愛知県知事

 神田 真秋 殿

住民の暮らしといのち、地域経済を守る要請書

2002年11月13日

愛知県労働組合総連合

議 長 見崎 徳弘


 

 地域住民のいのちと暮らしをまもるためにご奮闘の貴職に敬意を表します。

 標記の件について、下記の事項を要請しますのでよろしく対応ください。

 

【要請趣旨】

 政府の「景気底入れ」宣言をよそに、国民生活と中小企業経営、地域経済は深刻の度を深めています。7月の完全失業率は史上最悪に近い5.4%、完全失業者は352万人、潜在的失業者を含めると10%・900万人を超す事態となっています。これからも、大企業の大規模なリストラの強行と政府がすすめる不良債権の「最終処理」がもたらす中小企業の倒産によって、さらなる大量失業が生み出されることは必至です。県下でも高岳製作所の名古屋工場撤退に続きINAXの常滑工場の閉鎖が伝えられ常滑信用組合の経営破たんにつぐ激震となっています。

 また、政府が強行した健康保険本人の3割負担、老人医療の75歳以上への引き上げ、健康保険料の引き上げなど医療保険制度の改悪で総額1兆5000億円の負担増、国と地方の公務員の給与引き下げが行われれば7000億円の減収、さらに来年度から年金給付額に物価スライド(削減)が適用され、介護保険料や雇用保険料の値上げも計画されています。国家公務員の賃金カットを理由に補助金単価の引き下げや生活保護基準などの引き下げが行われれば市町村の財政や市民生活にいっそうの打撃を与えます。

 平和の問題では、アメリカの戦争に日本が参加し、国民の土地や財産を徴収し、言論・表現の自由を拘束する「有事法制」「メディア規制」の制定が国会で強行されようとしています。

 こうした事態のもとで県として、国への働きかけと同時に県独自としても下記施策をとられるよう要請します。

 

【要請事項】

T.働くルールをまもり、雇用を確保し、地域経済を守るために

(1)大企業の一方的なリストラを規制し、県独自の対策を講じること

 @ 企業による一方的な工場移転・閉鎖、事業縮小などにたいし、その計画をとりやめるよう働きかけること。すくなくとも県への届け出・協議の義務づけを含む県独自の条例を制定すること。

 A 最高裁判例で確定している「整理解雇の4要件」に違反する解雇を行わないよう、企業に徹底し、『広報あいち』にその趣旨を掲載して県民PRをはかること。また、これに違反した企業名を公表すること。

 

(2)職員の賃金改善、時短をすすめるとともに公共業務での雇用創出をはかること

 @ 県職員と関連労働者の賃金カットや人員削減は行わないこと。

 A 県自らが時間外労働をなくすよう努め、「ただ働き・サービス残業」を厳禁すること。

 B 介護従事者、看護師、教員、保育士、消防職員で国の基準に照らしても要員が不足しているものがあれば直ちに改善すること。

 C 県が直接雇用する臨時・非常勤職員の賃金・労働条件を「均等待遇」の原則にそって、最低月額15万円以上、時間給1000円以上にすること。

 

(3)失業者、学卒未就職者の就労確保と生活保障をはかること

 @ 「緊急地域雇用創出特別交付金」を全額活用すること。同時に、県の独自事業として、対象業務の拡大、雇用期間の延長など、失業者の要求に対応する事業をおこなうこと。

 A 深刻な高卒未就職者の就労を確保するために、地元企業・経営団体へのはたらきかけをおこなうこと。県として緊急的就労確保の対策を講じること。

 B 失業者の住宅ローン繰り延べに対する県の補助を実施すること。また、失業者家庭の高校進学希望者の援助や授業料免除、奨学金など、就学援助制度を確立すること。

 C 法律で定められている障害者の雇用を厳守するよう企業に徹底するとともに、県として範を示すこと。

 

(4)中小企業の経営基盤の安定と労働者保護をはかること

 @ 県が発注するすべての事業・業務について、「地方自治法施行令」の改正(02年3月25日施行)にともない「最低制限価格制度」を適用すること。また、適正な単価・賃金・労働条件が確保されるよう受注企業への指導を徹底すること。

 A 公契約における公正な賃金等の確保に関する条例(公契約条例)を制定すること。

 B 「下請け代金遅延防止法」「下請け中小企業振興法」「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」などを受注企業に徹底すること。

 

U.第三次行革大綱など県の基本政策に関連して

 @ 万博・空港・徳山ダム・設楽ダムの建設を中止すること。

 A 東海・東南海大地震の避難場所となる公共施設の耐震工事を至急おこなうこと。

 B 特別養護老人ホームをはじめとする福祉や保育など生活関連施設の建設、老朽校舎の改築、安全・防災対策、市街地や公共施設のバリアフリー促進など、住民生活関連事業の拡大で雇用の拡大をはかること。

 

V.住民を主人公にした自治体行政を

 @ 政府主導の市町村合併押し付けをやめさせ、住民に身近で、地域の特性を生かし持続的な発展を可能にする自治体づくりをめざすこと。

 A 「住民基本台帳ネットワークシステム」については、「電子政府・電子自治体」の基盤として計画され、国家による個人情報管理や納税、社会保障個人会計、「国民総背番号制」に連動するものであり、国に対し拡大運用、反対の意見を上申すること。また、個人情報の保護、漏えい防止が法的にも技術的にも担保されていない現状では、その取扱いについて細心の注意を払うと共に、「運用管理規定」を策定し、セキュリティに万全を期すこと。

 B 政府の進める「公務員制度改革」の追随をやめ、「全体の奉仕者」としての公正・中立・効率を重視する自治体労働者と職場づくりをすすめること。

 

以上


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