愛労連2002年度総括と2003年度運動方針

2002年7月21日

愛労連第27回定期大会


【目次】

 

T 2002年度たたかいの到達点と教訓

はじめに

第1の柱 賃金・時短・雇用「働くルール確立」と国民春闘再構築のたたかい

第2の柱 社会保障拡充・国民生活擁護のたたかい

第3の柱 組織の拡大強化のとりくみ

U 2003年度運動方針

1.情勢の特徴

2.2003年度 方針の柱

3.とりくみの課題とたたかい


T 2002年度たたかいの到達点と教訓
はじめに

 マスコミによってつくられた異常な“小泉フィーバー”のなか、愛労連の2002年度の活動がはじまりました。国民の高い支持率を背景に小泉首相は「構造改革」と称して、医療の大改悪、育英会・金融公庫、特殊法人の民営化など、国民に痛みともなう政策を押しつけてきました。歯ドメのないリストラによって失業率は史上最悪となっても、大企業は利益を「V字回復」させています。1年間で1兆円の利益をだしたトヨタが「国際競争力の強化」を口実に、春闘でゼロ回答を強行したことは象徴的です。

 このような一年を、愛労連は3本のたたかいの柱をかかげて活動してきました。

 @ 働くルールの確立をめざし、「総対話・共同」の運動を大きくひろげます

 A 税金の使い方の流れを変え、社会保障拡充・国民生活擁護のたたかいに全力をあげます。

 B 職場・地域で要求実現のたたかいをひろげ、「10万人愛労連」にむけた組織拡大を具体化します。

 

 賃金破壊、雇用破壊に対して、「働くルールの確立」をかかげた愛労連の活動には、大きな期待が寄せられ、労働相談の急増と争議の相次ぐ勝利解決で、マスコミからも注目されてきました。また小泉政権の国民への「痛み」の押しつけ政策は、逆に国民の共同の条件をひろげ、愛知でも医療・有事・リストラなど、かつてない共同のひろがりをつくってきました。

 ムネオハウスの政官財癒着問題後も秘書手当の流用、防衛庁の違法調査、核保有発言など、自民党政治に対する国民の怒りは収まらず、小泉政権の支持率も急落しています。総括では1年の活動の成果と教訓を共有化し、寄せられる期待に大きく応える愛労連の課題を明らかにしましょう。

第1の柱 賃金・時短・雇用「働くルール確立」と国民春闘再構築のたたかい

1.サービス残業の一掃・働くルール確立の運動

(1)働くルール署名のとりくみ

 @ 愛労連は今年度から「働くルール」署名の運動をはじめました。単産・地域ごとの3カ年計画づくりを提起し、9月8日、全労連石川幹事を招いての学習会、評議員会から本格的にスタートしました。

 A 初年度の署名は、5月15日までに48,736名を集約し、ほぼ組織内を終了しました。秋までに組織人員の2倍を目標にとりくみ、福保労・検数労連・全印総連・生協労連が春闘期間に目標を達成しました。名古屋市職労では、公立保育園父母の会に協力を要請し、多数の署名を集めました。

 B 全労連が提起した「労働者過半数署名への挑戦」に応えて地域の労働者の過半数を目標に地域別を提起しましたが、一部の単産しかできませんでした。方針の提起に無理がありました。

 

(2)10.3地域総行動

 @ 秋の総行動は、「労働基準法周知徹底」「働くルールの確立」を第1にかかげ、「4.6厚生労働省通達」パンフと署名用紙を持って労組訪問をおこないました。この行動には336人の参加で、中立組合・連合加盟単組など871組合を訪間しました。駅頭宣伝は、主要駅に絞ってにぎやかにおこなうこととし、名北以外の24地域110駅でとりくまれ、707人が参加し、全労連のビラ40,565枚を配布しました。この行動では、これまでにない約40組合から署名の協力がありました。

 A 今回の総行動は「一斉労組訪間」に絞ったため、すっきりした行動提起となりました。また事前に困難地域を確認して、幹事会として応援体制を組んだことが地域に歓迎されました。総行動前に春闘共闘加盟単産や名大、県大、名市大などの主要単組を訪間し、対話をひろげました。これらのとりくみもあって、育英労が愛知春闘共闘への加盟を決定しました。

 

(3)サービス残業一掃の流れが確実に

 @ 「4.6厚生労働省通達」パンフは、愛知で独自に増刷し4,000部を発行しましたが、地域労連をはじめ春闘共闘、大企業ネットなどでも活用され、サービス残業一掃のたたかいの引き金になりました。昨年、労基署がトヨタのサービス残業を告発・指導したことが新聞で大きく報道されました。その後も尾東労連が、日立・東芝のサービス残業で労基署交渉をおこなうなど、大企業でのサービス残業告発の運動がひろがりました。国会での家族の手紙の紹介や、議員のトヨタへの立ち入り調査がおこなわれ、トヨタ関連の企業や三菱名航でも労基署が指導にはいり、サービス残業規制の大きな流れをつくってきました。

 A 全国でもサービス残業と過労死問題は重大な関心を呼び、厚生労働省は、過労死についての新しい基準やVDT作業の新基準を作成するなどの新しい動きがありました。

 B 愛労連は秋の全国キャラバン交渉で、公務職場でのサービス残業・時間管理の問題を重点に取り上げました。加盟の単産のなかでは、医労連や生協労連でサービス残業一掃の運動がとりくまれました。公務職場での残業間題も「調査し必要なところは早急に改善する」(名古屋市)と交渉してきましたが、財政の制約があり、職場からの告発運動にまではひろがっていません。

 

(4)労基法すら守られていないからルール署名に期待

 @ しかし、この間にも小泉「構造改革」と不良債権処理によるリストラ・貸しはがし倒産が続き、労働相談でも解雇や賃金不払いが急増してきました。中小民間の未組織職場では、働くルールどころか、労基法すら守られていない職場や、働いた分の賃金や規定の退職金すら支払われないとんでもない事態がひろがっています。豊橋労基署の報告でも指導にはいった7割に違反のあることが報告されています。

 A 愛労連加盟の職場でも「生コンの値段がガタガタ」(建交労)、「中国製品の輸入で仕事が半減」(JMIU)など、労働者の仕事そのものが成り立たなくなってきています。「日勤の職場でも8時まで働いており、くたくたで組合活動どころでは」(医労連)など職場の状態があります。

 B 10.3地域総行動で「連合」職場など、40組合から署名の協力がありましたが、かつてないことでした。愛知国公のおこなった街頭署名では、1日で450筆も署名が集まるなど、「リストラ解雇をやめさせよう」という呼びかけが歓迎されています。連合中央も昨年10月から1,000万を目標に「ワークルール署名」を開始しました。

 C さらにパート・臨時など不安定雇用労働者が1,300万人にも増えており、ここでは労基法すら知らない・守られていない労働者がたいへん多く、社会的な規制としての「働くルール」を確立することが急務になっています。

 

(5)安心して働き続けたいから「働くルール」確立を

 「規制緩和、営利企業との競争がはじまって、職員の仕事はますます厳しく」、「地域相場論でパートの時給が下げられている」福保労や生協労連では、組織人数の2倍〜4倍の署名を集めています。また名古屋市職労の保育園職場では「父母の働き方が悪くなり夜間保育を必要としている。その結果は職員へのしわ寄せとなっているだけでなく、子どもの成長にも大きな影響をあたえている」と話し合い、公立父母の会にルール署名の協力を申し入れました。いい仕事がしたい、安心して働き続けたいという職場の要求と結びつけてとりくむことで、自分たちの働き方を見直すことができています。その結果として署名のとりくみがすすんでいます。

 

