NO.2 (2001.4.7)   発行:愛知国民春闘共闘委員会  発行責任者:見崎徳弘


4月5日現在

98組合(32%)に回答出る

29組合で昨年の最終回答を上回る。/1万円以上も7組合に

 2001年春闘は、業績絶好調のトヨタが定昇込み7,600円(ベア600円)で妥結したように前評判とは異なる厳しさが目立ち、「連合」(全国)の3月末集計では、単純平均で5,274円、1.84%と、昨年回答(=5,278円、1.85%)を額・率ともに下回っています。トヨタなどIMF・JC(金属労協)は辛うじて昨年を上回っていますが、それも企業の収益増24.5%に対し、ベアは100円玉一個の上積みにとどまったのが実態で、公益企業ではNTTの要求見送り、電力のベアゼロ、私鉄の前年割れ妥結など労働者には大きな不満を残しました。

 この間のリストラ協力の見返りに、「純ベア1%」「ベア1000円が最低ライン」とした労働側の思惑は、株安やアメリカ経済の減速で「景気の先行き不安」を強調した経営側に押し戻された格好です。大企業から中小まで「成果・業績主義賃金」が拡大し、労使交渉の位置が低下したのも問題です。

愛知春闘共闘は回答引き延ばし・ベアゼロに
反撃して闘争中

 わが国を代表する企業での低額回答が響いて、愛知春闘共闘の登録247組合も厳しいたたかいを強いられています。4月5日までに連絡が入った回答引出し組合は98労組ですが、うち有額回答は78組合(32%)にとどまっており(98−78=20組合はゼロ回答)、昨年と同様、経営がきびしい建設・交運関係や全国一般の中小労組、生協、印刷、港湾などでは回答の引き延ばしや「ベアゼロ」、実質賃下げ提案や人減らし「合理化」提案なども続いています。

 ただ、仲間たちは「このまんまじゃ、やっとれん」と闘いを継続しています。また、全体に「下げ止まり」傾向も見え、昨年の最終回答を上回る回答もすでに29組合(JMIU5、新聞2、全国一般4、建交労7、民放2、全港湾1、医労 連2、出版3、生協1、国労2組合)、「1万円台キープ」も、朝日新聞(13,274円)、法研中部(13,095円)、日本IBM(11,700円)、名古屋放送(11,424円)など7組合に達し、出版9労組はじめ、妥結も16組合に上っています。〈各組合ごとの回答状況は5ページ以下を参照〉

 業種・企業規模などによるバラツキは大きく拡がっていますが、多くの労組では「たたかいはこれから」。回答の引き出し・上積みへ、4月の奮闘が重要です。

 

 <中央春闘共闘 3月29日集計。回答引き出し 325組合/登録 972組合=33.4%>

  ・単純平均 6,876円(2.23%) =前年同期比 +178円(+0.07%)

  ・加重平均 7,893円(2.33%) =前年同期比 +776円(+0.09%)

 

 <日経連調べ 3月28日現在。主要24業種・大手企業 119社の回答+妥結状況>

  ・単純平均 6,484円(2.00%) =昨年比 +89円(+0.01%)

  ・加重平均 6,382円(1.95%) =昨年比 △33円(△0.04%)

 


春闘後半戦!!

「メーデー前・4月決着」へ
スト含む統一行動で粘りづよく闘おう!

1.回答引き出し・上積みへ、4月のたたかいを強化しよう!

 愛労連・愛知春闘共闘に結集する各単産は、3月27日の春闘共闘役員会や翌28日の愛労連幹事会などで闘いの現状と到達点を交流するとともに、4月からの春闘後半のたたかいについて、粘りづよく闘争を継続することを意思統一しました。

 とくに、大半の組合がこれから回答引き出しという全国一般、建交労、全港湾や、経営陣の姿勢がかたくなな医労連、生協労連などは、「たたかいはこれからが正念場」と、次のように決意を語っています。

 

<全国一般>

 業績がよい製造業・化学などと、落ち込んでいる商業・サービスなどとの格差が広がっているが、全体に回答引き延ばしが目立ち、経営者の腰が引けている。このなかで組合は、3月には集中的な企業要請を2回実施し、幅広く中小企業訪問にもとりくんで、経営者との懇談も深めている。大企業の横暴や政府の悪政の下で中小零細企業の苦難は増しているが、それだけに、労働者と経営者とが率直に話し合い、希望をもって頑張れる方向をともに探ることが重要で、労働者に犠牲を押しつける経営姿勢では企業の未来はない。誠意ある対応と回答を求めて断固頑張りたい(黒島委員長)。

 

<建交労>

 3単産合同で業種も組合数も増えたが、要求提出は順調だ(トラック運送関係4万5千円、学童保育2万4千円など統一要求が大半)。回答はまだ少ないが、出たところは前年同額以上が6〜7割になっており、昨年はゼロ回答だったが今年は上げるという企業もいくつか出て、「下げ止まり」の感がある。例えば近鉄物流の場合、回答は1,200円だが、経営難による8%カットを今年は少し戻させるため、併せると平均4,200円ほどになる。ただ、建設関係はこれから。それに、公務はきつくて、名古屋市の保育パートなどは「時給150円アップ」の要求に対しゼロ回答が返ってきている。

