組合員を増やし、職場の日常活動を強化しよう

2000年10月15日

単産・地域労連「組織担当者会議」


1.愛労連10年の到達点と今後の課題

@愛労連10年の運動は労働者の頼りになるセンターとして発展してきている

 愛労連は1989年の結成以来、「労働組合は労働者の生活と権利を守るためにこそ生まれた」という設立の原点を大切にし、圧倒的な未組織労働者を含むすべての労働者とすべての県民の真の守り手として、親しまれ頼りになるセンターとなることをめざしてきた。この10年間、春闘共闘を軸にした国民春闘のとりくみ、25地域労連の労働者・県民に身近な労働組合のとりくみ、国鉄闘争など首切り「合理化」反対・争議支援のとりくみ、国民大運動実行委員会、社保協などの県民生活を守るとりくみ、愛知働くものの健康センターを設立し、働くもののいのちと健康を守るとりくみ、平和と民主主義を守るとりくみ、3回の県知事選と2回の名古屋市長選をはじめとした革新・民主の自治体をめざすとりくみなど、愛労連のとりくみは労働者の頼りになるセンターとして発展してきている。

Aしかし、組織的前進は作り出せていない

 1990年2月に開いた臨時大会において愛労連は10万人愛労連の建設をめざすことを決定した。以来、組織拡大を活動の重点としてとりくみをすすめてきたが、実際には組織的前進をつくりだせない状態が続いている。愛労連の組合員人数を5年ごとにみていくと、1990年が72,830人、1995年が60,494人、2000年が56,223人と減少してきているのが実態である。この減少は90年の組合員人数に正確な人数が反映されていないなどがおもな原因だが、正確な組合人数が反映されている95年以降をみても、4,271人の減少となっている。ただこの減少は、組合員を増やす以上に、定年退職者やリストラ「合理化」、行政改革の影響などでの組合員減少がすすんだ結果でもある。

B310万労働者に影響を与える愛労連をめざして−愛労連の組織戦略

 愛労連は、310万労働者・700万県民の真の守り手としてさらに前進することが求められている。また、愛知の労働戦線の統一をめざす上でも、愛労連が愛知のすべての労働者に影響を与えることのできる力量を身につけていくことが必要である。そうした愛労連を早期につくりあげることが求められている。

 

2.組織的前進の可能性は充分にある

@労働者をめぐる状況と愛労連の役割

 愛労連の労働相談110番は1995年11月にスタートさせたが、96年度87件、97年度207件、98年度239件、99年度373件、2000年度427件と爆発的に増えている。2000年度集計の相談内容では、1番多い「解雇・退職強要」が130人(30.4%)、以下、「賃金・残業代」が72人(16.9%)、「労働災害・職業病」が45人(10.5%)、「労働時間・休暇」が34人(8.0%)の順になっている。ここには労働者がリストラ「合理化」で苦しめられている状況が端的に現れている。また、全国的には多い「労働時間・休暇」を「労働災害・職業病」が上回っているのも愛知的な特徴である。相談者の年代が20代・30代で多いのも特徴で、この年代層での職場の現状に対する不満・要求の高さを示している。

 未組織労働者を新規に組織して結成した労働組合はここ数年、毎年20組合ほどになっている。全国的にはこの1年間で410組合・9024人を組織しているように、新しい労働組合結成の動きが現れてきている。

A労働者の状態・意識の変化と労働組合への結集の可能性

 こうした流れには、労働者の状態と意識の変化が反映している。年功序列の賃金体系などが崩壊し、雇用の「流動化」が進行する中で企業に対する帰属意識が弱まってきていること、あきらめるのではなく現状を何とかしようとする変革の意識が高まっていること、若者を中心に権利意識が高まっていることなどがあげられる。最近結成された全国一般ヒット通商支部は組合員64名のうちほとんどが20代の若者で、退職強要を迫る会社のあくどさに対しての怒りが爆発して結成されたものである。こうした流れを労働組合に結集していく条件はかつてなく高まっている。

