【陳情趣旨】
長引く不況のもとで失業率が戦後統計史上最悪を記録し、働く人の首切り・リストラや就職難、深刻な中小業者の経営危機など、国民の暮らしが脅かされています。こうした時だからこそ憲法で保障された社会保障を充実することが多くの国民の切実な願いになっています。
介護問題については、高齢社会を迎え、介護を必要とする人誰もが、いつでも、どこでも、お金の心配をせずに安心して、最適な介護サービスを利用できる介護保障制度を確立することが求められています。しかし、4月から始まった介護保険制度は、こうした願いに応えるどころか、スタートして半年経っていよいよ問題が山積していることが明らかになり、その改善が緊急の課題となっています。
また、愛知県は「愛知県行政改革推進計画」(第三次行革大綱)の方針のもとで、福祉医療制度の補助金をこの8月から削減しました。愛知万博や中部新国際空港への予算については聖域扱いをしながら、保健・医療・福祉への補助金を切り捨てることは、到底容認できません。これら住民の暮らしに直結する補助金削減はただちにやめ、復活すべきだと考えます。
さらに、国会では高齢者の医療費負担を1割定率にする医療改悪案が提案されるなど、社会保障制度の改悪の動きがいっそうすすんでいます。
以上の点から、住民のくらしと健康をまもる行政の充実を求め、次の事項についてお願いするものです。
【陳情事項】
【1】自治体の施策を充実するために次の事項を実現してください。
1.安心できる介護保障を確立してください。
(1)介護保険法について、次の点を要望します。
@誰もが安心して利用できる制度とするため、65歳以上の高齢者(第1号被保険者)の介護保険料と、利用者の利用料負担を軽減してください。当面、国が制度化するまで住民税非課税者の保険料と在宅サービスの利用料は無料にしてください。
A施設・在宅サービスの基盤整備を早急に行って介護が必要な人すべてにサービスが行きわたるようにしてください。とくに、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の待機者を把握し、その解消が早急に行えるよう施設整備をすすめてください。
B介護を必要な人に質・量ともに十分なサービスが提供できるようにしてください。そのために市町村として相談から認定調査、介護サービスまで一貫して行ってください。また、指定居宅介護支援事業者、指定居宅介護サービス事業者になるとともに、サービスの調整機能を担ってください。
C介護保険事業計画の推進については、情報公開・住民参加で介護の必要な人すべてがサービスを受け、選択できる水準になるように見直しをすすめてください。
(2)高齢者福祉施策を充実してください。
@介護保険で「自立」と認定された人のうち、介護保険以前に利用していたホームヘルプサービスやデイサービスなどをこれまでと同様に利用できるようにしてください。
A生活を援助する配食サービスの制度化・拡充、介護手当の引き上げなど、国の介護予防・生活支援事業などを活用し、これまでの高齢者・障害者を対象とした福祉制度をいっそう充実してください。
2.保健・医療・福祉予算を守り、充実してください。
(1)障害者、乳幼児、高齢者など現行の福祉医療制度を守り、乳幼児医療無料制度の6歳未満児までの引き上げなど拡充してください。
(2)愛知県に対して、福祉医療への補助金など保健・医療・福祉にかかわる補助金削減は中止、すでに削減したものは復活するよう意見書と要望書を上げてください。
(3)働かねば生活できない高齢者、働きたい高齢者に就労の場を確保してください。また、県の「シルバー」事業の生きがい対策だけの現状を改善するよう働きかけてください。
3.国保加入者への資格証明書の発行は絶対に行わず、加入者すべてに正規の保険証を発行してください。また、保険料(税)の減免制度を拡充してください。
【2】国に対して意見書と要望書を提出してください。
(1)介護保険への国庫負担を増やして、国民の負担(介護保険料と利用料)を軽くすること。国の予算を増やして介護基盤の整備を集中してすすめること。介護報酬を引き上げて介護にかかわる従事者の待遇を改善しサービスの質を保障することができるよう国に対し意見書と要望書を提出してください。
(2)高齢者の医療費負担に定率1割を導入するなどの患者負担増や、健康保険の介護保険料の上限枠引き上げなどを内容とした医療保険の改悪に反対するよう、国に対し意見書と要望書を提出してください。
(3)安心してくらせる年金制度を確立するために、すみやかに国民年金(基礎年金)への国庫負担割合を2分の1に引き上げ、一般財源による全額国庫負担の最低保障年金制度をできるだけ早くつくること。年金支給開始年齢は原則60歳とし、賃金スライド制を復活させることについて国に対し意見書と要望書を提出してください。
(4)「福祉目的税化」など社会保障の財源として消費税を引き上げることに反対し、消費税率の引き上げに反対するよう国に対し意見書と要望書を提出してください。
以上
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