住民の暮らしの向上、地方自治の発展のためご奮闘されていることに、心から敬意を表します。
さて、安倍内閣は、小泉政権の「小さな政府」を継承して、三位一体改革、公共サービスの民間開放と公務員減らし、集中改革プランの策定を自治体に押し付け、住民サービスが低下しようとしています。
国民生活をめぐっては、格差と貧困が進行し、労働者の雇用確保も大きな問題となっています。この間、高齢者を直撃する増税、すべての納税者にたいする定率減税縮小・廃止などの庶民大増税と、国民健康保険料(税)や介護保険料引き上げなどの負担増が住民に押しつけられました。年収200万円以下のワーキングプアの人達は税金や保険料を充分払えず、自治体財政や保険財政にも影響を与えることになります。最低賃金の引き上げや、格差をなくす均等待遇、公契約事業などでの適正な価格設定と労働者の賃金・労働条件の確保、労働基準法の規制緩和ではなくて働くルールの確立などが求められています。
また、2005年に自民党が新憲法草案を発表し、安倍首相は、改憲を「ぜひ私の内閣として目指していきたい」「参院選でも訴えていきたい」と述べ、5月3日の憲法記念日までに国民投票法案(改憲手続き法案)の成立をはかろうとしています。今こそ、戦争放棄、世界平和をめざす日本国憲法の値打ちが発揮される時はありません。各自治体での、憲法を守る取り組み、平和をめざす取り組みが求められています。
こうした趣旨から、下記事項について要請します。
記
T.住民の暮らしを守り、安全・安心の公共サービスを拡充してください。
【政府へ要望していただきたい事項】
1.住民の暮らしや安全に関わる権利保障を後退させる公共サービスの民間開放を安易に行わないこと。
2.画一的な公務員の削減を行わず、公共サービスの改善や水準維持のため、必要な職員を確保すること。
3.平成20年度地方財政計画にあたって、地方自治拡充の立場で、地方公共団体に財源を保障するよう地方交付税、国庫負担金・補助金を確保・充実すること。また、人口と面積を基本とする「新型交付税」の導入をやめること。
【自治体への要望】
1.集中改革プランについては、住民の暮らしや安全を守る観点で見直し、実施にあたっても、情報公開と住民への説明を積極的に行い、職場合意・労使合意を基本とするとともに、一方的な実施をしないこと。また、住民サービスの維持・向上のために必要な職員確保に努力すること。
2.市場化テストや安易な民営化・民間委託は行わないこと。また、すでに実施されている民間委託等については、法令を遵守するとともに、行政サービスの向上やプライバシー保護の徹底など必要な措置をとること。それができない場合は、厚労省通達の趣旨に基づき直ちに直営に戻すこと。
3.6月からの住民税の大幅引き上げに対して、負担軽減のための条例減免や特別な控除を設定するなど住民の負担増を軽減すること。また、住民税に連動して国民健康保険料(税)、介護保険料や保育料などの公共料金の負担増に対する軽減措置をとること。
U.最低賃金を引き上げ、公契約における賃金・労働条件の改善及び均等待遇を実現してください。
【政府へ要望していただきたい事項】
1.現行の地域別最低賃金を生活保護基準(18歳・単身者)以上に引き上げること。
当面、時間額1000円以上、日額7400円以上、月額15万円以上として、その実現を図ること。
2.ILO94号条約(公契約における労働条項に関する条約)を批准すること。
3.実効あるパート労働法の改正と公務職場への適用をはかること。
4.公共工事や公務・公共サービスを民間委託する際には、コストを偏重することなく、入札する事業者に対し、工事・業務等の質の確保をいかに図るか明らかにさせること。
また、低価格入札によって違法な就労形態を防止するため、最低制限価格制度などを導入すること。
【自治体への要望】
1.自治体が直接雇用(任用)する臨時・非常勤職員の最低賃金を月額15万円以上、日額7400円以上、時間額1000円以上を保障すること。
2.自治体が直接雇用(任用)する臨時・非常勤職員等の賃金を改め、雇用年数等に応じた経験年数加算など正規職員との均等待遇を実現すること。
3.公契約における公正な賃金等労働条件確保について下記事項を実現すること。
@ ILO94号条約の趣旨をふまえた「公契約条例」を制定すること。当面、公契約において自治体は、その事業に従事する労働者の賃金・労働条件が類似の業務に従事する自治体の正規職員の水準を下回らない賃金・労働条件を確保するよう指導すること。なお、二次以下の下請け契約が行われる場合であっても、賃金台帳や労働条件に関する書類を提出させるなど、その労働者にかかる賃金、労働条件の確保が適切に行われるよう指導すること。
A 公共工事や公務・公共サービスを民間委託する際には、コストを偏重することなく、入札する事業者に対し、工事・業務等の質の確保をいかに図るか明らかにさせること。また、低価格入札によって違法な就労形態を防止するため、最低制限価格制度などを導入すること。
4.中小企業者の経営の安定を図り、地域経済を振興するため、官公需法に基づく受注機会確保を図る措置を講ずること。なお、発注率について目標及び実績を公表するとともに、目標達成に努めること。
5.自治体の非正規職員について、均等待遇実現の立場から、賃金・労働条件の改善に向けて必要な措置をとること。
V.労働法制の改悪に反対し、働く人の権利を守ってください。
【国に対する要望】
1.労働契約法における「労働条件変更のルール」は労働者本人の同意を前提とすること。
2.いわゆるホワイトカラーエグゼンプション(労働時間規制適用除外制度)は、導入しないこと。また、長時間労働を根絶するため、時間外労働時間の上限規制など実効ある労働基準法の改正を行うこと。
3.雇用保険法における特例一時金の給付削減および国庫負担の削減は行わないこと。
4.ILO175号条約(パートタイム労働に関する条約)を早期に批准すること。
【自治体に対する要望】
1.自治体労働者のサービス残業をなくすように努めること。
2.「働く権利」についてのリーフなどを作成し、労働者に周知すること。また、外国人労働者のために対応する言語で作成すること。
W.憲法を生かし、住民の暮らし守る行政を推進してください。
【国に対する要望】
1.憲法9条の改悪に反対すること。
2.憲法改悪を前提とした国民投票法案に反対すること。
3.道州制の導入に反対すること。
【自治体に対する要望】
1.平和行政のために憲法9条を、住民福祉向上のために憲法25条の規定を生かし、行政を執行すること。
2.職員研修は、憲法99条の憲法尊重擁護義務及び地方公務員法30条の「全体の奉仕者として公共の利益のために勤務」する立場から行うこと。
以上
※国に対する意見書ひな形(PDF:199KB)