B組織拡大が後回しになって組織的前進が作り出せていない

 こうした条件にもかかわらず組織的前進が作り出せていないのは、組合員を増やす以上に、定年退職者やリストラ「合理化」、行政改革の影響などでの組合員減少がすすんだ結果でもある。また、新規結成組合などで、会社や当局、連合などの攻撃によってつぶされるケースや新規組合に対する指導・援助が充分でなかったこともあって組合が自滅するケースもある。少数・分裂職場で一定の労働条件を勝ち取っているところなどでは、現状に安住して組織拡大に足を踏み出していないケースや同じ企業・職場内にあって多くの不安定雇用労働者が働きかけられずに放置されている例もみられる。結局、全体として組織拡大が後回しになって組織的前進が作り出せていないというのが現状である。

 

3.10万人愛労連の早期建設をめざして

@愛知の労働戦線の現状と愛労連の位置

 県の労働組合基礎調査では、労働者数312万8千人に対し、労働組合員数は819,244人で組織率は26.2%、上部団体別では、愛労連49,244人、連合愛知537,268で、県内のローカルセンター未加盟の組合員は231,822人となっている。愛労連は労働組合全体の中では6.0%(実際は7.0%)、労働者の中では1.6%(実際は1.8%)の比率しか持っていない。しかし、要求や政策、運動で労働者・県民の頼りとなるセンターとして発展している。10万人愛労連の建設は対労働者比3.2%となり、大きな影響力を発揮することは間違いない。

A要求実現の大きな保障としての10万人愛労連の建設

 未組織労働者が全体の4分3近い(230万9千人、73.8%)という状況では、私達の要求を確実に実現し、労働戦線の統一−労働者の共同・連帯をかちとっていくことはできない。定期大会で決定した2002年までに6万5千人、できる限り早期に10万人の愛労連を建設していくことが求められている。それが要求実現をかちとっていく大きな保障である。

 

4.職場を基礎とした日常活動の強化をめざして

@職場での日常活動の強化を単産・地域から

 組合員を増やすことと合わせて、組合員を主人公とする職場の日常活動、職場闘争の再構築に努め、新たに多数の組合活動家を育てることをたたかいの基本方向として重視していくことが愛労連全体の課題となっている。要求アンケートが37,186人(組合員比66.1%)、2000年春闘において要求を提出した組合数が210組合の内、173組合(82.4%)、有額回答組合は134組合(63.8%)という状況は職場闘争の点から言えば重大な問題を持っている。こうした状況を打開するためには愛労連全体としてのとりくみ強化が求められている。

A職場からの要求の練り上げを−労働者の共同のとりくみの前進と組織化のためにも

 今日の労働者の状態悪化はすさまじいものがあり、労働組合の役割がいまほど求められている時はない。多くの労働者のエネルギーを結集し、要求闘争を前進させるためにも、職場からより多くの労働者を結集する要求を練りあげることが重要である。要求が未組織の仲間をふくむ広範な労働者の共感をよび、その実現を多くの労働者が心底から望んでいるために動員力をもち、たたかいに参加すべきすべての人々を結集・統一する時、要求闘争は必ずや大きく前進する。すべての単産・地域労連と組合が、こうした視点を大切にしながら全組合員参加の組合運動を追求していくことが求められる。

B学習活動の強化

 「総対話と協同、10万人オルグ運動」を本格的に前進させるためにも、その土台となる全組合員の総学習運動を年間をとおして推進することが大切である。自治体キャラバンの成功に向けて各地域労連で学習会の開催を要請したが、オルグや組織の拡大・強化のためには学習活動が欠かせない。恒例の新春大学習会、労働組合講座、サマーセミナーなどを成功させるとともに、各単産・地域労連での学習会を重視する。全労連の提起に応え、職場から「勤労者通信大学」の受講生の組織化、「学習の友」の普及をはかることも大切である。

