NO.297

2002年1月22日


〒456−0006 名古屋市熱田区沢下町8−18 労働会館第2ビル

発行責任者 榑松 佐一


阪神大震災を私たちの街でくり返さないためにフォーラム開催

行政も住民も意識高めて震災対策を

 阪神大震災を私たちの街で繰リ返さないために何が必要かを考える1・17震災フォーラムが1月19日、名古屋市内の愛知県勤労会館で開かれ、150人が参加しました。主催は阪神大震災を契機に、消防と防災をよくする名古屋市消防職員の会や愛労連を含む労働組合、市民団体などで結成された1.17震災フォーラム実行委員会(実行委員長・本山政雄元名古屋市長)で、防災の大切さを訴えようと、大震災が発生した1月17日前後に毎年、テーマを変えて開催しています。

 昨年11月に政府の中央防災会議・東海地震に関する専門調査会が最新の震度予測を発表し、家屋倒壊のおそれがある震度6弱以上の地域が、名古屋市の一部を含む愛知県東部に拡大するなか、愛知県や市町村の地震対策の強化が迫られ、会場からも真剣な議論がされました。

 東濃地震科学研究所の青木治三所長は東海地震の発生のしくみを解明し、震度6弱以上の地域が広がったことについて「1845年の安政地震のパターンに近い」との見解を示し、紀伊半島沖を震源とする東南海地震との連動が考えられ「同時発生を想定した備えの必要性」を訴えました。

 静岡県の防災局防災情報室の岩田孝仁主幹は、東海地震は阪神大震災に比べて震源域がはるかに広いと指摘し、被害の想定は震度7の地域が4倍、人的被害は2.3倍、10メートルの大津波もあるとのべ、「県民に関心を持ってもらうようにショッキングな被害予想も公表し、住民が自分の問題として考えてもらうよう努力している」と強調しました。しかし、「20年も家屋倒壊の危険を訴えているが、家具を固定した家庭は半分以下、耐震診断では1割も受けていない」と県民自信による防災意識の持続、対策の難しさも指摘しました。

 会場発言では、中部電力の浜岡原子力発電所が、震源となる断層の真上にあることから、調査・対策の必要

性も訴えられました。


「定昇凍結、賃下げ」など新たな搾取強化をねらう労問研報告

「痛み」を押し付ける財界・日経連に

国民的な反撃を

 日経連は1月11日、臨時総会を開き、「平成14年度版労働問題研究委員会報告」を発表しました。

 報告は、今春闘に臨む財界代表の見解として、「わが国の賃金水準は世界のトップクラス」であり、雇用の維持・確保や国際競争力の維持という観点から「これ以上の賃金引き上げは論外」と主張しています。そればかりか、「ベアの見送り」「定昇の凍結・見直し」にとどまらず、「ワークシェアリング」導入の名で「時間当たり給与の考え方の検討」と「時給の引き下げ」「賃金引下げ」にまで言及するなど、徹底した「総額人件費の抑制」、「賃金引下げ」「春闘解体」の姿勢をこれまで以上に強く打ち出してきています。

 また、危機的事態にある雇用失業情勢を打開するためとし、(1)雇用のセーフテイネットの充実、(2)ワークシェアリングの実践、(3)雇用の多様化の推進、(4)人事・賃金制度の改革、(5)労働市場改革の推進、を掲げていますがその狙いは、雇用・賃金・労働時間を含めた「総額人件費の抑制」と大量の不安定雇用労働者の拡大をはかるものであることは明白です。

 財界・大企業は、これまでNTTや電機大手をはじめ大量のリストラ・人減らしや工場閉鎖を強行し、過去最悪を更新し続ける失業率と350万人にも及ぶ失業者をつくり出してきました。財界・日経連が経営者としての社会的責任を放棄し、自ら造り出した危機の「痛み」を全面的に労働者・国民に押し付けようとする今回の報告は認めるわけにはいきません。

 

■サービス残業根絶を!

