愛労連2008愛知国民春闘中間総括

2008614

2008年度第2回評議員会



【目次】

1.どのような情勢で08春闘をたたかったか

2.私たちのたたかいと成果

(1)大企業の社会的責任追求で大きな前進

(2)働くルールを守るたたかいに潮目

(3)貧困に拍車をかける社会保障改悪、弱い者いじめの福祉切り捨てとのたたかい

(4)憲法と平和を守るたたかい

(5)第79回メーデー

3.賃金闘争の結果

(1)原材料高や株価低下などが影響

(2)産業別には大きな違い

(3)時給引き上げ要求

(4)賃金闘争の課題

(5)公契約条例制定と、下請二法遵守、最低賃金引き上げのとりくみ

4.春の組織拡大月間のとりくみ

(1)大量宣伝と情勢の変化

(2)新入職員組織化の成果と教訓

(3)職場・地域での組合機能低下が課題


1.どのような情勢で08春闘をたたかったか

 「貧困と格差」「改憲」に国民の怒りが広がる中で、08国民春闘が始まりました。私たちは「なくせ貧困!ストップ改憲」をスローガンに「貧困撲滅」春闘をたたかいました。

 大企業が史上最高の利益をあげる一方で、サブプライムローンの焦げ付きにより日本の銀行でも1兆円もの不良債権が明らかになりました。急激な円高ドル安と株の急落、ファンドによる原油と穀物相場の高騰、原材料が高騰する一方で下請単価の引き下げが中小零細企業の経営を圧迫し、また相次ぐ食品の値上げは勤労者の家計を直撃しています。

 私たちはこの春闘で、トヨタ総行動など大企業の社会的責任を追及する一方、中小企業を守るため下請二法の遵守、公契約条例の制定、ガソリン暫定税率の廃止などをもとめてたたかいました。また地域でくらしを守る住民運動とも共同をひろげ、「3.16春の大集会」など「貧困と格差」拡大に反対しくらしと憲法をまもる世論を大きく広げてきました。

 このようなたたかいの中で、トヨタの下請イジメと儲けすぎを公然と批判する世論が広がっています。過労死した内野さんの遺族年金に残業分算定を労基署とトヨタに認めさせたこともこの世論が背景にあります。

 また地域「九条の会」の運動が地域に広がるなかで、読売新聞の世論調査ですら、「憲法改正『反対』43%、『賛成』を上回る」(4/8読売)までになってきました。そして4月17日には、名古屋高裁がイラク派兵を違憲とする画期的な判決を下しました。

 

2.私たちのたたかいと成果

(1)大企業の社会的責任追求で大きな前進

@トヨタ総行動と大企業宣伝

 1月8日、名駅ミッドランド前での大企業宣伝(刈谷は14日)を皮切りにトヨタなど大企業の社会的責任を追及するたたかいを大きく展開しました。08新春大学習会(1月12日)には175人が参加。週刊東洋経済の風間記者がグッドウィル、シャープ、キャノンなどの違法派遣取材の経験を話されました。

 第29回トヨタ総行動(2月11日)ではトヨタに対しQC・自主活動の不払い残業を一掃し、会社と当局に対し内野さんの遺族年金算定にあたって裁判で認められた残業時間を認めるよう要請しました。各社要請行動でもQC残業代の解決と下請単価の引き上げを要請しました。集会には内野さんの他、トヨタ下請でたたかうティムスのブラジル人労働者も参加しました。

 今年のトヨタ総行動では工場前宣伝・駅頭宣伝に加えて地域への宣伝を重視し、豊田市内と豊橋、田原市内で合計7000枚の地域配布を行いました。また豊田市内を中心に派遣寮を事前に調べて派遣アンケート1000枚の配布を行いました。トヨタ総行動には全労連東海北陸ブロックなど8都県、1300人が参加しました。

