愛知万博は“環境破壊”

BIEも計画の再考せまる

反対も賛成も県民の意志

住民投票できめる

 

 博覧会国際事務局(BIE)から「愛知万博を利用した20世紀型の土地開発事業」と批判・指摘を受けた万博計画。世界自然保護基金(WWF)からも「森をこわして都市ではなく、都市の中に森をつくる時代」「日本の計画はオールド・ファッション」と指摘。貴重な里山「海上の森」を万博会場や大規模な住宅および道路でズタズタにする開発計画は世界から受入れられません。

 

 住民投票の結果、ウィーンは開催権を返上しました。ハノーバーでは開催派が勝ったものの僅差でした。ハノーバー市役所は率先して情報公開。住民参加を重視し「反対派、推進派」双方に財政援助するなど新聞での紙上討論の後、住民投票を行いました。計画や財政など情報公開もせず、県民の意見も聞かないという日本政府・愛知県とは大違いです。


新住・道路事業は中止

「海上の森」から完全撤退を

万博推進の委員からも

“異議あり”

 

 愛知県の姿勢「最初に万博ありき」が、問題の根っこです。「なぜ万博か」を県民に問うことなく、テーマが後からついていったから、海上の森を開発して、跡地に住宅団地をつくるという大失態を演じてしまいました。BIEの警告を受けるまでもなく、自然保護団体や私たちが主張してきた、新住・道路事業を中止すること。そして、海上の森から「完全撤退」すること。これが今、県のとるべき最良の道ではないでしょうか。

 

 愛知万博の現計画はどうしてできたのか、全く不思議です。ハノーバー博覧会への出展でパビリオンはすべて紙で作り、終了後は教科書やノートに「再生」するという日本。このように環境に配慮した計画ができるのに「なぜ?」。オオタカの専門委員からも意見が。さらに建築家からも「委員の意見が反映されない」と不信と異議がだされました。

万博は3大プロジェクトの

“起爆剤”

自然保護団体が

世界会議に決議案

 

 国と県は「海上の森」の開発にしがみついています。それは新中部国際空港、第2東名高速道路、リニア中央新幹線の3大プロジェクトの「起爆剤」として万博を位置づけているからです。愛知県もバブル期の「21世紀中部圏構想」として、この計画を組み込んでいます。この構想をやめさせ、新住事業や万博の財政など閣議決定を政府の責任で撤回することは当然ではないでしょうか。

 

 日本自然保護協会、世界自然保護基金(WWF)日本委員会、日本野鳥の会などの団体が今年10月に開催される「国際自然保護連合(IUCN)」の総会に決議案を提出しました。IUCNは政府機関やNGO(非政府組織)などが加盟する世界最大の自然保護団体の連合体。決議案が総会にかかれば、愛知万博計画への国際的な批判がさらに高まることでしょう。


「中日新聞」2月4日アンケート調査から

県民のくらし・福祉を犠牲に

借金残高県民一人当たり52万円に

「補助金削減はやめて」と、障害者の

みなさんとともに県庁前に座り込み

 

 愛知県が発表した2000年度当初予算では、在宅寝たきり老人への介護手当の廃止、国民健康保険事業補助金等をさらに30%削減、各種福祉制度に一部負担金を導入し無料制度を崩す(障害者、戦傷病者、母子家庭、老人)、福祉給付金から入院時食事補助を除外、民間社会福祉施設運営費補助金の13%マイナス、水道料金17.8%値上げなど県民のくらし・福祉の徹底した犠牲をうちだしています。

 また、借金残高は3兆6千億円以上(県民1人当たり52万円)と膨大なのに万博関連には137億円、新空港関連で838億円を使おうとしています。

 県財政の破綻がさらにすすむ!!


 

 「海上の森」は貴重な里山です。博覧会協会が作成した環境影響評価書でも、この地方特有のシデコブシ、「春の女神」と呼ばれるギフチョウなど3792種類の絶滅が心配される貴重な動植物がいっぱいです。とりわけオオタカは3つがいが営巣しようとしており、保護するには「海上の森」全体の保全が必要です。オオタカは食物連鎖の頂点にたち、日本でも千羽程度しかいないといわれ、政府が「保護する鳥」と決めている絶滅危慎種です。
 オオタカの発見によって、会場計画を縮小したと言いますが「海上の森」の造成面積はわずか2ヘクタール(5%)減っただけ。大切な森の自然と環境を破壊することに変わりはありません。

直接請求は県民の声を

届ける権利です

“住民投票”は

全国的な流れ

 

 県民投票を実施するには、条例の制定が必要です。条例制定を請求するには有権者の50分の1(愛知県では約11万人)以上の署名が必要で、県民投票を実現する会では、有権者の1割を目標にしています。この署名は、知事に提出した後、知事が意見をつけて条例案が議会に提出されます。議会で可決されれば定めた期間内に県民投票がおこなわれます。知事は県民投票の結果を尊重する義務があります。

 

 新潟県の巻町、岐阜県の御嵩町、沖縄県の名護市、徳島市「吉野川可動堰」などの住民投票や名古屋の藤前干潟を守る運動が政治を大きく動かしました。地域の将来を決める重大問題では、住民の意思を投票という形で明らかにすることは、全国的にも流れとなっています。今回の「愛知万博」も、県民投票で県民全体の民意を問うことは、ふさわしい方法ではないでしょうか。

←INDEXに戻る
←TOPに戻る