愛労連2000年度総括と2001年度運動方針

2000年9月3日

愛労連第23回定期大会



【目次】

T.2000年度運動をふりかえって

1.はじめに ―愛労連・全労連「出番」のとき

2.リストラ・賃下げを許さない! ―県内3争議の解決と「共同」の前進

3.悪法阻止、「解雇規制・労働者保護法制定」「年金改悪反対」のたたかい

4.愛労連運動1年の主な流れ

5.とりくみの到達点 ―今後の展望につながる「共同」のひろがり

6.今後の課題

 

U.情勢の特徴と2001年度のたたかいの基本方向

<情勢の特徴>

1.経済グローバル化と財界の21世紀戦略、「人間らしく生き働ける社会」の要求

2.歴史の歯車を逆回転させる「日本改造」計画、県民に背を向けた愛知県政

3.国民生活を破壊する社会保障、行財政、教育などの改悪、県政・市政転換の重要性

4.労働者・国民のたたかいの前進と共同の発展

<21世紀初頭へ向けた愛労連の7つの基本目標>

<たたかいの基本方向>

1.組合員を主人公とする職場の日常活動、職場闘争の再構築に努め、新たに多数の組合活動家を育てます

2.要求と職場を基礎に地域と単産に結集し、全県・全国闘争の前進で要求実現をめざします

3.すべての国民の支持と連帯を結集し、社会的・国民的な運動を前進させます

4.経済闘争と政治闘争をしっかりと結合してたたかいを前進させます

 

V.主要課題とそのとりくみ<たたかいの経過と総括+2001年度の基本方向>

1.国民春闘と賃金闘争

2.雇用確保、リストラ「合理化」反対、働くルールの確立のたたかい

3.行革・規制緩和、国鉄闘争と労働委員会の民主化、争議解決、いのちと健康を守るたたかい

4.くらし・福祉・教育、営業を守る共同のたたかい

5.平和と民主主義、政治の民主的転換

 

W.「対話と共同」の前進、愛労連の拡大・強化をめざして

<たたかいの経過と総括>

1.10万人愛労連をめざして

2.地域労連の活動強化

3.学習・討論の重視、職場活動など組織の強化

4.愛労連10周年記念事業について

5.専門部・部会等の活動

6.婦人協の1年間の活動

7.青年協の1年間の活動

<2001年度の基本方向>

1.「対話と共同」の前進、組織拡大・強化

2.専門部・部会等の活動

3.婦人協の活動

4.愛労連青年協の活動


T.2000年度運動をふり返って

1.はじめに−愛労連・全労連「出番」のとき

 2000年度は長期化した消費不況のなかで、大企業の横暴なリストラ・首切りと賃下げ攻撃が際だった一年でした。日産・ゴーンプランをはじめ、莫大な利益をため込んだ多くの大企業が「企業間競争の生き残り」「国際競争力強化」名目での人員削減計画を次々に打ち出し、失業者が350万人・5%に迫って史上最悪を更新、労働者・国民に不安をひろげました。リストラ対象とされた中高年の自殺も増え、男性の平均寿命が下がったとも報じられました。若者の就職難も深刻で、「父は子の、子は父の職、心配し」という川柳も生まれています。

 賃下げ攻撃も進行中です。日経連などは「日本の賃金は世界最高水準」と主張し、春闘でも逆攻勢に出ましたが、業績好調で労働者一人あたりの内部留保が7千万円を超えたトヨタでもベア500円の回答にとどまり、賃下げの「逆提案」も相次ぐなかで、平均は2%を切って史上最低でした。これには連合・JCトップも「遺憾」(鷲尾会長)、「無念」(造船・吉井委員長)、「痛恨」(鉄鋼・荻野委員長)と言わざるをえず、サービス残業の蔓延とあわせて、労働者の不満はきわめて大きくなっています。

 こういうときこそ政治の役割が重要です。しかし小渕自自公政権とそれを引き継いだ森自公保政権は、アメリカと財界・大企業の要求は丸飲みしても国民の苦しみには無頓着で、リストラ促進、大銀行・大企業支援、年金改悪、雇用保険改悪など、労働者・国民いじめの悪政を続けています。

 これに対して、広範な労働者・国民に不満と怒りがひろがり、たたかう労働組合や政治を変えてくれる野党への期待が高まっています。労働相談110番に組合づくりの相談が増えていること、総選挙で自公保の与党3党が65も議席を減らし、「比例」では与野党の得票が42:57と逆転したことなどはそのあらわれです。県内でも財政破綻をきたした愛知県が賃金・補助金を削りながら万博や空港に固執する姿勢に批判が高まっています。

 こう見てくると、今はまさに愛労連・全労連の「出番」であり飛躍のチャンスです。

 89年11月、「労働組合の3原則」にもとづいて組織を結成し、要求を基礎に原則的にたたかってきた愛労連は、いま23単産・25地域に根を張る組織に成長しました。そして、県内のすべての労働者・県民を視野においた要求運動をつみあげるとともに、中電人権訴訟をはじめ数々の争議を勝利に導く上で重要な役割を果たし、「頼りになる労働組合」として歩みを刻んできました。愛知共済会を立ち上げ、愛知労問研・愛知働くものの健康センター・愛知学習協などとの提携を強化し、多くの民主団体と様々な要求運動や住民運動、革新・民主の自治体づくりも追求してきました。

 また、この3年間は「対話・共同」路線と地域を中心に全組合員参加をめざす「総行動」方式を発展させつつ組織と運動を強化し、「労働相談110番」も充実させて昨秋10周年記念行事を祝い、3月にはホームページも開設しました。影山候補が80万に迫る得票をえた昨年の知事選挙や、この春「万博県民投票」運動で果たした役割も特筆に値します。

 しかし、労働者・県民の状況から見ると小成に安んじてはおれません。いま一度初心に立ち返って組織と運動を見直し、@「見える・頼りにされる・心の通う」職場と地域の活動を自主的・創造的につくりあげ、A「対話・共同」の徹底をはかり、B単産と地域が協力しあって「10万人愛労連」へ奮闘することが求められます。

 

2.リストラ・賃下げを許さない!−県内3争議の解決と 「共同」の前進

 リストラの波は県内でもきびしいものがありました。昨年から日産・愛知機械、三菱自動車、トヨタ車体、新日鐵、NTT、松坂屋、松下電子・・と工場閉鎖や大量人員削減の計画発表が相次ぎました。その後も東海・あさひ・三和の3行統合と1万人の削減計画(のち、あさひが離脱し東陽信託との3行合併・6500人削減に変更)、総合商社ニチメンの名古屋支社閉鎖、共栄証券の廃業、第一火災の一部業務停止など金融・商社・証券・損保の激震が続きました。「部品納入はOKというがコストは2割減、栃木への輸送費は自分持ち。これではやっていけない」と語ったのは愛知機械の関連企業ですが、大企業のリストラが中小に及ぼす影響も甚大で、利益のためには労働者も下請けも平気で犠牲にする大企業の横暴が目立ち、これとの闘いが焦点となった一年でした。

 日産関連の愛知機械港工場が閉鎖予定の全国5工場の一つだったため、愛労連は全労連が設置した「日産リストラ対策委員会」に加わり、昨秋以降、これを最重点課題の一つとして、県内の大企業のリストラを同時に追及する形でたたかいました。

 また、新たに「大企業ネットワーク」(大企業労働者との情報交換の場)を立ち上げ、全労連に学んで「リストラ対策委員会」も発足させました。その力も借りて「大企業の横暴・勝手なリストラノー」の運動をすすめ、労基局、経営者団体、県労働部などへの要請にもとりくみました。そして、これらの闘いとあわせて木村刃物、日本IBM、第2菱名など仲間の争議支援に全力を尽くし、その早期解決をかちとることができました。このたたかいでJMIUや建交労、瑞穂区労連、尾中地区労連などの果たした役割は重要で、その奮闘は特筆できます。詳しくは「課題別総括」でふれますが、「不況打開、くらし・雇用・福祉を守る11.17総行動」や「2.25愛知怒りの総行動」なども運動の節目になり、世論づくりや争議解決に貢献したことも評価できます。

 リストラ・賃下げは民間だけではありません。国家公務員25%削減、10年で4千人削減をねらう県の「第3次行革大綱」、調理員など現業を中心に民間委託化・パート化・雇い止め提案が相次いでいる自治体リストラと、昨年は国も自治体も人員削減攻撃が続きました。賃金でも、民間の低額春闘が響いて夏の人事院勧告は史上初の年収ダウン勧告でした。また、全職員が生涯賃金で1千数百万円もの減収となる大改悪を提示された豊橋市職をはじめ、多くの自治体労働者に賃金改悪攻撃がかけられました。

 これに対し、県国公、愛高教、自治労連などの仲間はこれらの攻撃を全組合員ではね返すべくたたかい、「共同」も大きくひろげました。豊橋市職労が賃金大改悪を市民にも訴え、「11.2全県支援起集会」では1,600名もの組合員が結集して頑張ったこと。深刻な財政危機から昨年、全国のトップを切って賃下げを強行された県関係職員が12月の「賃金3.5%、一時金8%カットの5年間継続」という知事提案に反発して越年闘争に入り、18年ぶりの屋外集会・デモや初の徹夜交渉を含む歴史的な闘争をたたかったのは典型的です。また、国公や自治労連を中心に、「名古屋市10→6%への切り下げ」を狙う調整手当「見直し」攻撃を波状的な宣伝・集会・要請行動と多くの公務員労働者の「共同」ではね返したとりくみも教訓的です。

 

3.悪法阻止、「解雇規制・労働者保護法制定」「年金改悪反対」のたたかい

 この一年、小渕自自公政権とそのあとを受けた森自公保政権は、財界・大企業本位の「規制緩和」、大銀行・大企業支援のための巨額の税金投入、中小企業基本法改悪、労働者派遣法・職業安定法・雇用保険法など労働法制のあいつぐ改悪、産業活力再生法(=リストラ支援法)につづく会社分割法=商法「改正」とそれとセットでの労働契約承継法案(会社分割に伴う転籍に「本人同意」必要なし=民法625条1項が骨抜きに!)など、国民泣かせの悪政を重ねました。

 他にも、問題だらけの介護保険制度導入、支給開始年齢を65歳に繰り延べ賃金スライドを廃止した年金改悪など、まさに悪政・悪法のオンパレードでした。周辺事態法など新ガイドライン関連法、盗聴法、国旗・国歌法など昨年夏の一連の悪法強行とも関連して、自自公・民主の賛成で国会に設置された「憲法調査会」の急ピッチでの討議にも警戒が必要で、憲法「改正」への地ならしが始まったと見るべきでしょう。

 これらは、国と地方で645兆円と増え続ける借金、「無駄の多い大型開発=公共事業に50兆、社会保障には20兆」という逆立ちした税金の使い方などとあわせて国民の大きな心配・不満になっており、自民党政治の行きづまりや「ルールなき資本主義国・日本」の問題点がはっきりした一年でした。

 愛労連はこのなかで、「年金改悪反対」と「解雇規制・労働者保護法制定」を秋闘〜春闘の最重要課題とし、幹事会での学習、「総行動」時の大量宣伝、関係機関への申し入れ、中立や連合労組への訪問などとともに、組合員に旺盛な署名運動を呼びかけました。また、全労連が呼びかける国会前での座り込みや議員要請にはできるかぎり代表を送り、悪政・悪法阻止のたたかいを展開しました。

 詳しくは「課題別総括」に譲りますが、この年金改悪と解雇規制・労働者保護法のとりくみは連合や全労協も含めてすべての労働団体がとりくむ共通課題となり、国会前での共同座り込みや双方のエール交換など、しばしばマスコミにも紹介される闘いとなりました。民主・共産・社民の院内3野党共闘の継続は、労働団体が一致してとりくんだ結果でもあり、いったん委員会採決が強行された年金法案を国会内外の抗議で差し戻させた経験などとあわせて、今後の教訓となるものです。

 なお、署名は年金が6万強、解雇規制が4万弱にとどまり、与党3党の数の暴力のために要求も最終的には実りませんでした。ただ、すべての労働団体がとりくんだこの2課題についての私たちの要求は国会審議を経て「付帯決議」に一部反映しており、たたかい次第では今後に生かすことも可能です。現行法の問題点を批判して国会に抜本改正を要求すると同時に、後者については、勝手な解雇や労働条件切り下げを許さぬために職場闘争を強化し、経営者との直接交渉でしっかりした労働協約や確認書を結ぶたたかい、いわゆる「協約闘争」を組織することが求められます。

 

4.愛労連運動一年の主な流れ

 以上のように愛労連は秋季年末闘争から2000年春闘前段を中心に、財界・大企業や国・自治体の理不尽なリストラ・賃下げ攻撃に一貫して立ち向かい、雇用と賃金・権利を守る闘いをすすめました。委員の公正任命をめざす地労委民主化闘争、県内の争議支援と国鉄闘争、年金・介護を中心とする社会保障闘争にもとりくみました。12月上旬、補助金カットに抗議して障害者団体が県庁前で決行した7日連続の座り込みも連帯して支え、「この時期になぜ万博・空港か」の思いを共有し、ひろげました。自治体の賃金確定や越年となった県の賃金確定闘争については既に述べたとおりです。

 春闘にむけては秋から「要求アンケート」にとりくみ、12月はじめの討論集会や単産・地域の学習会などを経て臨時大会(1月下旬)で要求・方針を確定、以後、「2.25総行動を経て、2月中の要求提出、3月15日回答指定日、翌16日にストを含む全国統一行動」の日程を確認してたたかいました。また、年金改悪はじめ悪法阻止、解雇規制・労働者保護法実現など秋闘から引きつづく制度政策要求も重視し、2月総行動ほか節々で署名・宣伝に努めました。秋〜春闘期間を通じて「対話・共同」を重視し、労組訪問をすすめたのも、悪政阻止を掲げて解散・総選挙を求めたのも特徴でした。

 この間、官民の単産と地域労連が協力してとりくんだ主な統一行動は、@介護要求を軸に社保協・自治労連と共催ですすめた10月自治体キャラバン、A「不況打開、くらし・雇用・福祉を守る11.17総行動」(=秋としては前年につづき2回目)、B「不況打開、リストラ・首切り反対、補助金カットやめよ、万博・空港見直せ2.25怒りの愛知総行動」=3回目、C春闘山場でのストライキを含む全国統一行動と、久屋広場での「春闘勝利3.16総決起集会」などでした。

 第71回メーデーは県下8カ所で開催、県中央メーデー(名城公園)は1万人参加。地域メーデーは、尾東、安城、一宮、東三河(豊橋、蒲郡)、尾中、尾北、(西三河/前夜祭)でおこなわれ、2,000人の仲間(労働者、女性、業者など)が参加しました。

 また、3〜5月の2ヶ月間、革新県政の会に結集する多くの団体・個人と「万博・県民投票」の直接請求運動に集中的にとりくみ、つづいて「政治の民主的転換」を求めて総選挙(6月13日公示、25日投票)闘争に入りました。「職場内のたたかいだけでは限界。政治を変えなければ」の思いが広範な労働者・国民にひろがるなかでのたたかいでした。

 

5.とりくみの到達点 −今後の展望につながる「共同」のひろがり

 結果としてこの一年は、愛労連・愛知春闘共闘に結集する労働組合や多くの民主団体のたたかいにもかかわらず、私たちの要求の多くは大企業の横暴と国・県の悪政の前に実現を阻まれました。10年裁判でかちとった画期的な「5.12判決」を武器に、今度こそと意気込んだ地労委民主化闘争でも、あと一歩のところで阿部・田中両候補は外され、6度目の偏向任命が強行されました。リストラの嵐は止まず2000年春闘の結果も史上最低に終わりました。

 しかし、闘い抜いた仲間に敗北感はありません。日産・ゴーンプランをはじめ財界・大企業の横暴・勝手なリストラ・人減らしや「ルールなき資本主義」への不満・批判は、連合傘下の大企業労働者を含めて圧倒的な労働者にひろがり、労働法制や会社分割・労働契約承継法案、年金改悪などでは連合も大衆的反対行動を組む事態に発展しました。「ヨーロッパなみの解雇規制・労働者保護法制定を」の要求はすべての労働団体に共通の要求となり、国会内外での同時多発共闘も珍しくなくなりました。

 「この国はこのままではいけない」の思いが、大企業や自民党政治に苦しめられている労働者や中小企業経営者だけでなく、一部財界人に拡がりだしたのも特徴です。かつてのソニー・盛田会長の発言は有名ですが、奥田日経連会長の「首を切るなら腹を切れ」「ものづくり日本の危機」の発言も財界トップの問題意識・危機意識をそれなりにあらわしており、問題によってはかつてなく広範な「共同」の可能性を示しています。自公保の与党3党が現有議席を65も減らし民主党が躍進した総選挙結果にも、悪政への怒り、「政治を変えたい」とする広範な「無党派」層の意思を見ることが出来ます。

 このなかで私たちは貴重な「成果」もかちとりました。昨年の大会で支援を誓った木村刃物など3争議は勝利的に解決し、賃金・補助金カット反対で拡がった「共同」は「これ以上のカットは基本的に見送り」の線まで押し返しました。名古屋の調整手当10%も守りぬきました。「万博・県民投票」の運動でも、海上の森を破壊する新住宅事業や関連道路の建設中止を早々とかちとり、短期日の間に法定必要数の約3倍(31万超)の有権者署名を集約しました。福祉医療でも、県の削減強行のなか、名古屋をはじめ多くの自治体に迫って改悪を見送らせることができました。運動の成果です。

 これらは、先にあげた大企業職場での労働者の変化、私たちの「対話・共同」と総行動の前進、3与党が大幅に後退した総選挙結果、さらには労働相談110番への相次ぐ電話や新労組結成などとともに、21世紀への可能性を示しています。結成から10年間も「全労連排除」の姿勢をとりつづけてきた政府が、労働組合基礎調査の方式やILO労働者代表の選任をめぐって一定の変化をみせたのも注目されます。

 

6.今後の課題

 以上のように、多くの労働者・国民がくらしや雇用、老後などに不安を抱え、「現状を変えたい」と願っています。共同の可能性、愛労連「飛躍」の条件が拡大しており、それが切に望まれてもいます。しかし、そのためには克服すべき課題も多く、手をこまねいていれば現状さえ掘り崩されるというのもまた現実です。賃金・雇用・権利を掘り崩し、21世紀に向けて反動的な国づくりをめざす政府・財界に立ち向かって要求を実現し組織を発展させるには、次の課題の克服が求められます。

 

(1)日常の職場闘争の再構築、組合活動家の育成を

 労働相談110番に組合づくりの相談が増え、新たな組合結成が相次いでいる一方で、既存の組合のなかで日常的な職場活動が弱まっており、労働組合の魅力が見えない、若い活動家が少ないという指摘が出ています。

 職場こそ労働組合の原点、組合員の成長の場です。「安心して働き続けられる、心の通う職場」をつくり「誇りを持って働く」ために、要求に根ざした生き生きした職場活動・職場闘争の再構築へ、どの単産も意識的にとりくむことが必要です。

 また「新入組合員の教育」はもとより、「労働組合活動、職場活動のノウハウ」「労基法、労安法、労働組合法」の学習を含め、「労働者がともに学びあい育ちあう場」の設定と「オルグ養成」など、組合活動家の計画的な育成も重要です。

 全労連の「10万人オルグ」の提起から3年がたちましたが、愛労連としても単産・地域としても、改めて方針の具体化をはかる必要があります。

 

(2)「対話・共同」と「総行動」で、多数の労働者・住民が共感できる「国民春闘」の構築を

 政府・財界の攻撃が巧妙・熾烈になっているなかで春闘が敗北を重ねています。パート・臨時・派遣など非正規労働者の増大(全労働者の27%に)、全体の7〜8割にものぼる未組織の存在(組織率=22%)、資本との対決を避ける連合・JC、「成果主義」賃金による労働者の分断などから、春闘が曲がり角にあるのは明らかです。加えて愛労連・全労連の場合、民間は中小零細が圧倒的で経営基盤を考えると要求も出せない組合も少なくなく、賃上げ中心の企業内のたたかいだけでは限界があります。そしてこれは、深刻な財政危機のもとできびしい賃金・定員削減、自治体リストラ攻撃を受けている公務員労働者も同様です。