2.リストラ・解雇・争議のたたかい

(1)まけてたまるか たたかう仲間を地域・単産が支援

 @ 今年度にはいってから、ニチメン争議の職場復帰、名古屋市業務士裁判の勝訴確定、ヒット通商争議の光通信との和解、加藤楽器争議、丸八争議の勝利和解、野村證券裁判地裁勝訴、住友電設過労死裁判の勝利確定、ホルプの勝利和解など次々と勝利させてきました。また組合活動を攻撃して、会社解散などで不当解雇をおこなった板山運送、萱津分会、井住運輸、タケヤマのたたかい、小松病院争議など多くの仲間がたたかいを続けています。愛知争議団との有機的な結合でたたかう仲間の団結と交流をひろげ、勝利にむけ前進してきました。

 A 単産・地域労連から争議を支援する行動がひろがってきたことが、今年の大きな特徴・成果です。これまでもいくつかの地域労連が争議を支援してきましたが、今年の地域総行動で新たに名南(小松争議)、海部津島(ダイコー、加藤楽器)、一宮・尾北(萱津、バルダン、サンファインなど)、千種名東(六法出版)、名北(ほるぷ)、中村(タケヤマ)の支援行動がおこなわれました。秋には稲沢・江南などでサンファインの支援行動やデモがおこなわれました。2月には230人の参加で「海部津島総決起集会」が開催され、蟹江町で30年ぶりのデモがおこなわれました。このような運動の力で、加藤楽器の争議がスピード解決をかちとりました。中村では全印総連と地域労連が共同で専従を配置し、労働相談所と未組織センターを開設し地域をあげてタケヤマ支援のたたかいがおこなわれています。

 B 単産でも国公労連が、全国的にNTTリストラ反対闘争を支援し、独自にチラシをつくって配布しました。3.14JMIUリレースト、4.12国民総行動で全国一般のスト・集会の激励行動に国公・自治労連から参加し、当該組合から大歓迎されました。

 

(2)自治体リストラ・公務員制度改悪反対のたたかい

 9月7日、公務員制度改悪についてのシンポジウムを開催し、民間職場から成果主義賃金の問題点やNTTリストラの問題を報告し、公務員制度改悪の問題点を明らかにしてきました。自治体では、大幅な定数削減と臨時・パート化に加え、給食など外部委託化の動きがひろがってきました。御津町で半年の試用期間後の解雇、吉良社協での臨職の雇い止めがあり支援のたたかいが行われています。

 

(3)NTT11万人リストラ反対のたたかい

 NTTは今年5月、事実上の「50才定年制」となるOS会社への転籍をおこないました。愛知では「公務公共部門でのリストラ反対シンポ実行委員会」を結成し、10月に「ゆるさんぞ50歳定年制、NTTの10万人リストラを考えるシンポジウム」を通信労組とNTT労組に加盟する労働者も多数参加して成功させました。その後も地域労連の協力を得て県下の営業所宣伝をおこなってきました。4月4日には支援共闘を発足させ弁護団の結成とも併せてNTTのたたかいを支援し広域配転をごく一部に押さえ込む成果をあげてきました。今後はNTTに残った労働者の不当配転撤回のたたかいと、OSに行った労働者の「実質50才定年、賃金3割カット」の不当性を告発するたたかいを連携して進めることが重要になっています。

 

(4)西三河で不況リストラ調査

 全労連・全商連の不況リストラ調査が愛知でおこなわれ、西三河でトヨタの労働者やトヨタ関連の下請け業者、地元の自治体や金融機関との懇談をおこないました。調査では次々と変わっていくトヨタの部品納入先の実態や納品後に単価を切り下げられるなどの下請け業者の問題、トヨタの輸出増加だけに頼った自治体財政の問題などが浮き彫りになりました。愛知のとりくみとしても5月に愛商連と共同で東海市のリストラと地域経済の実態調査がおこなわれました。

 

(5)第1回銀行総行動

 不良債権処理、貸しはがしによる倒産、資金の回収で退職金の支払いができないなどの問題を持つ争議組合の単産が背景資本の銀行を総訪間する銀行総行動が12月5日に行われました。全体で158名が参加し、松井労災問題、サンファイン争議の関係する東海・住友銀行前で座り込みをおこないました。

 

(6)たたかいの経験交流が重要に−教訓と課題−

 @ 勝利の一方で地労委や裁判で不当な判決・命令もでています。争議ははじめて経験することがほとんどであり、経験の交流が重要です。また労基署の窓口対応にも格差があることがわかってきました。窓口担当のなかには、企業の労務担当OBが社労士の資格をとって非常勤職員になっている例もあります。地労委対策交流会ではこのような問題点を交流しました。司法制度改革で労働裁判の改革が議論されているなか、労働組合の現場から実態を明らかにしていくことが必要になっています。

 A また昨秋からは倒産による解雇も増えてきました。金融庁の不良債権処理マニュアルや民事再生法により倒産した時には、銀行が資金を回収し尽くし、資産があらかた差し押さえられていて労働債権の確保がたいへん困難になっています。職場にまともな労働組合をつくること、いざというときに備えてきちんとした協約の締結、法改正も含めた労働者の保護のとりくみが必要になっています。

 

3.賃金底上げ・春闘再構築のたたかい

(1)最賃体験に最高の106人

 @ 02春闘は賃金の底上げを重視して、最低賃金引き上げのたたかいを展開しました。昨年12人から52人へと飛躍した最賃体験は、今年、青年部からも参加がひろがり、一週間コースも含めてですが、昨年の倍の106人が参加しました。国公では14人の仲間が1ヵ月の生活で最賃の「過酷な挑戦で生き残った」のは2名のみ、「ストレスがたまった」と感想を報告しています。

 A 東三、千種名東、尾中で、新聞折り込みのチラシの時給調査をおこない、最賃違反の事業者には連絡をいれたりしています。東三河労連では20件もの事業者に是正させ、時給を5円〜20円あげさせるなど、地域の最低賃金底上げの成果をあげてきました。

 

(2)最賃審議会に女性委員

 昨年に続き最賃審議会の労働者委員に2名を推薦しました。昨年まで愛知では15人全員が男性でした。昨年から愛労連は女性を推薦し、女性委員の任命を要求してきましたが、今年は公労使各1名、計3名の女性委員が任命されました。

 

(3)「一兆円利益企業トヨタは社会的使命をはたせ」トヨタ総行動に190人

 @ 2.11トヨタ総行動には、朝110人、午後80人が参加しました。また田原工場へは東三河労連が社宅へのビラ配布をおこないました。今年の総行動は、横断幕・看板など目に見える宣伝でサービス残業の一掃と、トヨタの社会的責任をアピールしました。職制や組合幹部による妨害もありましたが、これを拒否してチラシをひろげたまま入っていく青年もみられ、本社東口では500枚準備したチラシが不足するほどでした。堤工場でも帰りの労働者はチラシをよく受け取ってくれるなど近年にない変化を感じることができました。

 A 2.17トヨタシンポジウムには、126人が参加し「愛知県産業の現状と問題点」「サービス残業・長時間労働問題」「1兆円企業・トヨタの社会的責任」のテーマで報告があり、トヨタ自動車や関連企業に働く労働者の発言のほか、新婦人・岡崎民商などから発言がありました。トヨタだけの問題でなく、愛知の産業と地域経済のあり方を考えるうえで、全県のとりくみにひろげていくことが求められています。

 

(4)「まけてたまるかリストラ許すな雇用守れ」3.21春闘決起集会と4.12国民総行動

 @ 3.21春闘決起集会(久屋市民広場)は、数年ぶりに休日の開催で2,400人が参加しました。争議で勝利した仲間を紹介し、リストラに反対するたたかいをマスコミにアピールしました。この集会はNHKや中日新聞で大きく紹介されました。一宮でも24日集会を開催しました。

 A 4.12国民総行動は48カ所の早朝宣伝、全国一般、建交労、通信労組のストライキヘの支援行動、職場集会など、この期間に県下で18,000人の参加がありました。栄でおこなわれたロングラン宣伝には、「いのちとくらし共同行動」実行委員会も参加し、150名の参加でティッシュ4,500個配布、抗議FAX、ハンドマイク隊で繁華街を練り歩くなど、一日中騒然とする宣伝行動ができました。港地区労は早朝宣伝の後、団地宣伝をおこない、昼休みには17名が栄の宣伝行動に結集しました。東三河では14日の日曜日に5,000人の参加で春フェスを成功させました。単産では、国公がこの期間に200名の休暇取得で、栄バスターミナルで連日宣伝をおこないました。建交労はトラック協会への申し入れ、福保労はステッカーをつけて就業し、4月からはいった新しい父母に組合のお知らせをおこなうなど多彩な行動がとりくまれました。

