三菱自動車工業株式会社

代表取締役社長   河添克彦 様

申し入れ書

2000年10月13日

 

愛知県労働組合総連合

議 長  阿部 精六


 私たち愛知県労働組合総連合は、消費者・利用者として、貴社が自動車づくりに努力されることを願っています。

 「技術力の三菱」として、社会的信頼を築き上げてきた歴史的経過に照らし、今回の「リコール隠し」という異常事態は、非常に残念に思います。社長声明は「遵法精神で企業風土を改革していく」と、表明していますが、河添社長就任時の決意表明も、同じ内容でした。今回の発端が示すように、「内部告発に頼るしか、不法行為からの脱出ができない」という状態を改めるには、高い自浄能力をつくることが必要と考えます。そのためには、労働者を信頼し、労働者の声をあらゆる機会に生かすという企業風土こそ、必要と考えます。

 技術力を高め、自浄能力を高め、労働者が誇りを持って働ける三菱自動車工業株式会社として、企業体質の改革をしてください。この立場からの努力を期待し、今回の申し入れをおこなうものです。

 今回明らかとなった一連の『リコール隠し』について、いくつかの点を質問し、回答を求めるものです。

 

 

1.数回にわたってリコールの届け出がされた対象車両と利用者について、貴社としての謝罪、修理、損害賠償などの具体的手当は、どのように進行しているのでしょうか。 中古車購入とか、知人との直接売買なども含め、利用者への連絡は漏れなく、速やかにおこなわれるのでしょうか。

 全てのリコール対象車のリストは、マスコミや店頭掲示などの方法で、社会的に公表されているのでしょうか。

 

2.車の欠陥は、利用者と一般市民の命に関わる重大問題です。「利用者・市民の命と引き替えをしてまでもリコール隠し」が、なぜ行われたのか。原因はどこにあるのでしょうか。

 

3.運輸省に対して、再発防止策を報告したと報道されています。この内容はどのようなものでしょうか。「リコール隠し」の原因を取り除く事が、再発防止策の要に座らなければなりません。どのような対策をとられるのか、お聞かせください。

 

4.今後は二度と欠陥車を商品として社会に送り出さないことが、もう一つ重要なことです。

 「人の命を預かる車」をつくる上で、「安全の確保」という点で、総合的な技術力を発揮することが求められていますが、次のような諸点は、いかがお考えですか。

@.「安全対策」のための「設計」「試作」「研究・実験」など各段階での「期間」と「労働者数」の両面からの拡充をおこない、「つくる者」が自身と誇りをもって車づくりができるよう、システム上の抜本的改善をすること。

 

A.労働条件の低下やリストラ不安の下で働かせるのではなく、労働条件の向上で「働きがい」のある職場にすること。期間社員は数ヶ月後には正社員にするなど、技術の伝承を重視し、それぞれの部署で責任と誇りを持って車づくりができるようにすること。

 

B.共に働く関連会社の経営や雇用・労働条件の向上にも配慮し、頭ごなしのコスト削減要求を押しつけないで、『良い車づくり』に協力しあえる環境をつくること。

以 上


←INDEXに戻る
←TOPに戻る