 民間で言えば、中小零細企業の経営と労働者の賃金・雇用をともに守っていくために、「大企業の横暴規制、適正な工賃・商取引と中小零細企業・地域経済の発展」「生活できる最低賃金と賃金の底上げ、安心して働くルールの確立」が重要ですし、公務員の場合は「無駄な大型公共事業の見直し、住民のくらし・福祉・教育の充実へ税金の使い道を改めること」とセットで賃金・権利と雇用とを守らせるたたかいが必要です。つまり、中小零細業者や地域住民が共感し参加できる文字どおりの「国民春闘」をめざすことです。

 そのためには、中小零細企業の経営者や地域住民との「対話・共同」と全組合員参加の「総行動」によってそれを自治体や商工会議所なども含めた地域の「合意」にしていくとりくみが求められます。民間部会、官公労部会(公務共闘)で検討し、その具体的な方針を練ること、そして官も民も協力し合う「国民春闘」をつくることが重要です。

 

(3)自らの要求で地域に出ること、地域春闘と地域労連の強化を

 多くの労働者・住民が共感し参加できる「国民春闘」をつくるためには、できるだけ多くの組合員が自らの要求で地域に出ること、地域労連の仲間の共感を得、地域労連が中心となってとりくむ「地域春闘」をつくることが必要です。

 単産も地域労連もこのことに努力すると同時に、愛労連として地域労連の実態や悩みを再点検し、「地域労連の強化」(=「地域労連が目に見え、みんなに認知されること、市民権を持つこと」をめざして)に向けて具体的な手だてを講じる必要があります。

 愛労連加盟のすべての単組、支部、分会に、地域労連に結集してもらうにはどうするか、地域労連ごとの「到達目標」を設定し「○カ年計画」をもって段階的に強化していく方針など、検討する時期に来ています。

 

(4)非正規・不安定労働者の組織化を含め、「10万人愛労連」への具体的な方針策定を

 正規・常用雇用労働者のまわりに増え続けている非正規・不安定労働者の劣悪な雇用・労働条件を放置したままでは、全体の改善は望めません。その劣悪な労働条件改善のためにも、また新組合の結成や組合員拡大が退職者に追いつかない現状を打破し、「10万人愛労連」への展望を開くためにも、非正規労働者の組織化は急務です。「労働相談110番」からの組合加入やパート・臨時労働者の交流集会なども含めて、これまでも努力してきましたがさらに一歩すすめ、組織部や組織拡大推進委員会で検討を急ぐことが必要です。

 「10万人愛労連」をめざすとき、(1)で指摘した職場活動の活性化と組合活動家の育成、(2)(3)で述べた「対話・共同」(労組訪問をふくむ)や「総行動」「地域労連強化」など、どれもが重要なカギとなるだけでなく、愛労連のローカルセンター機能の充実、事務局・幹事会の強化なども重要な問題となります。結成から10年、改めて組織と運動を総点検し、新たな前進をめざすために「組織強化検討委員会」を立ち上げ、「愛労連強化○カ年計画」(仮称)など検討する必要があります。


U.情勢の特徴と2001年度の闘いの基本方向

<情勢の特徴>

1.経済グローバル化と財界の21世紀戦略、「人間らしく生き働ける社会」の要求

(1)21世紀は激しいグローバリゼーション(経済の地球規模化)のなかで始まります。7月2日に閉幕した国連特別総会は多国籍企業の社会的責任に言及し、「現在約6万の企業が世界の輸出の3分の1を占め、1998年にはトップ5社が最も貧しい国の国内総生産(GDP)全体の倍以上の年間利益を得た」と指摘。グローバリゼーションが、繁栄と同時に貧富の格差や失業の増大、財政危機など深刻な課題をひろげていることを明らかにしました。そして21世紀には多国籍企業の行動にたいする力強い影響力(政府による規制、消費者の圧力、市民社会の行動)が必要であることを強調しています。

 

(2)こうしたもとで、地球上のあらゆる地域にアメリカを中心とする多国籍企業が進出し、さらなる利潤追求のための賃金破壊、雇用破壊の横暴をくりかえしています。しかし、「IT革命」に支えられたアメリカのバブル経済はいずれ破綻し、世界経済に深刻なリアクションを及ぼすのは必至です。また、経済グローバル化のもとでは貧富の格差の拡大、地球環境の破壊が避けられず、大量の失業問題も世界中で深刻化しています。

 

(3)日本では財界の「21世紀戦略」で「市場万能論」によるあらゆる分野の規制緩和がすすめられ、「弱肉強食」の論理によって中小零細業者や労働者・国民の生活破壊がすすんでいます。職場では終身雇用制や年功序列賃金の崩壊とともに、解雇や、正規職員の臨時・パート・派遣など不安定雇用労働者への置き換え、賃金の切り下げが進行しています(「労働相談110番」のデータでも正規労働者を減らす「新日本的経営」の進行は明らかで、JR名古屋駅のツインタワーに入った高島屋でも現代版「人転がし」がやられています。そこでは、高島屋が100%出資の有料職業紹介会社「A」が口利きして高島屋のテナント会社「B」に仕事を紹介=本人はA社と契約を結ぶという事実上の派遣をしており、高島屋に働く4千人のうち正規社員は1/4、大半が派遣労働者という実態が明らかとなりました)。

 それに、企業合併・会社分割・子会社化などによって、日本の上場企業3289社の従業員数は4年間で46万人も減少しました。こうした大企業のリストラ「合理化」が、労働法制の改悪、産業再生法・会社分割法など政府の全面支援のもとで強行されているのが特徴です。

 

(4)財界・大企業の21世紀戦略は農業と中小企業も破壊しています。中小企業は従業員数では労働者の約8割、経済活動の規模でも約6割を占め、日本経済の主役といえる比重をもっています。ところが歴代の自民党政府は、大企業には財政・金融の力を総動員して支援してきた一方で、中小・下請けには大企業の下支え役を押しつけるだけで何の対策もとっていません。農業は、穀物、野菜、果実、肉などのほとんどを外国農産物に明け渡し、100%の自給率を誇った米も、ウルグアイラウンド合意によるミニマムアクセスの受け入れ・関税化で危機にさらされ、食料自給率は1960年の79%から41%にまで低下しています。

 

(5)このもとで労働者、中小商工業者、農民など、広範な国民に怒りがひろがり、「ルールなき資本主義」から「人間らしく生き働ける社会」への転換、希望のもてる21世紀へ「政治を変えよう」の願いが噴き上がっています。

 

2.歴史の歯車を逆回転させる「日本改造」計画、県民に背を向けた愛知県政

(1)「日本は天皇中心の神の国」といい、戦前の軍国主義に反省のない森首相の態度は、世界のマスコミからもきびしく批判されています。この首相をかばいだてする「自公保」連立与党は、戦争法の制定、日の丸・君が代法制化、盗聴法の強行、憲法調査会の設置などで明らかなように、日本を「戦争をしない国」からふたたび「戦争する国」へ地ならしする反動勢力であり、歴史の歯車を逆回転させる危険な政権です。

 

(2)自公保政権は、行きづまった支配体制を打開しようとリストラ推進、農業破壊、消費税の大増税、学校への競争原理の導入、社会保障の改悪、中央省庁・自治体の再編などの「日本改造計画」をおしすすめています。こうした反動的な政策が、政・官・財ゆ着と道徳的堕落をともなって進行しているのが特徴で、公約違反や二枚舌、贈収賄、脱税、選挙違反、セクハラなどの犯罪が明らかになっても責任をとろうともせず、利権を守り大企業の利益を増やすことだけに熱心といってよく、この国の未来を危うくしています。

 

(3)中央と同様、愛知県政も、労働者・県民より政府と大企業の意向に添う県政をつづけ、その破綻が明確になりつつあります。98年12月の「財政非常事態宣言」と鈴木知事の不出馬はそれをつよく印象づけましたが、その後の、職員の賃金カットや福祉・教育などへの補助金カットに対する反発・批判のひろがり、万博・空港をめぐる世論動向などは、そのことをはっきりと示しています。地労委労働者委員の任命についても、裁判所から公正な任命を勧告されながら知事・労働部がまたも偏向任命を強行しましたが、その誤りは誰の目にも明らかです。

 

(4)こうしたもとでおこなわれた6月25日投票の総選挙で、政権与党は自民党が38、公明党が11、保守党が11、改革クラブが5、あわせて65議席を後退させました。民意を反映しない小選挙区制によって辛うじて国会の過半数を維持しましたが、自公保政権と自民党政治への国民のきびしい審判を示すものです。野党では、民主党が躍進し自由党、社民党も議席を伸ばしましたが、日本共産党はマスコミが意識的に流した「政権選択」論や争点隠し、政権与党による未曾有の反共謀略宣伝など厳しい条件のもとで議席を減らしました。

 その後、与党3党は早々と森続投を決め、第2次森内閣を発足させましたが、国民の圧倒的多数が見放した内閣であり、「長くもっても参院選前、来春までの命」と言われる状況となっています。

 

3.国民生活を破壊する社会保障、行財政、教育などの改悪、県政・市政転換の重要性

(1)戦後の労働者のたたかいによって築いてきた年金、医療、福祉、失業給付などの社会保障が大幅に削りとられています。政府は憲法25条に定められた国の責任を放棄し、社会保障に「自助・共助」の理念をもちこみ、国庫負担を大幅に削減してきました。健保本人10割給付の解体、老人医療費の有料化、年金給付の削減などの一方で、社会保険料引き上げ、消費税の導入・増税など国民負担をあいついで増やしています。さらに政府は、「社会保障構造改革」にそって医療・年金などの総改悪を準備し、財界は4兆円市場である医療・福祉分野への進出をねらい、政府にいっそうの規制緩和を求めています。

 

(2)政府は財政危機を口実に社会保障を切りすてています。確かに日本社会は、国と地方をあわせて650兆円におよぶ借金をかかえています。しかし、その原因は公共事業50兆円、社会保障費20兆円の逆立ちした財政構造にこそあります。大企業・大銀行にはリストラ支援の税制措置、公的資金の投入を繰り返し、国民には消費税の引き上げ、社会保障の切りすてで負担を強要する悪政が不況をいっそう深刻化させ、税収の落ち込みを加速させています。財政構造の根本的転換こそ生活再建と財政再建を両立させる道です。

 

(3)自公保政権は、省庁再編・独立行政法人化などによって公務員を大幅に削減し、本来公的部門が担うべき行政サービスを切りすて、国家行政の役割を外交、防衛などに集中しようとしています。一方で削減対象から26万人の自衛隊員を除外し、深刻な財政赤字のなかでも、「長良川河口堰」などムダな公共事業を続けています。

 

(4)政府・財界は、「教育が日本の将来を決める」としながら、「教師・学校間に競争原理を導入し創意工夫と競いあう環境づくり」を強調、管理と競争で子どもを縛りつける教育政策を推進しています。文部省が2002年度から実施する新学習指導要領は、子どもの差別と選別の強化、「新国家主義」教育の強化など、財界の利益にそった方向を露骨にうちだしています。また、森内閣は「教育改革国民会議」の設置、教育基本法の改悪、教職員への人事考課制度の導入など、国家統制強化へ向けた反動的な「教育改革」を推進しています。

 

(5)自公保どころか、共産党以外はすべて与党という愛知県政も、基本姿勢は中央政府と変わらず、くらし・福祉・教育を削りながら万博・新空港など無駄なイベント・大型開発にしがみついて県民との矛盾を深めています。BIEの批判を受けてつくった「検討会議」が7月末、「海上の森」利用の大幅縮小で「合意」したため愛知県は環境問題はクリアしたとして12月の正式登録をめざしていますが、「検討会議」メンバーも語るように主会場となる青少年公園の環境アセスもやられておらず、財政問題は五里霧中で、財界や自民党中央も及び腰が目立ちはじめています。

 来春は名古屋市長選挙がありますが、現在の松原市政も県政と同様、万博・空港推進であり、学童保育の切り捨てと「トワイライトスクール」推進にも見えるように、市民本位の市政とはほど遠いものです。市民の要求のトップは福祉・くらしの充実ですが、名古屋市政の動向が県政に及ぼす影響を考えると、来春の市長選挙は重要です。革新市政の会とともに、革新・民主の名古屋市政実現へ、早急に努力を開始する必要があります。

 

4.労働者・国民のたたかいの前進と共同の発展

(1)既に述べたので具体例は避けますが、戦後最悪の雇用・生活破壊の進行の一方で労働組合のたたかいが前進していること、労働者と国民の「対話と共同」も新たな前進局面をきりひらいていることなども情勢の重要な特徴です。終身雇用制や年功型序列型賃金の崩壊のもとで、労働者の団結の障害となってきた企業第一主義や特定政党支持路線をゆさぶる変化も生まれ、大企業労働者にも大きな変化があらわれていることも「大企業ネット」の情報交換で出されています。H2ロケットの打ち上げ失敗や雪印乳業事件などのアクシデントのたびに、政府・財界からも「規制緩和」「市場主義万能論」の行き過ぎや、「新日本的経営」「成果主義賃金」の副産物としてのチームワークの崩壊、技術承継の断絶を懸念する声が出ているのも特徴で、「ルールなき資本主義」の是正は次第に国民共通の要求にひろがる気配も見せています。

 情勢の、こうした変化に確信をもち、要求を高く掲げてすべての労働者・労働組合との共同をひろげることが求められています。

 

<21世紀初頭へ向けた愛労連の7つの基本目標>

 結成10周年を迎えた愛労連は、昨年の定期大会で改めて到達点と課題を確認し、「10万人の愛労連」建設を誓いつつ、21世紀初頭へ向けた「7つの基本目標」を決定しました。この基本目標は、今日の情勢のもとでいっそう切実な目標となっていますが、7月末に全労連が掲げた「21世紀初頭の目標と展望」に照らして補強し、以下の7つの基本目標の実現と組織の拡大・強化=「10万人愛労連」建設を、ともにめざして奮闘します。

 

1.日本の社会は、先進諸国に例をみない過労死を生み出すような長時間・過密労働、サービス残業や女性差別などが横行し、労働者・労働組合の諸権利も著しく制限されています。21世紀の初頭には「ルールなき資本主義」の日本から脱却し、完全雇用と労働時間短縮、差別撤廃、労働条件の改善、中小地場産業の育成などを中心に大企業の民主的規制、国際労働基準が守られる社会的ルール、人間らしく生き働くルールを確立します。

 

2.労働者・労働組合の権利に関わる日本の行政は、欧米諸国では考えられない偏向行政がおこなわれてきました。21世紀初頭には公正で民主的な行政ルールを確立し、労働委員会をはじめとする各種審議会の民主的な構成、任命を実現します。

 

3.21世紀初頭の日本社会において、国民生活の最低基準としてのナショナルミニマムを確立します。ナショナルミニマムとして、全国一律最低賃金制度の確立、雇用と失業者の生活保障、労働基本権の全面的な回復、男女平等の実現、医療・福祉・年金・介護制度の拡充、食糧自給率のアップと自然環境の保全など確立します。

 

4.21世紀初頭の日本社会においては、小選挙区制や政党助成金などの非民主的な制度を廃止し、国民の意思が公正・民主的に反映する選挙制度の確立をはかります。そして、労働者と国民が主人公となる政治の実現をめざします。

 

5.憲法が生きる21世紀をめざし、国民主権・基本的人権を完全に保障させるとともに、核兵器と戦争のない世界を実現するため、世界平和と国際経済に貢献します。

 

6.中部財界と大企業が勝手放題にすすめるリストラ・合理化をやめさせ、製造業・モノづくりにすぐれている愛知の特徴を生かして、大企業と中小零細企業、商工業者、農林漁業とのバランスがとれた地域経済の発展をはかります。

 

7.万博、中部国際空港などにみられる財界のすすめるムダな地域開発や行革大綱をやめさせ、愛知県財政を立て直して県民生活を向上させる愛知県政を実現します。また、愛知県政に重要な影響を及ぼす名古屋市政についても、市民本位の民主市政を実現します。

 

<たたかいの基本方向>

1.組合員を主人公とする職場の日常活動、職場闘争の再構築に努め、新たに多数の

組合活動家を育てます

(1)第1に職場に労働組合を確立し、「組合員が主人公」の生き生きした日常活動を展開することによって、「安心して働き続けられる職場」をつくることです。

 職場闘争が生き生きと展開されていれば、労働組合は腐らず、新たな活動家も次々に生まれます。「安心して働きつづけられる職場」など、要求にもとづく職場闘争を活性化し、それをつうじて新たに多くの組合活動家を育てなければなりません。

 

(2)春闘の賃上げもままならず、逆に労働条件の切り下げが目立つ昨今では、本部の指示・命令や「動員」で動く上からの労働組合活動では労働組合の魅力は見えません。また、賃上げだけが労働組合の任務ではありません。労働者は、何でも自由にものが言え、信頼しあって働ける職場を求め、人間として労働者として成長できる場を求めています。それを実現するのは職場の一人一人の組合員です。

 

(3)いま職場は、出向・転籍・解雇などの人減らしと不安定雇用労働者への置き換え、賃金・労働条件の切り下げ、「成果主義」賃金や組合敵視など労働者の分断・支配、ただ働き残業を含む際限のない長時間・過密労働が蔓延しています。

 これらは最終的には法律などで規制され、労働者保護がはかられるべきですが、法律が整っていない状況でも職場の労使交渉や労働協約で労働者を守るたたかいが重要です。職場闘争を早急に見直し、それがなかったり形骸化している場合は、単産・単組が「職場闘争活性化」のための方針を新たに策定し、指導する必要があります。愛労連としても職場闘争活性化、労働組合活動家の養成へ向けて、実態調査や「オルグ養成講座」、「学習交流会」など検討・企画します。

 

2.要求と職場を基礎に地域と単産に結集し、全県・全国闘争の前進で要求実現をめざします

(1)第2には、職場を基礎に地域と単産に結集し、全県・全国的闘争を発展させて要求実現をめざすことです。

 労働組合は、もともと労働者の日常的な経済要求、雇用や賃金・権利を獲得することを目的に結成されたものです。「資本から独立」して、賃上げ闘争と「合理化」反対闘争を経済闘争の両輪としてたたかうことは労働組合の原点です。愛労連はこの原点をあらゆる運動のなかでつらぬきます。そのためにも、それぞれの企業・職場において資本から独立してたたかうと同時に、企業間の利潤競争を規制する共同闘争として、企業の枠をこえたたたかいも追求します。

 

(2)要求闘争といえども自然発生的には前進しません。国家的な経済・政治危機と結びついた雇用・生活不安の増大は、政府・資本の攻撃とあいまって、しばしば労働者の攻勢的な姿勢をたじろがせ、たたかいのエネルギーが個人的な行動に拡散されることも否定できません。

 

(3)同時に、時期と条件を得れば労働者のたたかうエネルギーは公然と噴き出し、巨大な要求闘争にも発展します。今日の労働者の実態と意識はまさにそういう状況をむかえており、労働組合の役割がいまほど求められている時はありません。そのためにも職場・地域からより多くの労働者を結集する要求を練りあげることが重要です。要求が未組織の仲間をふくむ広範な労働者の共感をよび、その実現を多くの労働者が心底から望んでいるために動員力をもち、たたかいに参加すべきすべての人々を結集・統一する時、要求闘争は必ずや大きく前進します。愛労連のすべての単産・地域組織と組合は、この視点を大切に全組合員参加の活動を追求します。

 

3.すべての国民の支持と連帯を結集し、社会的・国民的な運動を前進させます

(1)第3は、国民的共通課題や制度闘争との結合をいっそう重視してたたかうことです。いま、家族と地域社会の崩壊が叫ばれ、労働者にとって個人レベルの所得や貯蓄では対応しきれない教育や保育、医療、年金、介護、環境などの社会的問題がひろがっています。また、賃上げを獲得してもその成果を相殺し上回る税金・社会保険料の引き上げがあいつぎ、この追加的価値収奪そのものを規制しないかぎり、労働者の生活は守れなくなってきています。さらに、労働者の働き方や消費生活様式の変化をつうじて、余暇や学習、文化、スポーツ、地域環境など労働者の要求も多様化しています。

 

(2)これまでも、労働組合は社会保障闘争や消費税反対闘争などの国民生活擁護の運動にとりくんできました。しかし一般的には、労働者の生活要求はもっぱら春闘における賃上げ闘争によって実現するものだとする考えかたが支配的で、社会保障闘争なども賃金闘争を補完する制度闘争の位置づけにとどまり、国民全体の生活擁護闘争という視点がきわめて弱いと指摘されてきました。日本の労働組合が企業別に組織されていることから、企業や産別の枠をこえる領域の運動にたいしては、きわめて不十分さをもっていました。