 B しかし、全労連の「ストライキ」「一揆」「総行動」という提起と、具体的な戦術・目標の設定については問題を残しました。他団体との共同でも愛知では年末から調整をおこない、3.21集会を大きく成功させましたが、全国規模の共同ではさらに早くからの調整や日常的な共同行動の組織が必要になっています。

 

(5)ベアゼロ回答が続出した02春闘

 @ これまで春闘相場に大きな影響を持ってきた、金属労協(JC)の主力組合である電気・鉄鋼などの組合が賃上げ要求を見送り、トヨタや造船重機でベアゼロ回答を受け入れました。

国民春闘共闘の集計でも回答引き出しは59.5%にとどまり回答も前年を791円下回っています。

愛労連の民間単産は中小が多く回答が遅れていましたが6月にかけて回答がでてきました。登録の243組合のうち152組合(62.6%)に回答がありましたが、このうちゼロ回答が33組合あります。

 A 回答のなかには、賃金15%カット(建交労)をはじめ、いくつかの単組で40歳以上の賃金ダウン(建交労)などの賃金体系改悪、手当や定昇の一部カットや凍結・延期が回答されている単組がありますが、このカット金額は集計に含まれておらず、実際にはさらに引き下がることが予想されます。また、月例賃金以外にも一時金、退職金のカット、社保の負担割合引き下げ(全港湾)、合理化項目の提案など実質の賃下げ回答もあります。

 B 未回答組合のなかには、経営再建逆提案(JMIU)、未払い賃金係争中(全国一般)、賃金カット継続中(全国一般)、工場未稼働中(建交労)もありますし、地労委や裁判で係争中の組合も7組合あります。個別企業の問題にとどまらず、製造業での受注の半減や規制緩和による生コン、運輸などでの単価の暴落など、産業全体の問題が回答に大きく影響しています。

 C 公務職場では、一時金のカットが続き、3年連続で年収がマイナスとなっています。しかし、3年間続いた県職員の賃金カットについては、02年度から復活がされました。

 

(6)深い議論が求められる春闘・賃金闘争

 @ 賃金底上げを中心にたたかった春闘ですが、一方では賃金の引き下げや、定期昇給の凍結も少なくありません。定昇の実施を要求した単組がある一方で、定昇制度のない単組では大幅賃上げを要求しているところも少なくなく、愛労連全体で掲げた要求・目標と到達水準の比較は難しいのが現状です。

民間での成果主義、能力主義賃金がひろがるなかで、賃金闘争の見直しも求められています。また正規職員の賃金制度には変更がなくても嘱託やパート・委託労働者の割合が増加し、職場全体で見れば年功序列賃金の切り崩しが進行しています。

 A 「誰でもどこでも時給1,000円以上」をかかげた時給労働者の賃上げは、地域相場のダウンで厳しく、保育パートでゼロ回答、生協労連でも時給体系の見直しが逆提案されてきています。愛労連全体では時給要求の提出は一部にとどまっています。

 B 定員削減のもとで仕事は過密、責任の負担も大きく、時間内では仕事がこなせないという職場の実態が広がるなかで、要求づくりにも工夫が求められています。長久手町職労の職場の要求探し、豊橋市職労の市民アンケートからの要求づくりなど、仕事との関係から職場の要求を話し合うことで団結が強まったなどの経験も生まれています。

 C 今後の論議のテーマとしては、@)生計費要求と底上げ要求、A)生計費原則と「同一(価値)労働同一賃金原則」をめぐる論議、B)公契約賃金(リビングウェッジ)と最低賃金闘争、C)地域経済を守る提案型の春闘、D)民間の賃上げ闘争と「官民共同」、E)雇用とくらし・いのちを守る国民総決起春闘の追求など多くの課題があります。

 

第2の柱 社会保障拡充・国民生活擁護のたたかい

1.医療大改悪反対・社会保障拡充のたたかい

(1)いのちとくらしを守る共同行動

 @ 医療改悪の問題では、昨年末から社保協、患者団体などによびかけて「いのちとくらしを守る共同行動実行委員会」を結成し、共同のとりくみをすすめてきました。春闘決起集会に続く形で開催された3.21愛知県民集会は、雨天にもかかわらず4,000人の参加で成功しました。その後も運動を継続し4.10中日新聞市内版への意見広告、4.11朝日・読売・毎日3紙への署名チラシ折り込みで、120万世帯への大量宣伝をおこないました。当日朝から電話での間い合わせがあいつぎ、老人会からの署名用紙要請もありました。返信はがきは1,741通、署名5,957筆、1,051人の方からひとこと欄に切実な声が寄せられました。「4.12国民総行動」はこうしたとりくみの集約点と位置づけられ、医療改悪阻止へ国民・労働者が総決起する一日となりました。全国的には署名が2,500万を超え、毎週国会行動がとりくまれ、小泉内閣を大きく追いつめました。5.15国会座り込み行動には、愛知から40名が参加して、地元国会議員にひと言集を手渡し、紹介議員を拡大してきました。

 A 医療署名は、愛労連で10万2,000筆、愛知社保協では47万筆を超えました。意見広告以後民主党の紹介議員が急増し、「連合署名しかしない」という3人をのぞいて、県内の共産党、社民党、民主党全員が紹介議員になりました。

 

(2)2.21地域総行動で医療改悪反対

 愛労連は、医療改悪反対を02春闘の大きな柱として位置づけ、2.21総行動で独自チラシ12万枚とポスター1万枚を用意し、25すべての地域労連、194駅で1,059人が参加して駅頭宣伝をおこないました。病院・薬局などの訪間の他、中区では地域役職者全員を訪間するなど、470件を訪問して医療改悪反対のとりくみをお願いしました。津島では議員の協力を得て薬局・病院を軒並み訪問してポスター100枚を依頼、緑区ではセンター周辺の商店を軒並み訪問して多くの店でポスターを貼らせてもらいました。尾北労連では3役が地域の大きな民間病院を訪間し、一つの病院から署名用紙が返ってきました。地域集会も17地域で開催され、890人が参加しました。

 

(3)自治体キャラバン

 10月16日から19日まで、県下87市町村を訪間して要請と懇談をおこないました。愛労連は雇用問題について担当し、各市町村がおこなっている「緊急地域雇用特別交付金」にもとづく事業についてまとめました。事前アンケートと要請行動の結果を冊子にして全自治体に配布しました。

 

(4)消費税のとりくみ

 名古屋と豊橋では毎月宣伝行動がとりくまれています。3月31日には栄三越前でロングラン宣伝がとりくまれました。「連合」が条件つきながら、はじめて消費税減税を打ち出したことも重要な変化です。

 

2.有事立法反対、平和と民主主義を守るたたかい

(1)11.11テロ報復戦争反対の集会

 9月11日発生した同時多発テロに対して米軍が始めた報復戦争に対し、「テロも報復戦争もNO!」の世論が急速に高まりました。愛知ではこの一点での共同が呼びかけられ11月11日に白川公園で集会とパレードがおこなわれ、3,000人が参加しました。県内各地でも集会とデモが行われました。また婦人協の呼びかけた「成人の日意見広告」には団体・個人から100万円以上のカンパが寄せられ、15万円をペシャワール会にカンパしました。

 

(2)有事3法案反対のたたかい

 政府は、昨年に続き「新しい歴史教科書」の採用を認め、憲法調査会の設置、小泉首相の靖国訪問など憲法に真っ向から挑戦してきています。今国会に戦後はじめて「有事3法案」が上程されました。愛知では11.11集会の実行委員会を改組継続し、6月2日の集会を20年ぶりに日本共産党、新社会党、社民党の参加で開催し、5,000人の参加で成功させました。5月25日の朝日新聞に意見広告を載せるためカンパの運動をおこない、430万円以上のカンパを集めました。

