貴職におかれましては、日頃熱心な労働行政に敬意を表します。
さて7月3日付の朝日新聞によれば、豊田労働基準監督署の労働相談員が労働相談の内容を出身企業に漏洩していたとされています。このような事態は労働監督行政に重大な不信を招きかねないものであり、断じて許されるものではありません。二度とこのような事態を起こさないために申し入れるものです。
この相談員はトヨタ自動車系の大豊工業を定年退職した後に同監督署に再就職したとされています。私どもの労働相談には西三河のトヨタ関連の企業から多数の相談があり、その中には「会社に情報がもれないか」はもちろん、「会社の労働組合にも知られると困る」という相談もあります。今回の事態はこのような労働者が全く行き場を失うものです。
これまでにも解雇と賃金不払いで相談に言ったら、窓口にクビをきった会社の元労務担当がいたということもありました。管内の事業者と密接に関係するものが労働相談の窓口にいることは相談する労働者にとっておどろきです。「守秘義務」と「公正中立」を守ることは公務員として当然のことでありますが、直近まで管内の事業者と関係のあったものを監督行政の窓口におくことは労働者の不信をまねく危険があります。
また労働相談の窓口で整理解雇4要件の話はいっさいなく「予告手当を払えば解雇しても違法ではない」と説明されたということがありました。相談員の中には元労務担当で、経営者の立場からリストラを進めてきた人がいるのが実態です。相談には事業者より労働者のほうが多くいきます。少なくともどういう経歴の方か相談者にわかるようにすることが必要ではないでしょうか。
今回の件について調査の結果を報告・公表していただきたいと思います。またこの相談員は過去にも出身企業に連絡していたようですが、この方を非常勤相談員として採用する際にどのような公募をされたのか、その後の研修がどのような内容かきちんと説明していただきますよう申し入れます。
以上