 

(3)愛労連は、こうした日本の労働組合運動がもっている弱点を克服しながら、すべての国民の共通要求にもとづく共同の運動を追求します。とりわけ今日の日本社会では大企業の力がますます巨大化し、さらに国家機能と結びつくことによって横暴と支配はいっそう組織的・系統的になり、その犠牲がますます広範な国民の生活と営業におよんでいます。つりあいのとれた日本経済の発展、国民生活と営業の安定、全国民の健康で文化的な最低限度の生活保障の実現をめざす共同闘争を積極的に推進していきます。

 

4.経済闘争と政治闘争をしっかりと結合してたたかいを前進させます

(1)第4に、愛労連は経済闘争と政治闘争をしっかりと結合してたたかいます。政治闘争は、労働組合の基本的任務のひとつです。しかし、わが国における労働組合運動は長いあいだ労働組合と政党との関係が不正常で、「政党からの独立」の原則が踏みにじられる時代がつづいてきました。旧総評や同盟・連合などの中央団体とそこに参加する組合は、特定政党の支持を機関で決定し、その政党の候補者を「組織内候補者」「推薦候補」として組合員やその家族に義務的に選挙カンパ、選挙活動への動員、投票を強制してきました。

 

(2)労働組合は、思想、信条、政党支持などの違いをこえて、共通する要求の実現をめざしてたたかう大衆組織であり、特定のイデオロギーと政治綱領にもとづいて政治権力の獲得をめざす政党とは、その性格や目的において根本的な相違をもつものです。しかも政党が複数存在するなかで、特定の政党のみを支持・排除することは、労働組合の基本的性格をふみにじり、労働組合の大衆的団結を弱めるものです。労働者の基本的人権をおかす特定政党支持の強制は、労働者の政治離れをひきおこす要因となってきました。

 

(3)同時に、労働組合が政治にたいして中立の立場をとることも正しくありません。財界・大企業の利益を代表する自民党政治ときっぱりと対決し、労働者の要求実現をその政策と闘争目標にかかげている政党とは相互の自主性を尊重し、一致する要求にもとづく協力共同の関係を確立してたたかうことが必要です。いまの自公保政権ほど、労働者の雇用、生活、権利、社会保障を直接政治の力で改悪した政権はありません。愛労連は、政治の民主的転換なしに要求も実現できないことが広範な労働者の共通意識になっているもとで、経済闘争と政治闘争をしっかりと結合したとりくみをすすめます。


V.主要課題とそのとりくみ

1. 国民春闘と賃金闘争

<たたかいの経過と総括>

(1)「2.25総行動」を中心とする2000年春闘前段のたたかい

 @.2000年春闘は、総額人件費削減攻撃、中小企業の経営難、史上最低のJC相場のもとできびしいたたかいを余儀なくされました。このもとで愛労連はまず要求集約を重視し、「働くみんなの要求アンケート」の組織人員を上回る集約を追求しました。しかし、最終的な集約枚数は35,830人分にとどまり、同様に重要課題と位置づけた「解雇規制・労働者保護法制定署名」も37,236人分と、組織人員の6割をわずかに超える水準にとどまっています。また、そのとりくみが一部の単産に偏っているなど、単産間のアンバランスを克服できませんでした。統一闘争のさらなる前進に向けた意思統一をはかる必要があります。

 

 A.2000年春闘の準備と構築に重要な役割を果たしたのが、官・民一体でとりくんできた@自治体キャラバンや「11.17総行動」を中心とした秋のたたかいであり、A12月はじめの春闘討論集会、1月の新春大学習会・臨時大会などでの学習や討論であり、B全組合員の立ち上がりを促し、春闘本格化をひろくアピールした「2.25総行動」であり、C役員を先頭とする単産・地域労連の頑張りでした。

 とりわけ「2.25総行動」は、98年から毎年この時期に「列島騒然・怒りの総行動」としてとりくまれるようになって3年目ですが、早朝を中心とした「ターミナル・工場門前宣伝」が294カ所・1,996人でとりくまれたのをはじめ、多くの単産で職場集会がもたれ、全県22カ所の会場に1,875人が結集した夕方の「決起集会・デモ行進(一部、学習会を含む)」まで、県下各地で宣伝・申し入れ、労組・中小企業訪問、経営者団体・自治体等への要請行動などが展開されました(自治体・議会要請41カ所・204名/企業・事業所要請57社・39名/経営者団体・業界要請40カ所・216名/あおぞら裁判、中電(営)要請26カ所)。

 これには、年休を取っての参加550名を含め、労働者だけで延べ4,500名、民主団体やあおぞら裁判の原告・弁護団を加えれば5,000名が参加する行動となり、「不況打開、誰でもどこでも1万5千円以上の賃上げを、リストラ・首切り反対、補助金カットやめよ、万博・空港見直せ」の主張を載せたジャンボ・カラービラ50万枚の配布をはじめ、文字通り「怒りの総行動」となりました。

 今年、県段階の行動は、@主要労組訪問(連合愛知を含め、19チーム・40名で43労組を訪問、「労働者保護法」制定へ共同の申し入れ)、A栄での万博・県民宣伝と知事へのFAX集中、Bトヨタ自動車、中電、東海銀行、愛知県、県経協、名古屋商工会議所、労働基準局への要請行動(73名)に絞り、争議支援を含め、行動拠点を出来る限り地域に移したのが特徴ですが、地域落差はあるものの、休暇部隊116人、終日の延べ参加数は404人にのぼった「港」を筆頭にほとんどの地域が工夫を凝らしてとりくみ、春闘スタートを印象づける「総行動」として成功させることができました。総じて、自自公の悪政や下請け・労働者泣かせの大企業リストラへの怒り、財政危機の下で自然を破壊して推進される万博への疑問などが多くの労働者・県民に拡がっていると実感できる「総行動」になったのが特徴です。

 以上、「2.25」は春闘の幕開けを告げる総決起の場として重要な役割を果たしましたが、以前から指摘されている課題は残りました。−@県段階でできる「8団体共闘」が地域では徹底しない、A秋の「総行動」からあまり期間がなく、事前の準備と意思統一にかける時間が短い、B年休部隊が何人確保できるか当日まではっきりしない、C自治体要請や集中宣伝など地域落差が大きい、などです。「全組合員の行動参加」「年休者の確保」「タテ・ヨコの連携強化」「マスコミへのPR」を含め、引きつづき検討が必要です。

 

(2)大幅賃上げ・賃金底上げ、最賃闘争の到達点…きびしさ目立った賃金闘争

 @.財界・日経連は、2000年春闘で「高コスト構造の是正」「総額人件費抑制」をさらに強化する方針で臨み、賃金交渉においても8年連続のベアゼロ、能力・成績主義賃金の強化、横並び否定の個別対処方式、ワークシェアリングによる「賃下げ」など、これまで以上の春闘解体攻撃を強めてきました。さらに、パート、派遣、アルバイトなどの非正規労働者が増大していることを利用し、成績賃金や一時金の業績配分、定昇カット等が押しつけられ、中高年の賃金ダウンは50歳代から40歳代に引き下げられています。総額人件費抑制は、賃金、一時金、退職金の切り下げと改悪、社会保険料の労使負担割合の(使用者分)引き下げ、福利厚生費の削減など全面的な攻撃としてひろがっており、深刻な実質賃金の低下をもたらしています。

 

 A.3月15日、一斉に出された連合・JCへの賃金回答は昨年実績をさらに下回り、ついに2%未満に落ち込みました。自動車では、リストラ強行の日産が2年連続ベアゼロを避けるとして500円を回答しましたが、業績好調のトヨタは定昇込み7,500円、ベア500円で昨年実績を下回りました。隔年春闘の鉄鋼は、NKK、神戸製鋼が今年度分のベアゼロ、業績回復の電機もベア500円で決着、またNTTは実質賃下げ回答で収束しました。そのなかでも今春闘は、中小組合がねばり強く健闘しましたが、連合全体(7月10日最終)の加重平均は6,033円(1.94%)、単純平均は4,998円(1.79%)にとどまりました。

 財界が1月の『労問研報告』で「総額人件費の抑制」や「賃下げ」方針、「国際競争に勝ち残るため」とする大規模なリストラ・人減らし攻撃を打ち出したのに対して、これを労働側が打ち破れなかったからです。連合・JCの相変わらずの弱腰=ストなし・一発回答妥結も見過ごせません。

 

 B.一方、全労連・春闘共闘の最終報告(6/29)では、回答は登録983組合中713組合(72.5%)で、加重平均は7,547円(2.26%)、単純平均では6,763円(2.22%)となっています。昨年同期比で単純平均218円、加重平均266円のマイナスであり、登録外の組合をふくむと「賃上げゼロ」「定昇ストップ」や回答延期などの組合も残っていて、未組織職場など、賃下げをふくむ労働条件の切り下げに苦しんでいるところも少なくありません。産業別に見ると7,000円前後の回答が多いなかで平均額が1万円または3%を超えたのは全証労協、全国私教連、出版労連、特殊法人労連、広告労協の5単産となっています。

 

 C.このなかで愛労連・愛知春闘共闘は、今年は恒例の「平均賃上げ要求」を単産にゆだね、「誰でも・どこでも1万5千円、時給100円アップ」の底上げ要求を中心に、2月中の要求提出、3月15日回答指定日と決め、「3.16全国統一行動」(=同日夜には2000年春闘最大の決起集会を開催。久屋広場1300名と県下各地   名)から5月連休をはさんで6月まで粘りづよくたたかいました。

 平均賃上げ結果を見ると、組合の新規結成で2万円近い賃上げをかちとるなど健闘した組合もありますが、経営困難な中小企業が増えている実態を反映して全体としては厳しいたたかいを強いられ、最終的には6月12日現在で、回答引き出し=177/244組合(72.5%)、単純平均で4,301円・2.08%と、昨年を下回って史上最低の賃上げとなっています(なお連合愛知は6月2日集計で妥結173組合の単純平均=5,084円と昨年比△376円、地場138組合に限ると4,956円で昨年比△390円。県産業労働部調べ367社の妥結単純平均は4,724円、1.8%という状況です)。

 さらに、愛知春闘共闘の場合、大企業本位の「規制緩和」や身勝手なリストラのあおりで深刻な経営難に陥っている中小企業では「賃上げどころではない」という企業も出ており、人減らしをはじめ、きびしい「合理化」提案も出ています。これでは労働者の生活悪化は必至であり、消費購買力の回復も望めません。

 ただ、この回答でも「賃下げ・リストラ許してなるか」と粘り強い奮闘でかちとってきたのも事実で、重要な局面では官公労も含む多くの労働者の支援を得、たたかって回答を引き出し押し上げてきたことは評価しなければなりません。「ベアゼロ撤回、3人夜勤体制、サービス残業(未払い残業)の手当支給」など職場の切実な要求で集会、地域宣伝、交渉など粘り強くたたかった南医療生協労組をはじめ、たたかう労働組合への信頼と期待が高まって組織拡大につながっている点も見ておく必要があります。建交労やJMIU、全国一般、全港湾をはじめ、「行き過ぎた規制緩和反対」「中小企業の経営と雇用・労働条件を守れ」など経営者・業界との共同もすすみ、悪政批判を拡げたのも評価できます。

 

 D.大企業を中心に強められている「成果主義賃金」は、見かけの平均賃上げ額と個々の労働者の賃上げとに大きな乖離をもたらしており、全体として賃下げと労働強化が強行されるベースとなっています。また、組織率の低下(全国22%、愛知26%)、パートや臨時、派遣労働など「労働力の流動化」がすすむもとで、組織された正規労働者中心の賃上げ交渉の波及効果がうすれ、春闘の見直し論議にもつながっています。

 全労連・愛労連が2000年春闘で、「『生計費原則にもとづく大幅賃上げ』『大企業内部留保の社会的還元』という基本方針を堅持し、単産・地方組織のかかげる大幅賃上げ要求の実現をめざしてともにたたかうことを確認すると同時に、賃金の底上げをめざす要求として『誰でも・どこでも月額1万5千円』、臨時・パート、派遣など日給・時間給で働く労働者の要求として『時間額100円引き上げ』という、未組織をふくむすべての労働者を視野に入れた要求運動の展開を提起」したのは、こうした状況をふまえたものでしたが、この方針の精神を汲んだたたかいは、今年はその第1年次ということもあり、愛知では不十分なものにとどまりました。「パート・臨時の春闘交流集会」など従来より一歩進んだ交流も始めていますが、各地の先進的な「底上げ闘争」に学び、さらに闘いを工夫する必要があります。

 なお底上げのたたかいではありませんが、生活改善にかかわる職場の制度的諸要求で着実な前進を勝ち取っている出版労連のとりくみは注目すべきです。とくに、今春闘で重視した「介護保険料の労使負担割合の改善」要求について37単組で具体的な改善をかちとったこと、なかでも医学系3単組が全額使用者負担としたほか、2単組で「労2・使8」、23単組で「労3・使7」負担をかちとったのは学ぶ必要があります。

 

 E.最低賃金闘争では今年、「最賃生活体験」挑戦者が12名出るなど例年よりひろがりをつくりだし、若者を中心に底上げ・最賃闘争の重要性を改めて浮き彫りにするとりくみとなりました。

 また「全国一律最低賃金制」確立の運動では、「最賃生活体験」の組織化に続いて署名にとりくみましたが、最賃闘争の意義と全国各県の先進例の学習などもっと徹底し、署名(209団体分集約)をさらに広げる必要があります。

 

(3)国営企業と官公労のたたかい。愛知では「調整手当改悪」見送りに!

 @.4月14日の郵産労など6組合への国営企業の回答は、基準内賃金の0.04%、119円という民間水準をも下回る不当な超低額回答となり、ただちに調停・仲裁作業に関する申し入れを行ないました。結果はベア0.12%、369円(定昇込み2.05%、6,143円)で、昨年比で0.14%、389円の減額。総額人件費抑制政策への追随となっています。

 また人事院は、昨年はじめて公務員労働者に前年比マイナス勧告(一時金0.3月減)を押しつけたのに続いて、公務員の生活と地域経済に深刻な影響を及ぼす「調整手当の見直し」を提案、大幅な賃下げとなる改悪強行をたくらみましたが、国公、自治労連、愛高教など公務共闘による職場からの波状的な批判・要請行動を強化した結果、4月末の「見直し地域名公表」では、堺や東大阪、福岡など全国的に「見直し」が打ち出されるなかでも、愛知(名古屋10%、岡崎3%)の「見直し」は見送らせることが出来ました。

 このたたかいのなかで、民間部会がとりくんだ「職員の賃金カットやめよ、民間は大迷惑」の県庁前での早朝宣伝・ビラ配布は、公務員労働者のたたかいを激励。12月1日にも行った県庁前宣伝・第2弾では障害者の作業所に働く職員も同趣旨の独自ビラを配布、補助金カットと県職員の賃金カット反対を併せて訴えたのが目を引きました。全国のトップを切って強行された愛知県の賃金・一時金カットに対して官・民ともに反対行動を強め、秋から年明けのたたかいを強めてきたことも含めて、運動の「成果」と評価できます。

 

 A.人事院は8月15日、本給の引き上げ見送り(扶養手当で若干増)とともに、2年連続の一時金切り下げとなる0.2ヶ月(給与の1.2%分に相当)の削減を勧告しました。

 史上初の「年収でマイナス」となった99年勧告につづき、「官民給与の格差が例年になく小さく(0.12%)、本給(俸給表)の改定は困難」とする初のベア見送りや一時金のカットなど2年連続の減収の押しつけは、行政職(40.5歳)で現在より約6万9千円(1.1%)のダウンとなります。超低額の民間賃上げ結果を「民間準拠」をテコに人勧に波及させ、その結果をさらに民間の賃金抑制に悪用する。とんでもない悪魔のサイクルをうち破る上でも、政府・人事院に対する官民一体のとりくみをいっそう強める必要があります。

 

<2001年度の基本方向>

(1)日本の賃金闘争の到達点と現状

 @.春闘は、これまで曲折はありながらも未組織労働者もふくめ日本の労働者の賃金水準を引き上げる役割を果たしてきました。しかし、ここ数年は実質賃金の低下がつづいており、賃金闘争のあり方が根本から問われています。この背景には、日経連の「新時代の日本的経営」にもとづく「世界一高い賃金」などの思想攻撃がつよまり、総額人件費の抑制、賃金の切り下げ攻撃とともに、年功型賃金から能力・成果主義賃金への移行など賃金の個別化が強引に推進され、春闘の解体・変質攻撃が本格的にすすめられていることがあります。

 

 A.総額人件費の抑制は、すでに進行してきた福利厚生費等の削減、一時金の削減や退職金の切りすて・削減から、最近では賃金本体の直接的な切り下げ攻撃にまで踏み込み、公務労働者もまきこんで広範囲にすすめられています。また、これまでの年功型賃金の崩壊に、裁量労働制の導入・拡大が拍車をかけ、中・高年差別や女性の差別賃金など労働者間の賃金格差が広がり、総体として賃金切り下げが進行しているのが今日の特徴です。

 

 B.大企業では、国際競争力強化を名目にリストラ・「合理化」が強行され、中小企業では長引く不況や銀行の貸し渋りなどによる倒産があいついでいます。また、正規労働者の派遣・パートなど不安定雇用への切り替えが大規模にすすめられ、これにともなって賃金水準の低下が進行しています。リストラを免れた正規労働者にも、長時間労働とサービス残業が強要されています。さらに「請負」労働者や建設現場・タクシー・ダンプ労働者など、出来高・歩合給中心の労働者の賃金も不況と業績不振のあおりで大幅にダウンしています。

 

 C.これまで大企業の職場では、企業の業績をあげることが雇用と所得向上のための「労使共同目標」とされてきました。しかし今やその「神話」は現実の前に崩壊しています。大企業は2000年3月の最終利益を26%増と3期ぶりに増益に転じさせ、2001年3月期の決算見通しは最終利益が前期比2.9倍にもなるものと予想されています。リストラ・人減らしで、企業利益はめざましく改善しているのに、労働者の雇用と所得は依然として減少しつづけているのが今日の賃金動向の特徴となっています。

 

(2)賃金闘争の重点と具体的展開

 @.全労連が2000年春闘で「賃金底上げ闘争」や最賃闘争重視の方針をうち出した背景には以上の実態があります。これをふまえて愛労連は、2001年度の春闘・賃金闘争もひきつづき底上げ・最賃闘争を重視します。

 なお、民間部会を中心に中小零細企業経営者と共同した春闘の具体化について討議を深め、「中小零細企業・商工業者などと共同しての賃金底上げ、生活・経営環境改善、地域経済活性化」、「地域のパート・派遣労働者の底上げ」「最賃違反の摘発と是正」などを検討し、秋闘〜2001年春闘のなかで具体化します。

 

 A.最低賃金制度の確立・改善のたたかいでは、企業内最賃の協定化と普及、産業別最賃の確立などにとりくむ単産と連携すると同時に、愛労連として、@地域包括最賃の引き上げに向けて申し入れや宣伝行動などを強化します。A全国一律最低賃金制確立の意義について学習・宣伝に努め、自治体要請・団体署名・最賃体験運動など検討してとりくみます。B最低賃金審議会の委員獲得にむけて、申し入れ・要請署名・交渉を強めます。

 

 B.大幅賃上げのたたかいは、「生計費原則にもとづく大幅賃上げ」「大企業内部留保の社会的還元」「大幅賃上げによる不況打開」という基本を堅持し、単産中心に要求目標を決め、統一闘争、集団交渉を配置してとりくむ方向を追求します。なおその際、底上げ・最賃闘争と一体的にとりくむよう努力します。

 愛労連は、大幅賃上げ実現のために単産・地域の相互支援に努めると同時に、大企業が労働者犠牲のうえに大儲けを続けている事実を告発し、ビクトリーマップの作成・宣伝、西三河ブロックと共同したトヨタシンポ・トヨタ総行動などで世論喚起をはかります。

 また、未組織をふくむ広範な労働者の要求を結集する要求アンケートのとりくみを重視し、組合員数を超える集約をめざします。統一闘争については早い段階から日程・行動を調整します。

 

 C.年収ベースではマイナスとなる人事院勧告がつづき、勧告制度が民間準拠や国・自治体の財政困難を理由に公務員労働者の賃下げに利用されるとともに、すべての労働者に低賃金を押しつける口実に使われてきています。国民犠牲・大企業本位の逆立ち財政を改めさせるたたかいと結合しつつ、公務労働者の賃金改善、生計費原則にもとづく人事院勧告の実現をめざします。また、県の賃金・一時金カットをやめさせるたたかい、不当に剥奪されている公務員の労働基本権を回復させる全国的な運動にもとりくみます。

