NO.291

2001年7月30日


〒456−0006 名古屋市熱田区沢下町8−18 労働会館第2ビル

発行責任者 榑松 佐一


36円ばかりで生活の充実などと言えるか!

生活できる最賃実現へ!いよいよヤマ場

 

 厚生労働省の中央最低賃金審議会は7月26日、2001年度の地域別最低賃金改定「目安」額を、日額でわずか33円(Dランク)〜38円(Aランク)、率にしてわずか0.68%とする答申を行いました。この内容は前年の0.8%をも下回る史上最低の内容で、春闘の賃上げ率2.01%(厚生労働省7月17日発表)をも下回るものです。また、労働者の深刻な生活実態と切実な要求から大きくかけ離れた超低額であり、賃金格差のいっそうの拡大と低賃金構造を固定化するだけであり、不況と雇用をさらに深刻化させるものです。

 愛労連は、2001年春闘で“すべての労働者の賃上げ”をめざし、「最賃闘争に積極的にとり組もう」と意思統一し、2月1日から28日にかけて最低賃金・標準生計費生活体験に52名がチャレンジしました。また4月には、この体験結果をもとに栄での宣伝行動や労働局への申し入れ、第34期愛知県地方最低賃金審議会委員の候補者推薦で小松民子副議長を推薦。5月には、愛知地方最低賃金審議会に対して「愛知県最低賃金の改正決定についての意見書」を提出するなど、積極的にとりくみをすすめてきました。

 7月27日、愛知最低賃金審議会は、中央最低賃金審議会の答申をうけて審議会を開催しました。同審議会では、これまで傍聴は許可されていませんでしたが、ねばり強いとりくみをとおして傍聴が許可され、榑松・愛労連事務局長をはじめ各単産・地域の代表、最賃生活体験者など13名が傍聴しました。

 この日の審議会では、君嶋労働局長より中央最低賃金審議会の「目安」について報告がされた後、賃金課長より「目安」の資料説明と愛労連から5月28日に意見書が提出され、資料として最低賃金・標準生計費生活体験の体験報告集が各委員に配布されていることが説明され、審議会会長から「意見書もふまえて審議する」と確認されました。

 審議の中である公益委員からは、「スーパーのちらしを見ても36円ではジュース1本も買えない。卵が3個、バナナ1本買えるかどうか。こんな二桁の引き上げで経営が傾くとは考えられない。こんな暑い中、委員のみなさんが来て1円、2円のことに口角泡をとばして議論をしている。36円ばかりの引き上げで生活の充実、労働力の質的向上、労働力競争の公正さなどと言えるか。常識で考えたらわかる。常識が最良の法則だ」との意見も出されました。これは、これまでの奮闘のなかであたりまえのことをあたりまえと言わざるを得ない状況を審議会の中につくり出してきていることに他なりません。

 愛労連では、8月7日の審議会決定に向けて、昼休み決起集会とデモ行進を行います。ぜひ、名古屋市内を中心に多くの職場・地域からの参加を!


【愛知争議団ニュースNO.15】

丸八闘争支援する会

6回目の社長宅要請行動

 1998年10月、建交労・丸八商運分会が結成されると、会社は解雇、給料は半額、配置転換、休憩室を使わせないなどの不当労働行為、組合差別の攻撃を連打してきました。名地裁林裁判長は「争議の原因は、いいかげんで曖昧な就業規則にある」として、この改定にむけ調停が始められました。

 会社は「就業規則の改定は必要ない。非組合員と家族の生活を守る」という意見書を提出。丸八闘争支援する会は、会社の攻撃の粉砕目指し、京都の細江社長宅に要請行動を続けてきましたが、7月1日日曜日に第6回目の行動を行いました。

 春日井・落合公園でマイロバスに25名集合し、午前8時出発。11時に京都へ着くと現地からも6名の応援。早速、3000枚のビラを社長宅周辺に配布。12時より50分の市街デモ行進後、社長宅前の公園で集会を行い13時にすべての行動を終了しました。カンカン照りの行動でしたが昼食の缶ビールの味は忘れ難い。

(愛知争議団事務局長:渡辺三千夫)


中電のいやがらせ乗りこえ労災認定めざす

藤田過労死闘争にご支援を!

 中部電力の火力センターに勤めていた藤田真二さん(当時36才)は、1999年11月8日、知田半田の野間灯台のそばで焼身自殺をはかりました。

 藤田さんは、同年8月に主任に昇格した後、仕事量が急に増やされ、課長の常軌を逸した叱責が繰り返されるなかでついにうつ病を発症し自殺に至ったものです。この事件をつうじて明らかになったことは、会社が管理職者に対してまともな安全・衛生教育をおこなっていなかったことです。

 藤田さんの奥さんは、会社から住宅貸付金の即時返済をせまられたり、差出人不明の脅迫めいたハガキが送りつけられる中で、悲しみを乗りこえて労災認定申請を2000年10月におこないました。

 今年6月に出されたトヨタの田島さん過労自殺判決(名地裁)は、企業がいつもよりどころとしてきた「平均的な労働者」規準を否定しました。判決は「労災補償制度の趣旨に鑑みれば、同種労働者の中でその性格的傾向がもっとも脆弱であるものを規準とするのが相当」と述べています。

 裁判所に比べて労働基準監督署の判断は、ふるい枠を一歩も出ていません。トヨタの判決を生きたものとするためにも藤田さんの労災闘争にご支援をよろしくお願いします。


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