愛知県選挙管理委員会 御中

 

総選挙にあたって自由かつ公正な選挙の実現を求める申入書

2005年8月25日

選挙の自由を求める共同センター

【構成団体】  愛知県労働組合総連合

新日本婦人の会愛知県本部

愛知県商工団体連合会

自由法曹団愛知支部

日本国民救援会愛知県本部

   

 

 郵政事業のあり方、福祉、暮らし、平和など、多くの有権者が重大な関心を寄せる総選挙が、目前に迫りました。

 日本国憲法前文は、「主権が国民に存する」と宣言しています。また、公職選挙法第一条には「この法律は、・・・選挙が選挙人の自由に表明せる意思によって公明且つ適正におこなわれることを確保し、もって民主政治の健全な発達を期することを目的とする」と明記しています。

 よって、選挙のときこそ主権者たる国民が、その権利行使にあたって判断し選択できる材料が十分提供されるよう、自由公正な選挙運動、政治活動が保障されなければなりません。

 「選挙の自由を求める共同センター」は選挙管理委員会が、日本国憲法、公職選挙法第一条の趣旨に則り、国民の選挙運動の自由を保障するため、つぎのことを指摘し適切に対処されるよう申し入れます。

1.警察による違法・不当な尾行、張り込みなどの干渉行為について

 警察は、これまでの選挙において、「選挙違反の取締り」を口実に、革新政党や民主団体・労働組合の活動を妨害・干渉し、国民の言論・表現活動に対する不当な規制をおこなっています。一昨年のいっせい地方選挙において、警察官が市会議員候補を尾行したうえ、訪問先に「違法な文書を持ってこなかったか」などと聞き込みをおこない、特定の候補者に対する「票減らし」を狙ったとしか考えられない妨害行為をおこなったうえ、無実の市会議員を逮捕・起訴してしまいました。総選挙ではチラシ配布者を見ただけでわかるはずもないのに「国家公務員である」として半年以上、違法な尾行を繰り返し逮捕するというとんでもない事件も起こしています。

 警察が、主権者国民の正当な政治活動、選挙運動の自由と権利を侵害することのないよう、適切な指導を徹底されることを強く求めます。

 

2.マンションなど集合住宅へのビラ配布について

 これまでの選挙では、都市部のマンションなどへのビラ配布を、住居侵入罪(刑法130条)や軽犯罪法を適用して、身柄を拘束する事件がおきています。

 しかし、東京都選挙管理委員会が「政治活動、選挙運動は本来自由であるべきです。法定ビラは、公職選挙法上も発行が自由で、有権者に配布できるものです」(1989年7月)と述べているように、ビラ配布は、正当な選挙・政治活動であり、有権者の選択の自由・知る権利を保障する行為であって、そもそも住居侵入罪や軽犯罪とは全く無縁のものであることがあきらかです。このような事件が再発しないよう、各選挙管理委員会に対して指導を求めます。

 

3.「ぐるみ選挙」、金権腐敗選挙の徹底した取り締まりについて

 これまでも度々厳しく指摘されてきた企業などの「ぐるみ選挙」は、選挙の自由と人権を侵害するものです。これは、憲法が定めた「投票の自由」を侵し、個人の思想・信条の自由を侵害する行為であり、自由で公正な選挙を蹂躙するものと断ぜざるを得ません。1996年3月に出された牛島税理士訴訟最高裁判決は、団体が政治献金を強要したり干渉したりすることは、「投票の自由」を侵すことであり、個人の思想・信条の自由を保障した憲法の下で許されないことを明らかにしています。

 金権腐敗選挙によって、国民の審判が大きくゆがめられることは許されません。各選挙管理委員会の厳しい監視と積極的な刑事告発を求めます。

 

4.いわゆる「謀略ビラ」配布に対する規制について

 2000年総選挙でいわゆる「謀略ビラ」なるものが大量に配布され、以降現在まで選挙のたびごとに配布されています。「謀略ビラ」は気にいらない政党や候補者に対し、事実無根のことであっても罵詈雑言を書き立てて、投票日の早朝や前日などに、集合ポストなどを中心に大量に配布されています。もちろん発行者もわからない、文字通りの「闇討ち」です。事実無根と判っても、それが市民に知らされるのは、投票日以後ということになり、投票結果に与える影響は非常に大きなものといわざるを得ません。

 このような行為については厳正に対処し、事前の調査、配布者の厳正な処罰、氏名や背後関係の公表など明らかにされる必要があります。「謀略ビラ」が配布された場合にはただちに警察に対し捜査、容疑者の逮捕をおこなうように要請するよう申し入れます。

以上

 
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