 

(3)メディア規制法でも新しい共同

 メディア規制2法案にはNHK、民放協会、新聞協会などマスコミ各社も反対の声明を出しています。名古屋では在名民放5社の社長連名で反対の声明がだされました。市民団体の呼びかけで「メディア規制法を考える市民の集い実行委員会」が結成されました。この実行委員会には愛労連と民放労連、新聞労連、全印総連の他に日放労(NHK労組)も正式参加しています。5月22日の集いには名古屋TVの取締役、御嵩町の柳川町長が出席し中日・毎日新聞の編集責任者が発言者として出席しました。続いて7月10日には「有事法制とメディア規制、大本営発表はゴメンです」の集会も開催されました。

 

(4)自衛隊が市民を調査、官房長官の核武装発言も

 防衛庁が情報公開請求した市民の所属団体や思想を、組織的に調査するという違法行為をおこなっていました。またインド・パキスタンの核戦争の危機がいわれる最中に、福田官房長官が「非核三原則の見直し」をいうなど有事法案と個人情報保護法案の危険性が目の前にさらされ国民の怒りを買っています。5月31日、愛知県入りした平和行進も例年を超す6,050人の参加があり、沿道からも多くの激励がありました。

 こうしたたたかいのなかで小泉内閣の支持率は急落し、野党4党が倒閣で共同を組む事態に発展しています。

 

3.万博・空港反対、県民生活をまもるたたかい

(1)万博・空港をやめさせるたたかい

 不況の深刻化と県財政の危機の中で福祉や保育の補助金カットを続け、住民生活関連の予算を大幅にカットする一方で愛知万博と空港を最優先する神田県政はますます矛盾を広げています。青少年公園の児童総合センターの閉鎖や環境アセス問題でも県民から厳しく批判されています。

 愛労連は昨秋のBIE総会に見崎議長を派遣し、世界に万博中止を呼びかけました。また革新県政の会は署名運動を提起し、来年の県知事選にむけた運動を強化しています。

 

(2)地震・災害対策、住民生活優先の県政を

 昨年、東海大地震と東南海地震の震災予想地域が大幅に見直され、愛知県内でも多くの市町村が震度6弱以上の危険地域に指定されました。愛労連では阪神大震災と一昨年の東海豪雨の災害の教訓から大地震に対する防災予防のとりくみ研究を開始しました。1月19日の震災フォーラムに続き4月9日には名古屋大学の福和教授を講師に学習会を開催しました。

4月には見崎議長が新城市長と地震問題で対談し、今後も豊明など各地で地元自治体関係者との共同でのシンポジウム開催が計画されています。

 春闘の県交渉、7月に防災局との懇談を行いましたが、県のとりくみはまだこれからであり、県民の声をたくさん出していくことが重要です。

 

(3)県立高校統廃合をやめさせるたたかい

 県下7校・4分校の廃止を打ち出した県立高校統廃合は地元と自治体首長の反対の声の中、当初予定された年度内の高校名発表が延期されました。愛高教や地域労連が地域で宣伝や申し入れを行ったことが世論を急速に高めました。

 

(4)自治体合併に反対する地域からたたかい

 渥美、豊川・宝飯、西春日井7町など自治体合併の動きがあります。国が補助金の期限を切って自治体合併を押しつけていますが、碧海5市では市民の会をつくって5月にシンポを成功させました。

 これら県と国からの一方的な統廃合・合併押しつけは地域住民の自治とくらしを破壊するものであり、地域からのたたかいが重要になっています。

 

(5)7期連続の連合独占、地労委不当任命

 神田知事は地労委労働者委員の任命で12月1日、7期・14年連続の連合独占という変更任命をおこないました。愛知地労委民主化会議は、2年前の地裁判決と世論を武器に「今度こそ公正任命を」と全国に要請して2,427団体、35,092筆の署名を提出するなど、精力的なとりくみをしてきましたが、知事の姿勢を変えることはできませんでした。

 地労委民主化会議ではこれらの偏向労働行政に対するたたかいを取り組むと同時に、地労委の運営改善をもとめて交渉を行ってきました。また地労委対策交流会を開催して、地労委や労働裁判の問題点と対策を議論してきました。この中で係争組合の情報交換、労働組合役員の補佐人登録や代理人への登録、労働者委員や事務局の誠実な対応を求めることなどを進めてきました。

 また国の機関でも愛知労働局の任命する愛知地方労働審議会で審議会の再編にともない全港湾の委員が正式委員からはずされ、最賃審議会と同じく連合独占がおこなわれています。

 

4.共同のたたかいの前進と愛労連の課題

 小泉内閣の国民への痛み押しつけは国民生活全般におよび、いのちとくらし・安全まで脅かしています。このことが各分野でのかつてない広がりの共同を生み出しています。愛労連は今年度のたたかいの柱に社会保障拡充を掲げてとりくみ大きなたたかいをつくってきました。有事立法でも「20年ぶり」の3党共同で集会を成功させ、市民運動との共同も実現してきました。共同の広がりの中で育英労の春闘共闘加盟を実現しました。

 さまざまな課題に中心的な団体としてとりくむ一方、加盟組織では署名や集会への参加が減っている組織も少なくありません。署名数の集約と並行して良い経験の共有、とりくみ方の工夫も求められています。

 

第3の柱 組織の拡大強化のとりくみ

1.組織拡大のとりくみ

(1)組織人員は●●人に   臨時・パート・関連職場への組織拡大を

 02年6月の愛労連組織人員(単産ダブりのぞく)は●●人で01年の55,352人に比べ●●人の●●となりました。91年の基礎調査では68,738人でしたから10年で●●人の減少となっています。91年から01年の間に年金者組合2,006人、生協労連905人、全印総連27人、検数労連25人、通信労組16人など増加した単産もありますが、多くの単産で職員数の減少や定年退職等による組織人員の減少が続いています。その一方で増え続けるパートや臨時労働者への組織拡大で遅れをとっていることは重大です。加盟組織の中には規約上で臨職やパートの加入を制限している組織も残っており単組の努力が求められます。また単産では、個人加盟組織づくりや関連企業の組織化について具体化が求められています。中立・友好組合に愛労連加盟を働きかける継続的なとりくみも重要です。

 

(2)秋・春の組織拡大月間

 @ 秋の組織拡大月間(10/15〜12/15)は、1000人の加入目標でとりくみました。組織拡大推進委員会と単産組織担当者会議を隔月で開催し、組織拡大を推進してきました。単産でも医労連で一泊の組織拡大交流会が開催されるなど活発なとりくみがおこなわれ、この期間にKKR労組、加藤楽器支部、日章紙工などの新組合が結成され、全体では約600人が新規に組合加入しました。年金者組合が全国でトップの成果をあげ、この期間で300名の加入がありました。

 A 春の組織拡大月間(3/15〜5/15)は加入3,000名の目標でとりくまれました。自治労連の名古屋港水族館労組加盟、なごや介護福祉労組の結成(45人)、全国一般・さしじん労組(33人)の結成などがありました。新入職員の加入では、国立名古屋病院で25名の新加入を迎えるなど全医労が41名を超える画期的な前進をつくってきました。ここではナースのポケットに入るサイズの加入書をつくるなど組合員全員が組織拡大にとりくんできました。月間中の加入は●●人になります。

 

(3)労働相談からの個人加入

 @ 愛労連は労働相談の事例をまとめ11月15日に記者発表をおこないました。ヒット通商・加藤楽器争議など青年のたたかいが社会的にも注目され、愛労連の労働相談が広く知られるきっかけになりました。労働相談をきっかけとする加入は一年間に●●人もありました。

