愛知労働局長 
 池田 道郎 様

愛知県最低賃金の改定についての異議申立書

2006年8月18日
愛知県労働組合総連合
議 長 羽根 克明


 

 「愛知県最低賃金の改正決定に係わる愛知地方最低賃金審議会の意見に関する公示」がありましたので、愛知県労働組合総連合は、以下のとおり異議の申し立てをおこないます。

 

 

1.時間額について、愛知地方最低賃金審議会が中央最低賃金審議会の目安(4円)に2円を上積みし694円としたことは、一定の評価はできる。しかし、私たちの要求や労働者の実態、また愛知の経済状況からみて、まだ低い上げ幅にとどまったことは、最低賃金の低額を固定化するもので極めて遺憾であり、不服である。

 

2.最低賃金について、時間給を少なくともAランクにふさわしい700円以上に引き上げ、Aランク内の格差をなくすこと。

 

理由

 

1.最低賃金法の目的に反するものであること

 今回の中央最低賃金審議会の目安は、愛知の場合「4円」であったが、愛知地方最低賃金審議会が目安にさらに2円を上積みし694円とした。目安とあわせ6円の引き上げは、全国でもっとも高い引き上げとなり、このことは一定の評価ができる答申である。

 しかし6円の引き上げとはいえ、Aランク内の格差でみれば、大阪とわずか2円縮小したにとどまり、絶対的な低額である最低賃金を“固定化”するもので、労働者の生活の安定、労働力の質的向上などを目的とした最低賃金法第1条の趣旨に反するものである。また「中小零細企業等に働く労働者は、その多くが未組織労働者であり、労使と対等な立場での交渉によって賃金・労働条件を決定することがほとんど期待できない状態」にあり、「国が積極的に介入してその改善を図る」とする趣旨にも反している。

 

2.格差拡大、「ワーキングプア」を増大させるものであること

 今回、中央最低賃金審議会が「A・B4円、C3円、D2円」という格差をつけた「目安」をだしたこと自体、地域格差をさらに拡大させるものである。「ワーキングプア」といわれる非正規労働者・低賃金労働者の増大が社会問題化しているが、これをさらに助長することになるといわざるを得ない。

 「景気は回復基調にある」あるいは「愛知は経済が好調」といわれるが、フリーターやパート・派遣など非正規労働者、特に女性と青年層における低賃金労働者の増大は愛知においても例外ではない。愛知の審議会がこうした実態を放置したまま、目安+αの改定にとどめることは、さらに格差を拡大させ、それらの低賃金労働者を増大させることになるといわざるを得ない。

 

3.企業の「支払い能力」は十分にある

 最低賃金の引き上げに対し、この間、使用者側委員は「企業の支払い能力」を理由に、引き上げに対し、反対ないし消極的な姿勢を示してきた。しかし、一気に時給1000円への引き上げはともかく、時給700円台、あるいはAランク内の格差解消については、決して不可能ではない。愛労連は、この間中小企業家団体との懇談においても「時給1000円以上」の意義について率直な意見交換をおこなってきた。そのなかで中小零細企業の経営がきびしい最大の原因が親企業による一方的なコスト削減、下請単価の公正な取引がおこなわれていないことにあることが共通の認識になった。

 現に最低賃金額で時給を支払っている企業はないし、実態はそれを上回っている。このことからみても、すくなくとも700円台に引き上げ、Aランク内の格差をなくすことは可能であると考える。

 

4.時給700円台への引き上げをあらためて強く求める

 愛労連は、この間月額150,000円・日額7,400円・時給1,000円の全国一律最低賃金制の確立と地域最低賃金引き上げを求めてとりくみをすすめてきた。この要求はいささかも揺るぎないものであるが、あらためて愛知地方最低賃金審議会が現行最低賃金の低さ、生活保護水準との逆転現象などを総合的に判断し、中央最低賃金の目安にとらわれず、時給700円台に、そしてAランク内の格差解消のために愛知の地域最低賃金を引き上げることをつよく求めるものである。

 

以上


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