ストップ・ザ・自公保政権!

変えよう!くらしと雇用・福祉優先の政治に

<2001年 参院選闘争方針>

2001年6月8日

愛労連2001年度第2回評議員会



【目次】

T.参院選を前にした情勢の特徴 −はっきりしてきた小泉流「改革」の反国民性

U.今回参院選の意義と争点

V.愛労連が参院選に臨む基本的スタンス

W.参院選にのぞむ愛労連の主な要求

X.職場・地域・単産と愛労連の具体的なとりくみ


T.参院選を前にした情勢の特徴 −はっきりしてきた小泉流「改革」の反国民性
 1.7月12日公示・同29日投票の参議院議員選挙がすぐそこに迫りました。今回の参院選挙は、悪政・失政を重ねて国民の自民党離れを加速させた森内閣のあと、大方の予想をこえて誕生した小泉新内閣が「改革断行」を唱えて驚異的な支持率を維持しているだけに、その「改革」の方向をしっかり見きわめ、誤りのない審判をくだす必要があります。

 2.小泉内閣の高支持率の背景にあるのは、今日の政治・経済・社会の閉塞状況を生みだした自民党政治への批判であり、政治に不信や批判をもつ国民の「屈折した期待」です。「自民党を変える」「日本を変える」と叫んで総裁選を制した「変人」小泉氏ならば政治を変えるかもしれないという漠然とした思いです。そして小泉首相と自民党の作戦は、「改革」の中身がよく知られぬうちに国民の期待を背に参院選をたたかうというものです。しかし、新内閣発足から1ヶ月半、首相のいう「改革」の危険性は次第に鮮明になってきています。

 3.第一は経済改革です。首相は「聖域なき構造改革」の柱に「不良債権の最終処理」をあげていますが、これが強行されると少なく見積もっても20〜30万社の中小企業が「処理対象」とされ、新たに150万人の失業者が出る(=衆院予算委員会/佐々木憲昭議員)という指摘を政府は否定できませんでした。日刊ゲンダイがスクープしたように、まさに「大手銀行の不良債権処理で中小企業は断末魔」であり「戦慄のデータ」です。帝国データバンクも「景気回復のための構造改革は看板倒れに終わり、ただ単に倒産急増と失業者増加という想像を超える大きなダメージを後に残すだけ」と警告しています。
 もともと小泉氏は橋本内閣の閣僚として消費税の引き上げや医療改悪による「9兆円の負担 増」を国民に押しつけた前科があり、その後も大銀行支援や産業再生法など、「景気回復」を理 由に大企業のリストラ「合理化」を一貫して後押ししてきました。「構造改革」はその路線の延長であり、選挙後に予定されている消費税大増税や社会保障の連続改悪などとあわせて、中小企業や労働者・国民に耐え難い苦難を押しつけ、ただでさえ深刻な消費不況をますますひどくするのは必至です。

 4.第二は外交・軍事です。小泉首相は、侵略戦争に国民を動員する精神的支柱となった靖国神社に「総理大臣として参拝する」と公言し、憲法9条改悪、集団自衛権・有事法制の検討を指示し、首相公選制を突破口とする憲法改悪の策動を強めています。これは、打ち出されている公務員制度の「改革」や国会で問題になっている「教育改革」とともにかれ本来のタカ派体質をくっきりと示しており、十分な警戒が必要です。

 

U.今回参院選の意義と争点
 1.したがって今回の参院選は、「自民党を変える」といいながらこれまでの悪政をいっそうドラスティックに推進しようとする小泉氏らの伸長を許すのか、それともその「虚像」をうち砕き、自民党とその連携勢力がすすめてきた悪政に厳しい審判をくだして真に国民本位の政治を実現するのかが問われる、21世紀を左右する政治戦です。