 A 最近の特徴は個別の労働相談が多くなっていることです。行政のはじめた個別労使紛争の申し立ても多くなっています。個人で問題を解決したいという個別紛争は単産での対応にも限度があり、今後これらに対応して労働組合のすそ野をひろげる新しい形態の組織の検討が必要になっています。

 

(4)不安定労働者の組織化のとりくみ

 全国の地域労組などでのフリーターや失業者の参加する組織づくりや、県でのパート・臨時労組連絡会の結成により、不安定雇用労働者の運動があらたなひろがりをみせています。愛知では全国に先駆けてパート・臨時の元気が出る集会を開催してきましたが、今年は50名の参加にとどまり参加組織を広げることはできませんでした。

 

(5)ヘルパー組織化へ

 県下で働くヘルパーは1万人にも及びますが、そのほとんどがパートか登録型の契約で、身分的にはまったくといっていいほど保障されていません。愛労連では、自治労連や医労連、生協労連など関係単産の参加で、今年度7回のヘルパー検討会を開催し、労働実態と要求、組織化の問題点などを研究してきました。そのなかで「なごや介護福祉労組」「鳳来町社協職員労組」の結成、医労連2病院での登録ヘルパーの労組加入、ヘルパー部会づくり、生協でのパートヘルパーの加入などの実践がすすみました。

 これらの成果を生かして、県下のヘルパー全体を見越した職能組織検討の基礎をつくってきました。

 

2.組織強化の課題

(1)労働相談の急増と組織的対応の必要性

 @ 今年度は、労働相談担当者会議の定期開催と、事例研究を重ねてきました。このうち月一回は地域労連にも参加を呼びかけてきました。労働相談は、昨年愛労連で421件、地域をあわせて500件だったものが、昨秋から急増して、愛労連事務局だけで2月に50件、3月73件、4月も61件とハイペースになっています。またさしじんのように倒産がらみの相談もあり、知識も手間も複雑になってきています。しかし失業者の増加に比べれば愛労連に電話してくる方は、ごく一部であり、期待に応えることで愛労連の社会的役割が認知され、組織の未来にとっても重要な意義を持っています。

 A 今後は個別の相談に応えることにとどまらず、事例を整理し、行政との交渉や社会的な問題提起をおこなうなど、相談所としての方針をもって活動する組織運営が必要になっています。地域労連や単産がおこなう相談活動をバックアップし、相談活動のネットワークをひろげるような運営が必要になっています。

 

(2)地域労連の組織強化にむけて

 組織強化検討委員会は8回開催されました。委員会では単産と地域労連の幹部から聞き取りをおこない、単産と地域の現状についておおよその実態を把握してきました。委員会ではこのうち今年度は地域労連の強化について答申をまとめてきました。

 地域労連のなかには、役員の選出や会議開催で困難を抱えている組織もいくつかあります。今年度は2回の総行動に愛労連幹事が分担して参加し、困難な地域には事務局の担当を決めて援助をしてきました。総行動は単産にとっても、地域の行動に参加する機会になっており、準備と意思統一をさらに工夫して地域の活動を援助していくことが求められています。

 

(3)学習・教育、青年役員の育成

 @ 青年協は、役員の選出が困難で定期大会を延期して開催しましたが新幹事の奮闘で建交労との共催で60名のボウリング大会を成功させるなど活発な活動を再開しています。しかし単産からの参加はまだ始まったばかりです。

 A 愛労連は学習協と共催で青年労働組合講座とサマーセミナー、労問研との共同で経営分析講座を開講してきました。男女共同参画の推進が求められていますが、女性の参画を促すための具体的な対策は検討途上です。青年組織の問題も女性の参画も中長期の政策と計画が必要でそのための集中した論議も必要です。

 

(4)マスコミの活用

 今年度全体を通して、マスコミヘの対応を重視してきました。その結果、加藤楽器争議が朝日新聞にカラーで大きく紹介されたことをはじめ、海部津島決起集会、六法出版の未払い賃金分の所得税還付申告、春闘決起集会などがTVで大きく報道されました。新聞記事にも多く掲載されるようになり、愛労連加盟の組合員にも愛労連の活動が直接見えるようになってきました。また労働相談にくる人のなかにも、加藤楽器や丸八の争議解決を「新聞で見た」という人もあり、愛労連への信頼に結びついています。

 

(5)まとめに

 @ 働くルール確立、いのちとくらしを守る共同の充実、愛労連の拡大・強化の3本柱を軸にがんばってきたこの一年。圧倒的な支持率を誇った小泉内閣の化けの皮をはがし、世論と共同をひろげ、愛労連を強く前へ押し出した一年でしたが、一方で課題も山積しています。

 A 紙製品の会社であるタケヤマから労働相談があったのは、一昨年紙パ労連が解散してからです。家具のさしじんが破産し、労働組合をつくった時には旧木労のIHIは解散していました。ほかにも労働組合を必要としている労働者が身近なところにいるのに、大きく足を踏み出すことができていません。愛知だけで100万人もいるパート労働者の組織化は1%にも届いていません。

 B この一年ほど労働者にとって労働組合とまともな労働運動が求められたことは、近年になかったことです。労働相談の急増やマスコミの愛労連への対応にもこのことが良く感じられました。この期待にどう応えるのか、このチャンスをどう生かすかが問われています。

 C しかし増え続ける課題とあふれる期待に応えるのには、現在の愛労連の力には限度があります。単産・職場で組合活動への参加の拡大、労働組合への青年の声の取り入れなど労働組合の充実と、地域を軸とする活動の強化、既存の組織のあり方を超えた大胆な踏み出しが求められています。

 

U 2003年度運動方針
1.情勢の特徴

(1)労働者・国民をとりまく情勢

 @ 大企業・財界はグローバル化の名のもとで生産の拠点を海外にシフトし、国内の産業を空洞化させています。また「純粋持ち株会社」化や業務委託など企業再編をすすめ、労働者と下請企業へのコストダウンと整理統合をすすめています。また金融機関の大規模な再編もすすんでいます。東海銀行・三和銀行によるUFJ銀行、興業銀行、第一勧銀、富士銀行によるみずほ銀行と、巨大化しています。しかしその一方で、銀行は中小企業への貸し渋りや貸しはがしを強め、経営を困難に陥れているのです。

 A 企業倒産は長引く不況ともあいまって、相変わらず高い水準を維持しています。2002年4月は1641件となり、月間件数としては過去最多、4月としては戦後3番目の件数にのぼっています(帝国データバンクの調査)。政府の無責任な「景気底入れ」発言とは裏腹に、経済のデフレ下、中小零細・自営業者は売り上げの減少に苦しんでいます。景気回復にもっとも重要な個人消費は抑制され、さらに不良債権の処理の強行という状況のもとで、今後いっそうきびしい事態が予測されています。

 B 不良債権処理は大企業ではなく中小零細企業の営業に深刻な影響をあたえています。とくに金融庁「金融マニュアル」は、4月12日に一定の「手直し」をしたとはいえ、信金・信組と中小零細企業の経営を困難に陥れ、地域経済に多大な犠牲をおしつけてきました。また政府や財界がすすめる規制緩和路線は経済・産業のあらゆる分野に深刻な影響をもたらしています。とくに建設・運輸産業における規制緩和は、価格引き下げ競争を激化させ、中小業者の倒産を引き起こしています。

 C 雇用情勢は依然深刻です。財界のリストラ・首切り、政府の雇用流動化政策のもとで、正規労働者は減少、不安定雇用労働者が急増しています。仕事を求めるハローワークに人があふれ、失業者は02年5月で375万人(5.4%)となり、依然として高い率で推移しています。

 D 経済的理由による自殺者が急増し、将来に不安をかかえる労働者、精神疾患に罹患する労働者が増大しています。うつ病はいまや労働者の3割から4割が罹患しているといわれるほど、深刻な健康破壊がすすんでいます。長時間労働、サービス残業のもとで過労死・過労自殺する労働者が後をたちません。

 E 賃金は02春闘の結果にみられるように、ベースアップはもとより、定期昇給すら廃止する企業が増え、労働者のくらしをいっそう困難にしています。また成果主義賃金が中小企業や公務職場にもひろがり、人件費の抑制・削減に拍車をかけています。