 

 D.能力給・成果主義賃金の導入・拡大が職場の競争をあおり、人間関係を荒廃させているだけでなく、「技術の継承」の消失、企業経営の危機を招くまでに至っています。こうした観点から成果主義賃金の見直しをすすめるとともに、「評価基準の公開」、不適正な評価を許さない職場からのたたかいを強化します。これから導入しようとする企業にたいしては、すでに明らかになっている問題点にもとづいて、職場で十分な議論をおこない対応していきます。

 

 E.全労連は賃金要求とともに、「児童手当」の引き上げや年金・社会保険・税制などの抜本的改善をめざして政策提起を重視するとしています。同時に、要求アンケートの作成段階から賃金以外の諸制度面での要求集約をはかり、秋の早い段階から切実な要求に基づいた制度要求を提起するとしています。

 愛労連も、全労連の提起を積極的に受けとめて必要な運動にとりくみます。その際、どの単産・単組も自らの要求で地域に出ること、地域春闘と地域労連の強化に努め、要求と運動への共感をひろげることに留意します。

 また春闘の前進をはかるため、「対話と共同」をさらにひろげ、愛知春闘共闘委員会の拡大強化に全力をあげます。

 

2. 雇用確保、リストラ「合理化」反対、働くルール確立のたたかい

<たたかいの経過と総括>

(1)力の集中によるリストラ反対闘争

 99年秋季年末闘争の最大課題は、企業のリストラ・首切り競争が「当然視」される社会的風潮を改めさせ、雇用を守るたたかいでした。愛労連は日産・愛知機械をはじめ、東海銀行、松坂屋、NTTなど県内大企業で出ているリストラ計画や県の賃金・定数削減プラン(=第3次行革大綱関連)を重視し、定期大会で支援強化を誓った木村刃物(JMIU)、日本IBM(同)、第2菱名(建交労)など3争議の早期解決とあわせて追求しました。

 @.秋の統一行動にあわせた「不況打開、くらし・雇用・福祉を守る11.17愛知総行動」では、年休を取って行動に参加した仲間たちが、県経協や商工会議所、銀行協会などを相手に愛知機械、東海銀行、松坂屋、NTTなどのリストラ計画反対の申し入れを行い、木村刃物はじめ県内3争議についても関係者への申し入れや抗議、裁判傍聴、座り込みなど多彩な行動で当事者のたたかいを激励しました。また12月1日にも愛労連は、愛知機械、三菱自動車、東海銀行、NTT、松坂屋の門前で「とめよう!リストラの嵐」の一斉宣伝を行いましたが、いつもよりビラの受け取りもよく、翌日にはビラを見た労働者からの相談電話もかかるなど労働者の不安とたたかう労働組合への期待が伺われるとりくみとなりました。

 A.できるだけ多くの組合員参加をめざした「2.25怒りの総行動」に向けては、50万枚のカラー・ジャンボビラを各個配布や駅頭・工場門前で配布、「大企業の身勝手なリストラ・首切り許すな」「EU並みの解雇規制・労働者保護法の制定を」と訴えました。連合愛知を含む労組訪問でもこの課題での共同を呼びかけ、トヨタや経済団体、労基局、愛知県、自治体など関係機関への要請行動も展開しました。

 日産よりも上手にリストラを進めているトヨタ自動車も問題にし、西三河ブロックと連携しての2年ぶりのトヨタシンポ(2月6日)、トヨタ総行動(3月20日)も成功させました。

 B.その後、大企業のリストラ・人減らしはますます加速し、倒産・失業は高止まるなど、雇用・失業情勢は依然として深刻な状況にあります。しかし、たたかいを通じて愛知機械やトヨタ、三菱、新日鐵など大企業内部の労働者の動きも活発化し、マスコミや財界の一部からもリストラ・首切り競争に異論が出るなど、大企業の社会的責任を問う国民世論もひろがりを見せています。これらのたたかいは、大会直前に発足させた「大企業ネットワーク」(=愛労連と大企業労働者との情報交換の場)や「リストラ対策委員会」などの助けを得てすすめましたが、二つとも重要な役割を果たしたと評価できます。締結している協定を武器にリストラをはね返している例も多く見られ、改めて事前協議・同意約款などの協約闘争や、労働基準法は職場で守られているか、の点検活動などの重要性を教えています。

 

(2)失業・雇用闘争

 @.失業反対・雇用闘争では、愛労連も委員として加わった「全労連リストラ対策委員会」へ愛知の状況やとりくみを報告すると同時に、「雇用・失業対策地方組織代表者会議」(2月)、「リストラ『合理化』反対、雇用確保全国交流討論集会」(3月)などの全国会議に代表を送り、緊急地域雇用対策をはじめ雇用創出、失業者の生活保障、「失業者ネット」、地域を守る運動など、全国各地の経験に学び、これを愛知に生かすよう追求してきました。

 そして「11.17」に続いて「2.25」でも、全地域で足並みを揃えてとまではいきませんでしたが、介護保障(介護保険スタートへ向けての各自治体の準備状況など)の充実を求める要求とあわせ、「緊急地域雇用特別交付金」の活用へ向けて県や自治体への申し入れ交渉など展開しました。6月時点での県の集約によると、99年度(平成11年度)では県と64市町村で実施、16億1640万円(道路・公園美化など1239人、ホームヘルパー育成など福祉関係794人など)。2000年度では県と88市町村が計画、50億1000万円の事業が予定され、雇用期間6カ月未満の限定などなど不十分な制度ながら、延べで38万人/日の雇用を確保させるなど、雇用対策を自治体の課題としてとりくませてきました。

 

 A.また深刻さが続いている雇用・失業状況をふまえ、愛労連・地域労連はハローワーク前での宣伝・アンケート活動にもとりくみ、546人から回答を得ました。これを受けて3月19日には「失業中の方の声を聞く会」も設定、アンケートに実名で答えてくれた回答者に参加を呼びかけましたが当日の参加はゼロで、「失業者ネットワーク」など失業者の結集についても相談できませんでした。

 高校・大学卒業者の就職が年々きびしくなるなかで、メーデーで連帯挨拶した「就職難に泣き寝入りしない女子学生の会」にマスコミが殺到するなどの状況を見ても、また中高年失業者に職がなくホームレスが急増している実態を見ても、この問題の引き続く追求は重要です。

 

(3)解雇規制・労働者保護法制定のたたかい

 @.政府は、中小企業の保護、産業・業界支援行政を縮小し、これを創業・ベンチャー支援と一部の優良企業の支援に抜本転換する中小企業基本法の改悪法案を臨時国会に上程しました。全労連は、これに反対して全商連などと国会闘争にとりくみましたが、臨時国会では中小企業基本法改悪法案、独立行政法人化関連法案、民事再生法案などが十分な審議もおこなわれないまま成立させられました。また、大幅な保険料の引き上げと失業給付の削減を内容とする雇用保険の改悪法案は、連合が反対していないことから与野党の対決法案にはならず、日本共産党と社民党をのぞく各党の賛成で成立を許す結果となりました。

 

 A.総務庁発表の5月の完全失業率が4.6%と3年1ヶ月ぶりに前年実績を下回り、349万人と過去最悪を記録した3月の完全失業率4.9%を改善したとはいえ、依然として高水準の状態が続いています(有効求人倍率は4月と同じ0.56倍)。

 大企業は「国際競争」を理由に企業再編、分社化、持株会社化をすすめ、労働者の雇用と労働条件を大幅に切り下げるリストラ攻撃をやめようとせず、政府がまた、そうした大企業を後押ししていることに対して、圧倒的な労働者・国民から怒りの声が上げられました。

 2000年春闘では、解雇規制・労働者保護法を求め、全労連・春闘共闘は「500万署名」を提唱、連合が「1000万署名」、全労協も「101万署名」を展開するなど、すべての労働団体・労働組合が一致した運動に発展しました。愛労連は、署名行動の促進と労働者・県民へのアピールのとりくみとして、「2.25総行動」はじめ、3月・4月・5月の第3金曜日を全県的な統一宣伝行動日として提起、県段階では、伏見・金山での早朝宣伝や署名行動をとりくみました。これらを背景に民主党・共産党から「労働者保護法」「解雇規制法」「サービス残業根絶法」が国会に提出されました。

 ところが国会も終盤になって、今秋をめどに統合をめざす第一勧銀・富士・興銀の「みずほフィナンシャルグループ」発足までに法案を何としても通そうとする森自公保政権の動きをにらんで、連合の「労働者保護法・年金・医療1千万署名」に後押しされて頑張ってきた民主党が自民など与党との「共同修正」による妥協の道を選び、転籍にともなう本人同意の原則を形骸化させ、会社分割に限定した政府の労働契約承継法案を成立させてしまいました。

 連合が「1千万署名」を達成したのに対し、全労連の「500万署名」は約70万余の集約(愛知37,236)にとどまりましたが、こうした重要課題では学習を徹底しつつ目標をあくまでやりぬく構えが必要です。

 

<2001年度の基本方向>

(1)「時短で雇用拡大」を日本の常識に!−流れを変えよう

 リストラ「合理化」はそれ自身が日本経済の深刻な矛盾を拡大するものですが、大企業のリストラは計画段階から具体的展開へのピークを迎えています。愛労連は全労連とともに「リストラ当然」という財界・大企業の姿勢を批判し、ILO条約やEU指令にみられるように国際的な流れは「時短・解雇規制」の方向であることを国民的な世論にひろげ、広範な労働者との共同の運動を展開します。

 基本としては、職場や産業内における個別のたたかいをいっそう重視するとともに、その背景にある大企業の横暴やリストラ支援の悪政に反対し、「労働時間短縮で雇用の拡大(ワークシェアリング)」を要求してたたかいを展開します。

 

(2)労働時間短縮、男女共通の残業規制、労基法厳守のたたかい

 具体的課題として、第1に労働時間短縮、時間外労働の男女共通規制、労基法厳守のたたかいを強化します。

 2002年4月までの労基法「激変緩和措置の見直し」にむけ、政府公約である年間総労働時間1800時間の達成や週35時間制の実現、違法なサービス残業の根絶、第88回ILO総会で採択された「改正・母性保護条約」の批准をせまる運動などを、社会的なたたかいとして前進させます。

 当面は、職場・地域での学習と意思統一、労働時間などの実態調査と要求の確立、過労自殺や家庭生活・教育問題と結合した社会的キャンペーンを重視します。その上に職場・地域から政府・国会にたいする大衆行動や国民的運動の具体化を検討します。

 

(3)首切り「合理化」反対=職場の闘いと全県・全国的な「力の集中」

 第2に、首切り「合理化」反対のたたかいを強化します。一方的な人員削減や転籍・出向などを許さない職場の協約闘争に意識的・計画的にとりくみ、「事前協議制」「本人同意制」の確立を追求します。同時に、ひきつづき「解雇規制・労働者保護法」の制定を求め、政府・国会にむけた共同闘争を前進させます。

 また、全労連が全国的な「力の集中点」として重視している「日産リバイバルプラン」「NTTリストラ」「金融機関リストラ」とのたたかいを愛労連も重視します。さらに、不安定雇用や未組織・大企業労働者を視野に入れて、地域からの宣伝、呼びかけを旺盛に展開します。

 

(4)パート・派遣など不安定雇用労働者の労働条件改善、地位向上

 第3に、不安定雇用労働者の労働条件改善、地位向上のたたかいを重視します。パート・臨時・派遣の増大が労働者全体の労働条件改悪の口実にされているもとで、すべての単産がこれを正規労働者みずからのたたかいとして位置づけ、その組織化ともあわせてとりくみます。当面、愛労連として「パート部会」発足をめざし、パート労働者が自らたたかいに立つよう援助します。

 また、違法派遣の導入・拡大を許さない点検・交渉を強化するとともに、1年以上の派遣導入にあたっては契約期間満了後ただちに本人希望を尊重して正規雇用化するルールの確立をめざします。正規労働者の臨時・パート・派遣への置き換えについてはこれを許さず、正規職員による欠員補充を基本にたたかいます。政府にたいして、「パート法」の改正や「ILOパート条約」「家内労働条約」の批准と国内関連法の改正を要求します。

 

(5)失業・雇用対策の改善、失業者の組織化

 第4に、雇用創出にむけた運動を強化します。全労連の「雇用・失業に関する緊急要求」を基本に、愛知の要求を具体化しながら、「緊急地域雇用特別給付金」の実効性を確保する制度改善や、予算の拡充を引きつづき追求します。

 増大している学卒未就職者の雇用確保と支援制度の確立、国庫負担増額による雇用保険給付期間の延長、給付金の増額、失業者への職業訓練の実施と生活保障、失業中の税・社会保険料の減免措置など、失業者の生活・就労保障を求めるたたかいにとりくみます。

 同時に、北海道や東京での経験に学んで、失業者の組織化と運動を前進させます。

 

3. 行革・規制緩和、国鉄闘争と労働委員会の民主化、争議解決、いのちと健康を守るたたかい

(1)行革・規制緩和反対、地方財政危機打開のとりくみ

<たたかいの経過と総括>

 @.行革・自治体リストラと規制緩和が労働者の国民の生活・安全に重大な悪影響を及ぼしているなかで、建交労、国公労連、自治労連などでさまざまな形で運動が展開されました。

 自治労連は、中核市への移行を口実に出てきた賃金改悪との大闘争(豊橋)などにつづいて、次々に出てきた「自治体リストラ」=学校給食の委託による現業職員の雇い止め(犬山)、非常勤看護助手への退職強要・派遣への身分替え(東栄町)、病院・保育園・学校給食の新規採用臨職の賃金削減(蒲郡)、社会福祉協議会・就業規則の改悪(安城)などと粘りづよくたたかい、「無駄な公共事業の見直し、住民の安全・福祉・健康の保持を基本とする行財政改革」など、追求してきました。愛高教も給食調理員のパート化など、県の「第3次行革大綱」の推進に反対してたたかっています。

 

 A.こうしたたたかいは、積年の無駄な公共事業=大型開発事業がもたらした国や自治体の財政危機のもとで、強まっている公務員攻撃や現業部門の民間委託などから働く者の賃金・労働条件と定員を守るたたかいであると同時に、住民サービスの切り捨てを許さぬ、住民を守るたたかいでもあり、すべての労働者・住民に響く問題といって過言ではありません。

 たたかいが前進するのは地域住民の共感が得られ、たたかいへ広範な共同ができたときという教訓に学んで、@自らの要求を地域労連に持ち込み、広範な労働者の理解と共感を得る、A住民宣伝を基礎に「対話と共同」を強め、広範な共闘に発展するようとりくむことが求められます。

 なお、昨年の大会方針で「立ち上げを検討する」とした「行革・規制緩和連絡会」(仮称)ができないまま今日を迎えていますが、今後どうしていくか、改めて検討が必要になっています。

 

<2001年度の基本方向>

 @.2001年から中央省庁の再編がスタート(1月〜)し、研究機関などの独立行政法人化(4月〜。国立病院は2003年〜)の攻撃、特殊法人の「合理化」などもいよいよ本格化します。全労連は雇用とくらし、社会保障を充実させる行政への転換、政・官・財の癒着構造をただし、戦争協力ではなく平和憲法を守る公正・民主的な行政の実現を要求してたたかいます。 そのため広範な国民世論の結集、官民一体で展開する運動を重視し、公務労組連絡会や各県労連と協力しての全国キャラバン行動なども検討しています。愛労連はこの全労連方針を受けて、県国公と協議してたたかいの具体化を図ります。

 

 A.地方自治体では政府のゼネコン型公共事業の押しつけ、不況の長期化による税収の落ち込みが財政危機を深刻にしています。なかでも万博・空港推進の愛知県の財政は破綻状況です。

 愛知県や名古屋市への要求運動を中心に、大型開発優先の公共事業を見直し、住民要求に根ざして生活・福祉密着型、地域経済振興型に切りかえさせる運動にとりくみます。また財政運営は福祉、教育、医療、中小企業への緊急支援など住民生活を守ることを重点とするよう要求します。

 このため、自治労連、国公労連、全教が中央で検討している「地方財政危機打開」の共同行動、障害者団体や私学関係者がすすめている補助金カット反対の共同行動など、関係組織と協議して具体化し、県民の共感を呼ぶ大きな県民・住民運動の構築に努めます。名古屋市向けの運動は、来春の市長選挙も視野に置いて工夫します。

 

 B.いわゆる「規制緩和」の一環として、乗合バスやタクシー事業につき、需給動向に関係なく新規参入が可能な「許可制」にする道路運送法の改悪が強行され、利用者である国民の安心・安全をおびやかすとともに、劣悪なドライバーの賃金・労働条件をさらに耐えがたいものにしています。

 国民の安全、環境、公共性などの見地から必要な規制を強化するよう要求し、交運部会中心にとりくみます。マスコミや与党内部、各業界からも規制緩和万能論への批判が高まっていることに確信をもち、全労連が呼びかける政府・各省への広範な共同闘争にも参加します。

 

(2)国鉄闘争の勝利をめざすたたかい

<たたかいの経過と総括>

 @.国鉄闘争について愛労連は、あいち鉄道フォーラムが映画「鉄道員(ぽっぽや)」の上映とあわせてとりくんだ「国鉄闘争13年 いま雇用・人権を問う」集会(400人参加/10月16日)や、「ILO勧告を学ぶ学習決起集会」(200人参加/2月25日)などの成功に役割を果たしてきました。また、国鉄対策委員会を中心に「一の日宣伝」など節々の宣伝・集会等をすすめるとともに、全動労裁判の「公正判決」を求め、東京地裁あての署名にもとりくんできました。

 こうしたなかで、昨年11月にはILOから日本政府に、「当該労働者に満足のいく解決に早急に到達するよう、JRと当該労組間の交渉を積極的に奨励するよう要請する」との画期的な勧告も出されました。

 

 A.しかし、3月29日に東京地裁が示した判決は、JRの使用者性を認め、「全動労にいては採用が危ない」など13年前の国鉄幹部の差別発言を事実として明確に認めながら、当時の橋本運輸大臣が「所属組合による差別があってはならない」と国会で答弁したから差別はなかったなど、驚くべき詭弁によってJRの不当労働行為責任を免罪しました。そして、全動労救済の中労委命令の取り消しを言い渡しました。労働委員会制度の否定にもつながる全くの不当判決という他はなく、中労委と全動労は東京高裁に控訴しました(公正判決を要請する団体・個人署名は7,100団体署名・503,000筆の個人署名を集約し、判決を前に地裁に提出しました)。

 

 B.愛労連と全動労争議団を勝たせる会は、5月27日(土)〜28日(日)に、北海道から争議団・家族代表を招いて「激励交流会」を開催。これには151人の多数の仲間が参加、大きく成功させました。争議団・支援者がお互いに怒りと闘志を高め、「不当判決」に屈せず、政府がILO勧告にもとづいて解決のための責任を果たすよう、またJRが解決交渉に応ずるよう、たたかいを強めることを誓い合いました。

 

 C.5月30日、与党3党と社民党による「不採用問題の打開にむけて」とする合意が発表されました。この枠組みは、国労にたいして示されたものであり、全労連・全動労に対しては今日に至るも正式・具体的な提案はおこなわれていません。国労に示された枠組みは、「JRに法的責任がないことを認める」とすることなど、国鉄闘争の基本にかかわる重大な問題をふくんでおり、全労連は、事務局長談話を発表しました。

 

<2001年度の基本方向>

 @.国鉄闘争は、不屈のたたかいによって画期的なILO勧告、全国570をこす自治体意見書採択などの国内外世論の構築、全国各地での共同の拡大などをつくりだし、「決着済み」という事態をゆるさず、政府をして「解決にむけて努力する」と言明させる状況をきりひらいてきました。こうした運動の到達点を踏まえ、この1年を「国鉄闘争勝利解決の年」と位置づけ、政治の場での動きを注視しつつ、夏から秋のとりくみを展開します。闘争の基本方向として、ILO中間勧告にもとづいた「政治の場」での解決の動きを重視し、政府責任で1,047名の早期解雇撤回・職場復帰の全面解決をめざします。

 

