三菱自動車工業株式会社

代表取締役 社長 園部 孝 殿

三菱自動車「大江工場存続」の申入書

2001年6月25日

三菱のリストラ計画と大江工場閉鎖を考える

シンポジウム実行委員会

代表委員  阿部 精六

   

 

 既にご案内のように、6月17日(日曜日)、各界、各方面から広く、予想を超えて沢山の方々の参加の下、『三菱のリストラ計画と大江工場閉鎖を考えるシンポジウム』が行われました。

 名古屋市教育館ホールの会場は、立ち見の人も出るほどに満席となり、マスコミ各社やテレビカメラも入るなど、注目と関心が集まったシンポジウムでした。

 四名のパネラー発言に続いて参加者からも沢山の発言が寄せられました。

大江工場で働く労働者・関連・下請企業の共通の願いは、『大江工場でクルマの生産を継続して欲しい』ということです。

 アメリカのセクハラ事件、総会屋事件、リコール隠しなど、一連の失策は、労働者の技術と働く意欲とか労働者に起因するものではありません。大江工場閉鎖によって最大の犠牲を強いられるのは、経営上の失策と無縁な労働者であり、関連・下請企業です。 経営上の失策はそれなりの責任の取り方があるはずです。三菱自動車経営陣は、経営を投げ出すかのように論評されている、ダイムラーへの身売り同然な処理の仕方でなく、経営再建の責任を全うすべきだと思います。

 

 シンポジウムでは、三菱自動車が日産の二の舞にならぬように、心配する意見が沢山でました。「日産が世界展開した販売と生産拠点のすべてにルノーが乗り込み、ルノーの生産と販売の道具として使われる」とか、「日産が開発した排ガス規制適合や小型ジーゼルの技術をルノーが無償で取り込む」とかの実態が報告されました。「日産では日本で縮小した生産設備や工場用地という資産がどんどん切り売りされている。V字型回復などと言われているが、資産売却による収入増と下請・関連企業に対するコスト削減が大半だ。クルマしか売る物がなくなった時はいったいどうなってしまうか。」 このような、日産の直面している実態と重ね合わせて、『三菱自動車のこれから』を心配した発言が相次ぎました。

 三菱自動車には、ルノーの「いいとこ取りの食い物になってしまった日産」のようにはなって欲しくはありません。

 ダイムラーの世界戦略上の理由で、大江工場を閉鎖することは、地元地域経済の縮少につながるものです。物づくりの火を大切にし、地域経済・日本経済の発展にも責任を持っていく態度こそ、求められます。 『歴史的にも三菱の物づくりの伝統と技術の拠点』である大江工場は、残して欲しいのです。

 日本の物づくりを代表する立場に立って、さらには三菱自動車の社長として、ダイムラー・クライスラーに対して、大江工場でクルマの生産を継続する立場に立って、意見提起していただきたいと思います。

 

 シンポジウムには、県や国の行政機関とか経済団体も参加し、「大江工場閉鎖」という問題の社会的な影響の大きさを一面で示しました。社会的な存在として国や自治体などから様々な恩恵を受けて活動してきた大企業として、当然、一定の社会的責任があります。

 ダイムラー本社のあるヨーロッパでは、働く者の雇用と生活に責任を持つことが義務づけられており、企業利益のみを基準として行動する今回のような工場閉鎖は、ゆるされていません。

 

 日本の大企業であり、ものづくりを代表する立場で、ダイムラー・クライスラーに対して、大江工場を残すよう、強く意見提起していただくことを、重ねて要請するものです。

以 上

 
  ←INDEXに戻る
  ←TOPに戻る