂)
自治労連、大阪府知事選挙応援。 |
25日(火) |
日産包囲1万人集会(日比谷野音)→愛知から100 |
27日(木) |
伊勢湾陸運など争議の解決めざす1.27名古屋港集会 |
2月 |
6日(日) |
トヨタシンポ。/京都市長選挙。大阪府知事選挙。 |
10日(木) |
調整手当改悪阻止、公務共闘昼休み決起集会 |
13日(日) |
革新県政の会・求める会「共同集会」、記者会見。→「万博の是非を問う県民投票」を求める直接請求署名の申請へ。 |
16日(水) |
争議支援全国総行動、国鉄集会 |
19日(土)〜20日(日) |
全労連東海北陸ブロック 春闘学習討論集会(竹島) |
22日(火) |
地労委民主化会議、総会 |
25日(金) |
「日本列島・2.25怒りの総行動」 |
2月末日まで |
春闘要求提出完了 |
29(火)〜3月1日(水) |
3・1ビキニデー |
3月 |
3日(金)〜4日(土) |
リストラ「合理化」反対全国交流討論集会 |
3日(金) |
働く女性のホットライン
調整手当改悪阻止、自治体労働者決起集会 |
4日(土) |
5ブロック一斉「労働相談110番」
戦争法発動阻止、中央20労組シンポジウム |
7日(火) |
3.7中央行動(霞ヶ関中心の省庁要請、集会・デモ) |
13日(月) |
重税反対全国統一行動 |
15日(水) |
春闘集中回答日 |
16日(木) |
ストふくむ第1次全国統一行動(集中回答日翌日)
愛労連・春闘共闘、春闘勝利総決起集会(久屋市民広場) |
3月中旬〜 |
万博の是非を問う「県民投票条例」の制定を求める署集中月間(〜5月中旬) |
24日(金) |
名古屋・あおぞら裁判、「春を呼ぶ中電包囲大行動」
→ 昼休み1000人デモなど。 |
29日(水) |
全動労裁判判決日・地裁前集会 |
3月下旬 |
3月決着をめざす全国統一行動(予定) |
4月 |
中旬 |
第2次全国統一行動 |
20日(木)〜21日(金) |
全労連第26回評議員会 |
5月 |
1日(月) |
第71回メーデー(県中央=白川公園を予定) |