 A.同時に、JRの不当労働行為責任を追及し、JRの安全・利便性を確保する運動と結合して、一致する要求・課題での共同を前進させます。

 全労連などは11月に予想されるILO最終勧告を視野に入れて、「国鉄闘争の勝利をめざす総行動月間」(10月〜11月)を設定しています。この「総行動月間」では全労連の「秋闘3大要求」にもとづく諸行動と結合して、@「全国キャラバン」(10月中旬〜南北2コース)、A「一県一集会」の開催(9月〜10月)、B全労連争議総行動(10月13日における行動)、C国会・運輸省前座り込み(10月下旬・3日間)、D11月「一の日」行動における大規模宣伝、E「中央総決起集会」(ILO最終勧告後)を展開するとしています。

 愛労連は、国鉄対策委員会や「全動労勝たせる会」と協議してその具体化をはかります。また、「勝たせる会」の会員拡大を推進します。

 

(3)労働委員会民主化のたたかい

<たたかいの経過と総括>

 @.愛知地労委民主化会議は10月13日、愛知地労委第35期労働者委員候補として、阿部精六(愛労連)、田中洋行(全港湾)の両氏を愛労連・中立組合共同で推薦、推薦に先立ち県議会各党団長へ公正な任命を要請しました。また9月29日、県議会で日本共産党議員の質問に、労働部長は「公正な任命を行う」と答弁しました。

 

 A.民主化会議は9月8日と10月15日の両日、県庁西の名城東小公園で昼休み決起集会を開き、県庁に向けてデモ行進。10月21日には、この種の問題では異例とも言える法律学者83名と121名の弁護士が連名で、愛労連など非連合系からも委員として任命するよう、知事への要請書を提出しました。8月中旬から開始した公正任命を求める署名は、10月22日に第一次分(団体署名1,187・個人署名16,710人分)を愛知県に提出。県労働部は「任命基準の作成公表」についてはノーコメント、「困惑中」と回答するばかりでした。12月1日の任命を前にした11月8日に緊急集会を開催、第二次分(団体署名1,824・個人署名34,081人分)を愛知県に提出しました。

 

 B.県は11月29日、記者クラブに予定名簿を配付。労働者委員7名は6度目の連合独占で、反連合・非連合勢力が推薦した阿部、田中の両氏を排除しました。民主化会議と愛労連はただちに、『抗議声明』を発表し、知事室と労働部に「裁判所要請を無視」「選任基準が未公表」「選任のやりなおし」を追及しました。また12月1日、103人の参加で抗議の早朝宣伝と県庁前座り込み行動をおこないました。

 その後、民主化会議は今年2月22日に総会を開催。参加者の総意として、今後新たな訴訟は提起せず、「5.12判決」の勧告=「多様な委員選出」「任命基準の作成公表」の大義を掲げ、地労委係属の争議組合支援や差別労働行政是正など、運動と世論で、公正な任命に向けてとりくんでいくことを確認しました。また、この7月には『労働委員会活用マニュアル』を作成・発行し、改めて運動の再構築を図っています。

 

 C.全国的な地労委闘争は99年度の前半、埼玉での公正任命実現、名古屋地裁「5.12判決」、「度重なる独占は裁量権の逸脱の疑いあり」とする千葉事件・東京高裁判決など状況の有利な展開がありましたが、後半では99年9月の沖縄や今年1月の和歌山での「連合独占」への逆流、東京・京都・宮城・神奈川などでの偏向任命があいついでいます。当面10月任命の中労委労働者委員の公正任命へ、運動の強化が重要です。

 

<2001年度の基本方向>

 @.10月の第26期中労委労働者委員の任命で、全労連・純中立労組懇・MICの統一候補磯崎氏の選任をかちとるために全力をあげます。同時に、2001年4月に予定される独立行政法人担当の中労委労働者委員の公正任命の実現をめざします。

 中労委労働者委員の公正任命の実現は、全労連組合員の権利確立に不可欠であるだけでなく、政府と行政を最低限の民主的ルールに立ち戻らせることでもあり、愛知をふくめ全国の地労委労働者委員の公正任命に決定的な影響を及ぼします。当面、1万団体署名や請願署名のとりくみなど、全労連の要請を受けてとりくみます。

 

 A.愛知地労委の民主化に向けては、単産・地域で、成瀬昇著・民主化会議監修の『労働委員会活用マニュアル−労働者の権利を守るために』を活用しての権利学習をすすめ、労働委員会民主化闘争のすそ野をひろげます。県段階では、地労委活用組合交流会をかねた10月1日(日)の「地労委活用学校」を成功させます。

 (命令が)「遅い・悪い・出ない」など、「片肺地労委」で指摘されている労働委員会の機能低下・変質を許さぬため、地労委係属組合の支援をつよめ、審理促進、利用しやすい地労委運営、申立組合の立場に立った救済命令など、地労委に申し入れます。

 2001年12月任命の第36期労働者委員の獲得をめざし、民主化会議の7月末一泊合宿での議論をふまえて今年12月から知事あての署名運動など、具体化します。

 

 B.政府は、「司法制度改革審議会」を設置して21世紀にむけて司法制度の抜本的な改革にむけての審議をすすめています。愛労連は、日本国憲法が保障している「裁判を利用する権利」が文字どおり実効あるものとして確立され、裁判所が身近で安い費用で利用でき、基本的人権が守られる司法をつくるために、7月発足の「市民のための司法改革を求める愛知連絡会」に参加して、学習と宣伝、署名、要請行動などすすめていきます。

 

(4)すべての争議の勝利解決をめざして

<たたかいの経過と総括>

 @.この1年のたたかいの中で、JMIU4件(木村刃物、IBM、ソフィア、内田油圧)、全国一般3件(渡辺産業、ナトコ、共栄証券)、建交労6件(第2菱名生コン、日光陸運、常滑荷役、大翔運輸、全動労2件)、全港湾1件(伊勢湾陸運)の計14件が解決しました。

 愛労連は、上記のたたかいも含めて、解雇や不当配転、賃金差別、過労死事件などなど組織内外をあわせ30件の争議を支援し、該当する単産や争議団、支援共闘組織とともに早期解決をめざしてたたかってきました。

 とりわけ、日産やトヨタなど大企業のリストラと併せて重視した県内3争議は、秋から春闘期にかけて、当事者の頑張りを単産と地域、愛労連全体が支えて勝利をかちとった争議です。

 

 A.そのうち木村刃物争議は、建設木材刃物では業界3位の木村刃物(株)での瑞穂工場閉鎖(=中国工場に一本化)・全員解雇・退職金値切り(規定の1/3の額を60回分割払い!)を問題にした争議で、提案をのんだ連合労組を離れてJMIU加入を決めた5名の労働者をみんなが包み、無法な再建「合理化」計画を押しつけた富士銀行にその撤回を迫りつづけました。「11.17総行動」を挟んで3度に及んだ労基局交渉も迫力があり、社長への「指導」を約束させる成果も得ました。口べたで当初は自己紹介もためらった5人の仲間が、愛労連・愛知春闘共闘の討論集会ではカンパを訴え、のちに自らオルグに回り、年末には日産村山での集会参加を申し出る変わりようで、多くの仲間が感動をもらった争議でした。

 この争議は年明けに当初の値切り額を一定程度押し戻して和解で解決となりましたが、瑞穂区労連の頑張りも特筆できます。

 

 B.また、建交労・第二菱名分会が生コン会社の身勝手な企業閉鎖・全員解雇に抗議して立ち上がった争議では、「裁判をやるならやってみろ」と社長にうそぶかれた7名の労働者が、「俺たちは虫けらじゃない」の怒りで立ったのを単産と尾中地区労連が励まし、親会社である三菱マテリアル前の抗議宣伝と座り込み、年末ぎりぎり(12月27日)での決起集会と都心デモ、マテリアル社長への年賀状作戦と正月訪問など実に粘りづよい闘いで3月の勝利解決を呼び込みました。「春闘勝利3.16総決起集会」当日、直前に和解協定に調印した争議団が「たたかいぬいて勝利をつかんだ。ありがとう」と胸を張った姿は、集会参加者を大きく激励しました。

 

 C.三つめの日本IBM・Hさんの争議は、深刻な家庭事情(介護)を抱えて名古屋事業所で働く組合員の千葉・幕張への配転命令を不当とした争議でしたが、八田ひろ子参議院議員が労働大臣から「役所にも情けがある」との国会答弁を引き出したこと、中日新聞も大きく取り上げるなかで社会的な問題にできたこと、JMIUの組合員がリレー・ストでHさんを守るなど感動的なたたかいが組まれたことなどから裁判所も和解に乗り出し、早期に基本的な解決をはかることが出来ました。

 

 D.県内にはほかにも多くの争議があり、愛労連の常設「労働相談」に持ち込まれるリストラ相談も増えていますが、その相談を契機に労働組合を結成(加入)して解雇通知をはね返した実績も生まれており、「企業閉鎖・全員解雇→労働条件の大幅ダウン・再雇用」をはね返した愛知筏のたたかいなどと合わせて、貴重な経験を積んだたたかいといえます。

 

<2001年度の基本方向>

 @.関西電力、丸子警報器争議の解決につづいて、日立関連争議の中労委での和解交渉が大詰めを迎えています。思想差別、活動家差別という憲法違反がまかりとおる職場をなくすために大企業における差別撤廃闘争に愛労連の力を集中してとりくみます。

 また、全労連はすべての争議の早期・勝利解決をめざし、春は各地方を軸に秋は中央行動として年2回の「争議支援中央行動」を展開します。この「中央行動」も含め、仲間の争議にはできるだけの支援をおこない、たたかう仲間を物心両面で支えて早期勝利解決をはかります。

 

 A.たたかいのなかで最高裁の判例として確立してきた「整理解雇4要件」を形骸化する反動的判決が東京地裁を軸にあいついでいます。これに対しては、司法民主化の運動と結合して抗議や批判の集中などにとりくみます。

 また企業の再編がすすめられるもとで、民事再生法や商法の改悪により、企業の営業譲渡や分割にともなって労働者の雇用や労働条件継承が危機にさらされています。解雇規制・労働者保護法の制定を引きつづき粘りづよく求めていくとともに、理不尽なかたちで労働者が職場を奪われることのないよう、事前協議協定の締結など、職場の労使協定で歯止めをかけるたたかい、すべての労働者の共感を呼ぶ生き生きした職場闘争の構築を重視します。

 

(5)働くものの命と健康を守る活動

<たたかいの経過と総括>

 @.2000年春闘の「働くみんなのアンケート」によれば、86.6%が「身体の疲労」を訴えています。労働省の発表(98年調査)では、健康診断の有所見が41.2%に達し、2次健診や事後措置が講じられないまま、多くの過労死につながっています。ストレスによる鬱病など精神疾患が急増するなかで自殺者が32,863人(98年)になり、大きな社会問題となっています。リストラのかけ声のもとで「安全無視」がまかり通り、労働者・国民がいのちを失う事態が当たり前になっている――まさに今「非常事態」となっています。

 

 A.「夫の無念を晴らしたい」と、裁判に負けても労災認定を認めようとしない監督署に怒りを隠さない鈴木さん(一宮地域)の過労死裁判や、「社員の死で企業がお金儲けなんて許せない」と、たたかっている近藤さん(住軽金)のたたかいをはじめ、港での地域健康センターの活動など、愛知でのいのちと健康を守るとりくみは、全国の仲間を励まし、運動の裾野を大きく広げています。その彼らを支える中心で愛知健康センターが大きな役割を果たしています。

 

 B.愛労連は、愛知働くものの健康センターの主要な構成員として役割を果たすとともに、毎年独自に労働安全衛生学校を開催(今年度は11月28日〜29日・犬山/42人)するなど、職場に労安活動を育て、定着させる活動家づくりなどをめざしてきましたが、日常的な推進体制=(いのちと健康対策委員会など)の確立ができないままになっています。

通信労組、建交労、自治労連、医労連、生協労連、全教など、全国的に職場の労働実態と健康調査などを実施し職場の環境改善や時短・夜勤制限の前進をはかっている各単産のとりくみを学びあうなど、チェック機能の強化など未然に防ぐ職場活動へ具体的なとりくみのスタートが求められています。

 

<2001年度の基本方向>

 @.多くの産業で人減らし「合理化」、長時間・過密労働が進行するなかで、健康破壊や過労死・過労自殺が増え続けています。「在職死したら会社が儲かる=団体生命」に端的に現れている「大企業のモラル」は、職場の労働者の安全を確保しようとしないだけでなく、「雪印」や「JR」に見られる消費者や利用者の安全に責任をもたない体質をつくりだしています。

 愛労連のすべての単産・地域組織が職場に安全衛生委員会を設置することとあわせ、対策委員会や担当者の配置をはかり、職場の労働環境点検や労働時間チェック、健康実態調査などを積極的にとりくみます。

 また、愛労連・労働安全衛生学校(愛知働くものの健康センター/協力)の開催を12月2日(土)〜3日(日)で計画します。

 

 A.愛知働くものの健康センターと共同し、過労死や労災・職業病認定闘争でたたかう仲間を支援し、労災認定の改善に向けた運動を強めます。

 

4. くらし・福祉・教育、営業を守る共同のたたかい

(1)年金・介護・医療・福祉など社会保障の充実のたたかい

<たたかいの経過と総括>

 @.介護保障のとりくみ

 (a)国と自治体に向けて介護保障充実の運動をすすめてきました。秋には社保協・自治労連と共同で自治体キャラバンをおこない、利用料の減免制度など介護保険の改善、介護基盤の拡充、自治体独自の施策など介護保障の充実を求めました。また、地域では組合や地域労連が他団体と共同して、シンポジウムや地域組織づくりをすすめ、豊橋や岡崎などで「介護保障を充実する会」など地域の会が結成され、署名活動を展開するなど運動の前進がありました。このような運動を基礎に新たに蒲郡地域社保協が結成されました。

 また、名古屋市に向けて社保協がとりくんだ介護署名は121,696筆に達し、議会でも一部採択されました。市が現行サービスを低下させないよう求めた部分については財政事情を勘案した上で採択となるなど一定の前進を見ました。さらに社保協や地域住民の運動により、いくつかの自治体で介護保障を改善させる成果を上げています。この間、国に向けた署名は1人5筆の目標で取り組みましたが、68,409筆にとどまりました。また組合員向けにとりくんだ介護保険アンケート調査(3,700枚)は、1部の組合のみの活用でしたが、組合員の介護保険に対する意識や家族介護の大変さが浮きぼりにされました。

 (b)4月、スタートとした介護保険は、まさに拙速な制度設計であり、利用者とその家族や福祉に働く労働者にも新たな苦しみを作り出しています。利用者は、利用料の一割負担で大幅に負担が増えたり、支給限度額によりサービスがカットされる人が多数生まれています。また、利用料が払えずサービスを削減したり、サービス基盤の遅れから希望するサービスが受けられないなど矛盾が広がっています。

 (c)低い介護報酬によりヘルパーなど介護従事労働者の賃金・労働条件の引き下げも始まっています。特別養護老人ホームなど施設では、低い介護報酬と自治体からの補助金カットで人員の削減やパート、アルバイトへの切り替えがすすんでいます。全国に事業展開したコムスンは、サービスの伸び悩みと低い介護報酬で事業の縮小を開始しました。事業所が撤退した後のサービスの継続問題や就労していたヘルパーや事業所員などの雇用問題も深刻です。

 利用者が安心してサービスが受けられ、介護従事者が生き生きと働ける介護保険への改善運動が急務です。職場で介護問題が語られ、介護保障運動が前進するようなとりくみが必要です。

 

 A.年金制度の充実をめざすとりくみ

 年金改悪法は、自自公3党が数の暴力により衆・参議院で道理のない強行採決を繰り返したにもかかわらず3月末までその成立を遅らせました。これは全労連・連合などすべての労働団体が「改悪反対」の一致点での共同を広げたこと。そしてこのことが民主・共産・社民党の野党3党の共同歩調を促し、「5項目共同見解」を堅持し最後まで共同して、自自公と対決した大きな力となったこと。国会内のたたかいと6次にわたる国会前の座り込みや署名活動(全国で320万筆、愛知で65,547筆)など院内外のたたかいが結合したこと。相次ぐ社会保障総改悪に対する国民の怒りと不安が結びついたことなどによります。

 愛労連は、年金改悪反対を重点課題と位置づけ、学習、宣伝、署名、自治体意見書採択運動などとりくみました。2.25愛知総行動では、地域での全戸配布や駅頭での宣伝で50万のチラシを配布するなど、独自のとりくみや社保協と共同での署名宣伝など県民に改悪案を知らせ、運動の呼びかけをしました。その中でも年金者組合は、6次にわたる国会行動に支部からのカンパで延べ51名が参加、支部ごとに毎月宣伝行動をとりくむなど愛労連の牽引車として大きな役割を果たしました。

 

 B.「措置制度」から「契約制度」にかえ、福祉を営利化の対象とする社会福祉事業法の改悪は、社会福祉のあり方を変えるという重大な法案にもかかわらず、国会解散前のドサクサにまぎれて強行採決をしました。しかし、「福祉5団体連絡会」や社保協、全労連などの共同したたたかいは、今後の運動の足場を作りました。

 

 C.通常国会に提出されていた高齢者の1割負担を柱とする医療保険改悪法案は、年金・介護をめぐる国民的なたたかいにより先の国会では廃案となりました。

 

<2001年度の基本方向>

 @.介護保険制度の改善のために、@新たに社保協が提起する国向けの緊急改善署名を取り組みます。A実施主体である地方自治体に向けた改善運動(住民懇談会やシンポジウム、自治体交渉)を、地域労連が他団体や地域住民と共同ですすめます。また地域社保協づくりの運動に結びつけます。B10月には、社保協・自治労連と共同で県下88市町村に自治体キャラバンを取り組みます(10/17〜20、24日予定)。C家族が介護保険を利用している組合員対象にアンケート調査をおこない、自治体交渉など、今後の改善運動に生かします。D介護関係労働者の実態調査をおこない、交流会、ネットワークづくりに向けて検討をすすめます。

 

 A.年金制度(2004年)の見直しに向けた改善運動に取り組みます。基礎年金の国庫負担金割合を早急に2分の1に引き上げること、全額国庫負担の最低保障年金制度の創設など、国・地方に向けて運動をすすめます。

 

 B.先の通常国会で先送りとなった医療保険の改悪に反対し、学習・署名・宣伝行動などの取り組みを強化し、国会の審議状況にあわせ中央行動もとりくみます。

 

 C.社会福祉のすべての分野を金儲けの対象にし、福祉の公的責任を放棄する社会福祉事業法が改悪されました。4月から実施された介護保険制度の実態をみれば、市場原理に任せることの危険性が明らかです。2003年本格実施に向けて保育や障害者施設など、自治体の公的責任の追求と実際の運用で改悪を阻止するなど、利用者や経営者と共同して運動をすすめます。

 

 D.第3次行革、県民のいのち・暮らし・福祉を削る補助金カットに反対し、充実するたたかいを県民や社保協や障害者・福祉団体と共同してすすめます。

 

 E.社会保障の充実は、労働者・国民の生活向上にとって欠くことができません。各組合は、賃金闘争とあわせて社会保障闘争を重要な要求運動の柱に位置づけます。

 また、愛労連として社会保障闘争強化のために、「社会保障闘争推進委員会」(仮称)を設置します。

 12月に「社会保障学校」(愛知社保協との共催)を開催し、多数の参加で成功させます。

 

(2)消費税の増税阻止、減税をめざすたたかい

<たたかいの経過と総括>

 @.消費税が導入されてから12年目となります。この間、国に入った消費税は71兆円以上といわれ、国民一人当たり59万円も払ったことになり、景気悪化の原因が消費税増税にあることは、はっきりしています。大銀行への公的資金の投入、ムダな大型公共事業に湯水のように税金を注ぎ込み、国と地方の借金は小渕内閣の任期中だけで百兆円も増やし、総額で164兆円という途方もない借金です。こうした放漫財政の末にねらっているのが消費税の大増税です。大型公共事業には50兆円、社会保障には20兆円という逆さまな税金の使い道を変えることが緊急の課題となっています。

 

 A.愛労連は「消費税をやめさせる愛知連絡会」に結集して消費税減税をたたかってきました。毎月24日を基本に金山総合駅での署名・宣伝行動は、138回となりました。昨年10月に団体・地域代表者会議(総会)を開催し、情勢学習ととりくみの意思統一を行いました。この中で98年の参議院選挙後、国会では日本共産党や二院クラブなどが議員立法として「消費税減税法案」を5回も提出しているにもかかわらず、自民党、公明党などの反対や審議妨害で一度も審議されず「審議未了・廃案」にされてしまいました。公明党は自分で反対しておきながら「共産党は公約違反」などと宣伝をするなどもっての他です。「なぜ消費税減税ができないのか」のこうした事実をもっと国民に知らせていくことが重要です。

