愛知労働局

局長 池田道郎 様

愛知県最低賃金の改正改定に係わる異議申立

2005年8月12日
愛知県労働組合総連合
議長   羽根 克明


 

 「愛知県最低賃金の改正決定に係わる愛知地方最低賃金審議会の意見に関する公示」がありましたので、愛知県労働組合総連合は、以下のとおり、異議申立をおこないます。

 

 

1.時間額について「目安3円」を2円上回る5円の引き上げをおこなったものの、この間の厚生労働省研究会報告での指摘、愛知県をAランクに格上げしたこと、また順調な経済状況等を考慮すれば、「5円」の改定にとどめたことは不十分であり、異議の申し立てをおこなうものである。

 

【理由】

 

(1)5円の引き上げにとどまることは最低賃金法の趣旨に沿うものではないこと

 昨年の2円引き上げにつづき、愛知県の地域最低賃金を5円引き上げたこと自体は、審議会委員の方々の努力を評価するものである。しかしその水準は、憲法第25条が保障する「最低限度の生活を営む権利」を保障するものではなく、労働力の質的向上などを目的とした最低賃金法第1条の趣旨に沿うものとはとうていいいがたい。

 

(2)現行最低賃金水準は労働者が生活できる水準にはないこと

 愛労連がこの間とりくんできた最低賃金生活体験によっても現行最低賃金が「健康で文化的な生活」を保障するものでないことは明白である。5円の引き上げは、年間2000時間働いてわずか10000円、月に換算すると約830円である。いま非正規労働者が急増し、年収200万円以下の労働者が急増している。経済格差の拡大が日本経済にも重大な影響をあたえることについて各方面から指摘されている。また低賃金労働者の急増は年金財源や税収の深刻な落ち込みにつながることも指摘されている。最低賃金を引き上げることが、現在のパート労働者等の賃金を押し上げることになり、ひいては個人消費の拡大につながり、そうしたマクロ経済的な視点からも、引き上げが必要である。

 

(3)「支払い能力」論の点からみても余力は十分ある

 「支払い能力」論を主張する使用者側委員は「中小零細企業の経営を悪化させる」ことを主張するが、中小企業の経営を窮地に追い込んでいるのは、親企業による一方的な下請単価切り下げに最大の原因がある。最低賃金の上昇が経営を圧迫しているのではない。Aランクに引き上げた際に使用された経済状況の諸資料は、愛知の好調な経済実態を反映し、その余力があることを裏付けている。

 

(4)Aランクにふさわしい独自の改定を

 愛労連は、本来最低賃金は「憲法第25条」にもとづくべきであることを主張している。しかし、Aランクへの引き上げ、研究会報告の指摘(最低賃金が生活保護基準を下回るのは問題との指摘)など、今年は少なくとも700円以上に引き上げる条件があった。こうした状況を総合的に勘案し、愛知地方最低賃金審議会が、引き上げとともにランク内の格差解消にむけた努力をされるよう重ねてつよく要求するものである。

以上


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