NO.8 最終号(2000.8.31)  発行:愛知国民春闘共闘委員会  発行責任者:見崎徳弘


最終平均は4,078円、2.08%

192組合が回答引き出し、171組合が妥結

<財界の逆攻勢と中小経営難のもとでの奮闘の結果>

2000年春闘、賃上げ最終結果について

1.史上最低の昨年(4,172円、2.17%)をさらに下回ったが・・・

 「ベアゼロ・賃下げ」攻撃をはね返し、昨年を上回った組合も59組合と健闘

 2000年春闘は、財界・大企業のリストラ・人減らしと「ベアゼロ・賃下げ」の逆攻勢のもと、業績好調で労働者一人あたりの内部留保が7千万円を超えたトヨタでもベア500円の回答にとどまり、全国平均ではついに2%を切って史上最低の賃上げ結果に終わりました。これには、連合・JCトップも「遺憾」(鷲尾会長)、「無念」(造船・吉井委員長)、「痛恨」(鉄鋼・荻野委員長)と言わざるを得ず、サービス残業の蔓延とあわせて労働者の不満はきわめて大きくなっています。<別表、参照>

 一方、私たち愛知春闘共闘に結集する民間労組は中小企業労組が圧倒的に多いこともあって、消費不況・経営不振のもとで要求も出せない労働組合も少なくなく、登録244組合中、8月になっても回答が出ない組合(回答引き出しを見送った労組を含む)が52組合(21%)残るなど、厳しさ目立つ春闘となりました。

 愛知春闘共闘の最終集約(8月30日)では、登録244組合中、回答引き出しは192組合(79%、うち妥結組合171労組)で回答・妥結の単純平均は4,078円、2.08%。昨年とくらべると、額では94円、率では0.09%のマイナスで、結果として「史上最低記録の更新」春闘でした。<4ページ以降、参照>

 しかし、この数字も、多くの企業の「ベアゼロ・賃下げ」や人減らし提案をストライキや粘りづよい交渉で押し戻しての結果で、昨年を上回った回答が59組合にのぼるなど、仲間の健闘で引き出した数字です。

 

2.県産業労働部調べ

 県内367社(抽出)

  単純平均 →4,724円、1.8%

   昨年(4,784円、1.8%)より、額で60円ダウン。率は±0

  <参考> 同上、加重平均:5,788円、2.00%

         昨年(6,040円、2.1%)より、額で252円、率で0.1%のダウン

 

3.労働省調べ

 主要大手企業276社

  加重平均で →6,499円、2.06%

   昨年(7,005円、2.21%)より額で506円、率で0.15%ダウン

   ※調査対象=東証・大証1部上場企業のうち資本金20億、従業員千人以上。

 

4.中央春闘共闘の最終結果

 登録983・回答713組合

  単純平均 6,763円、2.22%(昨年比 218円、0.12%ダウン)

  加重平均 7,547円、2.26%(昨年比 266円、0.18%ダウン)

 

5.連合の最終集計

 平均賃上げ集計825組合

 単純平均 5,047円、1.81%、/加重平均 6,048円、1.95%

 

6.日経連調べ

 大手220社

  単純平均6,297円、2.00%/加重平均6,404円、1.97%

 中小502社

  単純平均4,285円、1.68% /加重平均4,621円、1.78%

 

7.2000年春闘・賃上げ闘争をふり返って

 2000年春闘をふり返ると、第1の特徴は境・大企業がリストラ・首切り競争を「当然視」し、労使関係よりも株主優先の対応に変化して、ベアゼロに加えて「賃下げもあり」というかつてない高姿勢で春闘に臨んできたことです。

 第2に、政府の行財政改革や構造改革、規制緩和政策の進行にともない、大企業、大手銀行が特別に優遇される一方、中小零細企業に負担と犠牲が集中し、賃上げ結果には産業別・規模別格差がいっそう拡大したことです。

 また第3の特徴は、JCなどの「マイナス相場」や定昇ストップ・削減、業績給導入など賃金制度に対する攻撃を受けながらも、春闘共闘に結集する仲間が「底上げ」を重視しつつ、組合員の切実な要求実現をめざして「3.16」などストライキを含む全国統一闘争を精一杯たたかい、不充分ながら今日の到達点をかちとってきたことです。

