NO.4 (2001.6.27)   発行:愛知国民春闘共闘委員会  発行責任者:見崎徳弘


2001年賃金闘争 6月26日現在

176組合(72%)に回答

妥結・終結138組合(56%)に

単純平均は4,000円を切ったが、62組合で昨年の最終回答を上回る

1万円以上も9組合へ/新聞・出版・広告の8〜9,000円から

建交労・全港湾の2,000円まで、「業種間格差」が際だつ賃上げ回答

 前回の回答情報から1ヶ月、6月26日時点での回答状況は、登録246組合中、回答引き出しが176組合と7割に増え、妥結・終結も半数を超える138組合に達して、賃上げ交渉は全体としては収束に向かっています。

 回答の特徴は、広告・出版・新聞など「MIC関係」が平均8〜9,000円でほぼ収束したのに対して、医労連・生協労連などが5〜6,000円台、全国一般・JMIUが4,000円台と「業種間格差」が際だって大きいこと。愛知春闘共闘でもっとも組合数が多い建交労で回答が98組合中63組合(64%)にとどまり、平均賃上げ額も2,000円を切ったこと。ついで組合数が多い全港湾も2,000円強の回答平均にとどまったこと。これらが響いて春闘共闘全体の賃上げ単純平均が4,000円を切り、3,733円まで下がっていることです(8ページの「産別集計一覧表」参照)。

 建交労や全港湾の低額回答は、「規制緩和」による過当競争、荷主のコストダウン圧力、不良債権処理を急ぐ銀行の貸し渋り・貸し剥がしなどによる経営不振が響いていて、「ゼロ回答」での妥結も建交労で22組合、全港湾で2組合にのぼっています(ほかに、建交労の「学童保育支部」なども深刻で、少子化や名古屋のトワイライトスクールの影響などでその存続や雇用問題が持ち上がっている学童が8カ所もあります)。

 以下、現時点での県内・全国の最新データを紹介します。

 

●県産業労働部しらべ: 県内366社(抽出) →「加重平均」で4年ぶりに増額!

  • 単純平均 4,597円、1.7%(昨年より額で127円、率で0.1%の減)

  • 加重平均 5,842円、2.0%(昨年より額では54円プラス、率は同率)

*製造業4,851円(加重6,147円)、運輸・通信2,281円(同4,559円)、卸・小売業5,453円(同6,008円)、金融・保険3,743円(同3,116円)と「業種間格差が大きいこと」、「加重平均で4年ぶりに前年を上回ったこと」が特徴。

 

●連合愛知5/16集計(177組合)

  • 単純平均 4,932円(昨年5,086円)/300人未満の中小=4,306円

  • 加重平均 6,333円(昨年6,387円)/ 〃 =4,866円

 

●中央春闘共闘5/31集計: 回答630組合=65%、妥結364組合=38%

  • 単純平均 6,567円、2.17% (昨年=6,758円、2.23%)

  • 加重平均 7,537円、2.27% (昨年=7,427円、2.22%)

 

●連合本部第2回妥結集計(5/10現在、765組合)

  • 単純平均 5,054円、1.79% (昨年=5,088円、1.81%)

  • 加重平均 5,980円、1.94% (昨年=5,997円、1.96%)

 

●日経連しらべ、5月17日現在。ただし、加重平均。

  • 大手209社: 6,365円、1.93%(昨年=6,404円、1.97%)

  • 中小289社: 4,623円、1.76%(昨年=4,747円、1.82%)

 


一時金、最賃、8月人勧…夏期闘争がんばろう!

(1)夏期一時金、人勧闘争とあわせて未解決組合支援を!

 賃金交渉は全体としては収束に向かっていますが、なお全体の3割弱が未回答で、妥結・終結は56%にとどまっています。企業の経営難や「賃上げどころではない」などの思想攻撃によって賃金・人員の「合理化」提案が出され、それが障害になって妥結できない例も出ています。人勧が出てから本格交渉という職場もあります。/当面する夏期一時金や8月人事院勧告に向けた公務員の仲間の要求闘争とともに、納得のいく収束へ、未解決組合を包む粘りづよい交渉が求められます。

(2)最低賃金制度改善へ、署名などで世論を広げよう!

 中央最賃審議会による最賃「目安」額の提示が1ヶ月後(7月末)に迫りました。8月上旬には地方最賃審議会の答申も出ます。愛知の最低賃金=時間給677円・日額5411円は低すぎます。愛労連は7月10日に愛知労働局賃金課との交渉を持ち、27日には審議会傍聴にもとりくみます。職場に残っている最賃要求(団体)署名は早急に提出をお願いします。

不払い残業根絶、「はたらくルール」確立を!

(1)「4.6通達」を武器に「不払い・サービス残業根絶」に取りくもう!

 裁量労働やフレックス制の拡大のなかで蔓延する「不払い・サービス残業」の一掃へ向けて、厚生労働省が出した「4.6通達」は、全国のたたかいで出させたもので、私たちの重要な武器です。4月27日には総務省も都道府県などに「4.6通達」にもとづく労働時間の適正把握を指示しており、官民を問わず活用できます。職場で学習会をひらき、「不払い・サービス残業実態調査」にとりくみましょう。また、「@通達遵守の確認、A始業・終業時間の管理者記録、B残業代不支給の点検と支給」など企業や当局に申し入れ、「不払い・サービス残業」根絶への第一歩を踏み出しましょう。

(2)「はたらくルール確立」めざす“労働者過半数署名”へ!

 いま全国の仲間が、「@パート労働者などの賃金の底上げ・均等待遇の実現、最低賃金制の改善、A企業の一方的解雇を規制する法律の制定、B不払い・サービス残業根絶、労働時間短縮」をめざす「はたらくルール確立」署名にとりくんでいます。全労連や春闘共闘は「連合」とも要求が一致する(注:連合は「雇用・生活危機突破、ワークルール確立」署名)この署名について、「3年計画で労働者の過半数から署名をあつめよう」と訴えています。当面、組合員と家族など対象に、「はたらくルール確立」署名へ本格的に踏み出しましょう。

要求前進の近道は政治を変えること!参院選がんばろう!

 24日投票の東京都議選は自民党が得票(得票率36.0%)を大きく伸ばして議席を改選時の48→53にまで増やしたのに対し、前回第2党に躍進の共産党が得票率では2位(15.6%、3位公明=15.1%、4位民主=13.5%)と健闘しながら議席は大きく減らし(26→15。数選挙区で僅差に泣いた)、マスコミがこぞって「小泉人気による自民党復調」を強調する結果となりました。この結果に、一部では「参院選も自民党が大勝」の観測が出ていますが、そんなことになっては大変です。

 小泉流の「聖域なき構造改革−骨太方針」は、@「不良債権最終処理」=貸し剥がしによる倒産・失業の大幅増、A社会保障の連続改悪、B消費税14%(竹中平蔵)など、国民に耐え難い「痛み」を強要するものであり、問題多い「教育改革」や「公務員制度の改革」、憲法改悪策動などとともに未来を危うくします。/要求前進の近道は政治を変えること。参院選では職場・地域の“対話”を重視し、「要求前進」のためにきっぱりとした審判を下すことが必要です。


回答・妥結一覧表(2001.6.26) HTML版 ・ Excel版

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