NO.310

2003年3月31日


〒456−0006 名古屋市熱田区沢下町8−18 労働会館第2ビル

発行責任者 榑松 佐一


ブッシュはイラクへの攻撃やめろ

県下でも反戦のとりくみ次々と

 ブッシュ米大統領は日本時間20日午後0時15分過ぎから、ホワイトハウスで演説し、米軍によるイラク空爆を始めたと発表しました。これに対し県下でも抗議の行動が次々と行われています。

 愛知県原水協や安保破棄愛知県実行委員会はイラク攻撃開始の報道直後、午後12時30分から名古屋市中区の栄に於いて抗議の街頭宣伝署名行動を行いました。栄一帯では新聞各社が開戦を告げる号外をいっせいに配布しましたが、開戦を知った道行く人たちがブッシュ大統領あての署名に次々と応じていました。午後6時30分からはイラク攻撃開始に抗議する緊急集会が栄小公園で開かれ800人が参加。即時停戦を求めてデモ行進しました。

3000人でNO WARの人文字

 開戦後、最初の日曜日となった3月23日には「不況打開、地域経済といのち・くらしを守る共同行動実行委員会」が名古屋市中区の久屋広場で「ぶっとばせ大不況!いのちとくらしを守るビッグフェスタ」を開催。午前11時から行われた集会では3000人が参加し「NO WAR」の人文字を作りあげました。会場には、平和への願いを書いたプラカードや横断幕が多数持ち寄られ、「人文字をやると聞いて駆けつけた」という若者の姿も目立ちました。

 午後0時30分からは会場周辺をパレード。沿道からの声援や飛び入りする人の姿も目立ちました。また、愛知県医師会の大輪次郎会長からは医療保険3割負担の凍結に向けた連帯のメッセージが寄せられました。同フェスタには最終的に5000人が参加しました。


中部新空港関連事業公金差し止め裁判

過大な需要予測指摘しながら不当判決

 中部新空港建設の関連事業として愛知県企業庁が開発を進めている前島などへの公金支出差し止めを求めた住民訴訟で名古屋地方裁判所(加藤幸雄裁判長)は3月24日、住民の訴えを退ける判決を出しました。これに対し1200名を超える原告団と弁護団はただちに控訴することを決めています。
 同事業は伊勢湾常滑沖に2005年開港予定の中部新空港関連の事業として、総事業費2430億円もの巨費を投じておこなう空港島内の開発用地と対岸部(前島)開発の埋め立て造成事業です。この事業について採算の見通しもなく伊勢湾の環境を破壊する事業だとして、県民1274人が原告となって同事業への公金支出差し止めをもとめて裁判が行われていました。
 訴訟は原告の敗訴となりましたが、判決では「推進会議が平成10年3月に公表した『中部国際空港の計画案(最終まとめ)』中の利用予測は、(中略)、今後の経済情勢の展開について、いかに楽観的な見通しを持つとしても、実現する可能性は低いと考えざるを得ない」「本件空港が開港された後の利用状況についても、それが楽観視できるものでないことは、企業アンケート調査の結果に照らしても明らか」と述べるなど、空港事業及び本件空港関連事業の需要予測が過大であることを明確に指摘しており、原告・弁護団はこの点について「実質的に勝訴と評価してよい。私たちはこの判決で指摘された内容を世論に訴え、今後とも無駄な公共工事による自然破壊の問題点を訴えていくつもりである」と声明で明らかにし控訴することとしています。

 

中部国際空港国際空港事業の問題を指摘した重要判決

弁護団 籠橋隆明

 

 2003年3月24日に中部国際空港国際空港事件判決が言い渡されました。弁護団として原告のみなさん、支援のみなさんに判決の意義と限界をご報告します。

1.門前払いを防げなかった企業庁

 今回の裁判の争点は@無駄な公共工事は違法である、A環境破壊をもたらす公共工事は違法であると言う点にありました。

 被告愛知県企業庁は公共工事は無駄であるかどうかは裁判所が判断することではないと門前払いを主張しました。この点裁判所は地方公営企業法3条(行政の無駄遣いを禁止した条文)によって違法性は判断できるとして被告の主張を退けました。また、環境問題については裁判所は非常な環境悪化をもたらすような公共事業は「意味のない行為」となりうるので判断の対象となるとしました。これは環境悪化が財政支出上の違法となるとした画期的判決です。

2.中部国際空港国際空港事業批判

 門前払いを退けた上で、裁判所は中部国際空港国際空港事業について論及しました。弁護団は中部国際空港は過大な需要予測に基づく無駄な公共工事であると主張しました。裁判所は中部国際空港国際空港事業の見通しは「楽観視できるものではない。」「(空港)会社の財務運営が厳しいものになるとことが予想されないではない。」と批判し、中部国際空港国際空港に対する巨額の投資が無駄になる危険性を指摘しています。