 当初、トヨタへの指導を渋っていた豊田労基署もその後、内野さんの舛添厚労相との「直談判」などを経て「判決の趣旨に従って計算するようトヨタに対し指導する」ことを確約し、是正されました。またトヨタは判決後、「自主的」であることを強調し、厚労省の新しい指導があるまでは残業と認めない対応を続けてきましたが、報道によれば6月からは月2時間としてきた上限を撤廃し、「QCに全額残業代支給」(5/22朝日)をすることになりました。

 

A国鉄闘争での前進

 JR採用差別事件で、1月23日の全動労判決は国の「不法行為」を認め損害賠償を命じました。その後の国労裁判では「時効」を理由とする不当な判決がありましたが、愛知では鉄道フォーラムを軸に国労・建交労の共同を強め、名駅での座り込みなど国とJRに解決を迫っています。

 

B自動車デモと2.27地域総行動

 交運部会は2月24日に暫定税率廃止と労働条件の向上をかかげて08春闘勝利自動車パレード(名古屋・豊橋)を行いました。

 2月27日の地域総行動では157駅での宣伝行動、名古屋市内12地域での集会・学習会と4カ所でデモを行い、「なくせ貧困、08春闘勝利」をアピールしました。この10年間に大企業が利益を倍増させているのに労働者の賃金が下がっていることが「格差と貧困」の原因であることを訴え、「反貧困」の世論を大きくひろげてきました。チラシをみた市民から共感の電話も入っています。

 

Cトヨタへの批判がひろがる

 この春、愛労連の活動は新聞各紙や週刊金曜日など週刊誌でも数多く取り上げられてきました。その中でトヨタのぼろ儲けについて公然と批判する中小経営者も増えてきています。5月には朝日新聞「トヨタ新時代」、中日新聞「結いの心 トヨタの足下」と特集が組まれ、トヨタ下請の厳しい実態やJMIU、愛労連の活動も紹介されています。

 

(2)働くルールを守るたたかいに潮目

@派遣・非正規労働者にも働くルールを

 偽装請負が社会問題となり、「日雇い派遣」などの禁止を求める声が高まっています。登録型派遣を禁止し「労働者保護法」とするなど、国会のなかでは派遣法「改正」を求める院内集会も開催されてきました。またマクドナルド店長の残業代支給を命ずる判決が下され、「名ばかり管理職」を是正する厚労省通達もだされました。

 愛知には全国から「出稼ぎ派遣」労働者が集まり、西三河中心に600人の「ネットカフェ難民」がいると報告されています。愛労連はトヨタ総行動を前後して派遣アンケート、3.23派遣請負シンポ、派遣法の抜本的な「改正」を求める100万人署名に取り組み、非正規雇用の労働者に「働くルール」が適用されるよう運動を広げてきました。全国一般、JMIUなどでは派遣労働者を組合に入れ、直雇用をかちとってきました。

 

A外国人労働者の権利をまもる取り組み

 さらに愛知県は全国で一番外国人労働者が多くなっていますがその多くは派遣労働者や研修生になっており、社会保険の未加入や労基法が守られていないことが少なくありません。愛労連は昨年5月以来、外国人研修生からの相談を37件もうけ、今年3月に名古屋入管に告発と要請を行いました。この告発は参院法務委員会でも取り上げられ、愛労連の取り組みが大きな反響を呼び起こしています。またJMIUはブラジル人労働者の支援を取り組み、トヨタ下請TIMSの解雇争議で不当解雇の仮処分決定を勝ち取ってきました。全港湾と港地区労はイタリア村で解雇されたイタリア人たちの支援を行っていますが、この事件ではPFIで民間企業に丸投げした名古屋市・愛知県の責任が問われています。

 

B倍増する労働相談

 愛労連の労働相談は4月までですでに611件と激増しており、4月には広小路再開発の影響で90人の労働者を全員解雇する事件も発生しています。65名の労働者がローカルユニオンに加入、綿常支部を結成して交渉を行っています。1月の愛知県・労働局交渉では「ネットカフェ難民」支援策などワーキングプアの問題、働くルールの周知、外国人労働者への支援などを中心に要請しました。