 

 B.12月には連絡会として、消費税3%への引き下げ要求実現を目指し、県内の3000を超す団体・組織に申し入れ活動や国会集中行動(12月7日)、街頭宣伝行動(11月24日、12月2日)および県議会への請願(議会のたび毎回)を行ってきました。とりわけ、強行導入12年目をむかえる3月31日は、消団連との共同で、栄・三越前で風船や花の種を配り、署名の訴えや小渕首相へのFAX行動、シール投票など12時〜17時までのロングラン宣伝行動を70人の参加でとりくみ、愛知県と名古屋市への申し入れも行ってきました。

 

<2001年度の基本方向>

 @.長引く不況の中、失業者は過去最悪、労働者の賃金切り下げ攻撃、リストラ首切りの強行など労働者の暮らしの悪化はますます広がり、中小企業の倒産は増えつづけています。「消費税を3%にもどせ」「せめて食料品は非課税に」「大増税反対」など、5%の消費税は私たちの生活に大きくのしかかっており、一日も早い消費税減税の実現を国民が待ち望んでいます。 ところが政府は、消費税の「福祉目的税化」で近い将来10%、15%と大増税を計画しています。消費税の税収は1%で約2兆5千億円、現在の税率5%では約12兆5千億円になります。6月に行われた衆議院選挙では「増税隠し」「政権構想」論で国民の目をそらし、票をかすめとろうとしましたが、日本共産党の政策論争で大増税路線が浮き彫りとなりました。こんなことは絶対に許す事はできません。

 

 A.昨年10月、公明党は国民を裏切り、自民、自由との連立政権発足にあたって「消費税を福祉目的税に改め、基礎年金、高齢者医療、介護をはじめとする社会保障の財源に充てる」ことを要求、合意しました。もともと消費税は、「高齢化社会のため」といって導入を強行しました。ところが、高齢者医療は次々改悪され、年金・福祉も改悪に次ぐ改悪で国民負担が押しつけられてきました。消費税導入後、国にはいった消費税は71兆円なのに社会保障は累計で19兆円しか増えていません。高齢者対策に使われた金額は、たった5兆円で国の消費税の税収の7.4%にしかなりません。

 さらに、社会保障の費用を保険から税に切り替えることで、国民の税負担は増えますが大企業は保険料の事業主負担が大幅に減ります。年金審議会の答申で「税法式を導入し、法人の負担を軽減させることが必要」などと述べていますが、基礎年金をすべて消費税でまかなうとすれば「消費税は8%となる一方、大企業の保険料負担が3兆3千億円も減る」ことになります。

 

 B.福祉目的税化で消費税をアップするより、真っ先にやるべきことは目茶苦茶な税金の使い方を改めるべきです。この1年間だけでも大銀行への公的資金投入や大型開発で56兆円も使い、国と地方の借金は640兆円にもなります。

 中央の各界連絡会は7月12日、「大増税を阻止する壮大な運動」を呼び掛けました。総選挙後をねらって、政府税制調査会が消費税を「基幹税」と位置づける答申を出し、税率引上げにレールをしこうとしていることに反対しての提起です。それによると「1年をきった参議院選挙にむけて消費税問題を一大争点に押し上げよう」「福祉目的税の問題を含めて消費税とはそもそも何なのか、あらためて大いに学習を広げよう」などとしています。

 

 C.中央各界連は9月11日に全国代表者会議を開き、新しい署名の具体化や運動の方針提起をするとしています。愛知の「消費税をやめさせる連絡会」は、毎月24日の定例/金山総合駅での宣伝・署名活動をはじめ、消団連・中小企業家同友会などと共同して「学習決起集会(9月30日予定)」をすすめていきます。

 愛労連は、「愛知の連絡会」に結集して中央各界連の方針の実践で、愛知における共同を発展させ、大増税阻止のため各単産、地域労連がその役割を果たし奮闘します。とりわけ、主要単産は「県連絡会に参加」することをすすめ、地域労連は、地域連絡会結成と活動の再開に積極的にかかわっていくようにします。

 

(3)万博・空港こそ見直せ、万博「県民投票」を求めるとりくみ

<たたかいの経過と総括>

 @.愛知県政の焦点ともなっている「2005年愛知万博」については、「県民投票条例制定」の直接請求署名を決意した私たちの動きに知事と県政与党がおびえ、1月14日の中日新聞のスクープを契機に、ついには新住宅事業とアクセス道路の中止など、当初案を大幅に修正して県民批判をかわそうとする動きが表面化しました。

 この土台に、「21世紀は環境の世紀」といわれる自然環境保護の世論の拡がりと、藤前干潟埋め立て断念に追い込んだ1年前の名古屋の経験があります。また、かつてない財政危機の下で暮らし・福祉・教育へのわずかな補助金をカットし、県関係職員に賃金・一時金の切り下げを押しつけながら、なお万博・空港に固執する知事と県政与党への県民の強い批判があるのも明らかで、昨年来の私たちの主張と運動は、県当局を大きく追い込んできたと評価できます。

 

 A.3月15日公示、5月14日締切りの「万博」県民署名は、法定必要数(有権者の50分の1)の約3倍、32万8,218名(有権者比6.02%)を集約しました。また、署名を集める受任者は1万6,232人となりました。署名は一人ひとりと対話しながら、直筆で印鑑や指印を押してもらい集めたもので、約百万人と対話する画期的な運動でした。署名運動は、県政だけでなく県内の多くの自治体で「住民が主人公の自治体」へと転換をかちとる民主主義の土壌をつくり出しました。反対派も加えた「検討会議」の設置は県の苦肉の策ですが、私たちの運動と世論が作らせた側面も見過ごせません。

 

 B.国家公務員や教員は受任者になれない、受任者も自分の居住地でしか署名を集めることが出来ない(職場では一部しかとれない)、署名簿の回覧は出来ない・・など「直接請求」ゆえの制約も多く、労働組合にとってはきびしいとりくみで組合落差も大きく現れましたが、山間部へのキャラバン行動、主要ターミナルや地域へ入り込んでの署名行動、地域センターでのきりもりなど、市民・民主団体とあわせた2ヶ月間の頑張りは評価してよいものです。とくに組合員の半数近くを受任者とし地域でも独自の行動にとりくんだ豊橋市職労など、愛労連を引っ張った自治労連の奮闘は特筆に値します。

 

 C.これに対して県は、県民投票を求める31万余人の直接請求を反対多数で葬り(7月17日県議会。日本共産党、ローカルパーティーズ、自由党の5人が賛成であとは全員反対に)、「検討会議」が大筋合意した「海上の森会場の大幅縮小」で環境問題はクリアしたとして、BIEへの12月正式登録を予定しています。しかし「検討会議」の一部メンバーも指摘するように、主会場といわれる青少年公園のアセスメント未実施、実施計画と交通アクセス、起債残高が3兆6,000億円にも達する財政問題などほとんどの問題点は手つかずで、万博推進派の矛盾は深まっています。

 

<2001年度の基本方向>

 @.「万博開催の是非は県民投票で」とする直接請求運動は、法定必要数の3倍、31万超の署名で県議会に迫りましたが、知事は「新住宅事業や関連道路は中止した」「大幅な見直しをおこなっており、海上の森の利用計画を含めて全体計画も検討会議で議論している」「県民投票は不必要」との意見をつけて議会審議に回し、議会では7月17日、日本共産党など一部議員を除いて知事意見に同調しました。

 

 A.議会は「県民投票」の実施を否決しましたが、環境破壊、財政問題、県民合意のどれをとっても問題は未解決で、「賃金・補助金を削って、なぜ今、万博・空港か」の疑問はますますひろがるに違いありません。中部新空港問題とあわせて改めて「中止を含む抜本的な見直し」を求め、革新県政の会や広範な県民とともに、推進勢力にせまる運動を強化します。

 

(4)補助金カット反対、税の使い方を改めさせるとりくみ

<たたかいの経過と総括>

 @.愛知県の補助金カット反対の行動は、私学関係者が秋に439万の県民署名を集めて12月議会で請願採択をかちとり、現行水準を守ったのをはじめ、障害者団体が師走に連続7日間、最終日には徹夜座り込みを敢行するなど、文字通り必死の運動がつづき、県当局を追いつめました。

  愛労連は、障害者のそうした必死の座り込みを毎回サポートし、昨年はじめて組んだ共同を次第に強固なものにしました。そして2〜3月議会の請願締め切り日=2月29日には、三の丸での早朝ビラにとりくんだ後、障害者福祉関係予算の削減中止を求める請願署名3万余を提出、議会傍聴と県庁前座り込みを同時並行でとりくみました。昼休みには名城東小公園で集会を行い、県庁前までデモ行進してシュプレヒコール、500名を超える統一行動を成功させました。当初30%以上と打ち出されたカット幅を、昨年15%まで押し戻し、私学助成同様、今年さらなるカットを阻んだのは、この共同行動の成果でもあります。

 

 A.ただ基本問題は未解決で、深刻な財政事情の下、運動が弱まればただちにカットがかぶるのも事実です。私学助成や障害者の小規模作業所などへの補助金カットは手控えた県も、乳幼児・障害者・母子父子家庭への福祉医療無料制度と、70歳以上の障害をもつ高齢者への福祉給付金(ともに本山革新市政の時代に住民の要求で実現させた「医療無料化」制度)については、この8月から一部有料化を強行しました。

 これに対し、「これがこのままやられれば、いま無料の50万人中33万人が有料とされてしまう。これまでは県と市町村とが半額ずつ負担してきたが、こうなった以上、市町村には県の分まで併せて出してもらわなければ。最悪でも現状は維持してほしい」の要求が高まり、障害者団体や社保協、革新市政の会、名古屋市職労など9団体が共同で「名古屋市の福祉医療制度を守る」ための団体署名やハガキを6月議会に集中する運動にとりくみました。これと、県下87市町村(名古屋市除く)への昨年の自治体キャラバンや、様々な団体の要請などが功を奏して、県の方針どおりの住民負担とする自治体は、7月末には知多市を残すのみとなりました。ほとんどすべての自治体に一部負担金の導入を見送らせたのは大きな成果です。

 来春は名古屋市長選挙もあります。県の補助金カット反対のとりくみとあわせて、革新市政時代に築いた福祉医療を守るたたかいに、愛労連も社保協の中心組織としての責任をはたすことが求められています。

 

<2001年度の基本方向>

 @.補助金カットは、私たちの運動でカット幅圧縮などの成果をかちとっています。「福祉医療への補助金カット」についても、県は8月からのカットを強行しましたが、市町村の大半が県のカット分を上乗せして現行補助額を守りました。住民のつよい要求と社保協などの運動の成果です。

 しかし、深刻な財政破綻をかかえた県が万博・空港など相変わらずの大型イベント・大型開発をつづけるかぎり、補助金は予算編成のたびに問題になります。そして、県が税金の使い方を基本のところで改めないかぎり、さらなるカットは必至で、障害者団体、私学関係者だけでなく、県下の市町村にも重大な財政負担となってはね返ります。

 「税金の使い方を改めよ」の世論をつよめ、広範な団体に働きかけて、予算編成に対する要求行動を組むことが重要です。具体的には、革新県政・市政の会、社保協、国民大運動実行委員会などで相談してとりくみを具体化します。また、2年間積み上げてきた障害者団体などと の共同行動も検討します。

 

 A.愛知だけでなく、全国の多くの自治体が借金財政に苦しむなかで、自治労連、全教、国公労連の3者が中央段階で「財政危機打開、住民生活・福祉・教育の拡充めざす」共同行動を検討しています。

 この運動は、賃金・一時金の切り下げに反発する県関係職員にも共感をもって受け止められる運動です。愛知でも「地方財政危機打開」を正面に据えたこの運動を、自治労連、国公、愛高教などと相談して、とりくむことが求められます。

 

(5)子どもと民主的な教育を守る運動

<たたかいの経過と総括>

 @.長年にわたる政府・文部省の「過度に競争的」な教育は学校から「ゆとり」を奪い、子どもたちに大きなストレスをもたらしています。さらに、長引く不況、雇用破壊などが家庭生活や地域社会にも深刻な影を落とし、政治の腐敗、社会道徳の荒廃などともあいまって「17歳問題」など少年凶悪犯罪などを招いています。

 しかし、政府・文部省は自らの文教政策の失敗は棚に上げ、学校や・教職員、家庭や地域にその責任を転嫁し、「教育改革」の名の下に「日の丸・君が代」法を押しつけ、教職員への成績主義賃金や校長権限強化のための「学校評議員制度」を導入するなど、反動的文教政策を強引にすすめています。また、通学区域の弾力化や「特色ある学校」づくりにもとづく学校「多様化」などの「規制緩和」によって、公教育の縮小・解体をはかろうとしています。

 

 A.愛高教や私教連に結集する仲間は、全教・全国私教連とともに政府・財界主導の「教育改革」を許さない様々なとりくみを行ってきました。また、父母・県民との共同を深め、ゆきとどいた教育を実現する全国3000万署名は11年目を迎え、99年度も全国で2000万を超える署名を衆参両院に提出しました。県内でも、愛高教・名高教・あいち公立高校父母連絡会が共同でとりくんだ30万余りの署名を県に提出しました。こうした運動の中で「国の責任で30人学級を求める」自治体意見書採択が、これまでの14市町村に加え新たに祖父江町など4町村で採択されました。

 私学助成にかかわる関係者の大運動は臨時大会で確認したとおりで、高校生・父母・教職員の運動がひろがるなかで、愛知県も補助金のさらなるカットを手控えています。

 

<2001年度の基本方向>

 @.未来を担う子どもと教育をめぐる深刻な事態は、昔年の能力主義・管理主義などの教育政策、性や暴力が氾濫する退廃的文化状況、リストラ「合理化」長時間労働などによる家庭の崩壊、地域社会の変容など複合的要因によってもたらされたものですが、近年の「教育改革」の名による公教育解体、能力・競争主義の強化、長引く不況などその状況はますます深刻さを増しています。しかし、政府・文部省はこうした事態の責任を学校・家庭・地域などに転嫁し、日の丸・君が代の学校への押しつけに見られるような反動的教育行政を一層強化し、「教育改革国民会議」を中心に教育基本法の改悪をももくろんでいます。

 

 A.国家主義的・反動教育を許さず、教育基本法を守るたたかいはきわめて重要な課題です。また、問題の解決には国民的・社会的運動が不可欠です。全教がすすめる全国3000万署名運動や「30人学級」を求める自治体請願運動、憲法・教育基本法を守る運動などを積極的に支援するとともに、働くものの立場から教育への父母・住民の参加を求める運動を強めることが重要です。

 愛労連は、愛高教、私教連、名高教、新婦人など関連労組、友好組合・団体と協議して運動の具体化をはかるとともに、県や自治体に対する積極的な政策提起を要求します。

 また、「30人学級」などの教育条件改善、「私学助成」拡充、高校入試制度抜本見直しなど、これまで積み上げた運動は引き続き強化します。

 

(6)農業と食糧の安全、環境を守るとりくみ

<たたかいの経過と総括>

 @.農業と食糧の安全を守る課題は、愛知食農健に参加、とりくみをすすめてきました。

 (a)99年10月17日(日)、名古屋市港区で第10回あいち食糧メーデーを開催しました。遺伝子組替え、ゴミ問題をテーマとした寸劇「暮らしのなんでも分別団」では食の安全やゴミの分別などについて問題を提起、竹で器と箸を作り、いも煮を試食するなど環境に配慮した、楽しく勉強するとりくみとなりました。

 (b)2000年2月東京でWTO国際シンポが開催され、愛知から愛労連など10人が参加しました。イタリアNGOのオノラティさんは「食糧主権は国際的に認められるべき基本的人権である」、アメリカ農業・貿易研究所のリッチィさんは「WTOのもとアメリカ農業も危機に陥り、離農、自殺、家庭崩壊が相次いでいる」、韓国農民連の劉さんは「自由化によって価格破壊が進み、農民は生きる意欲を失っている」と発言。農業、食糧、安全についてヨーロッパ、韓国、日本、そしてアメリカでも同じように苦しみ、同じように頑張っていることを肌で感じ、どの国、どの地域の住民も現状と考え方が同じなのだという共感と確信が生まれました。全国食健連の主催したこのシンポの成功は、今後のWTO改定に大きな力となります。

 (c)「安全でおいしい学校給食の充実」「名古屋港の輸入食品見学学習会」「新農基本法へのとりくみ」をとおして食糧、農業、健康に関係する農民、消費者、労働者の対話・共同行動を広げています。労働組合にとって、組合員の食・農・健に対する具体的要求を組織することが課題となっています。

 

 A.名古屋あおぞら裁判(名古屋市南部大気汚染公害訴訟)のとりくみ

 (a)国と中部電力や新日鐵、愛知製鋼、東レ、大同特殊鋼、三井化学、東邦ガス、東亜合成、中部鋼鈑、ニチハ、ヤハギ(倒産)の被告11社を相手どり、大気汚染物質の排出差し止めと損害賠償を求めて提訴(名古屋地裁)、原告の1/3が解決を迎える前に亡くなるという厳しい現実を乗り越え、10年余を経て昨年11月1日、結審しました。

 裁判終了後、訴訟原告団と愛労連や新婦人、愛商連など支援の仲間は、県・市への要請、栄宣伝、中電本社前集会など終日行動を展開、「被告企業は謝罪せよ」「裁判所は公正な判決を」とアピールしました。

 (b)地裁判決を今年11月27日に控え、2.25愛知総行動では、15地域労連と共同で中電の支店・営業所26ヶ所へ要請行動、参加者250人を超える行動に全ての営業所が対応しました。また、中電本社には、芦浜原発の建設断念を契機に、「原発推進政策そのものの見直しをすすめよ」との申し入れも行ってきました。3月24日には、早期解決を求めて訴訟原告団や全国・地元の支援者らが栄小公園に集合。被告最大の大気汚染排出企業・中電本店までデモ行進(昼休みデモ)、本店社屋を人間の鎖で包囲、原告らの訴えの場にはじめて取締役(法務部長)が出席しました。継続してとりくんでいる被告企業の包囲・要請行動や100万署名、判決日行動への共同・連帯するとりくみの強化が求められています。

 

 B.新南陽工場建設用地への水銀投棄(埋め立て)に端を発した政・官・業が癒着した工事費水増し疑惑を裁く裁判(名古屋地裁)は、7月14日判決で原告(市民グループ/新南陽工場建設疑惑を究明する会)勝訴。(「中日」14日夕刊)が「政官業の癒着、官製談合の実態を暴き出した大きな意味のある判決。司法が行政へのチェック機能を果たした」と報道したように、水増しそのものは認定しなかったが、「当初落札が本命視されていた大手ゼネコンの積算」と比較しても、「落札価格は適正な利益のみを見込んだものとは考えられない」として、談合によって実質的に名古屋市に損害を与えたと判断、鹿島などの工事業者に9億円、元市議(公明党)と元市建築局次長に、連帯して1億円の返還を求めました。

 

<2001年度の基本方向>

 @.農業と食糧の安全を守るとりくみ

 (a)日本の食糧自給率は39%、砂漠地帯かアイルランドを除けば世界最低。それなのに水田の40%は減反、ミニマムアクセス米の大量輸入、農産物の価格保障の撤廃、これでは農業はやっていけません。今年は野菜などの生産量は80%増えましたがトマト、人参、ごぼう等輸入が昨年比2.7倍も増えたため、価格は昨年より50%安、とても農家はやっていけません。 学校も教会も飛行機でしか通えない巨大農家(全体の10%)が農地の90%を占め、残りの90%の農家は危機となっているアメリカ。サッチャー前政権の規制緩和で学校給食制度が破壊され、低生活層地区の子どもたちはスナック菓子とジュースが主食となっているイギリス。

 日本でもまな板や包丁のない家庭が増えているといわれていますが、遺伝子組替え食品への関心の高まりが、ビールメーカーの遺伝子組替え原料使用を断念させたり、大豆トラスト運動など生産者と消費者の結びつきを強めています。

