NO.261

2000年1月14日


〒456−0006 名古屋市熱田区沢下町8−18 労働会館第2ビル

発行責任者 見崎徳弘


情勢をしっかりつかみ、労働者の要求に寄り添い

2000年春闘を果敢にたたかおう

新春大学習会を開催

 1月8日、恒例の新春大学習会が名古屋市公会堂4階ホールでおこなわれ、250名が参加しました。

 午前中は、神戸女学院大学助教授の石川康宏さんが、「財界の21世紀戦略と労働者・国民の暮らし−自爆への道をすすむ自自公政権と大競争時代への財界の焦り」と題しておこないました。

 石川さんは、「ガイドライン法、盗聴法など、自自公の強行採決の前半国会と年金改悪や衆議院の定数削減反対など、野党が結束してたたたかった後半国会では様変わりだった。数の暴力による政治の暴走と急激な行き詰まり。その底流に流れている大きな社会変化をしっかりとらえよう」と話しました。ソ連崩壊後のアメリカの世界支配(多国籍企業の「もうけの自由」を確保する)の戦略に追随し、そのおこぼれを追求する小判ザメの道を行く日本の財界の戦略は、国内の徹底した大企業・多国籍企業中心社会への転換政策のため、これまで自民党支持層だった自営業者、中小企業家や農民の切り捨てで、支持基盤を掘り崩している。総選挙で大勝利する条件は充分ある。2000年春闘では、正論をはきつつ労働者の要求に寄り添う柔軟性を意識して運動をすすめよう」と結びました。

 午後からは日本女子大学教授の木村愛子さんが、「人間らしく生き働くために−国際労働基準と日本の労働者」と題して講演をおこないました。

 木村さんは、ILO=国際労働基準と日本の労働者との実態が乖離している状況を労基法の女子保護撤廃を例に話し、ILO条約では、過保護的な女子保護規定はできるだけ撤廃し、男女平等とするのが望ましいとしているが、労働条件が低くないか、妊娠・出産・育児に関する保護がされているかなどが廃止するための前提条件で日本のような過労死や過労自殺する男性の働き方に合わせることがILO条約の趣旨ではないと話しました。最後に今日の学習を活かし、男女とも人間らしく働くために、1人ひとりが職場で運動しましょう」と話しました。

石川康宏神戸女学院助教授 木村愛子日本女子大教授

「未組織労働者も含めた大きな春闘を」

 愛労連議長、新年のあいさつ

 新春大学習会のあと、新年の旗開きが開かれ、各組合や民主団体から140名が参加しました。あいさつに立った阿部精六愛労連議長は、「愛知機械では、愛労連が工場門前の宣伝をやったことで、職場の労働者に変化が起こってきている。リストラや雇用形態の変化で、労働組合への組織率も戦後最低になったが、2000年春闘は、組織の違いを超え、未組織労働者を含めた、要求にもとづく大きな春闘をやろう。また今年は総選挙の年。頑張っただけ前進する情勢にもある。大いにたたかおう」と呼びかけました。

 また、革新県政の会・堀場英也代表常任委員、国労名古屋地本・磯 敬治委員長、日本共産党愛知県委員会委員長・吉村吉夫さんから来賓あいさつをいただきました。


JR貨物55歳年齢差別・賃金減額裁判

不当判決!

しかし、JR貨物に厳しい注文

労働条件の不利益変更に厳しい注文! 

 建交労(元全動労)の組合員4名が、JR貨物を相手に、「55歳以上の労働者の賃金を30%カットするのは不当である」と名古屋地裁で争っていたJRの55歳年齢差別・賃金減額裁判は、12月27日、不当にも「棄却」の判決がくだされました。

 しかし判決理由では勝訴と言えるもので、就業規則の不利益変更は、「定年延長に伴う労働条件切り下げについて合理性が必要である」と労働条件の不利益変更に厳しい規制を求めました。また、原告をはじめ組合員、家族が訴えた陳述から、JR職場の生活と労働の現状を受け止め、貨物列車の運転業務は肉体的、精神的疲労が厳しいものであり、時短あるいは別に手当てを」と明記し、JRに「55歳以上の処遇改善を最重点課題」として求め、JR貨物会社に対して賃金減額をはじめとする年齢差別の是正を迫っています。

−判決の趣旨をいかし職場のたたかいを強化 

 JR各社は、90年4月から、60歳定年延長実施に当たり、55歳、原則出向・賃金減額(30%)制度を導入しました。

 稲沢機関区では、運転手不足のため、引き続き55歳以降も運転業務に従事したにもかかわらず、毎月10万円カットがされました。原告4名は95年2月、「賃金の30%減額は、年齢による差別で労働条件の不利益変更である」と、名古屋地裁に提訴し、たたかってきました。職場からは「全く同感!頑張って」と共感や激励の声やカンパが寄せられ、共同の活動が広がりました。

 原告団は、判決の積極面を活かして、JR貨物会社に対し55歳以降の労働条件の改善のため、JR職場からたたかいを強めるとともに、新たに現職の運転手で第二次原告団を結成して、引き続き名古屋地裁で裁判闘争を継続してたたかいます。

 勅使河原さんをはじめ原告団は、「この判決は、出向や退職の強要など矢面に立たされている、全国の労働者の救済に道を開くもので、労働者保護法成立に向ける、大事な一翼をになう運動として引き続き奮闘します」と決意を新たにしています。


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