 報告は、雇用の維持・創出を実現するためとして時短・賃下げの「ワークシェアリング」の導入を提起していますが、他の先進資本主義国では考えられない不払い残業や異常な長時間・過密労働など国際的にも指弾されている日本の「過剰な労働時間」を改善することなしに「ワークシェアリング」を進めることは、結果としては、労働者への新たな賃金の切り下げと労働時間の弾力化、不安定雇用労働者の更なる拡大となることは明らかです。いま政府・財界がやるべきことは、労基法違反のただ働き・サービス残業をなくし、国際公約の年間総労働時間1800時間を早期に達成することであり、実際の時短によりワークシェアリングを行うことです。社会経済生産性本部の試算でもサービス残業根絶で90万人、残業をなくせば180万人の雇用を生み出すことが可能となっています。

 国民の65%が生活に「悩み・不安」を感じている今(昨年12月の内閣府世論調査)、必要なのはこの国民の持つ「悩み・不安」を解消するため、解雇規制法の法制化や失業者救済など雇用・失業対策の抜本的強化や不公平税制の是正、社会保障の拡充など労働者・国民が明日への希望を抱き、生き・働き続けることができる職場、社会の実現です。

 

■いのち・くらし・雇用で共同を!

 全労連が昨年12月に発表したビクトリーマップでは、トヨタを始めとする日本を代表する主要20社だけを見てもリストラ「合理化」を進めながらこの1年間で内部留保を2兆6千億円以上も上積みし、内部留保総額は実に36兆円以上も溜め込んでいます。まさに中小・零細企業や労働者・国民の犠牲の上に大企業の高蓄積が行なわれている実態が一目瞭然です。

 こうしたもとで愛労連は、2002年春闘にあたり、県民共通の要求である「雇用」「くらし」「いのち」を軸に政府の悪政と大企業の横暴に挑む、県民総決起型春闘をよびかけています。


【労働相談ニュースNO.15】

12月の労働相談、解雇・賃金未払いがダントツ

有給休暇を取っただけで懲戒解雇も…

 12月の労働相談は、件数こそ30件ですが、内容は深刻なものばかりです。年末ぎりぎりになって「『君は解雇だ。気にいらぬ』などと社長が一方的に通告。納得できず翌日出勤したら、『解雇だといっただろう!帰れ』と追い返された」――12月だけで解雇事例は11件、賃金・退職金未払いが7件となっています。

 もちろん12月に限らず、1月に入っても解雇・賃金未払いはダントツに多く、ますます深刻になりつつあります。「解雇4要件」はもちろん、労働基準法すら守られない事態が広がっています。また、最近特徴的なのは使用者側が労働基準局などに問い合わせ、「解雇1か月前の通告か、予告手当を払えば違法ではない」などとして、労働者の首を切っていることです。そして、労基局もそういう「指導」をしているのです。さらに会社側の弁護士のなかには、労働法を無視して、労基法違反を承知のうえで、会社に協力する者もいます。中村区にあるタケヤマ印刷の経営者は、労働者が有給休暇をとっただけで、有休の理由にうそが書いてあるなどとして「懲戒解雇」をしてきました。その通告を弁護士が「内容証明書」で送りつけてきたのです。いま、解雇された本人は「解雇撤回」をめざし、裁判闘争をすすめています。

 

小泉内閣の「痛み」の押しつけが背景に

 労働者にも生活があります。簡単に解雇はできないはずです。ところが今日のような無法なやり方がまかり通っているのは、小泉内閣の「構造改革」による痛みの押し付けや大企業を中心にしたリストラ競争などが背景にあり、ひとつは下請けいじめが横行していること、また業界のダンピング競争などがますます激化していることが、労働者にしわ寄せをしていると考えられます。もちろん消費不況が深刻な影響をあたえていることはいうまでもありません。

 失業率の増大がさらに高まることが予想されるなか、春は高校生や大学生が就職する季節でもあります。しかし就職内定率が過去最低になっており、学校は出たが仕事がないという状況です。ハローワークでの就職活動では、若年層が多くなっており、事態は深刻さを増しています。

 

相談解決へ体制強化

 愛労連は、この1月から労働相談体制について、地域労連としてもこの活動を積極的にとりくんでいくための体制を強化することにしています。愛労連への相談は30〜40件ですが、その背後には多数の労働者の悲痛な声があるものと考えられます。こうした労働者の切実な願いを、相談活動を通して解決していくとともに、より多くの労働者を愛労連に結集していくことにしています。


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