 (b)農業と食糧の安全を守ることは、労働者にとっても重要な課題としてとりくみます。

 第11回食糧メーデーの開催、食糧の海外依存をやめ食糧自給率を引き上げる具体的な運動の提案、学校給食の民間委託反対、国産新米や地元の野菜を食材に使用させるとりくみや遺伝子組替え食品の表示義務化、WTOの次期改定交渉に向けて各国の食糧主権を守る立場からの運動を強めます。

あいち食糧・農業・健康を考える会に積極的に参加し、この問題に関係するすべての団体との総対話・共同行動を追求します。

 

 A.環境を守るとりくみ

 (a)地球規模での温暖化、オゾン層破壊、酸性雨、森林減少、砂漠化、海洋汚染などが深刻化し、大量生産・大量消費・大量廃棄の発想の見直しが迫られています。地域からダイオキシンや環境ホルモン災害の根絶、資源リサイクル運動などに積極的にとりくみます。

二酸化窒素、酸性雨、浮遊微粒子などの大気汚染全国一斉測定運動のとりくみに協力していくとともに、第6回愛知NO2簡易測定運動実行委員会が行う、11月9日〜10日の測定運動に愛労連交運部会として参加します。

 (b)名古屋あおぞら裁判をはじめとする公害をなくし、きれいな空気をとり戻す裁判闘争を支援し、共同のとりくみに連帯します。

 名古屋あおぞら裁判の判決日(11月27日)を軸とした各被告企業交渉など、勝利をめざす行動(8月4日〜6日の弁護団会議で論議の上、具体化)の成功へ共同をすすめます。

 

5.平和・民主主義、政治の民主的転換

(1)平和を守り、核兵器のない21世紀をめざして

<たたかいの経過と総括>

 @.核兵器廃絶と核戦争阻止、被爆者援護をかかげて草の根でとりくんできた私たちの運動は、大きく前進しています。昨年の国連総会決議に見られるように、21世紀には核兵器のない世界をめざそうとする国が圧倒的多数となり、従来の非同盟諸国運動の枠をこえた「新アジェンダ連合」の決議の賛成は111カ国、反対はわずか13カ国です。

 核兵器にしがみつき世界支配をつづけようとする勢力は、次第に追い詰められていますが、北大西洋機構の「NATO新戦略概念」と日米安保条約の「新防衛協力の指針」などの具体化によって、いっそう侵略的機能を強め、国連憲章と国際法を無視し、「ユーゴ空爆」を強行するなど、必死のあがきを見せています。

 

 A.昨年12月の国連総会で「核兵器廃絶決議」にすべて棄権し、アメリカの核攻撃戦略に従う日本政府の姿勢は、まさに世界から孤立した姿勢です。原水協が提起した「国連総会で核兵器廃絶決議に賛成せよ」の運動の強化が求められています。こうした状況のもとで行われた2000年国民平和行進は、5月31日から6月11日までの12日間、愛知県内を歩き、のべ32コース、324km、のべ参加者4923名と、すべてのコースで、国民平和行進と市民平和行進の共同が成功しました。愛労連は実行委員会の一員として奮闘するとともに、すべてのコースに幹事・役員を配置しました。

 

 B.11月20日、公表された米国防総省文書に続き、小笠原返還時にも核持ち込みに関する「密約」があったことが解禁文書から判明。日本政府の「国民だまし」に怒りが結集され、非核三原則厳守、非核港湾条例制定などのたたかいが全国でひろがりました。愛労連は2000年原水爆禁止世界大会の成功をめざして、愛知県代表団(広島大会)の団長をつとめるとともに、愛知で初めて開催した「反核・平和ミレニアムのつどい(7月23日)」に積極的に参加し、成功させてきました。

 

 C.愛労連は、核兵器のない21世紀を願い、反核・平和と基地撤去など、県民世論を大きく前進させるために、県原水協や安保破棄県実行委員会に結集して運動を進めてきました。5月22日からNY国連本部でNGOの参加する「国連ミレニアム・フォーラム」が開催され、愛知から4名が参加、小田前朋子(名古屋市職労)さんが労働者代表として加わりました。

 また、原水協から提起された「日本政府署名」の推進、安保破棄実行委員会主催の7・20沖縄・嘉手納基地包囲「人間の鎖行動」への参加。愛労連10周年記念事業での「沖縄・平和ツアー」(6月22日〜25日)と沖縄県民との交流や基地撤去のたたかいを進めてきました。

 核超大国として横暴を極めているアメリカにおいても、昨年、州議会両院で政府の核政策の転換を求める決議をしたバーモント州につづき、マサチューセッツ州でも運動が大きく前進しています。愛知県の非核宣言をした自治体数の割合は、全国に比べて遅れており、アメリカ・ロシアの未臨界核実験反対、全自治体での非核宣言の実現と平和行政の確立と長崎原爆訴訟「松谷裁判」勝利をめざす取組み、さらには愛知県と全市区町村での「原爆展の開催」など運動の前進のため、愛労連、各単産・地域労連として、一層のとりくみの強化が求められています。

 

 D.21世紀へむけ、平和な日本とアジアへの展望を開こうと、10月21日、全国各地で「日米安保条約廃棄10.21全国統一行動」が行われました。愛知県民集会には2000人が参加し、集会後、伏見までデモ行進。名古屋港への米艦船入港や自衛隊小牧基地強化に反対、戦争法反対、憲法守れのシュプレヒコールがひびきました。

 

 E.11月21日、新ガイドラインとその立法化に反対する愛知県連絡会と尾張中部地域連絡会は、共同して集会を開催。県下各地から約900人が参加、自衛隊小牧基地までデモ行進を行いました。小牧基地は現在、名古屋空港として民間との共用ですが、海外派兵のたびに使用されるC130H輸送機を配備する航空自衛隊の最大の輸送基地となっています。新ガイドラインで戦闘機の格納庫の建設がすすむなど新たな基地強化の危険な動きとなっています。

 

<2001年度の基本方向>

 @.核保有国に核兵器廃絶の決断を求めた非核国政府でつくる「新アジェンダ(課題)連合」提案の国連決議などにみられるように、いま国際的な軍縮運動と核兵器廃絶の運動が新たな高まりを示しています。

 全労連は、こうした国際世論をさらにひろげながら、核兵器のない21世紀を求める運動との共同をめざし、核兵器廃絶をめざす広範な労働組合・労働者の国際交流・連帯活動を中央・地方から強化することを呼びかけています。

 愛労連はこの提起に応え、県原水協、平和委員会などと相談してとりくみます。「3.1ビキニデー」「平和行進」「原水爆禁止世界大会」などには積極的な参加をめざし、その成功に役割を果たします。

 

 A.県原水協や平和委員会と共同して、「ヒロシマ・ナガサキアピール」署名や、日本政府にたいする核兵器廃絶支持要求署名の推進をはじめ、それぞれの地域で「核兵器廃絶」を求める多数派結集、非核自治体宣言など草の根の非核運動を前進させます。

 また、非核三原則の厳守、核密約の全容公表と破棄、非核港湾条例制定の運動などに積極的にとりくみます。

 

 B.安保条約の廃棄を展望しつつ、当面の課題として沖縄普天間基地の移設に反対し米軍基地の撤去を求める運動や名古屋港・名古屋空港の軍事利用を許さない運動、戦争法の発動を許さず有事法制を阻止するたたかいなど、平和を守る個別課題は、広範な共同を発展させつつとりくみます。

 また、「10.21集会」や「日本平和大会」(12/1〜3沖縄)、「6.23統一行動」など、これまでも重要な役割を果たしてきた節々の集会・行動成功へ、関係団体と協議してとりくみます。

 

(2)憲法を守り、民主主義の発展をめざすとりくみ

<たたかいの経過と総括>

 @.衆参両院に憲法調査会が設置され「憲法の見直し論議」がスタートしています。この調査会は議案提案権を持たず、調査期間は5年を目途とすることが申し合わされています。しかし設置の意図が「憲法改正」の発議権をもつ国会に憲法明文改悪の足場を築くところにあり、その焦点が憲法の平和的原則、とりわけ第9条にあることは明らかです。

 世界に誇るべき憲法が日本においてどのように機能し、政治や国民生活の場で実現されているか、また実現するために何をするべきか。そのことをまず明確にしなければなりません。国会でのやりとりは今後はっきりしてきますが、職場、地域での憲法学習やシンポなどおおいに 論議を深めることが重要となっています。

 その点で、愛知憲法会議主催による「5.3憲法講演会」や連続学習会の位置づけは、愛労連としてもっと高めることが求められます。なお6月2日と3日、港湾会館を満席にして開かれた憲法擁護「真珠の首飾り」公演のとりくみは画期的で、日本国憲法誕生過程とそのすばらしさをドラマチックに再現して観客に深い感銘を与えました。とりくみの中心となった全港湾や全税関をはじめ実行委員会の奮闘は高く評価できます。

 

 A.昨年、内閣に司法制度改革審議会が設置され、本年10月に中間報告、来年には最終答申を提出する予定と伝えられています。裁判は、国民の生活と権利に密接な関わりを持っています。ところが今日の日本の裁判と司法は、国民の期待に必ずしも応えるものではなく、また国民の権利を迅速に救済する機能を十分に果たしているとは言えません。

 国民の監視と働きかけなしには市民のための司法改革が実現するはずはなく、財界は規制緩和の推進によって、市場原理が支配する競争社会をめざす立場から、「司法の抜本的改変」を働きかけていますが、こうした権力や財界のための「司法改革」ではなく、市民のための民主的司法の改革を実現しなくてはなりません。

 愛労連は、7月19日に結成された「市民のための司法改革を求める愛知の会」に参加し、署名や学習会、シンポの開催など、弁護士や市民団体との共同をひろめ、今後、必要な行動を積極的にすすめる必要があります。

 

 B.森首相の「神の国」発言につづく「教育勅語」「無党派は寝ていろ」発言は、およそ民主主義とはかけはなれた時代錯誤もはなはだしく、首相の資格もないものです。

 しかし「自・公・保」連立与党は、森隠しと発言擁護に終始するのみか、総選挙では政策論争を避け日本共産党への「誹謗と中傷」の「反共謀略・覆面」ビラとパンフを全国で40種類、1億(推定)をこす枚数を配布。愛知でも県内全域で、深夜にポストに投函するなど「前代未聞の謀略」体質をあらわにしました。選挙後も「民主主義と市民的自由」を守る立場で各界・各層・著名人から、政権与党と創価学会を糾弾する声が上がっています。こうした問題は一政党の問題として傍観するのではなく、民主主義の根幹として労働組合でも大いに議論しなくてはなりません。

 

<2001年度の基本方向>

 @.国会への「憲法調査会」の設置や森首相発言にみられるように、憲法改悪・戦前の軍国主義への回帰をはかろうとする策動が急速に具体化されており、憲法改悪阻止にむけたたたかい強化が緊急の課題になっています。このなかで全労連は、日本国憲法が21世紀に通じる先駆的な平和的・民主的諸原則をもっていることへの確信を深めるため、全労働者規模で職場・地域からの大学習運動にとりくむことを提唱しています。

 

 A.愛労連としてもこの学習運動を重視し、改憲阻止へ広範な労働者・国民とともに立ち上がる下地をつくります。また、すべての単産・地域労連がこの方針にそって意識的かつ積極的にとりくむこととします。「5.3憲法講演会」をはじめ、学習会や講演会には積極的な参加をめざします。

 あわせて、「憲法擁護の国民的戦線」の構築をめざし、愛知憲法会議、安保破棄実行委員会、愛知革新懇などと協議し、愛労連も積極的な役割を発揮するよう努力します。

 

(3)政治の民主的転換、革新・民主の自治体建設のとりくみ

<たたかいの経過と総括>

 @.自自公3党の党利・党略による衆議院比例定数20削減が急浮上する中で、愛労連は自由法曹団や国民救援会とともに各団体に呼び掛け、3年振りに「小選挙区制廃止、政党法反対愛知フォーラム」の活動を再開しました。11月18日から毎週木曜日、昼休み宣伝をはじめ、国会要請行動(11月30日)などをとりくんできました。

 自自公3党は、第147通常国会冒頭で、衆議院比例定数20削減法案を委員会で強行採決(1月26日)という暴挙をはかり、2月2日には、委員会審議を一度も開かないまま、参議院本会議で採決という、国会法をも無視する暴挙を重ね、「冒頭処理」の仕上げを強行しました。愛労連と小選挙区制廃止・政党法反対フォーラム、安保破棄県実行委員会の3者は、緊急の栄・バスターミナル宣伝行動や、昼休み緊急抗議デモなどを行いました。

 

 A.6月25日投票で行われた衆議院選挙では、@大企業の横暴を許さず、民主的規制とルールの確立、A「ゼネコン」政治から、「住民が主人公」の政治、B憲法を擁護し、戦争法の発動を許さず、平和・民主主義を守る政治、を基本とした総選挙方針を確認、全労連機関紙の特集を活用するとともに、愛労連も選挙特集号を発行して、職場・地域での活発な討論を呼びかけてきました。また、解雇規制・労働者保護法や、年金、介護、万博など選挙の争点となるべき課題での各政党への公開質問状をとりくみ、機関紙への掲載とあわせ、ホームページでの紹介をすすめました。選挙終盤には、投票を呼びかけるアピールを発表、「寝ていてくれれば…」などと国民を平気で侮辱する首相に再び政権をとらせてはならないとの決意を示しました。

 結果は、情勢でも紹介したように自公保あわせて65議席を後退させる=自民党政治NO!の審判が下されました。

 しかし、私たちのとりくみも、方針でかかげた「職場で政治の風が吹き」、「要求を阻む者は誰だ」が職場・地域のすみずみで語られ、選挙闘争を通して、労働者が要求にいっそうの「確信をもつ」ことには至りませんでした。端的にいって森首相が望んだ「寝ている」状態も、中にはなかったとはいえません。

 一人ひとりの政党支持の自由を保障することと、政治的中立とは違うことなど、来年の名古屋市長選挙、参議院選挙へ向けて、あらためて十分な論議が求められます。

 また、要求カーでの街頭宣伝が、「公選法違反の疑いあり?」の攻撃に急遽中止となりましたが、「悪行の数々」に、労働者・国民が怒りをぶつければ、「豪商や御代官様」が批判されるのは当然です。あっさり引いて良かったのか、検討が必要です。

 

<2001年度の基本方向>

 @.愛労連は、総選挙闘争でうちだした「国政の三つの転換」(@大企業の横暴を許さず民主的規制とルールの確立への転換、A労働者・国民本位の国の財政への転換、B憲法を擁護し、戦争法の発動を許さず、平和・民主主義を守る政治への転換)をめざして、ひきつづき奮闘します。

 総選挙後の政局をふまえ、当面は個別要求・課題での野党共闘の推進にむけて積極的な要請行動などにとりくみます。これらのとりくみのうえに、来年7月の参議院選挙にあたっては「国政における三つの転換」の実現を可能とする政権の実現をめざして奮闘します。

 

 A.愛労連は、すべての選挙闘争にあたって、組合員の思想・信条の自由、政党支持の自由、政治活動の自由を保障して労働組合としての選挙活動を積極的に展開します。

 また、一致する要求にもとづく政党との協力・共同を発展させるとともに、県政・名古屋市政をはじめ県下の自治体での「住民が主人公」の政治をめざし、革新・民主の自治体建設への共同を追求・推進していきます。

 とりわけ来春4月の名古屋市長選挙に向けては、「革新市政の会」の中心団体として早急に要求と政策づくり、選挙態勢と財政の確立、革新・民主の統一候補の選考をすすめ、組合員のもてる力を充分に発揮できる方針をねりあげるよう努力します。

 市長選挙勝利へ向けた自主カンパは「愛労連への500円納入」(年内納入)をメドに全組合員に訴えます。

 同時におこなわれる清洲町長選挙では、愛労連の組合員でもある大長町長の再選をめざし、必要な運動にとりくみます。また、各市町村の首長選挙が「統一候補」を立て政策協定を結ぶ形で革新・民主の自治体をめざして闘われる場合には、関係の労働組合や地域労連などの要請を受けて愛労連の対応を検討します。

 

 B.職場・地域から、革新懇運動を積極的に推進するよう努力します。9月30日の愛知革新懇総会・20周年記念レセプションを成功させます。


W.「対話と共同」の前進、愛労連の拡大・強化をめざして

<たたかいの経過と総括>

1.10万人愛労連をめざして

(1)愛労連10年の春闘にふさわしい組織拡大の前進をめざし、あらゆる闘争課題の推進と結合した組織拡大のとりくみをすすめる、というのが2000年春闘の方針でした。そこで幹事会は、従来から追求してきた、「職場の多数派形成」「友好労組の結集」「未組織労働者の組織化」を総合的に追求することとしました。

 2.25での「50万枚の組織宣伝」は、愛労連として初のとりくみでした。このビラで宣伝した「県下5ブロック、一斉労働相談」は15ヵ所で実施、13件の相談がありました。相談件数は比較的少なく、まったく相談の無かった場所も多かったのですが、15会場に61人の相談員を配置してのとりくみでした。なお、愛労連事務所と県段階から相談員が配置された4ヵ所を除いて10ヵ所で地域労連が独自に相談員を配置したことは、今後の労働相談活動と未組織労働者の組織化にとって貴重な経験と言えます。

愛労連への「労働相談110番」には年間で427件の相談があり、この相談を通じて組合の結成・加入に至った人は50人を超えています。働く者の生活と権利を守り、未組織労働者の組織化をすすめる上でも、労働相談活動の強化が重要となっています。

 

(2)春闘方針では、6つの階層・分野別に方針化をはかることとしました。それぞれの経過と総括は次のとおりです。

 @.中小企業労働者の組織化は、意識的なとりくみに至りませんでした。

 

 A.パート、臨時、派遣労働者の組織化については、昨年11月の「第5回あいちパート・臨時の元気が出る集会」の成功を機に、パートの交流会を随時開催することとし、2月28日に1回目を開催、5月15日に2回目を開催することとしました。派遣労働者については、この間の労働相談をつうじて「きずな」に加入した組合員が数名いることから、派遣労働者独自のとりくみが求められています。

 

 B.新入社(職)員への働きかけは現在、各職場で積極的にとりくまれています。青年層への働きかけでは、青年部活動交流会を4回開催し、そのまとめとして青年部活動学習交流集会を4月8日に開催し、23名の参加で成功しました。今後も青年協(部)に対し、親組織としての相談や具体的援助などが必要となっています。

 

 C.中間管理職層の結集と組織化は、具体化できませんでした。

 

 D.失業者への働きかけでは、昨年から今春闘でとりくまれた、職安前アンケートの回答者で住所が明記してあった19名に呼びかけ、「失業中の方の声を聞く会」の開催を企画しましたが、参加者はゼロでした。県内の失業率が4.3%、失業者数が16万7千人という状況の中で、失業者に対する働きかけとその組織化は重要な課題となっています。

 

 E.年金者組合への加入促進では、ここ数年とりくんできた『年金者組合への加入のお誘い』の活用ができませんでした。最近も単産・地域労連の役員で今年定年を迎えた仲間に、退職時に年金者組合への加入の話がなかったということがありました。愛労連全体として、年金者組合への紹介活動を強化する必要があります。

 

2.地域労連の活動強化

 地域労連の活動強化は、愛労連10年の時点にたって見ると、さらに重要性が増してきています。第10回地域労連研究集会(7月8日〜9日、山海館)は、全労連・坂内事務局長を講師に招き、17地域労連と、6単産(国公・愛高教・JMIU・建交労・年金者組合・きずな)、ブッロク担当幹事などの参加で開催されました。地域労連の役割と発展方向など討議され、地域の会議への単産の参加の重要性を確認するとともに、全ての地域労連の参加が厳しく指摘されました。

 

3.学習・討論の重視、職場活動など組織の強化

 今春闘では、「情勢、要求課題、運動論」などの学習活動と、労働者の要求を日常的にとりあげる職場活動の強化が求められましたが、きちんとした点検・集約はできませんでした。今後、労働者の声を結集する要求アンケートのとりくみと職場討議、職場学習会の開催、各種行事や行動への組合員の参加、機関会議の定例開催と出席率の向上など、引き続き日常的な職場活動を重視してとりくむ必要があります。

 愛労連として、11月27日〜28日(グリーンホテル三ヶ根)に、第1回労働組合講座を「職場活動の具体的なすすめ方」「労働者・労働組合の権利」のテーマで開催、44人(女性が16人と全体の3分の1を占め、20代から60代の幅広)が参加しました。この参加者からの要望もあり、「職場活動のとりくみとその強化」をテーマにして、第2回労働組合講座(6月3日〜4日、金山プラザホテル)を開催、参加がやや少なく26人でしたが、受講者には好評でした。

