内閣総理大臣   森  喜朗 殿

国土庁長官    扇  千景 殿

東海豪雨災害被災者への万全の対策

災害被災者の生活基盤回復と「二次災害」防止のための

緊急対策の実施を求める緊急要請書

2000年11月17日

 

愛知県労働組合総連合

議 長  阿部 精六


 9月11日から12日にかけて東海地方を襲った集中豪雨災害から約2ケ月がたちましたが、水が引いたからといって、冠水で崩れた壁や、家財、思い出が戻ってくるものではありません。

 今回の大災害の背景には、河川改修の大きな立ち遅れがあり、被災者にまともな食事も配給できなかった問題など、防災体制、避難体制に重大な欠陥があったことは明らかです。物質的な損害だけでなく、心のケアに対する責任も含めて、「人災」の声が高い今回の災害での行政の対応が問われていると言えます。

 阪神・淡路大震災被災者支援をきっかけに被災者生活再建支援法が成立しましたが、所得制限が厳しく、全壊世帯で最高100万円にすぎず、とうてい生活再建をはかるものとはなっていません。さらに、使途制限が実態にそぐわないものとなっているだけでなく、今回の東海豪雨のような水害災害には、何ら救済の手が届かない内容となっています。

 毎年どころか、今年だけでも有珠山噴火、三宅島噴火、東海豪雨、そして鳥取の大震災と連続するなど自然災害の多発するわが国では、すべての国民に関わる問題といえます。

 被災された方々の生活は、本当に深刻な状況にあります。工場が冠水して機械が使いものにならず、負債を抱え途方にくれている中小業者やそこに働く労働者をはじめ、多くの被災者に「生活のメドが立たない」深刻な状況が続いています。

 災害被災者への緊急対策に万全を期すとともに、国として長期的視野に立って、自然災害被災者の生活基盤への新たな公的支援をおこなうとともに、不要不急の公共事業を見直し、徹底した防災対策を急ぐなど、「災害列島」ともいえる国土に立脚した対策を強く求めます。

 

 

1.被災者の生活再建へ実態の把握を急ぐとともに、支援の体制を充実すること。

 @ 5年をめどに見直すとされている被災者生活再建支援法の見直しを直ちにおこない、支給金額を500万円(現行100万円)に引き上げ、所得・年齢・使途など支給条件を大幅に緩和し、すべての被災者に支給すること。改正されるまでの間、被災者の救済をはかるため弾力的運用をはかること。東海豪雨災害被災者も対象とすること。

 

 A 災害救助法の適用を受けられない自治体では、同様の水害被害を受けていても被災者が救済されないなどの困難が生じている。適用基準について緩和するなど、災害救助法適用地域以外の被災者にも等しく救援の手が届くようにすること。

 

 B 住宅や工場など個々の被害・再建状態について自治体などと協力して、その事態を早急に把握すること。災害によって収入の道を絶たれている被災者へは、当面の生活費を支給すること。自家用車等への被害についても、その実態を把握し被災者支援について検討すること。

 

 C 生活福祉資金・災害援護資金の貸付利息3%を無利子とし、希望するすべての被災者に適用すること。政府系及び民間の金融機関からの融資についても被災者の負担軽減につとめるよう地方自治体、金融機関に要請すること。

 

2.営業、営農が成り立つように実態に即した融資条件での緊急融資をおこなうよう、地方自治体、金融機関に要請すること。

 

3.被災施設・家屋の改修など、緊急事業として位置づけて「緊急地域雇用特別交付金」を大幅に増額するなど、地元業者の再建にも役立つ事業としておこなうこと。

 

4.激甚災害指定をするなど、被災自治体がおこなう独自の支援策について地方交付税の前倒し支給をはじめ積極的な財政援助をおこなうこと。

 

5.土砂災害や河川の氾濫など危険個所の点検と監視を強めるとともに、「2次災害」防止のための緊急対策を実施すること。

 被害状況と防災上の問題点、危険個所などすべての情報を公開するとともに、災害から深く教訓をつかみ、抜本的な対策を立てること。とりわけ、明らかになった防災対策の遅れには抜本的な手を打ち、二度とこうした災害を繰り返さないために、河川管理や排水管理、防災チェック、防災事業を徹底して重視すること。

 

6.「愛知県を中心とした東海地方への集中豪雨(東海豪雨)による災害復旧に関する緊急要望」として、愛知県から要望のあった事項については早急に実現をはかること。

 

以上


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