1.人事院は8月8日、昨年に続き2年連続となるマイナス勧告を強行、9月5日には名古屋市人事委員会も年収を17.3万円も削減する勧告を発表した。政府は9月16日、これを閣議決定し各県にもこれにならうよう通知した。今後県の人事委員会勧告が予定されているが、今勧告・閣議決定が大きな足かせになることは間違いない。
2.昨年もマイナス人勧を理由に国と地方で様々な分野で人件費のカットが行われた。人事院は「国がカットしたのは国家公務員の正規職員の賃金だけ」とうそぶくが全国の市町村の非常勤職員の手当カット、生活保護費の引き下げ、小規模作業所の補助金など各種事業の積算単価引き下げなどいたるところに「マイナス人勧」が影響したことはまぎれもない事実である。
3.公務員賃金の引き下げは03春闘でその「真価」を発揮した。日本経団連の奥田会長が「ベアは論外、定昇凍結も」と公言し、一年間に1.5兆円もの莫大な利益をあげたトヨタでは労組が「ベア要求を放棄」した。その影響は全国の各産業・企業に一気に拡大した。
「公務員ですら賃下げしている」と大企業で賃下げ・人件費削減が行われると同時に、中小の企業に対しては下請け単価引き下げを強要された。中小の職場ではもともと定昇制度のないところが多く、賃上げストップや賃下げされたところも少なくない。またこのような人件費削減の中で派遣・委託・パートなど大量の低賃金労働者が急増し、雇用はいっそう不安定になってきている。
4.大企業は輸出産業を中心に業績を回復しているが、一方で個人消費と雇用はいっこうに回復せず国民生活をいっそう深刻にしている。毎月の賃金はその大半が短期間に地域で消費され循環するため、地域経済には重大な影響があるが、一方大企業の蓄えた利益は必ずしも消費に直結しない。景気回復には個人消費の回復が不可欠であり、不況を脱出するためには賃金引き下げの悪循環を断ち切らなければならない。
5.高級官僚の莫大な退職金と天下り、大企業と癒着した無駄遣いの大型公共事業こそただすべき諸悪の根源である。私たちは賃下げの“悪魔のサイクル”を断ち切る公務労働者のたたかいを大きく支援し、来春闘での賃金切り下げを許さないたたかいを決意するものである。さらに雇用と地域経済を守るために、中小零細業者などとも連帯して、小泉「構造改革」リストラに断固反対し、年金改悪・大増税など社会保障解体の攻撃とも真正面から対決していくものである。
以上