 F 大企業の企業再編は従来の系列をこえ、大規模な合併・統合とともに、不採算部門の子会社化、分割がすすめられ、労働者の削減を当然のようにすすめています。NTTはこれまでの中核部門さえ業務委託=アウトソーシング化し、50歳以上の労働者の賃金を30%もカットして転籍させ、NTTに残った労働者に対しては全国的な配転を強要しています。

 G 労働相談に寄せられる相談件数は、年500件(今年1月から4月で210件以上)を大きく上回るほどになり、とくに中小零細に働く労働者、未組織労働者が深刻な事態になっていることを物語っています。不当解雇の横行、賃金の未払いや一方的切り下げ、倒産による解雇などまさに「ルール無視の実態」が浮き彫りになっています。

 H 労働組合の組織率はこの間低下傾向にあり、ついに21%にまで落ち込みました。パート・臨時など不安定雇用労働者の増大に加え、とくに大企業や公務職場におけるリストラが原因で、組織労働者は減少しています。

 

(2)小泉内閣の「構造改革」・財界の攻撃と労働者・国民との矛盾拡大

 @ 小泉内閣は、支持率を低下させながらも、きわめて反動的で危険な方向をめざして、医療改悪をはじめ、有事法制・戦争国家法案を強行しようとしています。健保本人の3割負担をはじめとする医療改悪法案は国会で大詰めを迎えています。「構造改革」の「痛み」は国民にだけ押しつけるとともに、国民の健康をさらに悪化させようとしています。「本人3割負担」「高齢者負担増」は受診抑制をいっそうつよめ、重病化のおそれがあり、かえって医療費の高騰をもたらす矛盾した改悪です。

 A さらに、国内外の批判を無視し、今国会に「有事法制法案=戦争国家法案」を上程、憲法9条を真っ向から否定する暴挙にでました。米国へのテロ問題以降、米・ブッシュ大統領に追随し、ついに「戦争放棄」をうたった憲法改悪を視野に、自衛隊のみならず、国民の権利や財産、自由を制限し、戦時体制をつくりあげ、ふたたび日本国民をアメリカの引き起こす戦争にかりたてようとしています。

 B 独善的で、危険な小泉内閣に対し、国民のたたかいが大きく広がりつつあります。医療改悪反対のたたかいは盛り上がり、この間集約した署名は全国で2600万筆に達するとともに、愛知でも県民集会の成功、宣伝・署名のほか、各新聞への意見広告など積極的なとりくみをすすめるなかで国民の間に改悪反対の世論がたかまりつつあります。国会での強行成立阻止にむけ、いっそう県民に訴え、怒りの声をぶつけていくことが求められています。

 C 有事法制・戦争国家法案は、国民のいのちと財産を破壊する法案であり、絶対に許すことはできません。国民の関心が高まりつつあるとはいえ、絶対に阻止するまでにはなっていません。しかし5月24日には東京・明治公園で4万人規模の集会、愛知では6月2日、日本共産党や社民党・新社会党などが共同して、5,000人規模の集会を成功させるなど、これまでにない運動をつくりだしています。国会の会期を延長しての成立強行を許さないたたかいが求められています。

 D こうした攻撃をはね返すうえで、愛労連と単産・地域労連は、すべての組合員に「職場を変え、地域を変えよう」と真摯に訴え、あらゆる県民各界・各層との壮大な共同をつくりあげていくことが、なによりも重要になっています。愛労連は昨年度もこれを重視し、労組訪問をかさね、医療や働くルール確立署名などで共同を展開してきました。戦争への道を許さない、国民のくらし・いのち・権利を守るうえで、さらに壮大な運動をつくりあげていくことが求められています。

 

(3)トヨタ1兆円利益のもとで衰退する愛知の産業、減少する労働者

 @ トヨタ自動車は3月期決算で、ついに1兆円の利益をあげたことが大きく報道されました。マスコミは、海外生産と売り上げの伸びにその理由があるとしていますが、その陰には徹底した「合理化」があります。トヨタの「CCC21」(総原価低減運動)は、正規労働者をへらし、全体の18%にもおよぶ不安定雇用労働者への置き換えと、長時間過密労働をおしつけ、下請業者には一律のコストダウンを強要してきました。あるメーカーでは正規社員を解雇し、外国人労働者を大量に雇い入れるなど、異常な事態のもとで、あげた1兆円利益だといえます。

 A 4月1日にトヨタは、「2010グローバルビジョン」を発表しました。この「ビジョン」は、「世界シェア15%をめざす」というもので、その戦略は中国を視野に入れた「グローバルなコスト競争にうち勝つ企業体制の構築、グローバルな企業展開」にとりくむとしています。海外に生産体制をシフトするとともに、国内では「内製競争力の強化」「収益性の高い企業構造」に転換させるとしています。この路線が、愛知、とりわけ西三河地域に集積する下請企業群と地域経済に深刻な事態をひきおこすことになることは、いうまでもないことです。

 B トヨタが1兆円の利益をあげる巨大企業に成長する一方で、愛知の産業は全体として衰退傾向にあります。ほとんどの産業にわたり、事業所・労働者数・生産額とも、92年をピークに減少、とりわけ繊維産業は壊滅状態に近い状態です。こうした状況のもとで、愛知の「ものづくり」を危惧する声が高まっています。

 

(4)県民生活犠牲の神田県政と県政革新をめざすたたかいの前進

 @ 神田県政は、深刻な不況がつづく経済状況のもとで、労働者・県民の切実な要求は無視、または切り捨てを平気ですすめる一方、万博・中部国際空港建設など旧来の「大型開発」を県政運営の最優先にすえ、大企業に追随しています。愛知万博は、「環境」を謳いながら、その実態は「環境影響評価」もまともにおこなわず、青少年公園をつぶし、強引に会場にしようとしています。また中部国際空港もその必要性が疑問視されるなか、工事をすすめています。神田県政はこれらのゆがんだ行政を推進するため、莫大な借金(県債)をかかえこみ、後生に多大な犠牲を押しつけようとしています。

 A 万博は本当に中止できるのかという県民の声も聞かれるなか、革新県政の会は、毎週万博中止の宣伝で訴えています。こうしたとりくみによって、中止を求める署名数は増え、青少年公園廃止反対の声ともかさなって、徐々にひろがりつつあります。県民のくらしと「環境」を犠牲にした「万博中止」の世論をさらにひろげるとりくみが求められています。徳島では自民党知事候補をやぶって、吉野川可動堰反対の太田知事が当選、可動堰建設反対を表明するとともに、現在国会に上程されている有事法制についても反対の意思表示をおこないました。県知事選挙に勝利することは県民のくらしといのち、平和を守るうえで、大きな力をかちとるものです。来年2月の愛知県知事選挙にむけ、大きな共同をつくりだすことが求められています。

 

2.2003年度 方針の柱

 愛労連は03年度のたたかいの柱を以下のようにさだめ、その実現のために全力をあげます。

 

(1)働くルール確立にむけ、あらゆる労働者との対話・共同をひろげます。

 @ 職場・地域を基礎に、リストラ反対・雇用確保、最賃闘争、「サービス残業の一掃」など、働くルールづくりのたたかいをいっそう強化します。「働くルール署名」は、昨年度に引き続き、「第2段階」と位置づけ、未組織職場・連合職場、地域にむけて展開していきます。

 A 企業再編リストラ・倒産対策を強め、労働者の権利を守るたたかいを強化します。また大企業の海外進出などによる地域経済と雇用の破壊を許さないたたかいを全県的にひろげていきます。

 B 規制緩和政策の重要な位置づけになっている労働法制の改悪(職業紹介規制の緩和、労働者派遣法の全面的見直し、有期契約の拡大、雇用保険法の改悪など)に反対します。

 C パート・臨時・不安定雇用労働者の待遇改善をめざし、賃金の底上げ・最賃闘争を軸にしたたたかいを展開します。

 D 公契約法・条例制定にむけ、公共事業や委託事業に働く労働者の賃金・労働条件改善のたたかいをすすめます。

 

