愛知県知事

神田真秋 様

第37期愛知地労委・労働者委員選任に関する要請

2003年10月23日

愛知地労委の民主化を求める連絡会議
代表委員 成瀬 昇 (元労働者委員)
山田 敏行 (国労名古屋地本委員長)
高木 輝雄 (弁 護 士)
宮崎 鎮雄 (愛知大学教授)
見崎 徳弘 (愛労連議長)
   

 

 県民の雇用やくらし、いのちと安全を守る貴職のご苦労に敬意を表します。

 さて、第37期地労委の委員任命が間近に迫りました。これについて私たちは、10月15日に田中全港湾名古屋書記長、黒島愛労連副議長の2候補の推薦手続きをとりました。

 県は89年に「連合」愛知と愛労連発足いらい一貫して地労委の労働者委員7名全員を「連合」愛知に独占させています。99年5月12日の名古屋地裁判決で裁判長が「労働組合運動において運動方針を異にする潮流・系統が存在する以上、労働者委員の構成においても多様性を有することが望ましい」「今後はより多くの労働者に支持される合理的な選任を」と勧告しましたが、この判決後も県知事はこの偏向任命を改めていません。

 名古屋地裁の判決以後長野、千葉、宮城ではあらたに県労連推薦の委員が任命され、和歌山でも県評推薦の委員が返り咲くなど8都府県で「連合独占」がくずれてきています。

 この間、愛知地労委では(株)住友軽金属運輸部門のスミケイ親交労組が組合間差別で救済申し立てを行った事件で労働者の証言日に「連合」役員である労働者委員が5回連続で欠席したあげく、命令を出さぬまま2年の任期後、担当委員が全員交代してしまいました。新たに担当になった委員も、地労委に傍聴にきた労働者を会社が呼び出して詰問するという不当労働行為がありましたが、労働者側の訴えに耳を貸しませんでした。組合の努力で会社と組合事務所の貸与の話がまとまったのを100%出資の親会社である住軽金からの横やりで和解が壊れた時にも、これを注意するどころか「申し立て事項ではない」と関与せず、当事者まかせの態度に終始しました。このように和解にはなんの努力もせずに、4年半もかけた上でだした決定は「訴えの期日をすぎている」と門前の払いであり、まさに地労委としての機能を失ったものでした。

 この間にトヨタと関連の各社がサービス残業で何億円もの不払い残業で告発されています。また9月には中電が半年で9億3千万もの不払いを摘発され、中電労組の書記長は「指摘できず残念」と労組がなにもしてこなかったことを認めています。名鉄の無免許運転替え玉事件では企業である名鉄が告発をうけ、新日鐵の爆発事故では「リストラ・人減らしのしすぎ」と指摘されています。爆発事故について連合評価委員会の中坊会長からは「会社内(労働組合)に問題がある」と大企業の組合が会社に対するチェック機能を果たしていないことが指摘されています。愛知地労委の労働者委員7名のうち4名が上記企業の労組役員です。

 上述の裁判で裁判長は「差別されている労働者が、対立している系統の労組推薦の委員を信頼できないのは無理からぬ」といいましたが、このような委員では差別されていない労働者であっても信頼できません。知事は36期の任命にあたり私どもの質問状に「労働者全体の利益を反映できるものを選任した」と回答しました。自分の会社にすらモノがいえない労組が他の大企業にモノがいえるでしょうか。ましてや「労働者全体の利益を反映」できるといえるでしょうか。

 スミケイ親交労組事件のように大企業にモノがいえない状態が続き、地労委の信頼が失墜するなかで地労委は「(命令が)でない、遅い、悪い」と評判をおとしています。地労委の機能低下はこのような委員を任命した知事の責任にほかなりません。

 長期化する不況の中で労働相談が倍増し、地労委の活用で解決できる事件も少なくありません。しかし、現状の地労委の姿勢と活動状況では審査期間が長く、迅速な解決は期待できないのが実情です。私たちは本日第一次分として(1,309)団体、(25,912)筆の署名を提出し、今度こそ公正な任命を実現し、地労委の機能を回復することを求めます。

以上

 
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