いま「格差と貧困」が大きな社会問題になっています。その最大の原因は雇用の破壊にあります。愛知には、全国から派遣・請負労働者が集中、また、外国人労働者も急増しています。昨年来こうした労働者が働く現場では「偽装請負」や違法雇用が発覚しました。さらに、こうした労働者の多くは、社会保険未加入や労働保険すら加入していない事業所で働かされています。厚労省調査で「ネットカフエ難民」といわれる人たちが全国で5400人、愛知県内には1300人いることがわかり、その大部分が西三河に集中していることが明らかになりました。
こうした雇用破壊、貧困と格差をつくりだした政府・財界に大きな責任があるのは当然ですが、当面、愛知労働局として、労働者の権利を擁護する視点からの施策の強化を求めるとともに、「働く貧困層(ワーキングプア)」にたいし、緊急の生活支援策をふくめて対策を強化することをはじめ、以下の項目について要請するものです。
記
1.派遣・請負労働について、以下の措置をおこなうこと。
@ 偽装請負については請負(派遣)会社だけでなく、派遣先(発注元)企業の責任を問うこと。
A 偽装請負が発覚した場合、対象の労働者をすべて直接雇用に切り替えるよう発注元企業にたいし指導すること。
B 違反企業は職安での求人の掲示をやめること。
C 登録型・日々派遣の廃止をふくめ、労働者派遣事業法を改正すること。
2.「ネットカフエ難民」に関する調査、支援策の強化をおこなうこと。
@ 愛知県内に1300人いるといわれるネットカフエ難民の実態を愛知労働局として調査すること。
A ネットカフエ難民、ワーキングプアといわれる人にたいし、住宅入居時支援をはじめ、生活支援策を講じること。
3.長時間労働の一掃、「働くルール確立」のため、以下の措置を講じること。
@ 36協定の「特別条項」付き協定を締結する場合の「特別の事情」は、「臨時的なものにかぎる」ことを徹底し、継続的に締結されている事業所については受理しないこと。
A 労働時間の適正な把握に関する通達(いわゆる4・6通達)を徹底し、違反を繰り返す事業者については氏名を公表すること。
B いわゆる「ホワイトカラーエグゼンプション」「解雇の金銭解決制度」は法制度化しないこと。
C ハローワークの求人内容と実際の契約内容が違うと通告があった場合、調査し事実であれば求人を停止すること。
4.労基法違反、派遣事業法違反などを摘発するために、労働基準監督官等の増員をおこなうこと。
5.外国人労働者および研修・技能実習制度を以下のように改善すること。
@ 労基法違反の告発をした場合「帰国指導」をしないよう入管に求めること。
A 受け入れ機関および受け入れ企業の不正等によって、技能実習が継続できない場合には解雇と認め、速やかに雇用保険の給付をおこなうこと。
B 受け入れ企業の都合により技能実習ができない場合には、賃金を全額支払うよう指導すること。
C 研修生・実習生の問題について監督官庁を一本化すること。
D 外国人労働者を雇用する企業に対し、労働基準法の遵守を指導するとともに、社会保険・労働保険加入を促進すること。
E JOBセンターにおける外国語相談について、ベトナム語の相談窓口を開設すること。
F ブラジルとの社会保障協定を早期に締結すること。
G 残業代の割増、強制貯金・パスポート取り上げ禁止、労災の適用など外国人労働者の権利を知らせるカードを各国語で作成し、各方面に配布すること。
以上