C共済活動の強化−産別共済と愛知共済会

 労働者の共済は、労働者の助け合い活動から事業として制度化され、発展してきた。働く仲間の事故や病気などに対して補償するという面と、慶弔時に祝いや見舞いをし、相談・世話役活動をおこなうという日常活動と一体となって、労働組合の団結強化を促進するという両面を持っている。また、共済を未組織労働者の組織化に意識的に活用することが求められている。そのために産別共済の活用をさらにはかるとともに、愛知独自の共済である愛知共済会を重視する。

D10人に1人のオルグの養成を

 総対話と共同の前進、組織の拡大・強化にむけ、引き続きオルグの養成をすすめる。養成講座、交流会の開催なども検討する。

 

5.10万人愛労連をめざす主なとりくみ

@大量で効果的な宣伝

 2000年春闘でおこなった大量宣伝を引き続きおこなう。この間の労働相談では、相談者からの口コミによる相談が増えている。ホームページのアクセス数も増加している。ビラによる宣伝とともに効果的な宣伝について研究していく。

A労働相談活動の強化

 労働相談について、ブロック・地域労連単位での労働相談を追求していく。西三河ブロックでは、昨年のいっせい労働相談がきっかけとなって常設化がされた。こうした経験に学び、当面全地域労連での労働相談の実施とブロックでの常設化をすすめる。2001年春闘では過去最高のいっせい労働相談を実施する。県段階では、11月3日に「パート、臨時、派遣労働者の110番」をおこなうとともに、県学連、就職難に泣き寝入りしない会との共同で「就職110番」を実施する。

B職場での未加入者の拡大−不安定労働者を含めてすべての労働者を対象に

 職場での未加入者について、要求アンケートも活用し、一時金・年末闘争と結合して組合加入を働きかける。南医療生協労組では、とくにパートの未組織労働者100名を対象にこの秋拡大活動をすすめることにしているが、職場内の不安定雇用労働者に組合加入を働きかけていくことはとくに重要である。

C対話と共同のとりくみから未加入組合の加盟へ

 愛労連加盟のすべての単組・支部・分会の地域労連への加盟の促進をはかる。現在、地域労連に加盟していない愛労連の組合員数は14,459人であり、早急に加盟をはかる。中村地域センターではこの間、愛高教の松蔭高校分会が加盟したが、地域労連からの働きかけと単産からの指導・援助をともにつよめることが求められる。

 未加入労組に対しては、対称組合名簿を作成し、担当者を決めて訪問活動をとりくむ。3課題についての署名と要求アンケートを武器に、可能なら愛知共済会も武器にしてとりくむ。

D未組織労働者の組織化へ

 未組織労働者の組織化の最近の特徴は、労働相談からの組織化である。愛労連の労働相談110番では相談件数に対する組合加入率は1割強であるが、これを飛躍的に高める必要がある。労働相談からの組織化は個人加盟と組合結成とがあるが、いずれにせよ組合に加入してもらうことが重要である。相談活動では、組合に入ってもらう、組合をつくることを重視する。

 不安定労働者の組織化(職場内のとりくみとあわせて)については、職場内でのとりくみを重視する。

 管理職、失業者の組織化については検討課題とする。

 愛知共済会は未組織労働者の組織化の武器として活用する。

E青年労働者の常態と意識の変化に対応して意識的な組織化を追及する。

F定年退職者・OB組合員などの年金者組合への結集を日常的に追及する。

G10・11月に1,000人の拡大をめざす

 65,000人の愛労連、10万人の愛労連をめざすために、当面の重点課題としてこの10月と11月で1,000人の拡大をめざす。きずなは11月末までの拡大目標を50名とし、すでに8名の加入者を迎えている。全国一般では、ヒット通商支部の64名加入とサンメンテナンス支部での7名の加入を勝ち取っている。各単産・地域労連で目標と計画を策定する。その際、各単産・地域労連としての11月末までの獲得目標を明確にし、それに相応しいとりくみをすすめる。

H組織拡大の推進体制−幹事会、事務局、組織拡大・強化推進委員会

 愛労連としての組織拡大・強化の推進体制を幹事会、事務局、組織拡大・強化推進委員会の各段階で確立し、組織拡大・強化を推進する。

 

以上


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