雪印乳業株式会社

代表取締役社長  西 紘平 様

申し入れ書

2000年10月11日

 

愛知県労働組合総連合

議 長  阿部 精六


 私たち愛知県労働組合総連合は、消費者・利用者として、貴社が乳製品の生産・供給に引き続き努力されることを願っています。今回の食中毒事件は、戦後、雪印乳業として、社会的信頼を築き上げてきた歴史的経過に照らし、非常に残念に思います。

 今回の経過は、社外の調査によって次々不備や欠陥が明らかにされました。しかし、本来ならば社会的責任を持つ日本有数の食品メーカーとして、高い自浄能力を備えているべきだった、と考えます。そのためには、労働者を信頼し、労働者の声をあらゆる機会に生かせる企業風土こそ必要で、このことが企業の持てる力を存分に発揮できる保証だと考えます。

技術力を高め、自浄能力を高め、労働者が誇りを持って働ける雪印乳業として、再起するために、企業体質を改革してください。大きな期待を持って、今回の申し入れをおこなうものです。

 この立場から、今回明らかとなった一連の食中毒事故について、いくつかの点を質問し、回答を求めるものです。

 

 

1.マスコミ報道では、詳細部分が不明ですが、雪印乳業の製品によって、食中毒にかかった多くの市民、そして流通、販売に携った小売り・販売店の皆さん対する、「謝罪」、「賠償」、「今後の生活と営業」などについて、貴社として、きめ細かな対応がなされているのでしょうか。

 

2.食品の安全性は、市民の命に関わる重大問題です。マスコミ報道によると強力な『合理化推進』が行われたようですが、『食品の安全』無視は、あってはならないことです。『安全』の後回しがなぜおこなわれたのか。『回収決断の遅れ』を含め、原因はどこにあるのでしょうか。

 

3.再発防止策を政府に報告したと報道されています。この内容はどのようなものでしょうか。

製品に毒素が含まれているか、安全をチェックする事は、食品メーカーとして最低限の社会的責任だと思います。これが行われていないだけでなく、毒素除去についての科学的知識さえも無かったと、報道されています。食品メーカーにとって、このような重大問題が放置されてきた原因を取り除く事が、企業モラルの向上と再発防止策の要に座っていなければなりません。この立場から、どのような再発防止対策をとられるのか、お聞かせください。

 

4.今後は、二度と欠陥商品を作り出さないことが、もう一つ重要なことです。『人の命を預かる食品』をつくる上で、『安全の確保』という点で、総合的な技術力を発揮することが求められていますが、次のような諸点は、いかがお考えですか。

@.『安全対策』のための「設備設計」「製造工程管理」「設備保守・管理」「原料と製品の安全チェック」など各段階での『期間』と『労働者数』の両面からの拡充をおこない、『つくる者』が自信と誇りを持って送り出せる食品づくりをすること。

 

A.報道によると、1,300人の人員削減方針が発表されましたが、労働者の総意を生かし、総合力で信頼される企業として立て直す方向に、逆行するものと思います。

 今回の重大事故は、企業姿勢と、経営方針の誤りによって生まれたものです。にもかかわらず、労働者の『首切り』で、切り抜けようとする企業の姿勢は、『労働者の信頼』・『社会的な信頼』を得られるものではありません。労働者の雇用を維持し、請負労働者や派遣労働者は、数ヶ月後には正社員にするなど、技術の伝承を重視し、それぞれの部署で責任と誇りを持って乳製品づくりができるようにすることが、重要なのではないでしょうか。

 

B.共に働く酪農家や関連会社の経営や雇用・労働条件の向上にも配慮し、頭ごなしのコスト削減を押しつけないで、『良い食品づくり』に協力しあえる環境をつくることも重要と考えますが、どうでしょうか。

 以 上


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