<第35期愛知地労委・労働者委員の選任に関する抗議声明>

 「5.12判決」に示された名古屋地裁の改善勧告も無視し、
労働者委員7名をまたも連合に独占させる神田知事の
偏向任命に断固抗議し、選任のやり直しを要求する!

1999年11月29日

愛知地労委の民主化を求める連絡会議
代表委員:成瀬 昇
(元愛労評議長・労働者委員)
阿部 精六
(愛労連議長)
磯 敬治
(国労名古屋地本委員長)
高木 輝雄
(弁護士)
宮崎 鎮雄
(愛知大学法学部教授)

             愛知県労働組合総連合
議 長  阿 部  精 六


 本日、知事と県労働部は12月1日任命予定の第35期愛知県地方労働委員会の委員(内定)名簿を公表したが、それによると、県は7名の労働者委員を又も連合系に独占させ、私たちが推薦した阿部愛労連議長と田中全港湾名古屋支部書記長は排除されたことが明らかとなった。私たちはこの差別的な委員選任、6度目の反・非連合排除に満身の怒りをこめて抗議する。

 

 @ 地労委発足から40数年、県下の労働組合の系統・潮流をそれなりに尊重して配分・任命されてきた労働者委員を、特定の労働団体(=連合愛知)の候補者に独占させる偏向任命が強行されたのは10年前の第30期以来だが、労働者の権利救済機関としての愛知地労委の信頼と機能はこれによって大きく損なわれた。

 使用者による不当解雇や差別、組合つぶしなどに苦しみ、地労委に救済を申し立てる労働者は反・非連合系が圧倒的に多い。ところが地労委のなかで労働者・労働組合を代表し、申立組合の立場にたって働くべき労働者委員は全員が連合系労組幹部で、非連合系の労働者が地労委に救済を求めても同系列の労働者委員は一人もいない。

 こうした、労働省の指導通達にも反する偏った委員構成では労働委員会の信頼と機能低下は必至であり、愛知地労委で労働者委員の事件参与を忌避・回避する異常事態が続いたのも当然と言わねばならない。私たちが一貫して連合独占の偏向任命を批判し、一刻も早い是正を求めて裁判にも訴えた最大の理由はここにあった。

 

 A 私たちと鈴木前知事との間で足かけ10年にも及んだ「任命取消・損害賠償請求訴訟」は今年5月12日、名古屋地裁民事第1部(林道春裁判長)が判決を下したことで終結した。

 この判決は、第30期の任命については知事の裁量権を認めて原告の請求を棄却した。しかし、同時に判決文の結びに「最後に」の一項を設け、任命権者である知事に「任命改善」をつよく求めた。その要点はマスコミも大きく報じたが、@差別されている労働者が、対立している系統の労組推薦の委員を信頼できないのは無理からぬ、と原告の主張を認め、「労働組合運動において運動方針を異にする潮流・系統が存在する以上、労働者委員の構成においても多様性を有することが望ましい」とした、A「労働者委員の任命は政治的であってはならないが、政治的であるとの疑問が生ずるだけでも問題」とし、「任命の公正性、透明性を担保するためにも、任命基準を作成して公表することが望ましい」とした、の2点であり、「今後の任命は、より多くの労働組合及び労働者に支持されるような更に合理的な選任方法を検討されることを望む」と結んだ画期的な“要望・勧告”であった。

 

 B したがって今回の第35期委員選任はこれまでの偏向任命を改めるまたとないチャンスであった。すでに全国的にも東京に続いて大阪、高知、和歌山、埼玉で連合独占を是正した流れもある。神田知事は自らが法律家でもあり、「情報公開」を最大の公約に掲げた経緯からしても判決を重く受け止め、公正な委員選任を決断して当然と思われた。私たちは、知事に独自に公正任命を要請した県内の学者・弁護士204氏、中労委・地労委の労働者委員経験者36氏や、全国から要請署名を寄せた団体・個人(1,824団体・34,081名)とともに「今度こそ連合独占の是正を」と強く期待もし、要請も重ねたのである。

 ところが驚くべきことに知事は私たちの期待を裏切り、6度目の独占任命=非連合排除の人選を公表した。なぜ独占是正=労働組合の系統を考慮した多様な委員構成、より多くの労働者に支持される選任方法に踏み切れなかったのか。「任命基準」はどうしたのか。判決に示された裁判所の“要望・勧告”はどう受け止めたのか、全く理解に苦しむ不当な人選という他はない。

 

 私たちはこの独占任命について、多くの労働者・県民が納得できる説明を要求する。そして再度の訴訟検討も含め、偏向任命と差別的な労働行政が正されるまで断固たたかうことを表明し、選任のやり直しを強く要求する。

以上


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