愛知労働局長 
 池田 道郎 様

パロマ解雇問題についての要請

2006年9月5日
愛知県労働組合総連合
議 長 羽根 克明



 貴職におかれましては、ひごろ熱心な労働行政に敬意を表します。

 さて、すでにマスコミ報道等でご存じのとおり、8月10日、パロマ工業(株)が東海地方4工場のパート・バイト約100人の解雇通告を発表しました。愛知県においても南区大江工場で解雇が通告されました。私どもはこの解雇通告以後、東海3県労連でパロマ労働相談を行ってきました。その結果、この解雇は労基法の定める「合理的なな理由」のない解雇であると考えました。またこの4工場の解雇通告以外にも他の工場で「8月末までにいつ解雇するかはっきりさせる」と解雇の可能性を示唆したところもあります。他にもバイトの解雇、休業命令や不法な労務管理の情報がありました。

 パロマのボーナス全額支給とパート解雇問題は全国紙で報道され、非正規労働者の拡大が「格差拡大」の主要因となるなかで「パートだから」という理由だけで解雇されることが許されるのかとの関心が広がっています。また北海道や福岡からの問い合わせも少なくありません。

 この事件は個別労使紛争や個別の事件としてではなく、企業としての労務管理全体が問われているものです。本社所在地である愛知労働局としての対応をされるよう以下のように申し入れるものです。

 

 

1.4工場での解雇通告について

 この解雇通告ではパロマの経営状況・資産状況がただちに整理解雇を必要とするものであることは何らしめされませんでした。解雇を避けるため近隣の工場での勤務の打診などの経営努力や、労働組合との協議をした形跡もありません。逆に会社は8月3日に全社員にむけ冬のボーナスを全額支給することを文書で明らかにしており、整理解雇を必要とする経営状況でないことを証明しています。

 またほとんどのパートが契約更新を繰り返しており、同じ常用労働者と見なされるのにパート・バイトのみを優先解雇することは全く不法であると考えます。

 @ 社員には当期のボーナス全額支給を明らかにしたうえで、パートのみを選別して解雇をおこなうことは「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」と思われるが労働局としての見解はどうかお聞きしたい。

 A 8月10日に4工場で通告した解雇は整理解雇4要件を満たさないものであり、ただちに撤回されるよう指導を求めます。

 

2.本社第二工場でのバイトの解雇について

 本社第二工場では8月10日にアルバイト3名が呼び出され、8月13日をもって解雇されています。ここでは予告手当なしに解雇されており、上記解雇通告の不法に加えて完全な違法解雇です。後から予告手当を払えばよいと言うものではありません。

 @ 予告手当を払わないで3日後に解雇することは違法であると考えますが労働局の見解を示されたい。

 A 違法行為も「指摘されたら後から払えばよい」ということでは、このような違法行為が後を絶ちません。違法行為を認めない立ち場から、解雇そのものを撤回し、謝罪するよう指導を求めます。

 

3.北勢工場でのパート休業について

 三重の北勢工場では7月の事故発覚後「8月末までの休業」を命じられたパートがいます。しかし法律でさだめる休業補償は払われていません。これも違法行為と考えます。

 @ すでに休業した期間について賃金支払日までに休業補償を支払わなかった場合には違法行為と考えますが、労働局としてはどう考えるか。

 A 遡って休業補償を行ったとしても、違法行為を行った事実が消えるわけではありません。この間に本来であれば受け取るはずであった賃金の全額を支払うよう指導を求めます。

 

4.法令遵守の労務管理徹底について

 この他にも「営業所にタイムカードが置かれていない」、「残業代や休日出勤手当の支払いに問題がある」など報告されています。パロマ工業及び(株)パロマの労務管理が法令を遵守するよう指導監督を要請いたします。

 

以上


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