愛知県知事

神田 真秋 殿

偽装雇用をなくし、働くルールを守る要請書

2006年11月27日
愛知県労働組合総連合
議 長 羽根 克明


 

 政府の進めた庶民大増税は住民税の増税にとどまらず、国保料、介護保険料の大幅引き上げや保育料などの値上げ、自治体の福祉施策に影響し、住民には「雪だるま式」の負担増となっています。この秋から支援費制度の本格実施、高齢者医療の改悪により経済的な事情で利用者にも事業者にもたいへんな困難を押しつけています。来年度もまた定率減税の廃止が決まっており、住民のくらしと福祉の向上に資する地方自治体の役割がますます重要になっています。

 いま「格差の拡大」が社会問題となっています。なかでも非正規労働者の拡大がそのなかの重要な要因と指摘されています。自動車産業の集中する愛知ではさらに悪質な「偽装請負」による劣悪な労働実態が問題となっています。04年から製造業への派遣が解禁されたことを機に県内での派遣・請負事業者が急増していますが、そのうち70〜80%に違法な実態があると報告されており、愛知労働局も「STOP THE 偽装請負」のキャンペーンを行うほどになっています。

 この間トヨタを先頭とする大企業によって下請け単価引き下げが行われるなかで、社会保険・労働保険にいれない事業者が増えています。なかには消費税控除を目的して個人請負契約にきりかえるところもでてきています。とくに問題なのは発注元の大企業もこのことを承知のうえで仕事をさせていることです。

 昨年名古屋市立高等学校教員組合が行った調査によれば卒業後6年〜8年(23才〜26才)の卒業生のなかで約4割が転職か退職を経験しています。その主な理由としては「職場の人間関係」「自分の将来に展望がもてなかった」と並んで「労働時間が長い」「収入が少ない」などの労働条件に関するものが少なくありません。また求人票と実態が違ったという青年は1000人以上の大企業で24.4%、50人未満の中小企業では40.6%となっており、若者が職場の労働実態に納得いかないものを感じていることが伺えます。

 また私たちの労働相談には仕事でケガをしても労災にされず使いすてにされる青年や、労働基準法を知らず、有給休暇もなく、残業代もまともに払われないなどの相談が後を絶ちません。政府は「フリーター25万人常用化プランにより、正社員への転換を推進」するとしていますが、このような違法・不法状況を放置したままで「青年に働く意欲の向上」はできません。

 私たちは不法な偽装雇用をなくし、働くルールを守るため以下のように要請いたします。

 

 

(1)労働者向けの啓発活動の拡充を

  1.  パート・バイト・派遣で働く人のための講座や街角労働相談などをおこなうこと。

  2.  対象を未就職者だけでなく働いている労働者にも拡大し、参加しやすい時間に開催すること。使用者と同時ではなく働くものむけの内容とし、無料とすること。

  3.  講師には労働組合の活動経験者や労働弁護団など労働者保護の立場から話のできる方を登用すること。

(2)ヤングジョブあいちの充実を

  1.  派遣・請負労働のトラブル110番をもうけること。

  2.  労働基準法など働くものの基礎知識のコーナーをもうけること。

  3.  県下でおこなわれるヤングジョブキャラバンのなかに労働基準法や派遣・請負についての講座をもうけること。

(3)労働基準法の基礎知識や派遣・請負のトラブル防止のチェックポイントをなどのルールブックやパンフ、リーフレットを作成し、市町村にも配布するなど普及すること。これらは事業者むけのものとは別にわかりやすく読みやすいものとすること。

 

(4)これから就職する高校生に向け、わかりやすい「働くルール基礎知識」を作成し、副読本とそして配布すること。

 

参考 全労連「社会人になるあなたにおくる権利手帳」

長野県「職場で必要なルールブック」

東京都労働情報センター

「多様な働き方セミナー・派遣労働 よくあるトラブルと対処法」

「パート・派遣・契約社員等の労働月間」セミナー&相談会 

「街頭労働相談」


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