決議

休日に地域でビラを配ってどうして逮捕・起訴か!

−国公法違反を口実とした警察・検察の不当弾圧に断固抗議する−

2004年3月10日

愛知県労働組合総連合

第16回幹事会


 

1.既報のように、今月3日、警視庁公安部は、昨年の総選挙前に「しんぶん赤旗」号外などを勤務時間外に地域配布した一公務員の行為が、国家公務員法102条「政治的行為の制限」に違反するとして社会保険庁目黒社会保険事務所勤務の堀越明男氏を不当に逮捕し、多数の警官を動員して氏の自宅や日本共産党千代田地区委員会、同党区議私宅など6カ所を捜索、共産党のパソコンや区議の手帳数冊を含む多数の物件を押収した。

 しかもこの逮捕・捜索は、あらかじめ警察が連絡して多数のマスコミ記者が集められている目前で展開されたという。まるで「天下の大罪」扱いであり、批判と抗議の声のなかで5日に釈放された堀越氏を、あえて起訴した東京地方検察庁の暴挙とともに、二十数年例を見ない、きわめて異常な、意図的な政治弾圧と言わなければならない。

 

2.そもそも日本国憲法は、すべての国民に思想・信条、集会・結社、言論・表現の自由を保障し、こうした基本的人権を「侵すことの出来ない永久の権利」(11条)と位置づけてきた。政治活動の自由はその中核をなすものであり、国家公務員だからといって、それが損なわれてよいはずはない。その意味で、国公法が公務員の政治活動を「政治的行為」の名で広く禁止・制限しているのは憲法違反のそしりを免れない。

 もともとこの法は、戦後間もないアメリカ占領下の時代に、たたかう労働組合の先頭に立っていた公務員労働者を抑えるために、ストライキ権など労働基本権の剥奪・制約とあわせて、マッカーサー命令によって、国会審議抜きで強行可決させられた歴史的な事情がある。そうした事情を含めて成立時から批判が強かったこの法律は、警察権力の選挙弾圧を許さない全国のたたかいの前進のなかで事実上「死に体」とさせてきた。法そのものは成立当時のまま残ってはいても、本件のように勤務時間外の、居住地での一市民としての政治活動については適用は不可能とする常識を定着させ、ここ二十数年、一件の起訴も許さなかったのである。

 

3.にもかかわらず今回、警察と検察は長年にわたるルールを破り、堀越氏を、任意出頭も求めずにいきなり逮捕し起訴した。警察・検察一体となったこの暴挙、前例のない弾圧に、愛労連は怒りを込めて抗議し、氏の起訴を直ちに取り消すよう強く要求する。

 同時に私たちは憲法違反のイラク派兵が強行され、わが国を「戦争する国」に仕立て上げるために国民保護法(=国民総動員法)など有事関連諸法案が国会に上程され、憲法の改悪が公然とねらわれる中でこの弾圧が行われたことを重視する。

 「戦争する国」への道と民主主義破壊・人権侵害が重なることは、戦前の痛恨の歴史が証明している。今回の弾圧は、日本共産党を支持し応援する一人の国公労働者、一市民への言論弾圧・権利侵害にとどまらない。もしこれを他人事として見過ごすなら、今後さまざまな労組・団体にも、また自覚し行動する一人一人の市民にも、警察や検察による組織的な言論弾圧や人権侵害が加速し、ひいては民主主義のない暗黒の日本、アメリカと財界の意のままに世界のどこへでも「軍隊」を出す「戦争する国・日本」への暴走にもつながっていく恐れがある。

 「公務員が、一市民が、休日に地域でビラを配ってどうして逮捕・起訴か!」愛労連幹事会は警察と検察の不当な弾圧に断固抗議する。「私たちは、憲法と民主主義、人権と自由への無法・不当な弾圧を決して許さない」の声を大きくひろげ、堀越氏の起訴取り消し、無罪を勝ちとるために、全力でたたかうことを決議する。

以上


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