愛労連2001年度総括と2002年度運動方針 付属議案

当面の闘争と秋季年末闘争について

2001年7月8日

愛労連第25回定期大会



【目次】

1.賃金・一時金闘争・人勧闘争と、最低賃金闘争の強化

2.不払い残業根絶、「はたらくルール」確立と、秋の「総行動」

3.小泉流「構造改革」反対、社会保障拡充、国民生活擁護のたたかい

4.リストラ「合理化」反対、職場の権利擁護のたたかい

5.地労委民主化、「第36期労働者委員」の公正任命をめざすたたかい

6.参議院議員選挙の勝利をめざして

7.地方自治擁護・住民本位の自治体建設、平和・民主主義を守るたたかい

8.組織拡大・強化のとりくみ


1.賃金・一時金闘争・人勧闘争と、最低賃金闘争の強化

(1)春闘・一時金闘争の到達点と当面の賃金闘争 

 春闘の賃金交渉は、6月25日時点の集約では登録246組合中、回答引き出しが171組合と約7割に増え、妥結・終結も半数を超える131組合に達して、全体としては収束に向かっています。特徴は、広告・出版・新聞など「MIC関係」が平均8〜9,000円でほぼ収束したのに対して、医労連・生協労連などが5〜6,000円台、全国一般・JMIUが4,000円台と「業種間格差」が際だって大きいこと。愛知春闘共闘でもっとも組合数が多い建交労で回答が58/98組合(6割弱)にとどまり、平均賃上げ額も2,000円を切ったこと。ついで組合数が多い全港湾も2,000円強の回答平均にとどまったこと。これらが響いて春闘共闘全体の賃上げ単純平均が4,000円を切り、3,733円に下がったことです。

 「規制緩和」による過当競争の激化、荷主のコストダウン圧力、不良債権処理を急ぐ銀行の貸し渋り・貸し剥がしなどによる経営不振が響いて、「ゼロ回答」での妥結も建交労で22組合、全港湾で2組合にのぼっているほか、少子化や名古屋市のトワイライトスクールの影響などでその存続や雇用問題が持ち上がっている学童保育が8カ所もあるなど、経営環境がきびしい単産・職場は大変です。ほかの単産でも、企業の経営難や「賃上げどころではない」などの思想攻撃によって賃金・人員の「合理化」提案が出され、それが障害になって妥結できない例も出ています。人勧が出てから本格交渉という職場も残っています。

 一方、夏期一時金闘争は、愛労連の6月25日集計では登録221組合中、回答引き出し組合は69組合(31%)、妥結は46組合(21%)で、まさに闘争のさなかにあります。回答の単純平均は527,587円(1.98月)で、昨年実績(407,357円、1.86月分)はかなり上回っているものの、808,603円(3.24月)の要求から見ると不満です。賃金がなかなか上がらない中で、一時金は貴重な生活給です。「少なくとも昨年以上の一時金獲得」へ向け、今後の交渉強化が重要です。

 したがって、当面する賃金闘争は、夏期一時金や8月人事院勧告に向けた公務員の仲間の要求闘争とともに、納得のいく収束へ、未解決組合を包む粘りづよい交渉が求められます。

 なお、人事院勧告(8月)や県・名古屋市の人事委員会勧告後のたたかいは、国公・自治労連や公務共闘を中心に、民間労働者もできるだけ協力してたたかう形を追求します。

 

2)最低賃金改善のたたかい

 中央最賃審議会による最賃「目安」額の提示が7月末に迫りました。これを受けて、8月上旬には地方最賃審議会の答申も出ます(8月7日、最賃審議会で決定)。愛知の最低賃金=時間給677円・日額5411円は低すぎます。

