2004年の年頭に当たって

国民的な大義を掲げ、攻勢的に闘って情勢を開こう


愛知県労働組合総連合
議 長  見崎 徳弘

 

 新しい年、2004年が明けました。

  何となく今年はよいことあるごとし

  元日の朝

  晴れて風なし

 今から100年近く前の石川啄木の短歌です。啄木はこの歌から数年の後に肺結核で倒れ、薬も買えぬ貧困の底、数え年27歳の若さで死にますが、日々の暮らしが苦しければ苦しいほど、新しい年の初めに「今年こそ」と願うのは人情。困難が多く住みづらい世の中だからこそ「今年こそはよい一年であってほしい」というのは多くの庶民に共通の祈りなのだと思います。今年の元旦は、啄木の歌のように風もなく穏やかに晴れた、暖かな朝でした。空は見渡すかぎり青く澄んで、今年は本当によいことがあるかも知れない、あってほしいという気持ちを強くした年明けでした。

 同時に今年は、この一年を「よい年」にするために、暮らしと雇用、福祉・教育、平和を守る国民的な大義を高く掲げ、攻めに攻める「攻勢的なたたかい」が重要だと改めて心に誓う年明けでした。

 第一がくらしと雇用を守り、年金の改悪や庶民増税を阻止するたたかいです。トヨタなど日本を代表する大企業が空前の利益回復を謳歌しているのに、財界は「春闘は終わった」「ベアは論外。定昇廃止や賃金引き下げも」と踏み込み、「攻めのリストラ」などと称して人減らしと賃下げ、下請け中小企業への単価たたきを繰り返しています。小泉内閣がまた、企業減税や規制緩和で財界のこうしたやり方を応援する一方、年金の大改悪や庶民増税をうちあげ、消費税大増税の地ならしも始めました。これ以上のリストラや負担増は、ただでさえ苦しい家計には耐え難い「痛み」ですし、「個人消費が増加してこないと、景気の自律的な回復は望めない」というのは政府の経済財政白書も認める鉄則。労働者・国民を犠牲にして日本経済の復活はありません。

 その意味で「サービス残業全廃、労働時間短縮で雇用の拡大を」「賃金や下請け単価の底上げで景気回復を」「企業は社会的な責任を果たせ」の要求と、「政府はこれ以上の負担増を押しつけるな」は国民的な大義のある要求です。愛知から初めて全国に呼びかけてトヨタを包囲する「2.11トヨタ総行動」を成功させ、「年金改悪・大増税ノー」の共同も思い切って広げて、04国民春闘を攻勢的にたたかいましょう。

 第二は、自衛隊のイラク派兵と憲法改悪に反対し、平和を守るたたかいです。昨年はブッシュのイラクに対する無法な先制攻撃に、世界の600を超える都市で1千万人を超える人々が立ち上がり、「戦争反対」「国連憲章にもとづく平和のルールを守れ」の声が地球を覆いました。これまでの歴史になかった、史上空前の反戦世論の広がりです。にもかかわらずブッシュはイラク攻撃を開始し、今に至っても不法な占領を続けていますが、大量破壊兵器は見つからず、イラクの抵抗闘争は激しさを増して、ブッシュとその支持者は日を追って孤立の度を深めています。

 こういうとき、こともあろうに平和憲法を持つ日本が、戦後初めて自衛隊を「戦地」イラクに出し、憲法の改悪にも着手しようとしている。まさに「歴史の曲がり角」。孤立するブッシュと心中しようとするとんでもない暴挙です。しかし若者を含めて国内でも反対世論はひろがり、日米安保条約にしがみつく小泉内閣への批判も大きくなっています。「イラク派兵反対、平和憲法を守れ」の声を職場・地域の「草の根」からひろげ、これを大きな流れにして、この国の未来を守りたい。7月の参院選も大きな勝利を呼び込みたいものです。

  新しき明日の来るを信ずという

  自分の言葉に

  嘘はなけれど

 これも啄木の歌ですが、彼が生きた明治時代と今とは違います。「新しき明日」をつくるのは働く者の団結であり、そのたたかいです。展望を開く希望の1年にするために、力を合わせて頑張りましょう。


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