1.愛知県地方最低賃金審議会(以下「審議会」という)は8月7日、2002年度の愛知県地域最低賃金について、7月26日の中央最低賃金審議会が示した「改定の目安を示さず」との「答申」をうけ、愛知の独自性をなんら発揮することなく、中央の「目安」の範囲内で「改定見送り」の決定をおこないました。そして8月23日愛労連の「異議申立」に耳を傾けることなく、わずか30分の審議で「改定見送りの答申どおり」との決定をだしました。愛労連は同「審議会」が労働者の生活実態をかえりみず、中央の「目安」のみを唯一の判断基準にして今回の「答申」をだしたことに強く抗議するものです。
2.いま、あらゆる産業でリストラが進行するもとで、大量の首切り、正規社員のパート化、能力・業績主義賃金の拡大、賃金の引き下げが強まっています。急増するパート労働者や派遣など不安定雇用労働者の賃金は、正規労働者の5割にとどまるなど、きわめて低い賃金が強要されています。今回の「改定見送り」の「答申」がパート労働者などの賃金をいっそう引き下げることになりかねません。そのうえ、小泉内閣が企む「税制改革」が強行されれば、年収200〜300万円代のとりわけ女性労働者は、大きな痛手をこうむることになります。
3.そもそも日額5447円・時間額681円という愛知の現行最低賃金は、労働者が健康で文化的な生活を営むことができるものではありません。愛労連が今年2月にとりくんだ最賃・標準生計費生活体験闘争で、それが証明されています。生活体験には、106人をこえる組合員が参加し、60人の家計簿を集計しましたが、最低賃金内で生活できなかった人もできた人も共通しているのは、「単身者としては絶対に生活できない。親と暮らしていて、食事もうくし家賃もなくて10万そこそこの最低賃金でやっていける」ということです。また人との付き合いも控えめにならざるを得ません。もちろん本の購入や映画など人並みの生活をしようとしたら、たちまちオーバーしてしまうことも明らかになっています。
4.現行最低賃金の決定要素には、生計費や他の労働者の賃金、使用者の「支払い能力」が含まれています。「審議会」では多くの場合、使用者側委員が「支払能力論」を持ち出し、引き上げに抵抗してきました。また全国の4ランクに分けて、格差をつけています。特に愛知は人口規模や産業構造などからみて、Bランクにとどめているのはきわめて不当です。この点については、愛知の審議会が独自に改善をはかることができる課題であるにもかかわらず、なんらまともな検討をしていません。
5.8月8日にだされた国家公務員に対する人事院勧告が、史上はじめて本俸のマイナスを打ち出したこととあわせ、賃金切下げ攻撃は官民をまきこんでいっそう激しくなることが予想されます。愛労連は際限のない賃金切下げ攻撃に対し、すべての労働者を視野に入れた賃金の底上げ闘争、全国一律最低賃金制の確立の課題がいまこそ重要になっているときはありません。マイナス勧告をゆるさない秋の賃金確定闘争に全力をあげるとともに、来春闘でのたたかいを大きく前進させるために奮闘するものです。
以上