 2.前回(98年)の参院選で労働者・国民は、自民党の有権者比得票率を14.3%に凋落させ、これに当時閣外協力与党だった社会・さきがけ両党の得票を合わせても19.5%、自民党政治への「消極的な抵抗」ともいうべき棄権が43.3%という審判をくだしました。定数3の愛知選挙区では民主党が2議席、日本共産党も初議席を獲得、大木環境庁長官もふくめ自民党の全滅が特徴でした。
 今回の改選3議席は、これとは逆に自民が2、公明1と悪政推進勢力が独占してきた議席です。しかも自民党は昨秋、6月総選挙での定数削減に味をしめて参院比例選挙にも党利党略の定数削減と「非拘束名簿式」の導入を強行したうえ、今回は公約違反で有権者の批判が強い末広氏を比例に回し、候補者を一人に絞って必勝を期しています。「虚像」の小泉人気をバックに、くらしも経済も平和もダメにする「改革」をねらう自公の巻き返しを許すわけにはいきません。比例でも選挙区でも激戦が予想されますが、職場や地域でよく議論し、みんなが投票に行って、この国の未来をみんなで変える必要があります。

V.愛労連が参院選に臨む基本的スタンス
 1.いま、財界・大企業による横暴とこれを後押しする自民党・連立与党の悪政のもとで、圧倒的な労働者・国民の暮らしと営業が破壊され、従来は自民党政治を支えてきた人々も含めて、「このままでは日本社会が沈没する」という危機感を深めています。まさに「政治の民主的転換なくして要求実現も困難」なのです。
 小泉新内閣の「虚像と実像」を職場・地域で暴露しつつ、旺盛な議論の風を巻き起こし、「政治を変える」国民的共同の中心的役割を担って大胆に打って出る必要があります。

 2.愛労連は、この参院選について次の基本的スタンスでたたかいます。
(1)何よりも要求を重視し、これと政治との関わりについての旺盛な議論と宣伝を重視しま す。具体的には、全労連・愛労連やそれぞれの単産・地域組織の切実な要求を明らかにし、これに対し各党がどのような態度をとってきたのか、とるのか、要求実現を阻んでいるのはどの党か、など広く労働者の中に情報を提供し、国政の転換と要求実現の展望についての職場・地域からの討論を組織します。

(2)同時に、選挙闘争にあたっては、憲法の原則にしたがって一人ひとりの組合員・労働者の思想・信条の自由、政党支持・政治活動の自由を保障し、支持政党・候補者の後援会活動をはじめ、職場・地域からの自主的・積極的な政治活動を促します。 いわゆる「ぐるみ選挙」や選挙弾圧、民主主義を破壊するデマ攻撃などは厳しく批判・抗議してやめさせます。

W.参院選にのぞむ愛労連の主な要求
 全労連が掲げる「3大要求」を基礎に、愛知独自の要求も加え、次の4大要求とします。
(1)許すなリストラ「合理化」、賃金底上げ・パートの均等待遇など働くルールの確立を 
 ただ働き(サービス残業)一掃、労働時間短縮で雇用を拡大せよ!
 300万人を超える完全失業、1000万人を遥かに超えるパート・不安定雇用の蔓延、これをテコとする賃金と「働くルール」の破壊が、労働者に危機的な困難をおよぼしており、小泉内閣の「構造改革」がそれを加速しようとしています。大企業による賃金抑制・リストラ、地域経済・環境破壊、雇用破壊・雇用差別、これらを後押しする政府の政策と「ゼネコン型公共事業」を、労働者・国民の側から民主的に規制することが問われています。愛労連はすべての労働者が一致する「はたらくルール」の確立を重視します。

<具体的要求>
 @すべての労働者に賃上げを(臨時・パート労働者もふくむ賃金の底上げと、均等待遇をめざして男女賃金格差の是正、最低賃金制の改善・確立など)A許すなリストラ「合理化」(雇用拡大・仕事よこせ、解雇規制・労働者保護法の制定、労働基準法の改正など)、住民・職員犠牲の行革・規制緩和反対B不払い(ただ働き・サービス)残業の一掃、労働時間短縮で雇用の拡大、などの要求をかかげます。あわせて、住民・職員犠牲の行革・規制緩和に反対します。