 愛労連は6月25日に厚生労働省に申し立てた「最賃審議会の委員任命の取り消し」を求める不服申立(=審査請求)につづいて、7月10日に愛知労働局賃金課との交渉を持ち、最賃の抜本的な改善を要求します。また27日には団体署名を提出し、愛知の最賃審議会の傍聴にも入ります。パートなど不安定労働者を含め、賃金底上げはすべての労働者に影響を及ぼす賃金闘争の基本です。職場に残っている最賃要求(団体)署名を早急に提出するとともに(最終締切=7月26日)、今後も、節々で力を集中したとりくみが必要です。

 

2.不払い残業根絶、「はたらくルール」確立と、秋の「総行動」

(1)「4.6通達」を武器にすすめる「不払い・サービス残業根絶」のたたかい

 裁量労働やフレックス制の拡大のなかで蔓延する「不払い・サービス残業」の一掃へ向けて、厚生労働省が出した「4.6通達」は、全国のたたかいで出させたもので、私たちの重要な武器です。4月27日には総務省も都道府県などに「4.6通達」にもとづく労働時間の適正把握を指示しており、官民を問わず活用できます。

 7月末までをメドにすべての事業所で「実態調査」にとりくむとともに、単産や地域、職場で学習会をひらき、「不払い・サービス残業根絶」への意思統一をはかります。

 また、「実態調査」の結果をふまえ、「@通達遵守の確認、A始業・終業時間の管理者記録、B残業代不支給の点検と支給」など企業や当局に申し入れ、「不払い・サービス残業」根絶への第一歩を踏み出します。

 

(2)「はたらくルール確立」めざす“労働者過半数署名”への挑戦

 いま全国の仲間が、「@パート労働者などの賃金の底上げ・均等待遇の実現、最低賃金制の改善、A企業の一方的解雇を規制する法律の制定、B不払い・サービス残業根絶、労働時間短縮」をめざす「はたらくルール確立」署名にとりくんでいます。全労連や春闘共闘は「連合」とも要求が一致する(注:連合は「雇用・生活危機突破、ワークルール確立」署名)この署名について、「3年計画で労働者の過半数から署名をあつめよう」と訴えています。

 愛労連はこの夏、組合員と家族など対象に「はたらくルール確立」署名を本格的に開始し、当面11月末をめどに、組織人員の2倍、11万筆を達成します。

 @ すべての単産・地域は、署名の推進責任者を決め、単産・地域労連としての目標と行動計画を愛労連に報告します(第1回集約=8月7日、最終集約=9月5日)。

 A 当面、愛労連は、下の「10.3一斉労組訪問」で県下の過半数労組に署名用紙を届けて要請もしますが、並行してすべての単産・地域が11月末までに組合員と家族の署名は達成し、その後、周りの同僚、「共同」の対象となる身近な労働者・住民に働きかけるなどとりくみ、全体として11月末までには必ず「組織人員×2」筆の目標を達成します。

 B 愛労連として「3年で県下の労働者過半数」の達成をめざし、具体的なすすめ方は「署名推進委員会」(第1回=7月25日)や幹事会、8月18日(土)午後の「単産・地域代表者会議」などを経て、9月8日の第1回評議員会で決定します。

 C 労組訪問や宣伝など「外へ打って出る」行動は、「総対話・共同」と結合する「秋闘の目玉」と位置づけ、下に掲げる「10.3一斉労組訪問」を軸に、単産・地域ごとに創意をこらしてとりくみます。なお、この行動計画(執行部原案でも可)は8月7日までに愛労連へ集中し、8月18日の「単産・地域労連代表者会議」で全体の交流と調整をはかります。

 

(3)「労基法周知・徹底月間」(10月)の設定

 「はたらくルール」確立を職場や地域の大きな世論とし、労働者の雇用や権利、いのちとくらしを守るために、奈労連に学んで、愛労連として10月を「労基法周知・徹底月間」とするよう提唱し、行政の対応いかんにかかわらず、当面3年間はとりくみを継続します。

