中部空港関連事業費用支出差止め住民訴訟

判決に対する原告団弁護団共同声明

2003年3月24日

中部空港関連事業費用支出差止め住民訴訟原告団

  原告弁護団

   

 

 

1.本日、名古屋地方裁判所民事第9部(加藤幸雄裁判長)は、中部国際空港近接部地域開発事業に対する費用支出差止めを求めた原告らの訴えに対し、原告ら敗訴の判決を言い渡した。

 

2.この裁判は、中部国際空港建設に関連して愛知県が地方公営企業たる県企業庁の事業として2,430億円もの費用をかけて実施することを計画した、空港近接部の用地造成・地域開発事業に対し、かかる事業が、@費用採算性の著しい欠如による税金の莫大な無駄遣いであり、更に、A「伊勢湾の揺りかご」とも言われる常滑沖の貴重な海洋生態系環境に対する甚大な破壊行為であることから、その事業実施への公金支出の違法性を問うたものであり、原告・参加人合計1,274名もの県民が公金支出差止めの判決を求めていたものである。

 

3.本裁判では、事業の経営判断に対する行政裁量の壁までは破れず、請求そのものは棄却された。しかし、本判決はその理由において、「推進会議が平成10年3月に公表した『中部国際空港の計画案(最終まとめ)』中の利用予測は、(中略)、今後の経済情勢の展開について、いかに楽観的な見通しを持つとしても、実現する可能性は低いと考えざるを得ない」「本件空港が開港された後の利用状況についても、それが楽観視できるものでないことは、企業アンケート調査の結果に照らしても明らか」と述べるなど、空港事業及び本件空港関連事業の需要予測が過大であることを明確に指摘しており、この点については実質的に勝訴と評価してよい。私たちはこの判決で指摘された内容を世論に訴え、今後とも無駄な公共工事による自然破壊の問題点を訴えていくつもりである。

 

4.しかしながら、本件空港関連事業の具体的な採算性に関する判断においては、不当判決以外の何ものでもない。われわれは空港近接部地域開発の根拠となった公有水面埋立免許願書添付の開発資料その他本件事業計画の根拠資料について、その需要予測が如何に合理的根拠のない過大なものであり、計画による採算見通しが如何に非現実的なものであるかを、具体的に明らかにしてきた。そして、このような我々の指摘に対し、被告は、何ら具体的な反論をできずにいた。本件事業が、採算見通しの立たない無駄な公共事業であることは明らかであって、このような明白な本件事業の非採算性までをも行政裁量の範囲内としてその違法性を見過ごす本件判決は、結論先にありきともいえるようなものであり、司法が真実発見の場であることを見失ったものである。行政の過ちをチェックすべき司法の役割を放棄したものであって、行政追従、司法の独立性の危機と言ってよい。

  原告団および原告弁護団は、本判決の不当性に抗議し、直ちに控訴して本件事業への公金支出の違法性をより一層明らかにしていく所存である。

以上


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