 いずれにせよ、たたかいはこれからが本番。運輸業界は際限のない「規制緩和」で過当競争が進み、フットワークなど大手の倒産も出始めた。一部経営者は苦し紛れに賃下げ・リストラなど労働者犠牲を強めており、賃上げ回答を出したところも成果主義を基本とする「新賃金体型」導入を次々に提案するなど、職場は大変だ。でも労働者犠牲はもう限界。過積載や無茶苦茶な長時間運転で重大事故も多発しており、このままでは労使共倒れになる。「規制緩和」に歯止めをかけなければ展望は出ないという意識は業界に拡がっており、中央では労使の共同行動もすすんでいる。当面、メーデーまでを目安に頑張る(谷藤書記長)。

 

<全港湾>

 回答指定日の3月27日に有額回答が出たのは6分会だけだが、港湾の場合も「規制緩和」による労働条件切り下げが大問題で、賃上げに先行して「産別協定守れ」のたたかいを重視している。今年1月、清水港で冷凍マグロの荷役に関する3件の新規免許申請が出たのを、「既存の港湾労働者の雇用と生活を脅かすから許可するな」と要求、全国140名の代表による中部運輸局交渉、清水での24時間スト、全国1時間の時限ストなど積み上げるなかで、3社が許可申請を取り下げる成果を得た。しかし、こうした問題は今後も次々に浮上するだろう。

 こうした制度問題と賃上げを2本柱に、港湾の春闘は4月10日以降がヤマになる。住軽金9争議解決、ダイコーの解雇撤回闘争などともあわせ、みなさんの支援も受けて闘いたい(田中書記長)。

 

<医労連>

 今年の特徴は「定昇のみ・ベアゼロ」回答が相次いでいること。経営は安泰で利益も順調に上げているが、病院改築・最新医療機器導入などには金をかけても従業員の待遇改善や人員増には渋い経営者・理事者が多く、かたくなな姿勢が際だっている。「55歳定昇ストップ、退職金切下げ」など改悪提案が目立つM医生協を筆頭に、組合はストライキを配置した交渉を粘りづよく展開しているが、まだ時間はかかりそう。

 関連して執行部は医療事故問題を重視し、「看護婦増員・3人夜勤体制」などについて要請に回っているが、この点では共通理解がすすみ、名古屋市・愛知県の医師会も医労連との懇談をOKしてきた(県は初めて)。安心してかかれる医療と看護婦増、病院関係者の労働条件改善をともに追求していく(稲葉書記長)。

 

<生協労連>

 生協も「ベアゼロ・定昇のみ」回答が相次いでいる。しかも医療生協同様、生協も全国的に「人件費比率の切り下げ」が狙われ、理事者が一覧表を出して高いところの頭を叩いてきている。このなかで例えば岐阜生協は、定昇実施と抱き合わせで「食事手当5,000円カット」を提案、三重は職能給(標準昇格制度)の凍結、評価・昇格制度の改変を言ってくるなど、賃下げ・カット提案も目立っている。

 東海地連はこのなかで、「マイナス回答や、夏季一時金カットは許さない」「最賃目安の時給750円以下はなくす」を重点目標に、賃下げ・カット提案のところへ集中的に支援に入るたたかいを組む(榑松委員長)。

2.日経連の「新時代の日本的経営」戦略の貫徹を許すな!

成果主義賃金導入反対!リストラ「合理化」、不安定雇用への置換え反対!

 各単産の委員長・書記長が触れているように、最近は年功序列・終身雇用を破壊し、成果主義賃金導入、不安定雇用への置き換えで総額人件費を削減する企業戦略が中小企業にまで徹底しだしているのが特徴です。

 JMIU愛知地本の原田委員長も、「川本はベア100円、定昇込み11,370円で春闘は妥結したが、経営側が3年ごしで主張している新人事制度=成果主義賃金導入を阻むたたかいが今後の焦点となる」「日経連の戦略は、従業員10数名の中部自動車にまで徹底していることから、川本のたたかいもこの後は大変。ストライキをかけたたたかいとなる」「ヤマ場ではぜひ支援を」と訴えています。どの組合も、資本のねらいとその危険性を徹底して明らかにし、要求を明確にして粘り強くたたかいましょう。また、たたかいの山場では、みんなで支援行動にもとりくみましょう。

3.第2次統一行動(4.18)を挟んで、メーデー前・4月決着と

名古屋市長選挙勝利へ、みんなの力を合わせよう!

 愛知春闘共闘は、以上の状況をふまえ、「4.18第2次全国統一行動(栄総行動、大蔵包囲総行動も同日!)」を挟んで、「メーデー前・4月決着」をめざして闘いを強化します。

 同時に、4月22日投票で闘われる名古屋市長選挙も重要です。市長選への対応は、それぞれの組合方針にもとづくたたかいをすすめるというのが春闘共闘の方針ですが、この結果が私たちの毎日の暮らしや福祉に与える影響は甚大ですから、少なくとも情勢や要求をキッチリ討議し、「住民が主人公の名古屋市政実現」をめざして「組合員と家族は、必ず投票に行くよう」訴えることが大切です。

 政治闘争が大きく高揚するときは、賃金や労働条件も大きく前進するというのは歴史の教訓です。労働者・労働組合の組織力を充分に発揮し、雇用とくらしを守り、希望ある未来を開くために頑張ろうではありませんか。


回答・妥結一覧表(2001.4.5) HTML版 ・ Excel版

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