第38期愛知地労委・労働者委員の選任に関する抗議声明

 愛知県知事

 神田 真秋 殿 

9期18年間連続で「連合愛知」に独占させる

知事の偏向任命に断固抗議する!

2005年11月29日 

愛知県労委の民主化を求める連絡会議 

代表委員

成瀬  昇

(元愛労評議長・労働者委員)

羽根 克明 (愛労連議長)
山田 敏行 (国労名古屋地本委員長)
高木 輝雄 (弁護士)
宮崎 鎮雄 (愛知大学法学部教授)
   

 

 

 本日、知事と県産業労働部は12月1日任命予定の第38期愛知県労働委員会の委員(内定)名簿を公表した。県は今回またしても7名の労働者委員全員を連合系に独占させ、私たち「連合愛知」に所属しない愛労連と新聞労連・国労など中立組合が共同で推薦した黒島英和前愛労連副議長、田中洋行全港湾名古屋支部執行委員長、田中道代愛労連事務局次長の3名を排除した。私たちはこの差別的な選任、9度目の非連合排除に怒りをこめて抗議する。

 1999年、名古屋地裁「5.12判決」で裁判長は知事に対して「差別されている労働者が対立している系統の労組推薦の委員を信頼できないのは無理からぬ」、「今後の任命」においては「労働組合運動において運動方針を異とする潮流・系統が存在する以上、労働者委員の構成においても多様性を有することが望ましい」、「今後はより多くの労働者に支持される合理的選択を」との勧告的意見を行った。弁護士出身である神田知事にはこの判決の意味するところは十二分にわかるはずだが知事は依然として偏向任命を改めようとしない。

 この「判決」後、全国的に連合独占の見直しが広がり、全労連・非連合系からの選任も東京、大阪、高知、埼玉、和歌山、長野、千葉、宮城と8都府県に広がってきた。にもかかわらず神田知事が連合独占を変えようとしないのは「知事選挙で推薦を得るため」と言われれてもしかたがない。

 この間に知事が任命した委員が出身の大企業は「サービス残業不払い事件」(トヨタ、中電、名鉄)、自動車整備士試験問題漏洩事件(トヨタ)、無免許運転替え玉事件(名鉄)など不祥事を続発させてきた。これら大企業労使のなれあいについては連合評価委員会からも手厳しい批判がされているが、県労委においても緊張感を欠き、労働者の救済機関としての機能を大きく喪失している。

 県労委に救済を申し立てる労働組合は、ほとんどが中小企業であり、中には連合に加盟する組合との組合差別をうけて申し立てる組合もある。スミケイ親交労組事件では連合所属の労働者委員が申し立て組合の意見陳述を5回連続で欠席し、4年半もたったあげくに門前払いにした。この事件は7年たった今もなお続いている。ゆたか福祉会事件では不当労働行為による休業を認めながら賃金の支払い請求を棄却し、その理由は「諸般の事情による」として一切の説明を拒否した。今年8月にあっせんを申請した全港湾東洋通運事件ではあっせん開始に2ヶ月近くもかかり、その間に会社は運転手の使用するトラクターヘッドを売却してしまった。

 中小企業労働者の月給ほどの手当をもらいながら、このようなていたらくでは「労働者及び労働組合全体の利益を代表できる」(県の回答)とはとても言い難い。ところが前回第37期任命に続き今回さらに中小企業労組を多く組織する組合からの委員を減らし、大企業労組出身の委員を増やしている。前回の任命の後、民主化会議と懇談した長谷川副知事は「中小企業の労働者の声を聞くことは必要だ」との認識をしめしたが、これは全くの口約束であった。

 不況が深刻になるなかで労働組合によせられる労働相談の件数は増え続けている。しかし労働組合の中には「いまの労働委員会は役にたたない」と労働委員会への申し立てをせずやむなく裁判にかける組合が増えている。その結果、東京・大阪で年間100件以上の新規申し立てがあるにもかかわらず愛知では10件足らずとなっている。私たちは「5.12判決」以後、愛労連・非連合推薦の労働者委員が一人もいない中でも「労働委員会の役割を失わせてはならない」と、多くの役員に補佐人登録をしてもらい労働委員会の活用に努めてきた。しかし、今回の任命はこのような中小企業労働者の苦しみと願いを全く顧みないものとなった。

 私たち民主化会議は、知事が労働委員会の現状を改善する意志をもっていないものと判断した。この任命に対し偏向任命の撤回と県労委の機能回復を求め、今後強力な抗議の行動をおこなうものである。

 

以上


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