 

4.愛労連10周年記念事業について

(1)愛労連結成10周年記念事業として、11月13日にコンサートとレセプション、10年史の発行を、12月9日〜14日でベトナムの旅、2000年6月22日〜25日に沖縄・平和の旅と、多彩な内容でとりくみました。

 コンサートは、中区役所ホールで太田真季さんと弦楽四重奏のジョイント。参加者の感想は「本当に良かった」「クラシックに親しみがわいた」など好意的でしたが、残念ながら少し寂しい130人の参加となりました。レセプションは、労働運動の先輩はじめ、多くの民主団体からの参加で191人。21世紀への飛躍を熱を込めて語り合う場となりました。

 

(2)ベトナムの旅には、15人が参加。ハノイ・フエ・ホーチミンを訪ね、フエの水害への災害見舞い、ベトナム労働総同盟との懇談と国際交流も。活気溢れる国・ベトナムを満喫した旅となりました。沖縄・平和の旅には30人が参加しました。6月23日の沖縄戦慰霊祭にも参加、あらためて平和の尊さを確認した旅となりました。

 

5.専門部・部会等の活動

(1)組織争対部

 組織争対部としての全体的な機能は発揮できませんでした。「組織」は、専ら組織拡大推進委員会として運営、県下各ブロックでの労働相談110番の推進や、未組織へ向けた組織宣伝(2.25総行動)などとりくんできました。

「争対」は、「部」としての活動はできませんでしたが、リストラ対策委員会を中心に愛労連全体の課題とした(IBM、木村刃物、第2菱名)の争議をはじめ、日立争議や過労死裁判など愛知争議団、愛知健康センターなどとの共同をすすめてきました。

 

(2)国民運動部

 自公保(自自公)の悪政に対決してたたかう課題が山積するなかで共闘組織でのとりくみは、担当者を通して課題ごとのたたかいで役割を果たしてきました。しかし、求められる運動との関係で部会の討議や打ち合わせができなくて、とりくみにギャップもあります。愛労連としてのスタンスの確認など個人任せとせず、該当専門部としての意思統一が必要となっています。

 また、国民大運動実行委員会が、「総行動」など団体共闘へのとりくみに解消する状況に近く、独自の県内運動となっていないこともあり、定例の会議の設定など、あらためて意義・役割の確認が求められます。

 

(3)社会保障部

 今年度は、介護・年金闘争対策委員会が作られ、そこでの活動が中心となり、社会保障部は休部状態でした。部会と対策委員会との整理が必要です。

 対策委員会では、年金・介護の情勢を踏まえ、運動の交流と折々に幹事会に運動提起をしてきました。主な取り組みは介護保険アンケート(3544人分集約)と社会保障学校(11月3日、原富悟さん=埼玉県労連の基調講演「地域社保協を労働組合がになって」)でした。

 

(4)調査政策部

 調査政策部として、必要な課題など時々にコメントを発表していくことは出来ませんでしたが、ビクトリーマップの作成や、「万博問題」での革新県政の会での活動など、個々の担当者ごと役割を担ってきました。

 

(5)教育文化部

 @.組合員への情報・宣伝活動は、愛労連機関紙(月1回発行)と愛労連ニュース(月2回発行)を基本に、時々の課題での宣伝ビラの発行などとりくんできました。しかし、部会としての動きはつくれませんでした。

 

 A.自治労連と共催で機関紙・教宣学校(第4回)をおこないました。毎年参加者の3分の2は、初参加です。組合員と組合を結ぶ大切な柱となる機関紙ですが、苦労し悩みながら孤軍奮闘している担当者も多くいます。参加者の感想も、「いままで自分流に作ってきたが、参加して大変勉強になった。これからもがんばって作ってみる」というものが多く、担当者を励ます学校になっています。自前で機関紙学校を開催している組合は、まだごくわずかです。各組合はこの機関紙・教宣学校を利用願いたいと思っています。

 

 B.愛労連・春闘共闘共催の囲碁・将棋大会(9月15日)は今年度で8回目を数えました。参加者は56名でした。初めは100名を超える参加者もあったようですが、最近はじり貧気味です。各組合でも囲碁・将棋大会を開催しているところもありますが、県下の交流の場としての大会となるよう、各組合からの参加を臨みたいものです。

 

(6)交通運輸部会

 @.160台/261名(2.20名古屋/106台・181名、2.27豊橋/54台・80名)が参加した春闘勝利自動車デモのとりくみをはじめ、港湾シンポや規制緩和問題での各級議員団との懇談、行政交渉(7.26愛知県交渉、8.2愛知陸運支局交渉、8.7中部運輸局交渉)などすすめてきました。

 A.規制緩和・自由化政策は、交通運輸の公共性を大きく後退させ、重大事故や災害の激増をもたらすと同時に、そこに働く交通労働者の労働条件を低下させ、雇用不安を増大させています。国民生活と輸送秩序に弊害をもたらす規制緩和・自由化政策を根本的に見直し、交通運輸の「安全・安心・確実」を確保することが緊急の課題です。愛労連交通運輸部会が大産別運動の中心的役割を担って奮闘することが期待されます。

 

(7)民間部会

 「大競争時代」といわれる独占資本の国際的再編の中で我が国でも、従来の金融系列を超えた大再編がすすめられ、多国籍企業(外資)の参入や親会社・外資主導のリストラ、大企業と政府による本格的な中小企業淘汰攻撃が明らかとなってきた一年でした。

 このような中で各単産間の交流を強め、とくにリストラ「合理化」攻撃とたたかう仲間への相互支援を強めてきました。また、労働相談活動も強めリストラ「合理化」攻撃との積極的なたたかいを組織し、運動前進にとりくみました。

 

(8)金融流通部会

部会を設置し、担当者(幹事)を確認しましたが、具体的なとりくみ(会議も)をすすめるには至りませんでした。

 なお、金融関係のとりくみとして、名中センターなどが開催した「ビックバン」のシンポジウムや共栄証券の自主閉鎖に対するたたかい(6月30日和解)がすすめられました。

 また、「商サ連」が継続してとりくんできた夏祭りも、今年度は開催できませんでした。

 

6.婦人協の1年間の活動

(1)労働基準法の「女子保護規定」撤廃、労働者派遣法など労働法制の改悪は、女性労働者をますますパートや派遣など低賃金で無権利な不安定雇用労働者へ押しやっています。

 「派遣先から契約期間が残っているのに、もうこなくていいと一方的に言われた」「突然、時間給が減らされた」など婦人協がおこなった「働く女性のホットライン」でも派遣やパート労働者からの電話相談が相次ぎました。職場は公務でも民間でもリストラや業務の委託化がすすみ、人員削減で長時間・過密労働、労働条件の切り下げなどがおこなわれ、女性労働者の健康破壊もすすんでいます。

 婦人協は、働く女性のホットラインや大企業労働者との懇談会をおこない県下の女性労働者の実態を広くつかみ、人間らしく働くルールの確立を求めて、時間外労働の男女共通規制の法制化の署名や自治体交渉・女性少年室交渉など取り組んできました。

 

(2)また女性の24時間の要求を大切に、保育や学童保育、介護保障などの社会保障の運動や「愛知万博反対」の直接請求運動も取り組みました。はたらく女性の県集会や愛知母親大会、国際交流愛知女性のつどい、3.8国際婦人デーなど、県下の女性団体や女性労働者と連帯して、男女平等、女性の地位向上、平和、民主主義を守る運動にも積極的に取り組み役割を果たしました。

 

7.青年協の1年間の活動

(1)就職難・失業問題、自立することさえできない低賃金、いつまで働き続けられるか不安になる長時間労働など、青年のおかれている状況もますます深刻になっています。こうしたもとで、青年の願いを受けとめられる愛労連青年協をめざし、学習と仲間づくりをとりくみの基本に各加盟青年組織の強化、役員の成長、愛労連青年協への結集の強化をめざして奮闘しました。 第8回サマーセミナーは、9月10日〜9月12日に長野県のフォレスパ木曽で開催しました。「楽しく学んで語り合って遊んで、僕らのめざすもの見つけよう!」をテーマにし、講師を含む47名が参加しました。講演では、情勢の学習と同時に人間関係を考えていくことや明るい青年部・労働組合運動をめざして仲間づくりと学習が重要だと強調されました。討論では「自分をどれだけ信じるか?仲間との団結が大切だということを実感した」「先のことを見通しながら、いまを大事にしなくっちゃ」などの感想も出されました。

 マスコミにも大きく報道された、あいち就職難に泣き寝入りしない女子学生の会がおこなった「就職難を解決するための11.23緊急集会andリクルートスーツパレード」には、愛労連青年協も協賛し、参加だけでなく集会での報告やパレードでの要員派遣などもおこない、就職難に苦しむ学生たちとの共同も前進させました。

 

(2)憲法を守り、核兵器も基地もない21世紀をめざすとりくみでは、Peace Wind 2000(平和の総行動)を7月20日〜23日の行動にのべ56名が参加し、オートバイ部隊によるアピール走行、東海北陸ブロック合同でおこなわれたピースキャンプなどを成功させました。

 

(3)さまざまなとりくみをとおして、各青年部どうしの交流や青年協幹事会へのオブザーバー参加などもひろがってきており一定の前進をつくり出してきていますが、青年協事務局長の欠員など役員問題では依然として困難を抱えています。また、産別によって青年部の活動実態の格差が拡大してきており、引き続き愛労連青年協への結集の強化と各青年部の強化を一体に追求していく必要があります。

 

<2001年度の基本方向>

1.「対話と共同」の前進、組織拡大・強化

 ここ3年間追求してきた「対話・共同」は愛労連運動の基本としてひきつづき労組訪問などを継続・強化し、組織の拡大・強化も最重点にとりくみます。「10万人愛労連」をめざして、当面2002年6月までに65,000人愛労連を達成するようにします。

 今後1年間のとりくみは以下のとおりとします。

 

(1)少数組織から多数派組織への前進をめざして

 要求アンケートを全従業員規模でとりくみます。複数組合が存在するところでは、職場の共通する要求・課題での共同を追求し、あわせて要求アンケートのとりくみをつよめます。

 新入職員に対しては、例年作成している「新社会人の権利手帳」の活用をすすめます。

 

(2)未加盟労組対策

 訪問活動を要求や悩み・抱えている問題点をつかむことからすすめます。

 単産は一致する要求課題での協力共同を追求します。その際、要求アンケートを思い切って持ち込みます。また、地域労連へ未加盟の単組・支部・分会の地域労連への加盟を促進します。地域労連は地域の未加盟組合の名簿の作成をすすめ、単産とも協力した訪問活動を実施します。愛労連幹事会は、県レベルの組織を四役・専従役員が担当をもって訪問します。

 愛労連加盟組合の地域労連への加盟促進は、幹事会・組織拡大推進委員会を中心に意識的に追求していきます。

 

(3)未組織労働者の組織化

 @.単産の組織拡大の条件を広げるために、大量宣伝を2月頃におこないます。宣伝方法は、主要駅頭での宣伝と集合住宅を中心とした各戸配布とします。

 

 A.パート・臨時・派遣など不安定雇用労働者の組織化をすすめるため、パート部会の結成をめざします。当面、パート・ 臨時労働者交流集会実行委員会を恒常的に機能させるよう努力します。第6回あいちパート・臨時の元気が出る集会(11月19日)を未組織の労働者にも呼びかけ成功させます。

 

 B.年金者組合への組織化を単産・地域労連が意識的に追求します。3月の退職の時期にむけて『年金者組合への加入のお誘い』の配布を早くからとりくみます。

 

 C.組合員による紹介運動(組合員の家族や友人・知人の紹介)を全組合員参加の運動としてとりくみます。

 

 D.「労働相談110番」のとりくみを引き続き強化します。

 

(4)地域労連の運動と組織の発展をめざして

 地域労連の組織・財政の抜本的強化が求められています。

 @.単産・単組の協力を得て、組織内地域労連未加入問題の解消、地域労連役員の確立など地域労連の組織財政の強化に努めます。

 

 A.地域内の各労働組合、団体への総対話を定期的にすすめ、共同の運動を拡大します。春・秋の総行動は早くから準備し、地域からの運動として定着させます。

 

 B.労働者・住民の要求の前進をめざし、介護・環境・平和など地域からのとりくみを強め、住民が主人公の自治体建設をめざします。

 

 C.会社の勝手なリストラ「合理化」、首切り、差別を地域内からなくすため「かけこみ寺」機能の強化、争議組合の支援を強めます。

 

 D.地域内の各労働組合の共通する課題でのとりくみを強めるため、交流と共同行動をいっそう強めます。

 

(5)組織の強化をめざして

 @.第3回労働組合講座(2001年5月または6月)を成功させます。また、「職場闘争の強化」「労働相談や未組織の組織化などに対応できるオルグ員の育成」に向けて、継続的な学習講座の開催をすすめます。

 

 A.青年協・婦人協を強化します。

 青年協については、サマーセミナー(9月8日〜10日)の成功と、青年協総会(10月 日)の成功をはかります。青年協幹事については、引き続き各組織から複数での派遣をを要請します。青年部のない単産とすべての地域労連で青年向けの企画を1つは具体化できるようにし、青年部の結成を追求します。青年問題をとりくむ際には、堅苦しくなく、遊び偏重でもなく、仲間との連帯が感じられ、お互いが成長できるようにとりくむことが重要です。また継続を大切にし、(各青年部が)月1回程度の会議をもって継続してとりくめるよう、担当者を決めるなど援助をすすめます。

 婦人協については、女性労働者の「人間らしく生き働く権利」を守り、男女平等をめざすとりくみ、パート、派遣、臨時労働者の賃金・労働条件の改善をめざすとりくみ、仕事と家庭の両立のための社会的条件整備のとりくみなど、女性労働者の要求実現と権利確立・向上をめざします。女性の意見が組合の方針・運営に反映されるよう、愛労連幹事会をはじめ、単産・地域労連の女性役員の比率を意識的に向上させます。

 

 B.単産・地域労連の青年部・婦人部の確立をめざします。

 

(6)共済活動の前進をめざして

 働くものの助け合いである愛知共済活動の強化をはかります。

 @.愛知共済会に未加入労組の加入を働きかけます。

 

 A.愛知共済会の諸制度、現在開発中の「セット共済」など、地域労連を中心に普及をすすめます。

 

 B.労組訪問活動などで愛知共済会とその制度を積極的に活用します。

 

 C.産別共済についても、その強化発展を重視してとりくみます。

 

(7)ローカルセンターの機能強化、専門部・部会等の強化について

 @.単産・地域労連の要求や活動の集約と、それをニュースなどで各組織に伝えるなど「運動の集約と教訓の普及」の機能の強化をはかります。

 

 A.今年3月に開設した「ホームページ」の充実をはかります。

 

 B.中小民間企業におけるリストラ「合理化」に対するたたかいを交流し、中小企業労働者への影響力をつよめるため、民間部会の活動を強化します。愛労連の枠を超えた民間中小労働組合の共同を追求します。

 

 C.交運共闘や商サ連などの大産別共闘をさらに発展させます。愛知にない金融共闘などについては、当該単産との協議をすすめます。

 

 D.愛知春闘共闘は、共闘組織にふさわしい方針・運営を確立し、その拡大をはかります。

 

 E.大企業労働者ネットワークのとりくみを強化します。

 

 F.専門部活動を強化するため、委員会方式の導入など専門部のあり方を検討します。

 

(8)「組織強化検討委員会」を設置し、10万人愛労連の建設、地域労連のあり方、財政援助のあり方などについて検討をすすめます。

 

(9)今回提案されている「規約改正案」が成立・施行されたなら、愛労連の来年の定期大会は7月の大会となります。これにあわせ、来年度以降の単産や地域労連の各大会の開催を早めるよう要請します。

 

2.専門部・部会等の活動

(1)組織争対部

 専門部としての役割発揮へ、各単産・地域労連の組織拡大・強化へ向けたとりくみ(計画、実践)の把握をすすめます。愛労連として10万人目標への計画に照らして、集中月間でのとりくみや労働相談110番、宣伝行動など効果的に設定するようにします。

争議対策については、引き続き愛知争議団や健康センターとの連携を強めるとともに、組織内争議についての掌握(内容、到達状況など)をすすめます。

 

(2)国民運動部

 部会を開催し、課題ごとの共闘組織への担当を明確にするなど、担当者責任だけでなく、該当専門部としての意思統一をすすめ、愛労連としての役割・責任をはたします。

 また、国民大運動実行委員会の体制・機能を回復し、大集会や「総行動」など中央の大運動実行委員会が提起する課題へのとりくみや、県内の行動に役割を果たせるよう、愛労連・地域労連の関わりを強めます。

 

(3)社会保障部

 社会保障学校(社保協と共催)を、12月開催で計画し、成功させます。

 

(4)調査政策部

 調査政策部として、労問研などとの連携強化をはかるなど、ビクトリーマップの効果的な活用を引き続き追求します。また、愛労連からマスコミへの意識的なアプローチでもある時々のコメントの発表など、強化する課題として追求します。

 

(5)教育文化部

 @.第5回機関紙・教宣学校を、11月11日(土)=労働会館、自治労連と共催で開催します。

 

 A.第9回囲碁・将棋大会(春闘共闘と共催)は、10月初旬(予定)に計画します。

 

(6)交通運輸部会

 @.交通運輸部会として、(1)交通事故・災害の撲滅、賃金・労働条件の回復・向上、(2)環境保全重視、低公害の交通体系の確立、(3)公共交通としての輸送手段の確保の3つを基本政策に活動を展開します。

 

 A.具体的な活動として、今年発足が予定されている「交通問題勉強会(仮称/東海自治体問題研究所)」への参加や、2001年春闘での自動車デモ、海上デモのとりくみをすすめます。早期全面解決をめざす国鉄闘争(1の日行動、勝たせる会の会員拡大、キャラバン行動など)にも主体的に参加していきます。

 

 B.制度・政策要求の前進へ向けて、中部運輸局など行政交渉を部会及び各単産で継続的にとりくみます。また、NO2簡易測定運動(11.9〜10)にも積極的にとりくみます。

 

(7)民間部会

 @.こうした運動を一層前進させることに併せ、今年9月からは愛知労問研の大木先生を中心に中小企業労働運動についての学習研究会をスタートさせ、各単産の政策的・理論的強化と運動前進をはかります。

 

 A.民間各労組間の交流をさらに強め、連帯と相互支援強化、共通する課題・要求での共同の前進をはかります。

 

 B.公務共闘との交流を強め、官民の共同・共闘発展をすすめます。  

 

(8)金融流通部会

 統合・合併、会社分割はじめ、銀行、証券、商社などでの規制緩和の波を利用しての労働者へのリストラ「合理化」攻撃は激しさを増しており、攻撃をはね返す具体的なたたかいの提起がいっそう求められています。

 「共栄証券闘争」の支援共闘会議が持った役割は、引き続き(金融共闘)などとして継続させなければなりません。愛労連・金融流通部会としてその中心的な役割をはたします。

 

3.婦人協の活動

(1)6月に世界女性会議が国連で開かれ、1985年・北京会議で採択された行動綱領の各国での進捗状況について議論されました。この秋には、平和・平等・女性の権利拡充を求めてNGOが2000年世界行進の終結集会をおこない、愛知でも女性行進の実行委員会が結成されます。婦人協は、幅広い女性団体や女性労働者と一致した要求で共同します。職場・地域の女性労働者の要求をサポートカードに書き込み、集約して自治体、愛知女性少年室交渉などおこないます。

 

(2)9月には、婦人協結成10周年記念行事を開催します。21世紀を真に男女平等、人間らしく生き働く職場・社会をめざし、男女が共同して運動をすすめることが求められています。

 結成10周年の運動の上に立ち、愛知の女性労働者の運動を担うのにふさわしい婦人協の新たな出発点にしたいと考えています。

 

4.愛労連青年協の活動

(1)10月に予定される青年協総会を成功させます。また、役員の面でもすべての青年組織からの選出をめざします。

 

(2)結成10周年を記念し、就職難に苦しむ学生、未組織労働者を抱える青年団体などはばひろく呼びかけて実行委員会を結成し、「人間らしく生き働くことと労働組合」をテーマにしたシンポジウムを大規模に開催します。

 

(3)来年4月に予定される名古屋市長選挙に向けて、4年前を上回る規模と内容の運動確立をめざして早い時期からの準備をすすめます。


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