貴社は昨年度、史上最高利益を上げながらベースアップをおこないませんでした。今年度も上期で昨年を上回る利益を上げながら、「ベアは引き続き厳しい」とベースアップを行わない姿勢を示しています。日本一の利益を上げた貴社が賃上げしないことは、トヨタグループはもとより全国の労働者の賃上げと個人消費に甚大な影響をあたえるもので看過できません。
また、貴社が進めてきた「原価低減活動(CCC21)」により価格を3割も引き下げられた下請メーカーは「わが社では賃上げなどもっての他」「産業構造のトップ企業だけがばく大な利益を上げる構造はおかしい」(中日03年3月12日)と経営の厳しさを訴えています。昨年下請2法の改正がされましたが、適正な下請単価設定が求められています。
貴社は昨年、サービス残業で2度目の摘発を受け、過労死裁判での敗訴、11月には1級自動車整備士試験問題を漏洩するなど不祥事をかさねています。また環境問題の取り組みを大きく宣伝する一方でディーゼル排ガス規制の問題では、後付装置の開発に消極的で、むしろ新車販売で利益をあげています。自動車工業会のリーダー企業として貴社の社会的責任が大きく問われています。
今日、青年の不安定雇用が大きな社会問題になっていますが、貴社は生産ラインに正社員でなく「期間工」を大量採用し、その数も過去最高と言われています。また女子事務職を派遣労働者に置き換えています。
私たちは貴社が日本を代表するトップ企業としてふさわしく社会的な責任を果たされるよう以下のように要請致します。
記
(1)「ベアゼロ」をやめ、まともな賃上げをおこうこと。
(2)二次・三次の関連・下請企業への単価引き下げ押しつけをやめること。
(3)ばく大なもうけを地域社会と関連企業に還元すること。
(4)青年をはじめ正社員の雇用を大幅に増やし雇用の安定に努めること。
(5)国際公約である年間総労働時間1800時間を早期に達成すること。
(6)サービス残業・過労死を発生させないこと。
(7)自動車整備士試験問題漏洩の再発防止措置をとること
(8)政党への献金をやめること。
(9)ディーゼル車排ガス対策の「後付装置」をただちにつくるよう、自動車工業会でのリーダーシップを発揮すること。また他の自動車メーカーと連帯した責任と負担で大気汚染公害患者の救済制度を早急に創設すること。
以上