3.行政に追従した前島開発に対する評価

 空港時事行を批判しながら、一方で裁判所は前島開発に対する違法性は認めませんでした。空港事業の将来が暗いものであると判断する一方で、前島開発に対する判断を別物として取り扱ったのです。ご存じの通り、前島開発は空港開発の成功を前提にディズニーランド級のテーマパークを設けて人を呼び寄せようと言うものです。多くの人が集まれば土地は値上がりし、それ売って開発利益を稼ごうと計画されています。空港もうまくいかない、我が国でテーマパークが成功しているところはほとんど無い、さらにバブルが崩壊して土地の値下がりが続いていく状況でどうして前島開発が成功するというのでしょうか。裁判所はこうした時代状況を認識しつつそれでも行政の努力によって土地が売れて行くであろうと判断したのです。これでは最初に結論を作りそれに向けて強引に理由を考え出していったと言われても仕方がありません。

4.今後の展望

 前島開発はテーマパークを中核とした土地造成事業ですが、事業についてのリサーチはほとんど行われていません。無駄な公共工事の典型ですが、この事前調査の問題に裁判所は踏み込みませんでした。裁判所がこの事実を直視していたならば、どのような裁判官であれ、本件事業の違法性を認定せざるを得なかったでしょう。今後は控訴して逆転勝訴に向けて努力する所存です。


愛知争議団ニュースNO.29

愛知争議団が3週間連続で裁判所包囲宣伝

名古屋地裁・高裁の裁判官は

勤労者・国民の切実な訴えを聞いて!

 最近の名古屋地方裁判所では、労働者の切実な訴えに聞く耳を持たず、「敗訴の結論先にありき」の決定が下されています。これは東京地方裁判所流れを汲む裁判官の姿勢、「財界の求める労働法制改悪」にお墨付きを与える「決定」と、批判が上がっています。

 愛知争議団では、弁護士の力添えを得て「裁判事例研究会」を行い、役員会で検討して「声を上げよう」と裁判所包囲宣伝・要請行動を呼びかけました。それぞれの争議団の紹介と思いをしたため、最近の名古屋地方・高等裁判所の事例を示して、「頼みの綱は裁判所、ところが敗訴ばかりの斬り捨て御免、こんなことは許さない」とチラシをつくり訴えました。

 3月10日、ダイコーの解雇撤回を求める争議支援と愛知国公のマイナス人勧を許さない宣伝行動と共同して、参加者40人が4000枚のチラシを配布する大宣伝行動になりました。

 続いて、3月17日には岡谷の女性差別をなくす争議、住軽金強制出向を許さない争議の仲間とともに30名で2500枚、24日にはタケヤマ解雇撤回を求める争議とともに40名で3500枚と、3週間続けて毎月曜日に裁判所宣伝・要請行動を大きく成功させました。

 参加した争議団は、意気軒昂で「一緒に活動すれば元気が出る」「第2波を早く計画しよう」行動への期待を高めています。

(愛知争議団事務局長 勅使河原 勇)


財界にお墨付きを与える裁判所

地労委民主化会議が事例研究会

 愛知地労委民主化会議では、最近の名古屋地裁における労働事件が連続して敗訴している状況について事例研究会を開催しました。

 一部で勝訴事件もあるとはいえ、内容の点では地位保全が認められても賃金支払いは1年間のみと限定期間付きであったり、解雇の原因についても労働者の切実な訴えを取り上げず、会社主張のみを採用して解雇を容認する。労働組合が結成されたら組合を嫌悪して会社を倒産させ、別会社を作って労働者を選別雇用し、組合員を排除し解雇する。また、退職金支払いを求めた労働者に対しても会社の合理化策のもとで関連会社に移され、退職金規定も同一グループで定めた規定で運用されてきたにもかかわらず、企業を会社が精算し、潰してから1年も経ってから支払い途中で財産がなくなったからと、支払い打ち切りを一方的に通告し、踏み倒すことも合法と法人格否認を盾に不当判決を下し、労働者の権利を踏みにじるなどの事態が増加していることが明らかになっています。

 いまや名古屋地裁は、労働法制改悪をめざす財界にお墨付きを与え、労働者の切実なこえに聞く耳持たずの姿勢であり断じて許せません。

 こうしたもとで愛知争議団は裁判所包囲の宣伝行動など反撃の行動を開始しています。

(愛知争議団議長 黒島 英和)

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