 

(3)貧困に拍車をかける社会保障改悪、弱い者いじめの福祉切り捨てとのたたかい

@後期高齢者医療制度に怒り広がる

 小泉内閣が強行採決した後期高齢者医療制度が今年4月から始まり、お年寄りの怒りが全国で巻き起こっています。愛労連は昨秋から、広域連合議会への署名と傍聴、名古屋市の減免制度廃止に対する運動を取り組んできました。春闘では後期高齢者医療制度の中止・撤回と名古屋市に対して新たな福祉制度による助成措置を要求する署名を取り組んできました。後期高齢者医療制度の署名は年金者組合や各地域労連で取り組まれ、興正寺では1時間で641筆もの署名が集まり「行列ができる」ほどになっています。名古屋市への署名は社保協全体で46,000筆を集め、請願が継続審議になっています。

 

A公的年金をまもり、よくするたたかい

 「3月末までにはすべて解決」されるはずの「宙に浮いた年金」は依然として不明のものが残るばかりか、「ねんきん特別便」を見てもわからないことも多くあります。年金者組合は各支部で相談にのり、実際に不足分を取り戻した方もでています。国民のなかに医療、年金への不満と不安が広がるなか、政府は社保庁解体の日程だけを推し進めています。愛労連は国公、年金者組合などとともに年金を良くする会(準備会)をたちあげ、「社会保険庁解体を考える4.17シンポジウム」を開催しました。また年金者組合・社保協がとりくんだ電話相談はテレビでも紹介され二日間で86件もの相談が殺到しました。

 

B大増税反対のたたかい

 昨年から消費税の課税基準が1千万円に引き下げられ、零細な業者でも申告が必要になりました。年金財源や少子化を口実とする消費税引き上げ論も出てきています。県下32カ所で開催された3.13重税反対統一行動に各地域労連が参加し、愛商連とともに財務局交渉を行いました。また3.29(豊橋)、3.31(名古屋)の消費税マラソン宣伝を取り組みました。

 

C地域住民と共同のとりくみ

 名古屋市民病院の再編をはじめ、県下各地で医師不足による公的病院の縮小・統廃合の動きが広がりました。医労連が医師看護師増員署名を大きくひろげ、地域医療を守るシンポジウムなど各地で地域医療を守る取り組みが大きく広がりました。また保育園の民間委託・民営化の動きが広がる中、民営化に反対し保育をよくする住民の運動が各地で巻き起こっています。3月16日に久屋市民広場で開催した「なくせ貧困 守ろうくらしと憲法 春の大集会」には住民運動団体も多数参加し、3000人の参加で成功しました。集会には天野鎮雄さん(あいち九条の会)と湯浅誠さん(反貧困ネット事務局長)からメッセージが届きました。

 

(4)憲法と平和を守るたたかい

 2月には自衛艦「あたご」による漁船衝突事故、沖縄で米兵による女子中学生暴行事件が発生しました。神奈川では自交総連組合員のタクシー運転手が基地を脱走した米兵に殺害されました。岩国では女性暴行事件をおこした米軍と政府に対する抗議が広がるなかで、岩国市長選挙が行われ、政府は30億円もの補助金を凍結するなど露骨な介入を行いました。

 昨年来の大きな問題となっている沖縄における集団自決と教科書検定について、愛労連も参加する市民と言論実行委員会が3月にシンポジウムを開催しました。また映画「靖国」上映に対する自民党議員の露骨な介入がありましたが、映画演劇労連などの反撃が行われ、徐々に上映が広がってきました。また5.3憲法フェスティバル2008では憲法施行40周年の年に作曲された交響曲「五月の歌」が再演され、昼夜あわせて4000人の参加で成功しました。