 この「月間」には、組合員と周りの労働者・住民の意識を高めるため、@パート、低賃金、ただ働き残業、過労死の危険などにかかわる調査・宣伝活動、Aポスターやステッカー、ビラなどによる啓発キャンペーンなどを具体化し、B行政や経営者団体への要請もおこないます。Cパートも含めた広範な未組織労働者の組織化とも結合して、集中的な「労働相談日」の設定なども具体化します。

 

(4)「10.3一斉労組訪問」を中心とする秋の「総行動」

 @ 愛労連の「秋の総行動」はあれもこれもでなく、「はたらくルール」を最重点とする一斉労組訪問を軸に、単産と地域の力を結集して成功させます。

 A 「総行動」は10月3日(水)とし、この日一日で県内3,000労組の過半数への直接訪問をやり遂げて「はたらくルール」確立への共同を要請、懇談します。このとりくみ成功のために、単産・単組・支部・分会や地域労連の役員は積極的に年休を取り、一日「総行動」の参加者を確保します(2人一組で5〜6組合に訪問するなどして、全体として3,000労組訪問をめざすには、500組・1,000名の参加が必要)。なお、一斉労組訪問以外の行動は地域ごとに工夫します。

 B 全労連が8月2日の評議員会で提起する「秋の行動」については、8月18日の「単産・地域労連代表者会議」をふまえ、9月の第1回評議員会で愛労連としての対応を決定します。

 ただし、その際も愛知の最重点は「10.3総行動」とし、他は全国連帯行動(例えば「早朝ビラ」、国民大集会など)や国民大運動との共同行動を、できる範囲で組む形とします。

 

3.小泉流「構造改革」反対、社会保障拡充、国民生活擁護のたたかい

(1)「不良債権最終処理」を柱とする「経済・財政骨太方針」による倒産・失業や、社会保障の連続改悪、消費税大増税などについては、小泉内閣の動向に注意し、国民大運動などとともに共同行動を強めます。

 

(2)とりわけ「不良債権最終処理」による倒産・失業の危機に対しては、自分たちの職場・企業とのかかわりに注意し、中小企業の経営と労働者の雇用・くらしをともに守る運動にとりくみます。

 具体的には、労問研と共催の「経営分析講座」(8月26日、9月8日、15日)に参加し勉強する、自分の会社の債務や「不良債権処理」の影響(銀行の貸し剥がしの危険)について経営者との交渉・懇談をもち対応を検討するなど、単産・単組や職場のとりくみを重視してとりくみます。

 並行して、愛労連は、愛商連や中小企業同友会などと協議し、中小企業・業者の経営と労働者の雇用・くらしを守る共同行動(宣伝・申し入れ、国会行動、銀行や経営者団体、自治体などへの要請行動など)にとりくみます。

 

(3)愛商連や新婦人をはじめ、秋闘・春闘の「総行動」を共同ですすめてきた諸団体との協議は8月中におこない、まとまれば各地域にも連絡・要請します。

 

(4)愛労連としての秋の最大の「総行動」は「10.3総行動」に集中しますが、小泉内閣の動向によっては上記@〜Bも重視します。

 

(5)恒例の「自治体キャラバン」(10/16〜19の予定)については、社保協・自治労連と共催で継続・成功させ、社会保障拡充、補助金カット反対、消費税大増税阻止の世論をひろげます。また、確定拠出型年金(日本型401K)導入の危険なねらいを明らかにし、必要な行動にとりくみます。

 

4.リストラ「合理化」反対、職場の権利擁護のたたかい

 三菱自動車やNTTの人減らし反対のとりくみ、国鉄闘争や住友軽金属9争議支援をはじめとする争議支援、リストラ・過労死を許さないたたかいなどは、「はたらくルール」確立のたたかいと一体のものです。愛労連・地域労連としてこうした身近な問題と「はたらくルール」確立を意識的に結合し、連鎖キャンペーンにもつなげて相乗効果をあげるようにとりくみます。

