愛労連第31回定期大会 愛労連議長あいさつ


 愛労連議長 見崎 徳弘

 代議員の皆さん、ご苦労様です。またご多忙のところ激励においでいただいた来賓の皆様には心から御礼を申し上げます。第31回、愛労連結成15年の節目の定期大会の開会に当たって、4点について述べ、代議員諸氏の活発な討論を呼びかけます。

 

 第一に賃金、雇用、労働条件など「働くルール」を確立し、くらしを守る課題です。トヨタやNTTをはじめ巨大企業が史上空前の利益をあげる一方で、3年連続のベアゼロや11万人リストラなど、財界と大企業労使の姿勢が「重し」になって、働く者の賃金・雇用・権利の破壊がとめどなく進んでいます。とりわけ底辺の労働者・国民のくらしと若者の雇用問題はたいへん深刻です。そしてその影響は、公務職場も含めすべての職場・地域に及び、ついに「公務員の定昇廃止」も打ち出されました。まさに「悪魔のサイクル」です。

 雑誌『経済』が6回にわたって実施した連続シンポ「日本の勤労者−その労働と生活」が一冊の本になりましたが、題名はズバリ「仕事と生活が壊れていく」です。正規労働者のリストラと非正規・不安定雇用労働者への置き換え。長時間・過密労働と過労死。失業と若者の就職難。ホームレスやフリーターの急増など、衝撃の告発書です。愛労連もこの春、『公務の仕事を通して見る、生活酷書』をまとめましたが、水道代が払えず、水を止められる若い母親が「赤ん坊の粉ミルクをつくるまで待って」と訴えるなど、胸を突かれるような実態が語られています。一昨日は朝刊が一面トップで「自殺者34,427人」と報じ、負債や生活苦などを原因とする自殺が40〜50代の動機のトップで、リストラや倒産などに苦しむ中高年の実態が浮き彫りになったと解説していますが、世界第2位の経済大国日本のこの現状はおかしいし、何としても変えなければなりません。

 愛労連はここ数年、職場のたたかいとあわせて「大企業の社会的責任を問うたたかい」と「底辺引き上げのたたかい」を重視し、「身勝手なリストラ・賃下げ、下請けいじめをやめよ」「サービス残業をなくし、雇用を増やせ」「最賃はせめて時給千円を」の声をひろげてきました。このなかで大企業のサービス残業が次々に摘発され、「トヨタ総行動」は全国からの参加も得て、1300人で大きく成功させました。中日新聞が「愛労連がトヨタに賃上げを要求」と書き、「トヨタ総行動」がテレビで大きく報道されたのは、「大企業は社会的責任を果たせ」とする私たちのたたかいが大きく期待されているからだと思います。

 フリーター暮らしの中で「私はこの社会に必要とされていない人間かも」と苦しんでいる若者に雇用を保障し、みんなが「人間らしく生き働ける職場と社会」をつくるために、「企業の社会的責任」を問い「働くルール」を確立するたたかいを、そして「底辺引き上げのたたかい」を、いっそう強めようではありませんか。

 

 第二が、国と地方の悪政に抗し、年金・医療・介護など「命の綱」の社会保障を拡充し、消費税引き上げなど庶民増税を断じて許さないたたかい、安心してくらせる国と地方をつくる課題です。

 景気やくらし・雇用の問題とともに、年金とイラク問題を最大の争点としてたたかわれた先の参院選は、ご存じのとおり、自民党の敗北・民主党の躍進、共産党後退という結果に終わりました。財界・大企業から一円の献金ももらわず、トヨタやNTTなど大企業の社会的責任をともに追及いただいた日本共産党の後退、とりわけ八田ひろ子議員の再選がならなかったことは大変残念です。しかし、自民党の大敗は、私たちに「痛み」を強いて反省もない小泉「構造改革」路線に対する国民の怒り、とりわけ「100年安心」とうたった「年金改革」のウソとごまかしへの怒りと不信が噴き出した結果であることは明らかです。

 重大なのは、この先です。衆院段階では「自公民3党合意」で国会通過に手を貸した民主党も参院選では「年金改革は白紙に戻してやり直せ」と訴えて躍進しました。マスコミの持ち上げる「2大政党論」のなかで、「自民党に反省を迫るために今回は民主」という投票が多かったことも明らかにされています。全労連などはすでに署名用紙を作成してとりくみを始めていますが、国会が開かれる7月末を挟んで、改めて「改悪年金法は白紙に戻せ」の声を集中し、昨年の医療改悪に続く年金改悪を今度こそ阻止し、ひきつづいて社会保障制度の全面改悪を阻むたたかい、そして庶民に耐えがたい痛みを強いる消費税増税など絶対に許さないたたかいを意気高くすすめようではありませんか。

 国の悪政が際だつときだからこそ、来春の名古屋市長選挙も重要です。この一年、名古屋の福祉のシンボルといわれた「敬老パス」は有料化されましたが、65歳支給をはじめ、いくつかの点で松原市長の改悪提案を押し戻しました。万博・空港後をどうするか、県政も市政もいまだ模索状態ですが、はっきりしているのは、徳山ダムや名古屋駅前開発をはじめ、相変わらずの大型開発、財界・大企業優先の政治です。この夏から、改めて要求と政策を練り直し、候補者擁立も急いで、革新・民主の市政実現へ愛労連の役割をはたす必要があります。

 

 第3は憲法を守る運動です。先に中央で大江健三郎や加藤周一氏ら9氏の呼びかけで「9条の会」が発足しましたが、愛知でも、これまで積みあげた「憲法と平和を守る愛知の会」をもう一回りひろげ、広範な人たちと手をいつないで、憲法9条を守る大きな運動と世論をつくらなければならない。その先頭に、愛労連が立たなければならないと決意しています。

 イラクへの自衛隊派兵についづいて、小泉首相は、国会にも諮らず、「多国籍軍への自衛隊参加」をブッシュに約束し、アメリカと共に戦争する国・出来る国への道をまっしぐらです。しかし、その道に厳然と立ちはだかるのが憲法9条です。アフガンからイラクへのここ数年の実態は国際紛争解決の手段としての戦争があまりにも無力なこと、むしろ「百害あって一利なし」だということを証明しました。21世紀の今こそ、日本国憲法の心を世界にひろげるときであり、この道こそ世界の多数派だということは、この間の世界の反戦世論の波も証明しています。いま愛知では、11月3日に憲法9条を守る大きな集いを!の準備が始まっていますが、山田昌さんなども呼びかけ人となっているこの集いを、愛労連としても支えながら、憲法を守る一大県民運動の先頭に立とうではありませんか。

 

 最後に、愛労連の組織強化拡大の課題の重要性です。こんどの大会では、2号議案として「愛労連組織強化拡大3カ年計画」を提案していますが、いま述べた3つの課題を力強く進めるためにも、組織拡大は絶対条件です。労働者の要求に応える職場活動の活性化、青年や女性も主人公となる生き生きした日常活動を工夫し、あわせて、パート・臨時・派遣など非正規・不安定雇用労働者にも大きく働きかけて、7万人の愛労連を早く、必ず実現しようではありませんか。

 以上申し上げて、私の挨拶といたします。積極的な討論を期待します。


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