県民の抗議のなか小牧基地に空中給油輸送機が2機配備され、武器をもった自衛隊員による市街地徒歩訓練も続けられました。これらは、海外で戦争をするための準備であることは間違いありません。

 イラク戦争5年を迎えた3月20日には憲法と平和をまもる愛知の会が県民集会を開催、4月9日には憲法改悪反対愛知共同センターの呼びかけで県下113カ所の一斉宣伝が取り組まれました。豊橋にもあらたな共同センターが発足するなど地域での九の日宣伝・署名活動が広がっています。全国で「九条の会」の運動が地域にひろがるなか、憲法改正に反対する世論を多数派に押し上げてきました。4月17日名古屋高裁でイラク派兵を違憲とした画期的な判決は、このような草の根の運動と二度と戦争をおこさせない世論のたかまりが背景にあります。

 

(5)第79回メーデー

 5月1日開催されたメーデーには中央メーデー4000人が参加。地域では6つの会場(東三河、尾張東、尾張中部、尾北、一宮、安城)でおこなわれ、あわせて5300人が参加しました。今年はイラク派兵に対する違憲判決の直後のメーデーで改憲反対のアピールや「後期高齢者医療制度」への怒りが大きく広がる中で行われました。「職免」をとれる組合が減り参加が厳しくなっていますが、開催時間の繰り上げと天候にも恵まれ、昨年を上回る参加がありました。

 

3.賃金闘争の結果

(1)原材料高や株価低下などが影響

 ガソリンや食品の値上げが相次ぐ中で愛知春闘共闘は「くらしに必要な生計費要求と時給の大幅引き上げ」を柱に、@)要求アンケートや「しゃべり場」など職場での要求話し合い、A)単組・支部での時給要求提出、B)成果主義の問題点を明らかにし、公務職場への導入反対を重点に08春闘賃金闘争をたたかいました。

 愛知春闘共闘の集約(6月10日現在)では、登録196組織中133組織67.9%(昨年最終69.3%)が要求を提出し114組織、58.2%(同62.8%)で回答を引き出しました。全体の回答水準は前年よりプラスが27(〃35)組織、±ゼロが21(〃32)組織、マイナスが34(〃33)組織となっています。当初大企業では前年並か上回る回答が出ていましたが、3月中旬から株価の低下と円高が急速に進み、製造業で前年を下回る傾向がはっきりと現れました。一方港湾関係で多くが前年を上回ったため、全体では昨年をやや下回る結果となっています。

 

<国民春闘共闘(5/16現在)>

 登録組合数811組合、回答464組合(引き出し率57.2%)

 単純平均 367組合5,806円1.93%、前年同期 376組合5,769円1.93%

 加重平均 9.0万人6,715円2.06%、前年同期 9.4万人6,776円2.02%

 時給の回答

 14単産361組合うち時給アップは215組合、平均25.6円、前年同期は171組合17.9円

<連合(4/22現在)

 単純平均3,269組合4,579円1.79%、前年同期4,538円1.79%

 加重平均     5,687円1.93%、前年同期5,571円1.90%

<日本経団連(4/23現在)

 大手79社  単純平均5,516円1.79%、前年同期5,276円1.71%

 加重平均6,165円1.89%、前年同期6,050円1.84%

 中小149社 単純平均4,082円1.59%、前年同期4,220円1.64%

 加重平均4,412円1.68%、前年同期4,314円1.66%

 

(2)産業別には大きな違い

 JMIU、全国一般などの製造関係が原料高で昨年と全く逆のマイナス回答が多くなっています。建交労や全港湾など交通・運輸部門では燃料高騰で当初厳しい回答が続きましたが、粘り強い交渉で、建交労でほぼ昨年並みの回答、貨物取り扱い量の増えている全港湾の多くの分会で昨年を上回る二次回答を引き出しました。また生協労連は消費の低迷に加えて中国ギョウザ事件などの影響で交渉そのものが厳しい状況となるなど、産業別に大きな違いが出ています。