 また、企業の勝手なリストラ「合理化」反対、争議支援の当面のとりくみについては、愛労連「リストラ対策委員会」「国鉄対策委員会」や個々の支援共闘、愛労連幹事会での討議を重視し、節々で効果的なたたかいを組織します。

 

5.地労委民主化、「第36期労働者委員」の公正任命をめざすたたかい

 愛労連は1月臨時大会直後に、同会場で開かれた民主化会議の「署名スタート集会」に参加し、「組織人員の2倍」を目標とする署名を意思統一しましたが、本格的なとりくみはこれからという状況です。改めて署名を開始し、目標数を達成して、12月1日には必ず公正任命をかちとります。

 すべての単産・地域労連が「組織人員×2」筆の署名達成に全力をあげます。集約の節は8月8日・お盆前、9月中旬・委員推薦公示の頃とし、最終集約は10月中旬とします。

 なお、民主化会議の「7.19早朝宣伝」など県庁前ビラ宣伝は各単産から積極的に参加してこれを支え、労働部や知事などとの折衝に役立てます。9月に推薦する候補者については、9月8日の評議員会で確認します。

 

6.参議院議員選挙の勝利をめざして

 7月12日告示・29日投票でたたかわれる参議院選挙は、私たちにとってきわめて重要な選挙戦です。当面の最重要課題と位置づけ、すべての単産・地域が全力でとりくむよう討議・意思統一し、「愛労連 参院選挙闘争方針」にしたがって全力で奮闘します。

 

7.地方自治擁護・住民本位の自治体建設、平和・民主主義を守るたたかい

(1)堺屋前最高顧問の提言以来、あらためて混迷を深めている愛知万博は中止を要求し、「革新県政の会」などの提起する水曜宣伝など、共同のとりくみをつよめます。空港問題についても共同を深めてとりくみます。

 

(2)6月に「基本設計」がまとめられ早ければ来年の通常国会通過も狙われている「公務員制度の大改悪」について、学習を深め、国公や公務共闘などとともに危険なねらいを明らかにして反対の運動をすすめます。

 

(3)2005年3月に向けて現在の3300自治体を1100〜600自治体に統合する住民無視の「自治体合併」(自治体の意思表示は今年度中が一つの目安になる)について学習を深め、自治労連などと「住民の意向尊重」の運動にとりくみます。当面、9月22日(土)に7団体共催でひらく「住民こそ主人公の地方自治をすすめる第4回交流集会」に積極的に参加し、成功させます。

 

(4)「不適格教員」排除や児童生徒の出席停止、奉仕活動の「強制」、「学区」自由化などに道を開く教育3法や「新しい歴史教科書」にみられる教育反動など、有事立法、集団的自衛権行使、改憲策動にもつながる教育の反動化に反対し、愛高教などと共同してとりくみます。

 

(5)司法制度改革に向けては、「あいちの会」と提携し、司法反動かを許さず、国民本位の改革とするよう要求してとりくみます。

 

(6)改憲につながるあらゆる動きに反対し、共同をひろげてたたかいます。

 

(7)原水爆禁止・核兵器廃絶をめざし、次のとりくみに積極的に参加し、成功させます。

 @ グローバル・ピース・フェスティバル2001(8月4日〜5日)、

 A 原水爆禁止世界大会(長崎大会。8月7〜9日)

 

8.組織拡大・強化のとりくみ

(1)組織拡大推進委員会と単産組織担当者会議を隔月で開催し、組織拡大にすべての単産や地域が計画を持ってとりくむようにします。

 

(2)「東海北陸ブロック組織拡大交流集会」(8月25〜26日。岐阜)、「サマーセミナー・ブロック青年交流集会」(9月14〜16日。昼神温泉)などを重視し、代表を送ります。

 

(3)「愛労連組織強化検討委員会」を再開し、必要な討議・検討をすすめて来年の定期大会には答申を出すようにします。なお、これとかかわって、地域労連強化に向けた単産・地域労連代表者会議など早急に具体化します。


←INDEXに戻る
←TOPに戻る