2008年8月18日

愛知労働局長
中沖 剛 殿

愛知県労働組合総連合
議 長  羽根 克明

外国人研修・技能実習制度の運用に関する要請


 

 日頃、行政の円滑な運営に努力されておりますことに敬意を表します。また私どもの活動へのご理解、ご協力に感謝いたします。

 さて私どもは外国人研修生(実習生含む)の支援活動を行っておりますが、今年に入ってすでに37件の相談がありました。「外国人研修・技能実習制度の見直し」については3月25日の閣議決定で平成20年度措置事項も決まっておりますが、全国で一番研修生の多い愛知県では、その実施がもっとも強く求められております。貴局におかれましても入国管理局との連携のうえ、積極的な取り組みをされるよう要請いたします。

 

 

1.3.25閣議決定及び法務省「改訂指針」の周知・徹底

 今年3月25日の閣議決定では平成19年度措置として「不正事案については、入国管理局及び労働基準監督機関の間との緊密な連携の下に、受入れ機関に対し引き続き積極的に実態調査又は臨検監督を実施し、悪質な受入れ機関に対する取締りを強化」することを決めており、不正行為の具体的な事例については法務省の「改訂指針」に詳しく記されているところです。

 その中では受入機関に不正があった場合の「帰国指導」については、「研修・技能実習を継続できるように」することなど大幅な変更がされています。この内容について、各監督署に周知徹底されるようお願いします。

 

2.土日及び夜間の相談及び申告の受付

 先日実習生の休日出勤手当の不足について、名古屋北監督署にFAXを送りましたが監督署としては「本人からの申告でなければ受け付けない。労働組合の代理ではダメ。またFAXではなく、郵送が必要」との対応でした。

 この件については3月25日の閣議決定で研修生・技能実習生が、母国語で実情を率直に相談し、かつ、必要な支援を受けることができるよう、「外国人研修生・技能実習生ホットライン(仮称)」を開設し、平日に加え土・日曜日や夜間等を中心に、中国語、ベトナム語、インドネシア語等の研修生・技能実習生が母国語で相談に応じられる体制を早急に整備し、かつ、研修生・技能実習生に周知する。併せて、上記相談で得られた情報を関係機関に取り次ぎ、受入れ機関の不正行為の発見及び研修生・技能実習生に対する保護の実効性を高める。【平成20 年措置、以降継続実施】とされています。

 全国でもっとも研修生・実習生の多い、貴局として全国に先駆け早急に体制を整備されるよう、予算措置を講ずるよう本省に要請ください。

 

3.寮費・福利厚生費などの控除について

 実習生は受入機関を通じてしか宿舎を契約することができず、その費用等は受入機関のいいなりになるしかありません。そのため賃料6万円足らずのアパートに4人で各4万円の寮費など、寮費でのピンハネがあります。

 厚労省通達では「購買代金、社宅、寮その他の福利、厚生施設の費用、社内預金、組合費等」について「事理明白なものについてのみ賃金から控除できる」(昭27.9.20基発675)とされており、事前に「書面での協定が必要」(〃通達)とされています。

 また法務省も「食費や寮費等を賃金から控除する場合には、法規にのっとった労使協定の締結が必要であり、この場合において、控除する額は実費を超えてはなりません。」(指針)としています。

 実習生の寮費等について上記通達、指針の内容で指導されるよう、各監督署に徹底されるようお願いします。

 

4.罰金について

 実習生について寮の門限、外出などで罰則を定め、中には罰金をとる機関があります。パスポートの取り上げ、監禁などの人権侵害はもとより、賃金の一部控除については労基法の遵守が必要です。また受入機関が規則を定めるに当たっては国籍による差別が違法である旨指導をお願いします。

 

5.研修期間中のいわゆる「残業」について

 現行制度では「研修」には実務・非実務問わず労働法が適用されません。一方、原則週40時間を超える「研修」は認められておりませんが、この時間をこえて、時給300円〜600円で働かせる受入機関が後を絶ちません。「研修」に「時間外」は認められていませんから、働かせていれば「資格外活動」となります。この場合は不法就労と同じく労働法の対象とする必要があります。実際に作業内容も、作業時間の拘束実態が労働とみなせるものについては最賃法を適用するようにしてください。

 

以上


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