2年連続のマイナス人事院勧告、5年連続での年収ダウンにより、私たちの生活は悪化する一方です。また、マイナス勧告については、12月の一時金での「調整」という事実上の不利益遡及が行われました。この不利益遡及については、現在、国公労連全体として裁判闘争中であり、本日東京地裁において第10回口頭弁論が行われ結審予定となっており、秋にも判決が出ることから、裁判闘争への結集も重要となっています。
この間のマイナス勧告や一時金の支給月数の削減は、民間の厳しい賃金実態を反映したものでした。この民間準拠原則を否定するものではありませんが、いまの人事院は、民間準拠のみを勧告の拠り所とし、私たちの生活の実態を反映させることについては全く考慮されていないといっても過言ではありません。
人事院は労働基本権制約の代償措置機関であり、私たちの声についても真摯に耳を傾け、その声にも応えることが求められています。また、人事院勧告が国家公務員労働者だけではなく、各県の人事委員会の勧告や、中小の民間賃金にも影響しています。そのことは人事院自身も認めており、そういった広範な労働者に影響していることも考慮にいれた勧告が求められています。
国公労連が春闘期に行った政府交渉で、総務省は「労働基本権代償措置機関である人事院勧告尊重」と述べ、その人事院は「官民格差に基づき、適正な公務員賃金の水準を確保」と述べるにとどまり、使用者あるいは代償措置機関としての役割を果たそうとはしていません。
また、人事院は寒冷地手当に関わって、6月15日、気象データをもとに大幅な支給地域削減を提示してきました。その提示では北海道の気象条件と同等でなければ削減するというもので、地域の実情や生活実態などについては考慮しないものとなっています。寒冷地手当は、さまざまな寒冷補正にも影響し、寒冷地域の経済にも大きな影響を与えるものです。既に全国200以上の自治体から寒冷地手当削減反対の決議がされており、寒冷地域全体で削減反対の声が広がっています。人事院はそういった声にも耳を傾け、気象データや民間の支給状況のみで判断しないことを強く求めます。
6月4日に政府が閣議決定した「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004(骨太の方針2004)」では、「地域における給与の民間較差を踏まえて、地域における国家公務員給与の在り方を早急に見直す」こととし、人事院に対して「その検討を行い早急に具体的措置を取りまとめるよう、要請する」としています。
本来賃金については、労使対等の立場で、政府と労働者側の労使交渉によって決っせられるべきものです。しかし、現在、政府は、不当にも国家公務員労働者の労働基本権を制約し、その代償措置機関として人事院を設置してきました。そして、人事院勧告制度は、使用者たる政府による一方的な賃金の決定を制約するものでありました。今回の「骨太の方針2004」で政府自らが公務員給与の在り方を「見直す」ことを要請したことは、現行制度を無視したルール違反と言わざるをえません。こういった政府の不当介入に対しては人事院として断固拒否する立場を取るべきです。
私たちの職場は、連年の定員削減や業務の複雑・困難化によって職場の繁忙度は高まる一方です。しかし、連年の賃下げにより、生活状況は悪化する一方です。とりわけ近年採用の青年層にとっては、賃下げばかりとなり、士気にも影響を及ぼしています。
人事院においては、そういった国公労働者の実態につぶさに目を向けるとともに、広範な労働者へ影響することを考慮にいれた勧告がなされることを強く要求します。
以上、決議する。