 そのなかで医労連は医療改悪のもとで「看護師増員闘争」と賃金闘争を結合してたたかい、看護師の賃金引き上げ、その他の職種でも手当のアップなど、多くの組合が前進回答をかちとっています。福保労では42分会中85.7%が統一要求を、40.8%が独自要求を提出し、臨職の待遇改善を引き出しています。一方院内保育所の職場では民間企業委託化などの動きもあり、交渉が続いています。

 

(3)時給引き上げ要求

 昨秋の自治体での大幅な引き上げを民間にもつなげようと、積極的なたたかいを呼びかけました。要求提出は昨年の18組織から26組織に、回答引き出しも8組織から18組織へと増えました。

 JMIUでは要求・回答集約表に月給と時給の欄をもうけて集約し、交渉でも東海キャスターと東信化成の2組織が二次回答で上乗せを勝ち取っています。また臨パ部会の活動を定着させてきた福保労では今年8分会で時給要求を提出し、2分会で10円引き上げ、1分会で前向き回答を引き出しました。医労連では看護師不足の中で100円をこす時給引き上げも含め、6組織で大幅な改善を引き出しています。また全国一般や建交労などでも再雇用者の時給引き上げを実現しています。

 国民春闘共闘の集計でもパートなどの回答が361組合、時間額アップを勝ち取った215組合の平均で25.6円と昨年の171組合17.9円を大きく上回る回答となっています。08春闘では連合も全労連も「非正規センター」をたちあげ、非正規労働者の待遇改善が注目されるようになっているなかで、要求提出・回答がふえているのが特徴です。

 

(4)賃金闘争の課題

 この間厳しい状況が続き、職場での要求討議ができなくなっており、要求提出率が7割程度にとどまっています。単産の統一要求への結集も弱くなり、統一闘争が難しくなる傾向があります。しかしJMIUのある分会が賃上げ要求を出したトヨタ系の部品会社では社長が元請けに単価の引き上げを要求し、人件費まではできませんでしたが原材料費値上がり分の単価アップを認めさせました。労働組合の要求が中小企業を励まし、毎年2回行われてきた不当な単価引き下げもストップさせています。

 時給引き上げでは「すべての職場で時給要求提出を」方針にかかげ、多くの単産で取り組まれましたが単組・支部では「組合員がいない」などの理由で要求が提出されていません。しかし、自治体での秋闘で組合が臨時職員の時給要求をとりあげてたたかったところで、組織拡大も進んでいます。パート・臨時の要求を掲げてたたかうことが労働組合への信頼を高めた結果です。来春闘にむけ単組・支部段階での取り組みを発展させる議論が必要です。

 

(5)公契約条例制定と、下請二法遵守、最低賃金引き上げのとりくみ

@春の自治体キャラバン

 4月22日〜25日、愛労連、自治労連、公務共闘主催の自治体キャラバンが行われました。キャラバンでは最低賃金引き上げ、自治体非常勤職員の待遇改善、偽装請負の一掃、指定管理者更新時の雇用問題、公契約での低価格入札の防止、「総合評価」の項目に下請段階まで最低賃金などの労働法遵守を入れるよう要請しました。また教育予算の拡充や憲法を生かし、住民のくらしを守る行政推進を求めました。

 

A中小企業業界団体訪問

 厳しい経営の続く中小下請の職場では要求を提出すること自体が困難になっています。建交労では軽油取引税の問題などで業界団体との懇談をおこなっています。あまりにひどい規制緩和で年収の大幅な減少が続くタクシーでも規制の強化を求めて協会との共同の運動を強めてきました。印刷業界でも大手が中小の仕事に参入し、価格引き下げ競争が激しくなってきています。やっと入札できても必要な紙が手に入らないため、あきらめる事態も発生しています。