(2)消費税を3%に戻し、個人消費をあたためて不況打開を 
 不公平税制の是正、暮らしと営業を守り日本経済を立て直そう! 
 自民党・連立与党は、97年に消費税の税率3%を5%に引き上げました。これが、長引く不況の出口をふさぎ、日本経済の行き詰まりへの引き金となったことは、いまや定説です。深刻な不況を打開し、日本経済を立て直すためには、消費税を3%に引き下げて個人消費を暖めることこそが重要です。小泉流「構造改革」や選挙後にねらわれている消費税大増税では、私たちの雇用と暮らし・中小企業の経営が滅茶苦茶になるだけでなく、日本経済の未来も心配です。

<具体的要求>
 @消費税を3%に引下げて個人消費を暖めよ、A課税最低限の大幅な引き上げ、不公平税制の是正、国民の暮らしと中小企業の営業への支援の拡大を、Bこれらを基礎に不況を打開し日本経済の民主的再生を、などの要求をかかげます。あわせて、日本農業と地場産業・中小・零細企業の振興・発展を要求します。

(3)連続改悪をやめ安心できる社会保障を! 税金の使い道を改めさせよう
 むだな公共事業を削って年金・医療・福祉の拡充、自然環境の保全を!
 いま労働者と国民が納める所得税・住民税・消費税の総額は毎年100兆円にもおよびます。ところが政府・行政は、これを国民のために使うのでなく、それを元手に6年分=666兆円もの借金を重ね、大企業・財界の利益を保障する公共事業・税金投入に明け暮れています。その結果、国と自治体の社会保障費はわずか20兆円に抑制され、これらが不況と日本経済の行き詰まりをいっそう深刻にしています。深刻な不況を打開し、日本経済を立て直すうえでは、実施中の社会保障の連続改悪をやめ、年金・医療・介護・福祉を拡充することが重要です。「税金の使い方を改めよ」という点では地方政治も同様で、万博・空港・徳山ダムなどを見直し、補助金カットをやめさせるなども重要です。

<具体的要求>
 財政の「逆立ち」を改め、憲法25条(生存権、国の社会保障義務)と27条(働く権利)に命を吹き込むために、@社会保障の連続改悪をやめ介護基盤の整備を、A基礎年金の国庫負担3分の1をただちに2分の1に引き上げよ、B公共事業を暮らしと社会保障重視型に転換せよ、万博・空港・徳山ダムなど無駄な大型開発や補助金カットをやめ、地球・自然環境の保全を!などの要求をかかげます。

(4)第9条をはじめとする日本国憲法を堅持し、平和と民主主義を守る政治を  
 改憲につながるあらゆる策動をやめ、国民本位の民主的行政・政治の実現を!
 戦争法の強行、盗聴法、日の丸・君が代の国旗国歌化、憲法調査会設置などアメリカの世界戦略に従属する「戦争体制」づくりの悪法が、労働者・国民の反対にもかかわらず、国会内の自自、自自公の多数の横暴で強引に成立してきました。さらに小泉新首相は、集団自衛権・有事法制の検討、首相公選を突破口とする改憲構想にまで踏み込み、こうした国づくりに忠実な教育や公務員制度の「改革」、地方自治体の統合(当面、3000→1000自治体に)などをめざしています。
 わが国のこうした動向に、とりわけアジアからの危惧がひろがっています。その一方、日本国憲法はいまや国際平和を具現化するものとして国際的にも評価されています。憲法擁護、戦争法発動阻止、平和と民主主義を守る政治への転換をめざします。