 大企業を中心に、充分な体力があるのに不況に悪乗りしたり「国際競争力強化」名目でリストラ・賃下げを強行する企業を許していては、労働者・国民の生活悪化と深刻な消費不況の打開・克服は不可能です。「横暴勝手なリストラ・賃下げ反対」「中小企業の経営と労働者・国民のくらしと雇用を守れ」をスローガンに、大企業に社会的な責任を果たさせる運動、財界・大企業本位の悪政を変えるたたかいがますます重要になっています。

<賃上げ・ベスト10>

@東洋経済(出版労連) 20,850円
A安城学園関連労組(全国一般) 20,000円
B法研中部(出版労連) 15,382円
C電通(広告労協) 14,800円
D朝日新聞(新聞労連) 12,771円
E日本IBM(JMIU) 12,300円
F銭高組・名古屋(建交労) 11,688円
G全音楽譜(出版労連) 11,421円
H川本製作所(JMIU) 11,190円
I名古屋放送(民放労連) 11,122円

1990年からの春闘賃上げ結果の推移

 

愛知春闘共闘調べ

県労働部調べ

愛知県経営者協会調べ

年別

(年)

回答・妥結

平均(円)

回答・妥結率

(%)

妥結平均

(円)

妥結率

(%)

妥結平均

(円)

妥結率

(%)

1990

15,202

6.38

12,709

5.8

13,017

5.89

1991

15,037

6.08

12,774

5.6

13,024

5.61

1992

13,425

5.78

11,660

4.9

11,867

4.91

1993

11,067

4.38

9,177

3.7

9,523

3.81

1994

8,542

3.74

7,167

2.9

7,440

2.91

1995

6,987

3.12

6,490

2.6

6,744

2.61

1996

6,961

2.98

6,509

2.5

6,731

2.59

1997

6,963

3.27

6,933

2.6

6,799

2.61

1998

5,707

2.60

5,981

2.3

6,464

2.41

1999

4,172

2.17

4,784

1.8

 

 

2000

4,078

2.08

4,724

1.8

 

 

※いずれも単純平均


8月人事院勧告

官民格差0.12%=初のベア見送り

一時金0.2月再削減=年収で2年連続マイナス勧告を強行!

 人事院は8月15日、今年の公務員賃金改定に関わる「人事院勧告」を発表しましたが、官民格差がたった0.12%、477円しかなかったとして、本給(給料表)の引き上げを見送っただけでなく(扶養手当で若干の改善)、一時金で2年連続の切り下げとなる0.2ヶ月分(=給与の1.2%に相当)のカットも勧告しており、公務員からストライキ権など労働基本権を剥奪・制約した代償措置としての人事院勧告制度が賃下げに悪用される、きわめて不当な勧告となっています。

 これは一時金の0.3ヶ月分カットで史上初の「年収イナス勧告」となった昨年の99年勧告につづく2年続きの年収ダウン勧告で、行政職平均(40.5歳)で現在より約69,000円(1.1%)の収入減となる勧告で、国公労連などは、給与法改「正」反対のたたかいを組むと表明しています。

 超低額の民間の春闘結果を人事院勧告に反映させ、その結果をさらに民間の賃金抑制に悪用するこの悪循環は、官民の生活悪化を招く悪魔のサイクル。これをうち破る官民一体の秋闘が求められます。


愛知県最低賃金 日額5,411円 時間額677円

あまりにも低額! 最低賃金法の目的に反する改正額

 8月17日、愛労連は「愛知県最低賃金の改正決定に係る愛知地方最低賃金審議会の意見に関する公示」を受け、愛知労働局長に対しあまりにも低額な最賃改正を不服とし、愛知県の最低賃金を日額7,400円、時間額1,000円とすることを求める異議申出をおこないました。

※異議申出の内容は愛労連ホームページの下記アドレスにて見ることができます。

   → http://www.airoren.gr.jp/ai-housin/2000nendo/2000-saitinigimouside.htm


組合別回答・妥結一覧表NO.8(2000.8.31)

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