(2)小泉「構造改革」路線と対決、国民のいのちとくらしを守るたたかいをすすめます。

 @ 医療をはじめ社会保障の改悪、有事法制・戦争国家法案の阻止、税制「改革」・消費税率引き上げ、郵政民営化など、小泉内閣「構造改革路線」と真っ向から対決し、国民生活擁護のたたかいをすすめます。また来年度は介護報酬の見直しにあたり、単価改善のたたかいをすすめます。

 A そのために全労連に結集し、社保協をはじめあらゆるつながりを生かして、共同のとりくみをひろげてたたかいます。

 B 教育基本法の改悪反対、30人学級の早期実現、高校統廃合を許さないたたかいをすすめます。

 C 県知事選勝利をはじめ、来年4月のいっせい地方選挙での躍進、総選挙勝利をめざして奮闘します。

 D 司法改革、とりわけ労働裁判の民主化をめざすたたかいをすすめます。

 

(3)03年2月の知事選挙勝利にむけて必要な体制を確立してたたかいます。

 @ 革新県政の会に結集し、知事選勝利をめざし、愛労連として積極的な役割を果たします。

 A 知事選にむけた政策の確立とその宣伝をつよめ、県民規模のとりくみをすすめるため、地域労連が中心になって革新県政の会・地域組織確立にむけて奮闘します。

 B 県民のくらしを犠牲にし、万博・中部国際空港を強行する神田県政を許さず、県政革新に全力をあげます。大企業の海外進出などによる産業空洞化に歯止めをかけ、地域経済の活性化にむけ全力をあげます。

 

(4)未組織労働者の組織化を重視し「10万人愛労連」の建設をめざします。

 @ 倒産・リストラ・解雇から労働者、とくに圧倒的な未組織労働者の雇用と権利を守るため、労働組合の組織化に全力をあげます。

 A 労働相談活動の体制を整備・強化するとともに、未組織労働者に「労働組合をつくってみずから雇用や権利を守るしかない」ことを訴える宣伝を強め、愛労連に新たな仲間を迎え入れるとりくみをすすめます。

 B 急増する労働相談とそれを通じた組織化について、そのあり方も含め、検討をすすめていきます。

 C 失業者の要求をとりあげたとりくみをすすめます。

 

3.とりくみの課題とたたかい

(1)働くルール確立のとりくみの強化

 @ 大企業のルール無視のリストラ・首切り、中小企業の倒産による失業者の増大という最悪の事態がつづくなか、「解雇規制」「長時間労働」の規制など、「働くルールの確立」は一刻の猶予もない課題になっています。大企業の横暴を規制する法的措置が求められている今日、署名の飛躍的な前進は欠かすことができません。愛労連は昨年以上に「働くルール確立」署名のとりくみを重視し、組織内にとどまらず、未組織職場や地域、とくに団地などに統一行動などを配置してとりくみをつよめます。

 A 現役労働者の自殺や健康破壊が相次いでいます。長時間労働・サービス残業がいまなお横行し、労働者の生活を直撃しています。いのちと健康を守る運動がいまほど重要なときはありません。愛労連は、安全衛生活動をすべての職場で推進するとともに、悪質な企業の告発や過労死・メンタルヘルス・過労自殺をふせぎ、健康に働き続けられる職場環境の整備・人員配置を求めてたたかいます。

 B 不安定雇用労働者の「均等待遇」をめざし、職場・地域でのたたかいを重視します。「パート・臨時の元気が出る集会」や「ヘルパー集会」などを成功させ、「パート・臨時労働者連絡会(仮称)」の結成にむけ、関係単産と共同してとりくみをつよめます。

 C 育児介護休業法の改善点を実行あるものにするために職場での協約化をめざします。

 

(2)リストラ反対、雇用確保、すべての争議の早期解決をめざすたたかい

 @ 企業の倒産があいつぐなか、労働者の雇用とくらしを守るために、労働相談活動の体制を強化するとともに、地域への宣伝、とくに「労働組合の必要性・重要性」を訴えるビラの作成、必要によってはメディアなども活用して宣伝を強化します。また倒産による解雇などの相談が今後増えることが予想されますが、単産・地域労連でも対応できるようにしていきます。

 A 「緊急地域雇用創出特別交付金」による雇用拡大のとりくみの充実をめざし、とりくみ主体である市町村につよく求めていきます。

 B 板山・萱津運輸争議、タケヤマ争議など、争議に対する支援活動を強化します。そのために単産・地域労連が協力しあい、支援活動をつよめます。とくにスミケイ・団体生命裁判は最高裁に持ち込まれたこともあり、全国的な支援体制も準備されており、愛労連として積極的な役割を果たします。また16年目を迎えた国鉄闘争に引き続きとりくみ、「1047名の解雇撤回」をめざします。

 D NTTのアウトソーシング化にともなう転籍と、全国配転の攻撃とのたたかいを、通信労組や「愛知支援共闘会議」を軸につよめます。

 E 公務職場のリストラ、とくに住民生活と密接に結びついた福祉・医療職場の民営化・委託化、営利企業への“丸投げ”に歯止めをかけ、労働者の住民のくらしを守るたたかいをつよめます。また政府のすすめる反動的な公務員制度「改革」に反対し、関係単産との共同をひろげます。

 F 地方労働委員会の運営の改善を要求し積極的活用をすすめます。

 G 司法改革、とくに労働裁判制度の民主化をめざしてとりくみをすすめます。そのために地労委対策交流集会や裁判闘争のなかで明らかになった問題点を明らかにし、民主的改革にむけて意思表示をしていきます。当面、弁護士費用の敗訴者負担制度の導入に反対して署名などにとりくみます。

 H 倒産にともなう労働債権確保のために必要な法改正をおこなうよう関係機関に要請するとともに、実態について宣伝をつよめます。

 

(3)03春闘での前進、賃金底上げ・最賃闘争の強化、職場要求実現をめざす

 1)賃金闘争の前進をめざす

 @ 賃金の切り下げに反対し、引き上げ要求を果敢にかかげその実現のために単産を軸にたたかいをつよめます。そのため、要求アンケートは単産を軸に、地域においても未組織労働者を対象に、とりくみをすすめます。

 A 「だれでもどこでも○○円以上の賃上げを」「時給1,000円への引き上げ」など、賃金の底上げを重視した賃金闘争をすすめます。とくに最賃闘争は年間を通じたたたかいとして、さらに充実させ、改善のために全力をあげます。また最賃体験闘争を引き続きおこないます。地域労連として地域の「時給マップ」づくりなど最賃を告発するとりくみをすすめます。愛知最低賃金審議会委員への任命を求めるとともに、意見書などを積極的に提起し、審議会へ影響をつよめていきます。

 B 公共事業・委託事業に働く労働者の賃金・労働条件確保のたたかいをすすめます。そのために関係単産との協議をおこない、県や市町村、企業への要請行動をおこないます。

 C 成果主義賃金の一方的導入、また定期昇給廃止など賃金制度の改悪に反対してたたかいます。

 D 8月に予定されている人事院勧告で、「マイナス勧告」が予測されています。これは公務員労働者の生活を圧迫するにとどまらず、関連労働者・民間労働者、地場賃金をさらに押し下げます。関係単産とともに、秋季年末闘争において官民共同での賃金闘争を重視してたたかいます。

 E 春闘での前進をめざし、これまで以上に官民を軸にした壮大な共同のたたかいをひろげます。賃金闘争のあり方については全労連での本格的な討論を要請していますが、愛知でも春闘方針討議より以前に討論の機会を設けます。年末をメド討議し、春闘方針で確立します。

 

 2)労働時間短縮・雇用の拡大をめざすとともに、労働法制改悪に反対するたたかい

 @ 日本の労働者は、依然として長時間労働のもとにおかれています。裁量労働制が導入されて以降、無定量な時間管理のもとにおかれ、いのちと健康が脅かされています。労働時間短縮の重要性をあらためて強調するとともに、時間短縮による雇用創出のとりくみを具体化していきます。