<具体的要求>
 @戦争法の発動・有事立法の法制化反対。核兵器の廃絶、沖縄・普天間などすべての米軍基地の撤去。日米安保条約反対。あらゆる改憲策動反対、憲法の平和・民主的原則、基本的人権の擁護。A教育基本法改悪につながるすべての「教育改革」反対、ゆきとどいた民主教育の確立を、B住民サービスを切り捨て、国家権力に忠実な公務員や自治体づくりをめざす公務員制度の「改革」や地方自治体の強引な合併・統合反対、国民本位の行財政の確立を、などの要求をかかげます。
 あわせて、小選挙区制廃止、政党助成金の撤廃、企業・団体献金の禁止、KSD・機密費疑惑など金権・腐敗政治の根絶、清潔で民主主義が生かされた国民本位の政治・民主的な政治の樹立を要求します。

X.職場・地域・単産と愛労連の具体的なとりくみ
1.何よりも要求を重視し、これと政治との関わりについての旺盛な議論と宣伝を重視します。
(1)自民・公明を中軸とする連立与党の政治、小泉新内閣の本質を明らかにするとともに、単産、地域にかかわる切実な要求にそれぞれの政党がこの間どのような役割を果たしてきたかを検証し周知するため、全労連や単産の機関紙特集を活用し、できれば組合ごとに教宣物を発行します。愛労連も機関紙特集号を発行します。

(2)すべての単産・単組や地域労連が全労連、愛労連などの選挙特集やそれぞれの号外などを活用し、活発な政治論議を組織します。

(3)これらの活動を積極的に取り組むため、すべての単産・地域労連は学習決起集会などを企画・開催します。
 愛労連は、6月22日(金)18:30〜 労働会館東館ホールで愛労連初の「選挙学校」を開催し、単産・地域からの多数の参加で成功させます。
 *講演:「小泉・真紀子は日本を変える?」 森 英樹氏(名大教授)
  「選挙制度の変遷(改悪)と私たちの権利」 長谷川一裕氏(弁護士)

2.一人ひとりの組合員・労働者の思想・信条の自由、政党支持・政治活動の自由を保障しつつ、要求実現のために積極的な選挙闘争をめざします。
(1)愛労連は「参院選闘争方針」と「組合員へのアピール」を発表し、労働者の総決起を呼びかけ、支持政党・候補者の後援会活動をはじめ、職場・地域からの自主的・積極的な政治活動を奨励・促進します。「誰でもできる選挙活動」(自由法曹団、国民救援会など)の普及もすすめます。
 また、すべての労働者が棄権することなく選挙権を行使するよう訴えます。

(2)「政治的中立主義」に陥って選挙のことは避けて通ったり、小泉流の「改革」に幻想を抱いて自らの首を絞めるということがないよう、労働組合としての要求宣伝にも努めます。
 愛労連としては7月5日(木)、単産・地域労連の協力のもとに、「小泉流“構造改革”」を批判する全県一斉早朝宣伝をおこない、大企業工場門前や主要駅頭で広範な労働者・住民に「政治を変えよう」と訴えます。

(3)単産、地域は、賃金底上げ、はたらくルール確立、雇用保障、不況打開など、労働者の切実な要求課題をかかげての職場での対話運動とともに、地域の労働組合や友好労組などとも対話・共同をすすめます。宣伝カーを出しての要求宣伝も検討してとりくみます。
 これと関連して愛労連も、他団体と共同して開く「三菱自動車のリストラと大江工場閉鎖を考えるシンポジウム」(=6月17日、13:30〜、名古屋市教育館講堂)などの企画を通じて、広範な労組・団体との対話と共同をすすめます。

(4)いわゆる「ぐるみ選挙」や選挙弾圧、民主主義を破壊するデマ攻撃などは厳しく批判・抗議してやめさせます。
 今回の参議院選から「非拘束名簿式」が導入されたことから、企業や労働組合による特定候補の支持おしつけが強まっていますが、思想・信条の自由を侵害する特定政党・候補者の支持押しつけやカンパの強要には断固として反対し、必要に応じて告発運動もおこないます。
 民主主義、言論の自由、基本的人権を侵害する反共デマ宣伝や選挙弾圧に対しては断固とした姿勢で対処します。

以上


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