愛知県知事

   神田 真秋  様

働く者のくらしと雇用を守り
働くルールを確立するための要請書

2001年2月21日

 

愛知県労働組合総連合

議 長  阿部 精六


 県民の雇用とくらしの安定、県政発展へ向けての貴職のご苦労に敬意を表します。

 さて、新しい世紀が始まりましたが、労働者・県民の状態は大変厳しいものがあります。「景気は回復基調」どころか、商業・サービス分野など多くの企業がなお経営悪化に苦しんでおり、とくに中小零細企業が深刻だからです。また、大企業が競ってすすめるリストラ「合理化」の犠牲も大きく、この数年、正規雇用からパート・派遣など不安定雇用への置き換え、賃金・労働条件の一方的な切り下げ、無理な出向・転籍や解雇などが目立っているからです。

 一方、全労連の調査によると、トヨタの5兆円超をはじめ、全国の主要企業427社の内部留保が初めて100兆円の大台に乗るなど、大企業の企業収益は好調です。問題は、これが労働者の雇用や暮らし、中小零細企業の経営安定につながらず、むしろ、その犠牲の上に成り立っていることです。愛知でも同様ですが、中小企業のあいつぐ倒産・廃業、300万人を超える失業者、「超氷河期」といわれる若者の就職難、労働者の2年連続の年収ダウン、中高年を中心に3万人を超えた自殺者などの事態が、ことの深刻さを如実に示しています。

 この事態は一日も早く改められなければなりません。企業経営とわが国経済の発展のためにも、労働者・国民の雇用とくらしの安定、労働条件の改善は不可欠であり、GDPの6割を占める国民購買力の回復、向上がつよく求められるところです。

 以上から、愛労連・全労連は、2001年春闘の重点要求に下記3点を掲げています。貴職がこれに理解を示され、この要求実現へ最大限の努力をされることを期待し、要請します。

 なお2月21日は、全労連の呼びかけによる全国統一の「総行動日」であり、全国各県で同趣旨の要請や宣伝が繰り広げられることも付記します。

 

 

1.労働者の生活安定のために、賃金の底上げと最低賃金制の抜本改正を実現すること。

 @ パート・臨時など不安定雇用労働者の時間給を大幅に引き上げ、正規労働者との「均等待遇」を実現すること。

 A 現行の最低賃金法は全面的に改正し、全国一律の新しい最低賃金制を確立すること。 また、愛知県の地域包括最低賃金について、現行の「Bランク」から「Aランク」に格付けを引き上げ、時間額は1000円とすること。

 B 最低賃金は本来 最低生計費であり、非課税とすること。また、課税最低限度額は180万円以上に引き上げること。

 

2.戦後最悪の失業問題の解決のために労働時間の短縮に努め、雇用を拡大すること。

 @ 政府公約の「年間労働時間1800時間」を早急に実現すること。

 また、深夜・時間外・休日労働について、男女共通の罰則付き法規制(上限規制)をおこなうこと。

 A とりわけ法律違反の「不払い(サービス)残業」については、「労基法遵守月間」を設けて一掃キャンペーンをおこなう、事業所に「労働時間管理台帳」を設置させる、など具体的な手だてを講じ、その根絶を図ること。

 B その他、失業者救済・雇用の拡大へ、とりうる最大限の手だてを講じること。

 

3.いわゆるリストラ「合理化」から労働者を保護するために、「働くルールの確立」に努めること。

 @ 企業組織の変更(=リストラ)などに伴う労働者の解雇や賃金・労働条件の変更について集中的な実態・計画調査を実施し、「本人同意」を必要とする労働者保護の法整備をはじめ、労働者の雇用とくらしを守るための方策を検討すること。

 A 少なくとも、いわゆる「整理解雇の4要件」など判例で確定している労働者保護の項目については早急にこれを法制化し、いわゆる「解雇規制法」を制定すること。

 

 

<その他の要請>

1.労働行政と勤労者福祉の拡充のために、関係予算と職員を増やすこと。

 

2.公正で民主的な労働行政のために、地労委や最低賃金審議会など各種委員会・審議会の労働者代表には愛労連推薦の委員も加えること。

 

3.愛知県が「財政危機」を理由に続けている職員の賃金・一時金カットや福祉・教育にかかわる補助金カットについては、早急にとりやめること。県民世論が分かれている万博や中部新空港建設などの大型イベント・公共事業こそ見直すこと。

 

以上


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