 A 政府は労働法制の規制緩和をさらにすすめようとしています。民間の職業紹介事業の規制緩和、労働者派遣法の全面的見直し、有期労働制の拡大、雇用保険の見直しなどが相次いでいます。法改悪に反対するとともに、労基法など現行法に違反する事態を告発するたたかいをすすめます。

 

(4)「構造改革」・規制緩和路線と対決、戦争法案をはじめとする悪法阻止のたたかい

 1)憲法9条を守り、戦争法案に反対、社会保障改悪を許さず国民のくらしを守る

 @ 小泉内閣は「有事法制=戦争国家法案」を強行しようとしています。この策動を許さないたたかいを積極的にすすめます。6月2日には、幅広い共同での集会がとりくまれましたが、この力をさらに地域・全県・全国的にひろげ、阻止するために全力をあげます。

 A 医療改悪や年金制度改悪など、小泉内閣はさらに社会保障全体の改悪をすすめようとしています。労働者・国民のくらしを守るため、社会保障推進協議会などがすすめる自治体キャラバンをはじめ関係団体との共同をさらに大きく広げ、社会保障改悪阻止に全力をあげます。

 B 小泉内閣のもとで「税制改革」が浮上していますが、その内容は消費税率の引き上げ、課税最低限の引き下げによる大増税が予測されています。消費税を当面3%に引き下げよという声は大きな世論になっており、さらにたたかいを大きく展開します。

 

 2)大企業の横暴と対決、中小企業の経営を守るたたかい

 @ 大企業の海外進出・工場移転などによる地域経済の衰退や雇用破壊などを許さず、その横暴を告発し、身勝手を許さないたたかいを全県的にひろげていきます。そのために「トヨタシンポジウム」を、秋には名古屋市内で開催し、全県的な見地からトヨタの戦略、地域への影響などを浮き彫りにしていきます。地域ごとに「地域経済と雇用を守る」をテーマに、シンポや学習会をおこないます。

 A 大企業の海外進出や下請の整理淘汰によって、中小零細企業の倒産に拍車がかけられています。小泉内閣の「不良債権処理」の強行は、信金・信組をもつぶし、中小企業の経営と地域経済に深刻な影をおとしています。大企業の横暴を告発するシンポなどを連続的におこない、また業者団体などとも協力し、地域の実態調査や行政機関などへの積極的なはたらきかけをすすめます。

 B 銀行・金融総行動をおこないます。

 C 不況・リストラ調査など、業者団体と共同して愛知独自でとりくみます。

 D 愛知の産業(製造業)のあり方について考える懇談会(仮称)の実施など、関係団体と協力してよびかけます。

 E 行政主導や、住民の声を無視して一方的にすすめる市町村合併に反対して、関係単産・地域労連とも協力してとりくみをすすめます。

 

(5)万博・空港など大型開発中心の神田県政ストップ!県政革新をめざす

 @ 万博・空港など大型開発優先の神田県政にストップをかけ、知事選挙での勝利をめざし、早い段階から体制を確立してとりくみをすすめます。

 A 革新県政の会はこの間、万博中止署名・毎週宣伝を中心にすすめるとともに、万博会場である青少年公園における「環境影響評価」の実施、評価書への意見提出などのとりくみをすすめてきました。また政策委員会を中心に政策を提起してきました。秋以降、こうしたとりくみを踏まえ、愛労連としても革新県政の会の一員として県知事選挙体制の確立に全力をあげます。

 B 地域革新県政の会の確立を早急にすすめ、地域での体制の強化、とりくみを早い段階からすすめます。

 C 県知事選挙にむけた革新県政の会の政策学習会をすべての単産・地域労連で開催します。また、必要に応じて、現地調査などもおこない、県政のゆがみを告発するとりくみをおこないます。

 

(6)未組織労働者の組織化、「10万人愛労連」の建設をめざす

 1)要求実現のたたかいを軸に未組織労働者の組織化をすすめます

 @ 職場・地域での要求実現のたたかいを積極的に展開し、労働者の信頼をかちとり、組合加入をすすめます。

 A 企業内主義・正社員中心主義の組合活動から脱却し、職場のパート労働者をはじめ、地域の未組織労働者の組織化に全力をあげます。

 B ヘルパーなど職能別組合の確立、また「地域別のパートユニオン」など身近に個人加盟の労組の結成とそのあり方について、関係単産と協議し、組織化をすすめます。

 C 愛労連として、労働相談活動を通じて加入を呼びかけていますが、さらに拡大を大きくすすめるため、新たな組織結集のあり方が求められています。「愛労連ローカルユニオン」は労働相談・個別労使紛争に団体交渉権をもつため、当面加入できる労働組合とし、単産の組織拡大につなげます。

 D 愛労連として未加入組合に対し、日常的に加入を訴えていきます。

 

 2)単産・地域労連ごとに計画をもち、日常的に組織拡大をすすめます

 @ 新たな労働組合の結成や組合員拡大などがすすんでいますが、一方でリストラや退職者不補充などで組合員は減少しています。この点を踏まえ、引き続き「組織拡大月間」をもうけ、組織の前進をはかるため、単産や地域が独自に拡大計画を設定して意識的にとりくむようにします。

 A 友好組合や中立組合への働きかけを日常的におこない、愛労連加盟を呼びかけていくとともに、地域労連においても共同の追求と加盟への呼びかけをすすめます。

 B 年金者組合への加入案内をおこないます。

 C 労働相談活動のいっそうの強化をはかります。また作成した「実践マニュアル」を活用し相談活動の充実とこれを活用した学習会などもおこないます。

 

 3)愛労連の組織と機能を強化します

 @ 組織強化のとりくみは拡大とともにきわめて重要な課題です。愛労連は昨年度組織強化検討委員会を開催し、単産・地域労連の聞き取り調査をおこない、これをもとに組織強化にむけた「答申」を幹事会にだしました。答申をうけて「地域労連の強化」について具体化を行います。また「10万人愛労連」の建設のために残された課題について引き続き組織強化検討委員会で検討し答申をまとめます。

 A 機関紙活動の強化(定期発行など)をはじめ、単産の協力を得て編集委員会体制を拡充し読まれる機関紙への改善に努めます。10月26日〜27日に機関紙・教宣学校を開催します。

 B 地域労連代表者会議を定例化します。

 C 労働組合運動の時々の課題での学習会を開催します。愛知労問研、健康センター、社保協、学習協などとも協力し、組合員が参加しやすい学習活動をすすめます。

 D 11月23日〜24日にかけて愛労連の労働講座を開催します。

 E 地域労連の労働相談活動を支援し、組織的な運営を確立するために「労働相談センター」を発足しました。事例研究会の定期開催、行政やマスコミとの懇談や情報提供などにも対応します。

 

<専門部・部会・委員会など>

専門部・部会・委員会の構成は2002年度と同様とします。

 

<婦人協、青年協のとりくみの強化>

 @ 婦人協幹事会の強化やニュースの定例化に努めます。女性労働者は全雇用労働者の4割を占めています。女性の切実な要求を実現するためには女性部の確立が重要です。

 A 各組合は女性役員の実態調査などおこない、女性役員の配置や大会・評議員会など機関会議への女性組合員の参加比率を高めるよう努力します。また地方自治体や各種審議会・委員会にも女性の比率を高めるよう要求して取り組みます。

 B 青年協議会の強化に努めます。各単産は青年協への役員派遣を責任を持って検討します。

 C 単産・単組を越えた青年の交流と自主的なとりくみをすすめ、青年部の発展をうながします。青年部がない単産は、つくるよう努力します。

 D 全労連東海北陸ブロックの青年組織と共同でサマーセミナーを成功させます(9月14日〜16日、琵琶湖「白浜荘」)。青年組織のない単産からも最低2名、愛知全体で50名を目標に参加を呼びかけます。


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