被爆60周年原爆犠牲者を偲ぶつどい

追悼のことば

2005年7月26日

愛知県労働組合総連合

議長 羽根克明


 

 広島・長崎への原爆投下から60回目の夏がやってきました。60年の長きにわたって、被爆による様々な苦しみと闘い、生涯を終えられた皆様のご冥福をお祈りし、ご遺族の皆様に心からのお悔やみを申し上げます。

 被爆・終戦から60回目のこの夏は、日本とアジアの国々にとって重大な歴史認識と平和友好の岐路にあります。政府は太平洋戦争を「自衛のための戦争」とする「新しい歴史教科書」を認定し、これを自治体として初めて採用するところが表れています。小泉首相は靖国参拝を繰り返し公言していますが、いかなる理由をつけようとも日本とアジアの多大な人々を犠牲にした侵略戦争を正当化することは許されるものではありません。今月、自民党は「改憲要綱」の素案を発表しましたが、そこには9条を改変し、「自衛軍は、国際の平和と安定に寄与する」として、日本をアメリカとともに海外で「戦争をする国」に変えることが明記されています。皆様の、「戦争は嫌だ、被爆者は二度とつくらない」のご意志に背く、たどってはならない道と信じますが、今は野党の党首もまたアメリカに出かけて「改憲」をいう時代。まさに歴史の岐路と言わなければなりません。

 「私たちの生きているうちに核兵器廃絶を」という皆様の願いは、いま世界に大きくひろがっています。今年5月に開催されたNPT再検討会議には日本から1000名の代表が参加し、世界の平和運動を大きく激励しました。再検討会議がなんの決議もできなかったことでアメリカをはじめとする核保有国は国際世論の厳しい批判にさらされています。唯一の被爆国であり、憲法9条をもつ日本の本当の国際貢献は、憲法9条を世界にひろげること、そして被爆の実相を伝え、一日も早く「核兵器の廃絶」の国際公約を果たさせることだと信じます。いま全国、そして愛知にも次々と「9条の会」が発足しています。私たちもこの運動に全力をあげ、平和憲法を守っていきたいと思います。

最後に、原爆の犠牲となられた方々のご冥福を改めてお祈りいたします。1年間に3万人もの自殺者がでるという「生きにくい」時代にあって、皆様の運動は「生きていることの大切さ」を教えてくれています。亡くなられた皆様のご意志を受け継いで、原爆症認定訴訟の勝利と真の被爆者援護法実現、核兵器の廃絶へ引き続き努力する決意を表明して、愛労連を代表しての追悼のことばとさせていただきます。


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