東海旅客鉄道株式会社

  取締役社長 葛西敬之 様

JRの安全対策にかかわる申し入れ

2001年2月21日

 

愛知県労働組合総連合

議 長  阿部 精六


 住民の足を守るための、また、安全・安心で快適な鉄道事業の発展をめざしての、貴職の日頃のご労苦に敬意を表します。

 さて、先月の末、JR・新大久保駅で乗客がホームから転落し、それを助けようとした2人をあわせて3人の利用者が列車に轢かれて命を失った事故は、二度と再びこうした痛ましい事故を起こさない観点から、JR各社の事故防止・安全対策の再点検と対策強化の必要性を改めて問う事件となりました。

 ところが、マスコミの報道や関係者の話によると、その後この愛知でも、次のような事件が相次いで起きています。

● 1月31日午後=共和駅で、自殺(?)を図った女性が列車に轢かれ、両足切断の重傷を負った。駅と列車は大混乱。

● 2月1日午後=鶴舞駅で、大学受験を終えて帰宅途中の高校生が線路に飛び降りたのを列車待ちの2人の男性が救出。列車は急停止して事なきを得た。

● 2月4日午後=尾頭橋駅で、飲酒した乗客が線路に転落。近くにいた別の乗客が、反対側で停車中の乗務員に知らせた結果、業務委託社員らが救出して事なきを得た。

 これらは死亡事故にこそ至ってはいませんが、もう少しで新大久保と同様の悲劇につながりかねない危険な事件であることに違いはありません。

 そこで、改めてJRの危険と安全について考えると、次のような不安、疑問がふくらみます。

@ 新大久保駅の事件以来、「乗客が線路に落ちても、ただちに適切な措置がとれる駅員が ホームにいない」、「落ちると、列車が来てもとっさの逃げ場がない」などの意見が多く 出ている。JR東海の各駅はどうか、心配である。

 

A 金山駅ホームの場合、東海道線・中央線の階段側壁と線路との間(通路)が極端に狭 い、尾頭橋のホームでは線路の屈曲の関係から、ホームと列車の隙間が広く開いていて 危ない、などの指摘がある。これは一例だが、先に問題となった新幹線のトンネル内壁 の崩落事故等とも併せて、JR関連施設そのものの総点検と結果の公表、早急な改修・ 補修が必要なのではないか。

 

B さらに問題なのは、JR東海の名古屋圏150余駅のうち、無人駅や委託駅がそれぞ れ1/3近くに増え、直轄駅が65駅に減ってきていること。直轄駅の場合も、ほとん どがホームに駅員・安全監視員を配置しておらず、転落しても救助する駅員がいないこ とである。

  これらは、車掌の廃止やワンマンカーの増発、車両や設備の点検周期の延長、直営に よる安全管理から下請け関連企業への業務委託(=いわゆる「丸投げ」)などとともに、 JRの利益優先主義による人減らし「合理化」の結果であり、「安全・安定輸送重視」の 精神に反するのではないか。

 以上、率直に不安や疑問を申し述べ、貴職への要請も並べました。言葉がすぎた面もあるかと思います。

 しかしこれは、「地球よりも重い」といわれる人命に関わることだからこそ、そして貴社には住民の足を守る公共性の強い企業体として、「安全・安心で快適な鉄道事業」の発展にご尽力いただきたいからこその直言です。私たちの思いを受け止め、本日の直言について誠意をもってご検討くださるよう、要請します。

 

以上


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