 愛労連はトヨタなどの下請けイジメを告発すると同時に、5月には業界団体を訪問して下請二法の周知と遵守で懇談を行ってきました。「トヨタのもうけすぎ」は世論となっており、愛労連が中小事業者との共同をさらに大きく広げることで、中小職場での労働条件改善に結びつけることができます。今後の春闘の方向を考えるうえでたいへん重要になっています。

 

B最賃闘争

 今年2月の「最低賃金生活体験」には多くの青年が参加しました。104人が「体験」し最賃では「健康で文化的な生活」できないことを立証しました。この「体験」をもとに労働局賃金課交渉を行いました。また最賃審議会委員の推薦を行いましたが、今回もまた5人全員が「連合」独占の偏向任命となりました。厚労大臣に対し全国で不服申請をおこなっています。

 「改正」最賃法の施行にあたっての具体化は中央最賃審議会で検討されることになっています。また地方最賃審議会で最賃体験者の意見陳述を行わせ、専門部会の議事を公開させるため運動を強めています。

 

4.春の組織拡大月間のとりくみ

(1)大量宣伝と情勢の変化

 卒業式宣伝(3月18日・名城大学)、就職説明会宣伝(3月26日・国際会議場)、フレッシャーズ宣伝(4月1日・伏見)、民間部会宣伝(4月4日・鶴舞)と宣伝行動を展開してきました。今年は組織拡大用ティッシュを3万個作成したこともあり、どの宣伝でも用意した宣伝物がなくなるほどの良い受け取りでした。手を出して受け取る方も多く、若者のなかに労働組合への関心が高くなっていることが実感されました。

 建交労やJMIU、全国一般、きずな、国公ではティッシュを活用して地域や職場周辺での組織拡大宣伝を行いました。また地域労連でもティッシュに様々なチラシをセットして配布が行われました。年金者組合や建交労、尾中労連では独自チラシ・リーフに愛労連の組織拡大クレジットを刷り込んで配布しています。

 

(2)新入職員組織化の成果と教訓

 春闘期は公務、福祉、医療の職場で新入職員の多いため、ここを最重点に取り組み、例年にない大きな成果をあげてきました。

 医労連では組織拡大交流合宿を行い、新人歓迎会の準備状況を交流してきました。昨年大成功したみなと生協の手作り紙芝居や広島大学での取り組みなどを取り入れ、各単組が職場の状況に応じた歓迎企画を準備しました。そのなかで名古屋大学の85名という大成果が生まれています。また東海病院や名城病院など少数職場でもこの間、医師看護師増員署名や職場代表選挙に取り組んできた経験を生かして、全新入職員への加入訴えを行い、大きな成果をあげています。医労連はこの加入で過去最高現勢を達成しました。

 自治労連は昨秋の非正規組織化や自治体合併の取り組みの勢いが春も継続しました。春の月間では「二つのチカイ」(年齢、席が近い)で職場での組織拡大の取り組みを重視して取り組み、新入職員の100%加入を目指した取り組みが行われました。その中で岩倉・瀬戸・豊川市など全員、ほぼ全員の加入を実現する組合が多数生まれています。また近年加入率が低下している「本庁職場」でも大きく前進したことも特徴です。

 福保労は5月10日のグリーンフェスティバルまでに3月期での「季節減」回復を掲げて組織拡大に取り組む中で年間純増を達成しています。生協労連、検数労連も新入職員のほぼ全員が加入しています。

 全国一般では岩田清掃支部で職場の仕事改善を提案する組合に信頼が高まり8名の青年が加入してきています。

 

(3)職場・地域での組合機能低下が課題

 労働相談から個人加入する組合員がふえる一方で、賃金闘争などで成果が上がらなくなるなか、職場や地域での組合活動が困難になってきている組織も少なくありません。組合活動が内向きになり、職場や周辺での組織拡大に取り組めなくなっている組織も少なくありません。組合員にしか目が向かなくなり、情勢の変化を実感できないと、要求の実現はますます難しくなります。愛労連では役員の学習や交流を繰り返しおこない、元気づけていく取り組みが重要になっています。


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