ジェイアール東海バス株式会社

    取締役社長 吉川公行 様

大幅な路線バス廃止計画反対
住民の足を守るための申し入れ

2001年2月21日

 

愛知県労働組合総連合

議 長  阿部 精六


 日頃、地域住民の重要な交通手段としてのバスの運行に心を砕いておられることに敬意を表します。

 さて、昨年5月の道路運送法「改正」で、乗り合いバス事業および路線が「免許制」から「許可制」になり、退出は「届出制」に変えられた際、私たちは、この規制緩和が過疎地域を中心に住民の貴重な足を奪う結果につながると心配しましたが、その後、私たちの懸念が的中し、今、組合員やその家族、関係者にとってたいへん困る事態が進行しています。貴社が昨年11月末に発表し、地元自治体等との協議に入った「バス事業再編成」計画=路線の大幅削減方針がその一つです。

 その内容は、マスコミによると「乗り合いバス9路線76系統(のべ463キロ)の営業区間を半分以下の37系統(155キロ)に削減し、愛知、岐阜、福井、静岡県内を走る赤字7路線39系統(308キロ)を廃止する」「今後半年間をメドに、沿線17自治体の同意を得て順次廃止していく」というきわめて大幅な削減方針で、愛知県内に限っても、瀬戸北線(品野〜多治見など5系統)、瀬戸西線(名古屋〜瀬戸追分など9系統)、瀬戸南線(宝が丘〜愛工大前など4系統と、岡崎〜東名岩津など3系統)、中馬線(上品野〜片草の1系統)の22系統が廃止対象とされています。

 私たちが困るのは、廃止予定の多くの路線に他に公共の交通手段がないことです。障害者や高齢者や主婦をはじめ、車や運転免許のない住民の生活の足として、また、毎日の通学にバスを利用してきた子どもたちの、なくてはならない通学手段として役立ってきた路線バスの維持は、公共性の高い貴社の責任でもあると考えます。

 廃止計画について貴社は、「バス事業が2001年秋には規制緩和され、競争が激化する」「当社の乗合バス利用者はピーク時=1988年度には892万人だったが、99年度には399万人と激減し5億円の営業赤字」といい、「費用100円に対し収益は58円の状態で、収支改善の見込みがなく撤退せざるを得ない」と強調しています(11月30日「中日新聞」)。営業面からだけで先を見れば確かにそうかもしれません。

 しかし、貴社の経営状態は全体としてはそれほどひどいとは聞いていません。また、昨年の道路運送法「改正」では衆参両院で、「地域において生活交通確保のための具体的方策を協議する地域協議会について、地域の関係者の意見が広く反映され、地域の実情に応じた実行ある」対策を講じるよう「付帯決議」もあがっており、昨年来、沿線住民や自治体から計画の撤回や見直しを求める要望が相次いでいるのも周知のところです。そして私たちと中部運輸局との過日(2月16日)の懇談では、運輸局が「協議会の議論に注目している」とも語っています。さらに言えば、国鉄の分割民営化の際、東海旅客鉄道株式会社(=JR東海)が承継したバス事業を、「分離しても経営が成り立つ」としてJR東海が分離した(88年4月)結果、貴社が独立した経緯を見るなら、親会社のJR東海にも率直な要請がなされるべきでしょう。

 以上から、私たちは貴社の大幅な路線バス廃止計画の撤回ないし抜本的見直しを要請します。少なくとも地域協議会に出される住民や自治体の声に充分耳を傾け、地域住民の貴重な足を確保する手段について、親会社・JR東海への要請を含めた誠意ある対応を要請します。

 

以上


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