1.生活体験の金額は、最賃の場合、日額の5,411円で22日の勤務と仮定し119,042円、そこから税金・社会保険料の18,728円を差し引いた100,314円としました(介護保険料については今回は無視)。標準生計費は国の標準生計費である110,620円としました。誰でも生活体験にチャレンジできるように、一般ローン(自動車、電気製品、耐久消費財など)は支出に加えない、住宅ローン・家賃は12,280円(名古屋市内の標準生計費による住居関係費)とする、高額商品の購入や車検は加えないが日記に記録しておく、こととしました。
2.家計簿集計が提出された35人の結果は生活体験の金額以下だった人が10名、生活体験額で足りなかった人が25名で、35人全体での平均不足額は24,804円でした。残金額で一番多かったのは24,240円、一番多額な不足金額は196,527円でした。
3. 3月1日に開催された「最賃・標準生計費生活体験の感想を語る集い」には23名(生活体験者は10名の参加)が参加し次のような感想を述べました。
「NHKの受信料を払うことをやめ、床屋には行かず、外食も1回のみ、アルコールは700円のお酒と発泡酒、好きなタバコ(いつもは1日30本)も2日で1箱から1日1箱に減らし1ヵ月で3,000円の節約をし、休日は外には出かけずという生活をしました。その結果1,142円余りました。冠婚葬祭がなかったから最賃額より低かった。でも、活動ができなかった」
「酒も飲まず自炊もして食費を削りに削った。標準生計費を1,300円オーバーしましたが、遊べなかったのがつらかった。娯楽がしたかった」
「37,027円のオーバーで、夜は遊びに行かないようにして、おごってもらうという確約があった時だけ外出した。生活することが面白くなかった」
「18,764円のオーバー。その主な原因は職場の旅行で約2万円を使ったことで、最賃額は健康で文化的な生活には程遠い。お昼はマックの平日半額のハンバーガーを2個とか、普段は何冊も買う本をたった1冊とか…。担任している親の香典を出すのもためらったり、組合活動で東京に行った時もいつもならコインロッカーに荷物を入れるところをそれもやめて重い荷物を持って歩いたりと、いつもお金のことを考えていたと」
「2,000円の余り。生きていくだけで精一杯だった。江戸時代の百姓を生かさぬよう殺さぬようにしているのといっしょだ」
「約6万のオーバー。いつもは外食ばかりだったが、コンビニで買っての食事は空しかった。旅行に誘われたけれども断った。最低賃金を引き上げてほしい」
「自炊に切り替え、昼はおにぎりを持っていくという生活にし、CDも買わずに約11,000円の余り。ただし、実際の家賃は6万円なので、6万円で計算すると約5万円のオーバーとなるところ。ストレスがたまり、最低賃金で普通に生活していくのは無理だ」
「9,927円のオーバー。名古屋市外に住んでいるため、活動のため名古屋市内に出てくるだけで1日800円の出費、たまたまあった職場の人の還暦のお祝いも出席して9,000円払うよりはましと2,000円の祝儀を出して節約。最賃生活体験はいつも財布とにらめっこする生活だった」
「616円の余り。外食するとお金がかかるのでいったん家に帰って食事してから出かけるという生活に切り替え、20日過ぎからは行くべきところにも行けなくなった。20万円はないと生活できないのではないか」
4.結論として、現行の最低賃金・標準生計費では基本的な生活は維持できず、健康で文化的な生活とは程遠い。最低賃金の引き上げは切実な課題である。